あらすじ
大流行した感染症や地方の過疎化が進んだせいで、「祭り」が行われなくなった地域が増えてきた。これまでは、祭りによって鎮められていた八百万の神々が怒り、暴れだす。この事態に対処するために組織された「祭祀保安協会」の、九重十一とアシスタントの八多岬、怪しさ満点のこの二人組が不思議な出来事を鎮め、荒ぶる神々を処分していく。東北を舞台に描き出す、連作ファンタジック・ミステリー。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
コロナ禍がなければ生まれなかったであろう小説だと思った。『人が念(おも)うからこそ、慕うからこそ神は神でいられる。人が忘れてしまえば神は神でなくなる。』神様と人は表裏一体な存在なのだろうか。人々から徐々に忘れられ、狂っていく神が印象的。薄ら怖く、不思議な小説だった。祭祀保安協会の面々も面白みのある人たちばかり。続編出て欲しい。
Posted by ブクログ
幻想的。
神を祀ることが起源の、地方の祭事
それらがコロナ禍で失われる、途絶えてしまうことで神々が怒る…それを食い止めるのが使命の二人
黒木あるじさん、怖イイ話でもいい味出されてる
Posted by ブクログ
荒ぶる神様をたしなめる祭祀保安協会の奇妙な面々、人間の弱さを描いた幻想ホラー小説 #春のたましい
■あらすじ
感染症の流行により全国の神事が行われなくってきた。祭祀保安協会に所属する九重十一と八多岬は、各地に住む人々と交流を深めながら荒ぶる神々を処分していく。超自然的で幻想的な世界に包まれるホラー連作短編集。
■きっと読みたくなるレビュー
興味深い作品ですね~、おもしろかったです。
ホラーではあるんですけど、怖いというより神様ファンタジーですね。すごく幻想的。人間の都合で神事が行われなくなることで土着信仰のバランスが崩れた結果、地域の神様がお怒りになる。それを主人公九重十一たちが制御、処分していくという物語。
本作の背景はコロナ禍の社会情勢が前提になっている。そうそう、確か2020年から数年って、イベントとか街を出歩くことが制限された窮屈な社会でしたよね。感染者差別やワクチンの同調圧力とか、当時の歪んだ世界をうまく作品に取り込んでると思いました。
また本作は、短編ごとに色んなアプロ―チで読ませてくれるんすよね。単に主人公たちがあらぶった神様を退治しにいくというシンプルな筋立てだけじゃないんですよね。飽きさせない工夫がされていて感心しました。
特に好きなのは以下の二編です。
●春と殺し屋と七不思議
ケンジとヨッチンの物語、田舎の村の学校に九重十一が訪れてくる。
軽妙なセリフまわしが面白い、七不思議にまつわるエピソードも勉強になります。本作はミステリー好きな私には特にヒットする作品ですね。こんなことをやってきますかー。子どもたちが可愛いし、大人たちの想いも胸にささる。小学校時代の日々を思い出してしまいました。
●あそべやあそべ、ゆきわらし
ひとり残った村人の鉄吉、すでに年老いた彼は何かを隠しているようで。
本書引用――誰かの不幸によって得たものを幸福なんて読んじゃいけない。
全くだよね… 覚悟を決めた人ほどカッコイイです。優しさ溢れる物語でした。
■ぜっさん推しポイント
困った時の神頼みと言います。人間ってのは弱い生き物で、都合の良いところしか見ないし信じない。
他人のことは平気で中傷する癖に、自分がされるとすぐに傷つき、誰でも彼でも助けを求める。損することが大嫌いで、いつも小賢しさで満ち溢れている。人間が幸せになれば、きっと神様も幸せなって良いサイクルがまわると思うんだけど。
Posted by ブクログ
流行病のため、神事や祭事を行わないことにより神であること忘れてしまった神様たちをおさめる祭祀保安協会に勤める九重十一さんと八多岬くんの話
私はつくづく怪異をおさめる仕事をしてる人たちの物語が好きだなぁと思った
九重さんがただ強いだけではなく、自身がしたことへの後悔が心の底にあることがわかり、人間味を感じられてとても好きになった
最後の章でクセが強そうな課長も出てきたし、
八多くんの言霊に囚われている発言も、
九重さんが去るときの鳥の描写も気になるので
これからも続く物語だといいなぁ、と気長に続編を待ってようと思う
Posted by ブクログ
感染症が拡大したため祭祀が中止になり、その結果、神が暴れだす。
なるほど、そういう世界線があるのかと思った。
現代の怪談っぽいけど、怖くはなかったし、泣ける話もあって面白かった。