王谷晶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編集。
同著者の「ババヤガの夜」が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思った次第。
百合系の恋愛もの、SF、昭和歌謡、ホラー、異国情緒もの、他、非常にバラエティーに富んだ内容で、どれもが全て短編じゃなく、長編で読みてー!と叫ばずにはいられないほど引き込まれる内容。
また、作者の独特の表現も素晴らしく、例えば、
「ゆっくりゆっくり歩いた。恋の速度に合わせて。」(「だからその速度は」より)
「~、私はくじ引きで当てた腐ったほうれん草のような色の折り畳み傘を広げ~」(「あなたのこと考えると無駄になる」より)
「~こんなところで終わる人間じゃないんだと毎日自分に言い聞かせていた。つまり私は、どこにでもいる普通の十九歳だった。」(「ときめきと私の肺を」より)
「何もかも失ったって、よく言うじゃない」~「それね、案外難しいんだよね。必要なものはどんどん失くなってくけど、嫌なものとかいらないものは最後までべったりこびりついたまんま。全て失くして身軽にきれいになんて、なれないね。なかなかね。」(「タイム・アフター・タイム」より)
等々にしびれまっくた。
作品同士のつながりは無くそれぞれ独立しているので、どこから読んでもOK。短いものであれば5分もかからないものもあるので、ぜひ本書を手に取ってどれか1作品でも良いから、読んでみて王谷ワールドへ足を踏み入れていただきたい! -
Posted by ブクログ
まずタイトルがむちゃくちゃ好き。(ダブルミーニングには英タイトル読んで初めて気づくという)
そして、サクサク読めてツッコミの切れ味鋭い語り口も大好き。ずっと浸っていたくなる感じ。収録されているのも、甘いものからおぞましいもの、ガンガン行く系まで幅広く最後まで飽きなかった。
「しずか・シグナル・シルエット」のみじめな2人同士のなんともいえない関係好き。
「だからその速度は」恋の突然来る感じと、恋したせいで世界が変わる感覚が鮮やかに書かれてて好き。
「陸のない海」のお先真っ暗なくせに爽やかな感じも、「夢で見た味」の不気味さ気持ち悪さも、「シオンと話せば」のどこかさみしい雰囲気も好き! -
Posted by ブクログ
ネタバレしっかり正と芳子に騙されました!笑
最初は芳子は依子の母なのでは…??と思っていました。からの芳子は依子!?だと分かり、なら正は柳かとも思いました。まさかお嬢さんだったなんて…!!!
確かにワタシと言っていたし…時代背景もSNSあったから時系列とか気づけたはずではあった!
もう全然気づけなかったのでしっかり驚けて、嬉しかったです!!
最後は宇多川に地獄をプレゼントしたらハピハピだったのに、まさか尚子が亡くなってしまうなんて、、泣。
それにしても、尚子の父親キモすぎて草。私の父親も性的虐待さんざんしてきたから似てて余計にキモすぎた、
自分の父親もババヤガの世界線だったら目をくり抜かれて手を切り落とされて殺されてるのに…残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハードボイルド系かつ女性主人公という、普段あまり読まないジャンルだったが、後半に向けて面白さが増した。
途中で叙述トリックみたいな仕掛けがあって、軽いパニックを起こしながら読み進め、最後は泣きそうになった。
女=可愛くて女性らしい体格であるべき、みたいなものから外れて浮いている暴力に生きる依子と、女=清楚で自己主張せず男を立てて従うべき、みたいなものを押し付けられている尚子が、愛でも友達でも家族でもないけど手を取り合い戦う逃亡劇。
性暴力に対する辛さや痛みや屈辱は、女性にしか伝わりづらく、彼女らはこの場ではお互いだけが分かり合えるという見えない絆で繋がったんだろう。
ラストで依子は天稟の暴力で、尚子は修練を続けた弓で共に戦ったところは興奮した。撃たれた尚子は亡くなったのではないか?と思うが、そんな瀕死の状態の尚子を運んでいる依子が、本当はもう厳しいと勘づいていながらも、そんな現実を見ないために少し先の未来の逃亡を語っている気がして切なかった。
2人が逃げられて良かったと思った。 -
Posted by ブクログ
本屋に平積みになっていたのと、ババヤガーか。昔ロシア民話が家にあったので懐かしいなぁと思い手に取りました。死なないコシチェイとか、昔読んだ本は固有名詞もなかなか忘れないものだなぁ。
全体的に暴力がメインで物語は進むのだけれども、女性が主人公なので面倒くさい惚れたはれたの話が(主人公周りには)あまり感じられないのがうっとおしくなくてよかったな、と。そして粘着気質でキモい筋肉自慢の男どもが、ご自慢の腕力でも主人公に適わないというのも痛快ではある。とはいえお嬢さんは家の、父の支配下に置かれ自由選択を許されない生活を強いられている。まぁこのお嬢さんも結構イイ性格で…という辺りが肝。あまり感情的だったり泣いて悲嘆にくれている女性じゃないのもいいなぁ。アニキもカッコイイし。
上手いミスリードで、最後まで読むとなんだそうだったのか!と良い意味で裏切られた感じ。最初に事故現場から子供を助ける際に感じた違和感が、そちらがそうだったのかぁという納得にもつながります。
やっぱり世の中それほどうまくはいかないよね、という結末ですが最後まで抗う二人は、それほど悲壮感もなく、きちんと生活をしているという描写で面白く読みました。 -
Posted by ブクログ
私は読んで面白かったけど、万人受けではない。
ダガー章の受賞映像でチラッみた作者の雰囲気から、これは癖が強そうだと思ってエッセイも読んでみたが、なかなか個性的でエグミもある感じ。
オブラートに包まない表現が得意な人にはオススメ。
オタク、引きこもり、BL好き…と来たら、三浦しをんさんと是非対談してほしいと思ってしまった。
セクシャリティは違うが趣味趣向があいそう。
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●人生を洗濯機に例えて、
20代まではブン回されて余裕がなく
30代でものごころがつき、40代で他の洗濯物をみる余裕がでてきた。
⇒これ、めっちゃ分かると思った。いま、まさに40代。
●若い時に大人にして欲しかったこと
この世にはどんな選択肢があるのか教えて欲しかった
自分が選べる選択肢が見えていない⇒焦る、絶望する -
Posted by ブクログ
「でも、私は本当は鬼婆になりたかった。」
暴力の天稟をもった主人公が暴力団に腕っぷしを買われ、会長の一人娘の運転手兼ボディガードという仕事を与えられる、という流れで始まるミステリー作品。
いつもの様に善し悪しをそれぞれ分けて感想を述べたいが、この作品に関しては切り分けるのが難しいので思った事を以下にツラツラ。
▪️主人公とヒロインに漫画的な魅力、キャラクター性があり、彼女らの人物像を気にいる読者は多そう。前半の話しの流れは(とある叙述部分を除けば)ドラマなりゲームなりでまぁそれなりに見かけるもので、これを王道というべきか在り来りというべきか悩ましい。後半の一気に世界が動いていく感覚が斬新ではあるが、そもそも後半に差しかかる段階での二人の絆の育みにスピード感がありすぎる様に感じた。もう少し何らかの距離感縮めるエピソードが欲しかった。
▪️自分がにわか故に思ってしまったのが、「これってミステリー作品なのか?」という事。探偵ものみたいに事件解決万々歳とはならないのでそういうミステリー作品を欲している人には向かないかも。自分が失敗したのは帯にあるミステリー文学賞という肩書きで変にハードルを上げてしまった事。素直にバイオレンスアクション!うおぉおお!みたいなテンションで読んだ方が良かったか。
!総括
ボリュームそれなりでシンプルな話しなのに、作品の善し悪しを改めて考えると不思議と難しい。渾然一体というか表裏一体というか、悪いところはそんなに無いはずなのに、手放しで傑作かと問われるとそう言いたいような違うような、こんなに自分の中で結論出しにくい作品は初めてかも。
ヒロインのーーっぷりにギリッギリ納得しきれないというか、最終的にもはや主人公よりファンタジーな存在に写った。 -
Posted by ブクログ
"女の身体にまつわる与太話を集めたエッセイで、何の生産性もない
でも生産性なんかなくたっていいんじゃない?"
そんな王谷節から痛快に幕を開ける最初のパーツは、"乳、帰る"
月亭可朝師匠のヒット曲『嘆きのボイン』を引き合いにバシッと一喝
『名曲だけど間違っている。
ボインは、赤ちゃんが吸うためにあるのでも、ましてやお父ちゃんのためにあるのでもない。
ボインがくっついている本体の女のためにあるのだ。』
その後も身体のパーツが次々と登場し、生産性はないかもだけど、世の中の固定観念を次々と破壊していった
This book is a collection of random, idle chatter about the female body, completely devoid of anything resembling “productivity.”
But then again, who says everything has to be productive?
Kicking off with that characteristically sharp and delightful Outani-bushi (Outani’s signature flair), the first body part to take the stage is the breast, in a section titled “Chichi, Kaeru” (“Breasts, Return”).
The author brings up Master Tsukitei Kacho’s hit song Nageki no Boin (The Lament of the Big Boobs) and promptly lays down the law:
“It’s a classic song, but it’s wrong.
Boobs don’t exist for babies to suck on, and certainly not for daddies.
They exist for the woman whose body they’re attached to.”
From there, one body part after another takes the stage. It might not be “productive,” but along the way, it gleefully smashes one societal stereotype after another.