黒木あるじのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ただの怪談集ではなく、
じんわりと胸が重くなるような
「人」の怖さが残る一冊だった。
閉鎖的な集落特有の同調圧力、
そして人々の中に渦巻く悪意や恐怖心。
そういったものが怪異を生み出し、
あるいは「神」を必要とさせたのではないかと
感じさせられた。
物理的な恐怖よりも内側から
じわじわ染み出してくるような、
胸糞の悪さの方がずっと印象に残る。
自分もある地域の伝承について
調べていたことがあるのだが、
そこでも記録は残されておらず口伝のみ。
「無いことにされた歴史」というものが、
こうした話の根底にあるのかもしれない。
人が隠したいもの、忘れたがっているものにこそ
本当の怖さが潜ん -
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Posted by ブクログ
怪談本って一冊読むと続けて読みたくなりますよね。ということで、黒木あるじさんのベスト版2作目を読む。
まず最初の一編「爪先」。不発に終わりそうな取材の描写から一転、二転して最終的には怪談を聞き取っている著者自身の体験談になる。こういう“私の話”に着地するタイプが好きなんですよね。かなり小説に近い書き方な気もする。黒木さんは結構この書き方する印象もありますね。
次は「空き巣」。これはビジュアルを想像させる系かつ、家という誰もが遭遇してしまいそうな気がしてくる場所で起こる怖さがある。帰りの電車で読んでいたら帰宅が怖くなるやつだ。
3編目は「残像」。意味が分かって“解決”する話というのもある。わたし -
Posted by ブクログ
家、部屋、土地に纏わる超怖いアンソロジー
“物件怪談小説集”
人気作家+事故物件サイトの大島てるさんの11編
土地や建物に関わるホラーが好きなのです
と思い、読みましたが、人がやっぱり怖いという作品が多かった気がします
「妹の部屋」神永学
死んだ妹の賃貸の部屋
片付けて解約するも 元に戻っている
事故物件小説ではなかったけれど
ありそで怖い
「笛を吹く家」澤村伊智
息子を預かってくれる家は、幽霊屋敷
両親の望む息子の行末
この2編が、私のBestかな
「倒福」大島てる
事故物件系かなと思っていたけれど
反発もある情報提供をしているから
こんな経験もあるのかな
いろんな摩擦があるのでし -
Posted by ブクログ
家にまつわるホラーのアンソロジー。玉石混交という感じ。
【収録作品】
「氷室」宇佐美まこと
「倒福」大島てる
「旧居の記憶」福澤徹三
「やなぎっ記」糸柳寿昭
「たかむらの家」花房観音
「妹の部屋」神永学
「笛を吹く家」澤村伊智
「牢家」黒木あるじ
「トガハラミ」郷内心瞳
「終の棲家」芦花公園
「ろろるいの家」平山夢明
たとえば「倒福」「旧居の記憶」「やなぎっ記」の御三方は実話怪談や事故物件をメインにしているだけあって実録風というかとりとめがない。それもそれで好きだけどほかの短編小説の中では浮いてるように個人的には感じた。
この中で怖かったのはやはり「終の棲家」と「ろろるいの家」。芦花公園さ -
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Posted by ブクログ
気鋭の若手からベテランまでが一堂に会した「最恐」の物件怪談アンソロジー。
家や土地をテーマにしたホラーアンソロジーです。
作家陣が豪華で、個人的には外れなしでした。どれを読んでもじっとりと湿度のある話が楽しめます。
珍しい方だと、事故物件検索サイト「大島てる」の管理人・大島てるさんのお話なんかも掲載されています。サイト自体は見たことがありますが、文章も書いているとは初めて知りました。
実際に届いたメールや、自身が本を出すための取材で回った際に見聞きしたものについて書いているお話や、伝染する呪いを扱ったような作品も多く、虚構と現実が曖昧になる感覚がしてそれもまた良かったです。現実に侵食して