あらすじ
実話怪談単著デビューから六年、1000話以上の怪談を送り出してきた黒木あるじの初のベスト傑作選がいよいよ登場! 厳選された最恐の59編と書き下ろし6編を収録。どこまでも冥く底が見えない怪異を描く怒涛の黒木ワールドを、これでもかと堪能できる珠玉の一冊。解説は平山夢明。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
怖いの大丈夫な人はぜひこれ読んでほしい。確実に涼しくなれます。黒木さんの本初めて読んだけど、あまりの怖さに「ブラボー!」とスタンディングオペレーションしました
Posted by ブクログ
「当たり」の実話怪談。
この手のジャンルは、玉石混交で、煽りだけイッパシの、読んでみたらいまいちなものが多いのだけど、これは一気に読み込んでしまった。
拝み家怪談シリーズにも近いものを感じるのだけど、話から作者の人間性や怖い話への情熱が伝わってくるところが、心に「個性」として残るのかも。
文章も、自分の足音や漂ってくるにおいを記述することで、自分がその場にいるかのように相続できる。こういう書き方をすると読者を引き込むことができるのだな(私はそうだった)とも思った。
Posted by ブクログ
怖い話で暑さを吹き飛ばしたい…という動機で手にした本だが、この世のものでない存在の怖さより、人の心の闇がほとほと怖くなってしまった。一番重かったのが『 虐目』。虐めの質が陰湿かつ壮絶なのも絶句だが、虐めのきっかけを作ったのが教師であること、のみならず虐めによって取り返しのつかない大怪我を追った被害者に「問題起こすなら卒業してからにしろ」と脅しをかける。こんな闇が(病み)がこの世には存在していて、ただ普段表向きには見えていないだけ、なのかも、と思うとゾッとする。その被害者の彼の復讐も怖かった。
この本の作者が言ったことではないけど、魔物というものは人の世の、悲しみや恨み、嫉妬、欲望など、ドロドロした闇の負のエネルギーが作り成すものなのではないか?そうとばかり言えないものもあるが。最初から人の世とは違う異界の異獣、異人といわれるもの。だけどそういった存在も、人の闇の部分に巣食っているような気がしないでもない。
怖い話ばかりではなく、なんとなくじーん、と心温まるものもあった。たとえば今はダムのそこに沈んでしまったかつて暮らしていた村、ダムの底から光る狐火が道に迷ったお爺さんを助けた話。日本昔ばなしのようだなぁ。あと、火事になった焼け跡から見つかった(正確には何故か車のシートから見つかった)亡き祖母の自伝本の中の一文が打ちひしがれた作者に生きる力を与えたという『残存』。このエピソードは闇夜に差し込む一筋の光のようにも思えた。
闇に飲み込まれず、光を見失わず、生きていこうではないか…そんな読後感を抱いた。
Posted by ブクログ
1000話以上の怪談を送りだしてきた著者のベスト傑作選。
体験者から話を聞きいている体で、実話と言うからにはそれなりに本当のことなのだろうか。だからなのか、恐さの程度がまちまち。体験者のその後が気になる話も多かった。
一番恐かったのは、「何が恐いのかわからなくなった」と書いてある『まえがき』かもしれない。