黒木あるじのレビュー一覧
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怪談本って一冊読むと続けて読みたくなりますよね。ということで、黒木あるじさんのベスト版2作目を読む。
まず最初の一編「爪先」。不発に終わりそうな取材の描写から一転、二転して最終的には怪談を聞き取っている著者自身の体験談になる。こういう“私の話”に着地するタイプが好きなんですよね。かなり小説に近い書き方な気もする。黒木さんは結構この書き方する印象もありますね。
次は「空き巣」。これはビジュアルを想像させる系かつ、家という誰もが遭遇してしまいそうな気がしてくる場所で起こる怖さがある。帰りの電車で読んでいたら帰宅が怖くなるやつだ。
3編目は「残像」。意味が分かって“解決”する話というのもある。わたし -
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家、部屋、土地に纏わる超怖いアンソロジー
“物件怪談小説集”
人気作家+事故物件サイトの大島てるさんの11編
土地や建物に関わるホラーが好きなのです
と思い、読みましたが、人がやっぱり怖いという作品が多かった気がします
「妹の部屋」神永学
死んだ妹の賃貸の部屋
片付けて解約するも 元に戻っている
事故物件小説ではなかったけれど
ありそで怖い
「笛を吹く家」澤村伊智
息子を預かってくれる家は、幽霊屋敷
両親の望む息子の行末
この2編が、私のBestかな
「倒福」大島てる
事故物件系かなと思っていたけれど
反発もある情報提供をしているから
こんな経験もあるのかな
いろんな摩擦があるのでし -
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家にまつわるホラーのアンソロジー。玉石混交という感じ。
【収録作品】
「氷室」宇佐美まこと
「倒福」大島てる
「旧居の記憶」福澤徹三
「やなぎっ記」糸柳寿昭
「たかむらの家」花房観音
「妹の部屋」神永学
「笛を吹く家」澤村伊智
「牢家」黒木あるじ
「トガハラミ」郷内心瞳
「終の棲家」芦花公園
「ろろるいの家」平山夢明
たとえば「倒福」「旧居の記憶」「やなぎっ記」の御三方は実話怪談や事故物件をメインにしているだけあって実録風というかとりとめがない。それもそれで好きだけどほかの短編小説の中では浮いてるように個人的には感じた。
この中で怖かったのはやはり「終の棲家」と「ろろるいの家」。芦花公園さ -
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気鋭の若手からベテランまでが一堂に会した「最恐」の物件怪談アンソロジー。
家や土地をテーマにしたホラーアンソロジーです。
作家陣が豪華で、個人的には外れなしでした。どれを読んでもじっとりと湿度のある話が楽しめます。
珍しい方だと、事故物件検索サイト「大島てる」の管理人・大島てるさんのお話なんかも掲載されています。サイト自体は見たことがありますが、文章も書いているとは初めて知りました。
実際に届いたメールや、自身が本を出すための取材で回った際に見聞きしたものについて書いているお話や、伝染する呪いを扱ったような作品も多く、虚構と現実が曖昧になる感覚がしてそれもまた良かったです。現実に侵食して -
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物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記 -
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一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒 -
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黒木あるじ『小説 ノイズ』集英社文庫。
漫画原作の同名映画のノベライズ。
たった一人の凶悪犯が放つノイズが、平穏な孤島の住人たちを狂わせていくサスペンス。なかなか巧く構成されているが、甘さや粗が目立つ。漫画原作の映画のノベライズということで、映像で表現するところを文章でとなると、この著者には少々荷が重かったようだ。
果たして原作漫画、或いは映画の方は面白いのだろうか。映画は藤原竜也と松山ケンイチが主演らしいので大体の予想は付くのだが……
猪狩島という何もない孤島で幻の黒イチジクの栽培に成功した島育ちの圭太は黒イチジクを島の産業にしようと努力していた。そんな中、保護司が仮釈放された凶悪犯 -
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2021年7冊目は、黒木あるじのプロレス小説、第2弾。
「強く激しく逞しく」をモットーとするプロレス団体、ネオ・ジパング。その練習生、梶本誠は、プロレスに、強さに悩み、「くだらねえ」と思いながらの練習の日々を続けていた。そんなある日、ネオ・ジパングの創始者であり、代表取締役でもある《リングの皇帝》カイザー牙井から直々に、素性不明のフリーレスラー、サーモン多摩川の付き人を命じられる。サーモン多摩川、彼はコミックレスラー然とした、ネオ・ジパングのスタイルに不似合いな選手であった。
まづは、今作を手にした多くの方は、前作『掃除屋』を気に入った方か、プロレスファンのどちらかではないだろうか。自分は -
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黒木あるじ『葬儀屋 プロレス刺客伝』集英社文庫。
『掃除屋 プロレス始末伝』が面白かったので、本作も読むことに。長州力が絶賛しているのが不安要素ではあるが……
予感適中。やはり『掃除屋 プロレス始末伝』よりレベルは格段に下がる。『葬儀屋』というからには、もう少しハードな格闘シーンが描かれると期待したなだが、やたら能書きが多く、青臭さを感じた。
梶本はあこがれのプロレス団体で練習生になったものの、筋書きのあるプロレスに疑問を抱き、練習に身の入らぬ日々を送っていた。そんな梶本が耳にした噂。プロレス界に『葬儀屋』と呼ばれる謎のレスラーに狙われたレスラーは抹殺される……
そんな梶本は彼こそ『葬