あらすじ
30年前に別れた君が凍死体で発見されたと聞き、わたしはあの町での君との記憶を呼び覚ます。わたしは忘れない、あの時、君があげた叫び声を──。名前につきまとう性別のニュアンスをあえて削ぎ落とす試みを、叙情豊かに描いて絶賛を浴びた傑作。「ベイビー、イッツ・お東京さま」併録。
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Posted by ブクログ
やばいめちゃめちゃ面白かった
一編目も二編目もなんだろ読み終わった後にすごいものを読んだと久々に体全体がぞくぞくした。
どちらも信用できない語り手であることは間違いいんだけどラストの衝撃が凄い。
文章も読みやすく引き込まれる。もっとたくさん王谷さんの作品を読みたいと思った。
とにかく人を好きになる時の心情や表現の仕方がすき。
まさかの題名がそのままの意味だとは思いもしなかったよ
Posted by ブクログ
表題作、わたしと君の性別が気になるけど、男か女かなんて本当はどちらでもいいってことなんだと思う。属性を省いてその人を見る練習をしたような感覚。
「ベイビー〜」、いつかすごく悪いことが起こりそうでヒヤヒヤしながら読んだ。
Posted by ブクログ
君の六月は凍った。すごい、すさまじい。
これは、恋…?ラブレター?熱烈な 性愛と友愛のあわいの、えもいえぬ感情が描かれている。
依存と自立、内と外(弁慶)の、ああこの感じすごくわかる…!(私は甘えたの方なので)そしてこの、居心地のわるさというか、いたたまれなさというか。あなたの知る私は半分だけ、と言った、ダーシー(ハートストッパーS2)だ、これは。いろいろと、ほんとうにいろいろと無限に、妄想してしまう。感情が…推しカプすぎる…バッドだけどグッドな。
誰もが持っていて、奥底に、忘れ…たくてしまっているような、こう、隠したい、後ろめたい記憶のような、でも穏やかで、フラッシュバックするようなものではなくて…そんな思い出とも呼べるかわからない思い出をくすぐられた。あああ…
そして満を持して、ベイビー、イッツ・お東京さま。これは…私、か…?以前これは私小説だと書いてらして。こんなに曝け出し…とも違う、素直に?描けるものなのだ、と、王谷さんの筆力をに圧倒された。生きづらさ、っていうともうその言葉で片付いてしまうのだけど、違うんだよ〜(違くはない)本当にこう、なんか噛み合わないというか、ここじゃないどこかがこれじゃない何か別の選択肢があったんじゃないかとか、後悔とか不安とか、全部全部感じてることがリンク…共鳴して、辛いけど笑っちゃう、ような。個人サイト、相互リンク、拍手返信反転の全部ぜんぶ、もう、なんていうの、気恥ずかしさてんこもりで、にっこり。もうこの私の括弧いっぱい使っちゃう感じ。永遠にこう。
Posted by ブクログ
『君の六月は凍る』の方は好きなタイプの小説だった。なのでほとんど一気読みだった。
何故か自分の子どもの頃の地元の雰囲気と重ねて読んでいた。
最後はそうくるかと。
『ベイビー、イッツ、お東京さま』は私小説なのかな?
苦しいんだけど読んじゃう。貧しさの辺りが女版西村賢太という感じで胸がジクジクする。
私は腐女子ではないけれど、オタではあるし体型的にも他人事と思えない。
Posted by ブクログ
君の六月は凍る
よかった。いろいろな意見がありそうだけれど、私的にはBは女性。あとは男性かな?と思って読んでいた。
つらくて、30年封印していた気持ちや風景がニュースをきっかけに溢れてくる。人間って、辛くて耐えられない思いをちゃんと封印できてしまうんだよね…
鶏がかわいそうだったな。鶏を可愛がっていた君も。
Posted by ブクログ
「君の六月は凍った。わたしがそれを知ったのは七月の初めで、真夏みたいに暑い日でした。」この文に惹かれて購入。ずっとじめっとした文体で、読み応えがありました。
Posted by ブクログ
ずっと心の奥底に眠っていた感情を
激しく揺さぶられてしまった。
初めて誰かを好きになったときの
戸惑い、痛み、もどかしさ、哀しみ。
自分で自分の感情を持てあまし
いつも、何にでもいらだったりして。
本を閉じてからも
しばらくひりひりと胸が痛かった。
そして、もう二度と
あの頃には戻れないことを思い知る。
Posted by ブクログ
初読み作家さん。「君の六月は凍る」というタイトルにひかれて手に取りました。2篇収録。内容は全然違う2篇ですがどちらも私にとっては良作でした。
君の六月は凍る
名前を目にした途端に湧き出てきた、わたしと君の三十年前のこと。狭い世界、ありきたりの日常から兄が出ていくという変化が訪れたころ、ひょんなことから関わるようになった君。
初めての気持ちをうまく処理できず相手を傷つける。語られるわたしと君の過去は読み手の私の思い出も蘇らせる。
思い出でできた数珠玉が連なった糸をずるずると引き出すように語られる過去、その文章に身を任せるだけでその思い出に存在する熱と臭いが感じられました。
ベイビー、イッツ・お東京さま
二次創作BL字書き貧困女子の物語。超ニッチ。書かれる現実は悲惨なんだけど言葉選びが秀逸でテンポよく進む。30年以上前に数年二次創作を読んでた知識だけでなんとかなりましたが本当にニッチだなぁ。…帯に「半私小説的作品」とありました。そうでしたか。
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装丁が「どこかで見たことある感じ」と思ったらテッド・チャンの『息吹』などを手掛けられてる水戸部功さんという方でした。
Posted by ブクログ
表題の『君の六月は凍る』と『ベイビー、イッツ・お東京さま』の二本立て。
どちらも匂い立つ(いい意味ではない)感じで、記憶に残りそう。
『君の六月は凍る』は登場人物の名前も性別もはっきりせず、読み手に想像させるのだが、それでも他人に抱く恋慕や恨みにも似た怒りというものは、そういう前提がなくてもスッと入ってくる感じがした。
『ベイビー、イッツ・お東京さま』は、主人公がTwitterやエッセイで読む王谷晶さんそのままで、「自伝?」とも思ってしまった。他県の田舎住まいとしては、東京は光の街のように見えるのだが、なるほど「メトロポリス」と「ゴッサム・シティ」ね。わかりやす…。『君の六月は凍る』でも大橋を境にそんな感じの位置付けになってたな。