王谷晶のレビュー一覧
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ネタバレこの前に読んだダガー賞受賞の「ババヤガの夜」が、冒頭のバイオレンス満載のハードボイルドタッチから全く別の印象となる後半の逃亡とシスターフッドの物語に就職氷河期世代でさらに性的マイノリティである作者自身が色濃く投影されていた。
この作品は、この後半部分でのあった「今の社会で不安定なひとの現実を不安定なまま、一念発起して自己改革するようなことはなく、ふらふらとしたままなんとか生きていくという」今この社会にもある現実をそのまま描いている。
作者のインタビューにあるように「現代版長屋噺」と語っているように昭和レトロなマンションを舞台に展開する幽霊譚のドタバタ劇でもあるだが、急死した幽霊と交流していた伯 -
Posted by ブクログ
女と女だからこその気安さやわかりあえる事柄もあれば、どうしても憎みあうこともある。性別関係無しにただ愛しかったり、その逆だったりもまた当然、色とりどりの関係が生じ得る。そのバラエティ豊かな女たちの物語を、これまたバラエティ豊かな筆触で生き生きと描いた短編をぎゅうぎゅうに楽しめる短編集です。
ときにあけすけにエロティックに、ときに純粋な思慕を潜ませて、ときにただくだらなくギャグを貫く、豊かな物語の粒のひとつひとつが瑞々しくて堪らなく楽しめました。
「ババヤガの夜」とは全く違う作品群ですが、だからこそまたフレッシュに楽しめました。面白かったです。 -
Posted by ブクログ
題名を見てホラーっぽいコメディかなと何の気無しに読みました。
読み終わって作者の紹介のところに、少し前に賞を取った「ババガヤの夜」と書いてあってびっくり、テレビで見たあの作家さんなんですね。
成り行きで亡くなった親戚の部屋に住む事になると、そこには幽霊がやってきて…
ほとんど交流のなかった親戚のおじさんの人柄が実は、周りから聞かされていたような人物ではなく、その部屋には通ってくる幽霊も…謎はありつつ、交流が続いていく。
印象に残ったフレーズは、自分の事を行きた幽霊だと 生きているけど生きてない 死んでないけど死んでいると話していた先住人のおじさん。
趣味も無く親しい友人もおらず、淡々と過ごす -
Posted by ブクログ
初・大谷晶
2025年のダガー賞の翻訳部門受賞の『ババヤガの夜』で有名になりましたが、それで興味を持ったわけでは無く、この本についての好意的な書評を目にしたのがきっかけです。むしろミステリーには手を出さない事にしている私は、受賞を聞いて大谷晶=ミステリー作家と勘違いして、ちょっと躊躇したのです。
しかし、なかなか良かった。
5つの短編。どれも意外な終わり方です。最終盤で少し方向が変わって、かつ完全に決着をつけるのではなく少し曖昧な終わり方。オッそう来ましたかという感じ。個性的で嫌じゃない。
特に「リワインド」。タイムリープを繰り返すケン・グリムウッドの『リプレイ』や北村薫『ターン』の様な”ルー -
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ネタバレ家族をテーマにした5つの短編集。
どれも甲乙つけがたいほど、良かった。
ハッピーな話もあれば、切なくなる話もあり。
表題作「父の回数」は、胸糞悪い最後だった。タイトルの意味がわかると、本当にムカついた。
小説を読んで、怒りの感情がわくことはあまりない。主人公が哀れで、抱きしめて、慰めたくなる。
「おねえちゃんの儀」は、同性婚が認められないので、「姉と妹」として暮らしている女性二人の話。家族になりたいけど、なれない主人公の切なさが沁みる。
「あのコを知ってる?」はシュールでおかしかった。思わず笑ってしまう。
「リワインド」は爽快!
何度も過去をやり直す主人公を応援したくなる。
「かたす