黒木あるじのレビュー一覧
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ネタバレアメリカに根付く不気味な噂や伝聞を著者が自らの足で調査し、まとめた一冊。直接赴き、ペーパーバックを読んだりや聞き込みをしただけあって、なかなかコアな物が多い。
都市伝説を愛してやまない著者が、前作と前々作で得た印税のすべてを費やしておこなった、アメリカ横断旅行。しかもただの旅行ではなく、都市伝説や奇妙な伝聞を収集するための趣味全開の旅行という事だ。古本屋で怪奇現象の類を扱うペーパーバックを読みふけったり現地に赴き、住民に直接聞いたりしているため、「ブラッディ・メアリー」や「スレンダーマン」などの大衆的なアメリカの都市伝説ではなく、それぞれの州の歴史や、土地柄に基づいた話が多く興味深かった。アメリカの都市伝説はいくつか知っているが、この本に記されている話の多くは私の知らないものだったため読んでいて新鮮だったし、非常にわくわくした。どの話も面白くお勧めだが、特におすすめな話はアリゾナ州「虐殺の家」、アラスカ州「バミューダ・トライアングル・オブ・アラスカ」、ケンタッキー州「ポープ・リック」メリーランド州「ゴート・マン」。そして、一番のおすすめはウェストバージニア州「ソッダー家の子供たち」(この話は伝聞ではなく、実話)。このソッダー家の子供たちは他の話と一線を画するぐらい意味不明で、不気味で、気持ち悪く、恐ろしい。そして話の端々に人の悪意が感じ取られ、ゾッとする。それぞれの都市伝説の詳細を説明したいが、それではこの本の楽しさが半減してしまうので控えます。でも上に上げた都市伝説は本当に面白かった。「ポープ・リック」と「ゴート・マン」は容姿が同じような化け物なのに、行動面がまったく違って、その州独特の匂いを感じ、非常に良い。 -
Posted by ブクログ
黒木あるじ『掃除屋 プロレス始末伝』集英社文庫。
珍しいプロレスを題材にした連作短編集。プロローグ、エピローグに加えて、5話を収録。主人公は50歳を目前にしたベテランレスラーのピューマ藤戸。連戦連敗を続ける藤戸の正体は、多額の報酬で依頼を受けて様々な団体のリングで相手レスラーに制裁を加える『掃除屋』であった。
何故、藤戸が『掃除屋』となり、多額の報酬を手にするのかという謎をベースにプロレスを通じた人間模様が描かれ、なかなか面白い。また、作中に描かれるプロレス界の事情やリング上での攻防は非常にリアリティがあり、格闘技ファンなら興味を持つのではなかろうか。そして、ちょっと感動のエピローグ……少し出来過ぎ感はあるが、良しとしよう。
解説は作家の関口尚。何と関口尚は後輩だった。
本体価格660円
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Posted by ブクログ
面白かった!
…とは言え、たぶん、これは、好みが分かれる。テレビとかで特集される系の幽霊譚が好きな人にとっては、自分が期待していたものと違う印象を抱くんじゃないかな。ただ、民俗学とか柳田國男、自分自身がフィールドワークに赴くのが好きって人にとっては、すごくワクワクさせてくれる素敵な1冊だ。
なんてったって、まず、場所にしろモノにしろ史実にしろ、基本的に「実在」するところがイイ!気になって、1話読み進めるごとに携帯で調べちゃったもん。「うわ、ここか!」「本当にこういう景色なんだ!」とか、いちいち発見があって興味深い。もっと詳細を自分の足で調べたくなる。この本で紹介されている内容は、現地においてはなんてことのない卑近な話なのかもしれないけれど、土俗的なだけになかなか広く知れ渡る機会がなく(良く言えばその土地に根付いていて面白い、悪く言うと派手さがなく地味)、本来であればその地に旅行でも行かない限り耳にすることがない話ばかりだ。それを、部屋にいながらにして見聞きすることができるのだから(しかも自分が行ったことのない土地の話を!)、大変ありがたいことである。現地の言葉などもそのまま載っているので、それもまたその土地ならでわの匂いが立ちのぼって心をくすぐる。いやー、まだまだ日本面白いじゃん!海外なんか行かなくていいじゃん!とまで思ってしまった。各話の最後には、作者による解説もついているので、別に歴史の知識がない人でも大丈夫、というかむしろ、そういう人こそ、怖い話、というきっかけを通してその土地の歴史や文化を知ることができるので面白半分で読んでみるといいと思う。
個人的に好きな話を以下に列挙。
▼「旅の宿(北海道)」…オープニングを飾る北海道の怪談。「鰊番屋」という言葉の持つ歴史と時代背景が分かると途端に語られている怪異に独特の臨場感が湧き、この本の性質や方向性を示唆するかのような名作。
▼「猫のいる部屋(埼玉県)」…ちょっとほっこりする話。こういう日常が今も残っていたらいいな、と郷愁を誘われる感じ。
▼「紅茶と彼岸花(神奈川県)」…なんというか、人の業の深さをじわじわと感じた。でもって、そういう深いところの恨みつらみというのは、なんらかの形で体現されるのではないかなと思う、時としてそれは「事件」になることもあるし、「怪異」になることもある。
▼「樹海三題(山梨県)」…筋が通っていない、ところが逆に怖い。江戸の百物語とか読んでるとよくこういうパターンに出くわすが、こういう方が何か心をゾワゾワさせる気がする。
▼「夢の中の男(岐阜県)」…ミステリのような謎を含む、先が気になる話。後日談で作者が本文中に出てくる条件に合う場所がないか探ってくれているのも良い。自分も探すのに参加したくなる。
▼「海の歌声(三重県)」…話自体は小さな不思議でそんなに怖くはないのだが、この場所が、かつて悲惨な水難事故を起こした海岸で、当時事故から生還した女性が海で怪異を見たと語っていた事実などと繋がって妙なゾクゾク感が残る。
▼「山の背中(鳥取県)」…遠野物語に出てきそうな素敵な?怪異。このまま絵本にしてもいいくらい素朴かつ不思議。
▼「廊下の女(岡山県)」…これまた、民俗学好きはちょっと心をくすぐられる話。古事記の世界を垣間見るような。
▼「わすれんで(島根県)」…世界遺産に登録さらるという晴れがましい事実の裏では、当然、消される事実もあるわけで。地元の人が語り継がなければ、きっと消えていく歴史なのだろう。
▼「鬼の待ち受け(大分県)」…昔テレビで見たことのある、鬼のミイラ。そのルーツを感じさせる怪異。なにごとにも「源」があるのだな。作者の解説まで読んで初めてその怖さが分かる。
▼「せんべい(佐賀県)」…実物を検索しちゃった(笑)。私も欲しい。不思議で奇妙なご利益にあやかりたい。
▼「スライド(沖縄県)」…ここに出てくる場所は、私自身も毎回不思議な思いをする場所で、あ、やっぱりそうなんだ、と少し納得してしまった。 -
Posted by ブクログ
「律儀」のハイヒール。立原透耶の「ひとり百物語」の中の話を思い出しました。あれも、マンションでの話でしたね。
「S氏の証言」どんな気持ちで、聞いてたんですかね。この話の内容って、黒木あるじさん本人が体験した怪異と、つながっている気がするんですよね。書いたら死ぬと思う、って言われたやつです。
「忌み森」「人面魚」山にまつわる怪異。こういう話は聞くと、やっぱり一定の禁足はあるべきなんだな、と思いますね。自然への尊敬忘れちゃいけないな、と。
「ペガサス」もう、モスマンの話だ。かわいい顔して、凶悪な妖獣。地下道で会いたくなかったです。メガテンのことですよ。
「イチョウくん」きゃっきゃうふふでパワースポット巡りに洒落込むから、こういう事になるんです。なんでずかずかと、自分以外の領域に踏み込んでへらへらしてられるのか、さっぱりわからないですね。
「待合所にて」「桜別れ」「窓の彼方に」とほっこり3連発きてからの「ヲわリ」。
百物語形式の怪談集で、こういう終わり方かれると、後味がよろしくないです。
ま、きちんと恐さで終わり、というのが怪談だけどもさ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毎回毎回まじかぁ、、、って気持ちになった。こんなはずじゃない!
全て読み終わり、BadEndも面白いよねと思わされた。全部救いがないのもやるせ無い気持ちになるけど。
大好きな櫛木理宇さん、道尾秀介さん、辻村深月さんがいたので購入。櫛木さんは安定に最高、霊的な怖さより人間の怖さを感じた。道尾さんは短い中で2、3回ひっくり返されて気持ちが良すぎる。足元がぐらつく感じが心地よい。辻村さん流石だなーと思った、短いのに読み応えありすぎる。
新名智さんの「今頃、わが家では」良かった。強迫的に不安になってしまう気持ち分かるーっていうのと精神的に病んでるのかなって思わせといてのまさかの!
全て楽しく読めました!