《忘れてほしくないだけなんだ……》(p.216)〔和歌山:今回、長編の舞台〕〔天道根命:神としての矜持と希薄になりつつあるアイデンティティ〕〔簪:天道根命の恐怖〕〔夢の女:天道根命の夢に出てくる〕〔二千六百年前:神武東征に起因するか?〕〔大野達也:高校時代野球強豪校の選手で良彦のチームとも対戦していた知己。じつは…〕〔名草戸畔:神武東征で敗れた首長。「戸畔」とついてるからたぶん女性〕〔大國主:源氏物語のマンガを読みふけっていたがなにやら思惑があるようだ〕〔御用人:今回のミッションは御用人のありようにも関わってくる〕〔奈々美:たぶん大野の姉で、北島少年が知り合った「なな姉ちゃん」〕〔風と風鈴〕
■簡単な単語集
【天棚機姫神/あめたなばたつひめのかみ】高天原で神衣(かんみそ)を作っていたが最近は人間世界で洋服を作っているが売れなくて悩んでいる。小学三年生くらいの女の子の姿だがときおりの、怨念がこもったような低音ボイスが怖い。自分の作りたいものを作るタイプで、相手に似合うとかあまり考えていないところに問題があるような気がする?
【天道根命/あめのみちねのみこと】和歌山で神鏡を護る神。天津神。クソ真面目なタイプ。人の姿のときは北島と名乗る。
【稲の精】大山積神(おおやまつみのかみ)の配下。愛媛にいる。年中行事の相撲でたまには負けてみたい。
【大國主命】出雲在住。国造りの頃の少彦名神の相棒。須勢理毘売命の夫なので須佐之男命の義理の息子。浮気性。
【大宜都比売神/おおげつひめのかみ】食物の神。身体中の穴から食べ物を取り出し高天原に捧げたら不浄やと怒った須佐之男に斬り殺されバラバラにされた。その後羽山戸神(はやまとのかみ)と結婚した。
【大年神/おおとしのかみ】四柱目の神様。歳徳神(としとくじん)とも言う。新年に福をもたらす年神。知らないうちに御用をかなえてしまっていた。須勢理毘売命の腹違いの兄。ということは須佐之男命の息子か。
【大主神社】孝太郎が働いている神社。起源は平安時代。祀られる神は春日大社から勧請された。
【大野達也】和歌山県の野球強豪高校の選手だった。たぶんモデルは赤いアンダーシャツのあそこかと。当時練習試合などで対戦していたので良彦とは知り合い。プロ入りを目指していたしその可能性もある実力だったようだが今は商工会議所勤務。実家は神社で名草戸畔(なぐさとべ)の頭が葬られたという伝承がある。古代のことばかり研究して自分や姉を見ようとしない父親に対して強い反感がある。《神様って名のつく、目に見えないくせに崇められてるものが嫌いだ。》第四巻p.94
【大野奈々美】達也の姉。父の後を継ぎ神社を護ろうとしていた。が、達也とともに交通事故に遭い植物状態になっている。天道根命が知り合った「なな姉ちゃん」と同一人物だと思われる。
【大野の父】名草戸畔研究の第一人者。
【大御霊龍王/おおみたまりゅうおう】三柱目の神様。瀬田の唐橋の下に住まう龍神。「瀬田の橋姫」と呼ぶほうが人には馴染み深い。ある人物は「お華」と呼んだ。
【大山積神/おおやまつみのかみ】伊予の大三島にある大山祇神社、日本総鎮守の異名を持つ社の神。海の民の信仰を受けた戦神。イザナギ・イザナミから生まれた。
【岡田友弘】良彦んちの斜向かいの家の子。小学生。なぜか良彦をつけてきた。
【お杏/おきょう】一言主の眷属。銀杏の御神木が本体の精霊。
【お供え】《神は見目形よりも、それに込められた想いを汲むものだ》《お前が、それに込めた想いをな》第一巻p.268-269。
【お華/おはな】→大御霊龍王(おおみたまりゅうおう)
【幽冥主宰大神/かくりごとしろしめすおおかみ】大國主はたくさんの別称を持つがこれもそのひとつ。よくわからないけど死後の世界の主とかいう意味だろう?
【語り部】各巻の最初と最後に出てきて、良彦の後の御用人(まだ少年)に良彦のことを語り聞かせているようだ。良彦との関わりは不明。身体に鱗があるらしいので、龍神か蛇神か魚の神かそんな感じ? 少年の方も良彦との関わりは不明。息子という可能性もある?
【神様】人間とは持ちつ持たれつの関係だったが、現代では願い事を唱えるだけで信仰心も薄れ神祭りもなく、全体に力が弱まっている。《現代において、八百萬のすべての神が万能だと思うな》第一巻p.42。《神がいなくなるということは、その土地の太陽や水を隠されることと同じことよ》第一巻p.155。《人の子からみれば、神とは理不尽な存在であるものだ。》第一巻p.173。黄金《ほとんどの神々が、人の子を「人間」という括りで見ており、個人として認識することが稀だからだ。わしとてお前が御用人でなければ、舞い散る木の葉の一枚としか見ておらんかっただろう。》第一巻p.173。
【願掛け】《事情はどうあれ、困った時だけ神に頼るのは、褒められたことではない。》第一巻p.54。この作品の神様たちは人間とそう違いはない存在として描かれているが、ぼくらの世界にもし神様がいたとしても願いを聞いてくれることはなさそうに思える。ある人の願いは他の誰かにとって呪いになることもあるだろうから(たとえば入試合格)全ての人の願いを聞くと矛盾が発生する。なにより、神にとって人間は取るに足らない存在だろうから個としては認識しておらず塊(あるいは数字)としての認識だろうと思われる。また、神と人間は存在としてのありようが違いすぎるので神の理は人間の理とは大きく異なるだろうから良し悪しの基準もまったく違い、願いとそれを叶えた結果は合致しなさそうだ。
【感謝の歌】なんでも食事するときには一杯一拍手して和歌を詠むものだったらしい。それは「たなつもの 百の木草も天照す 日の大神の めぐみえてこそ」というものだとか。
【窮鬼】→貧乏神
【国造/くにのみやっこ】領主みたいなもん。
【孝太郎】藤波孝太郎。良彦の高校からの友人。実家は神社。今は近所の大主神社で修行中。権禰宜になったところ。超現実主義者。貧乏神にも恐れられる清濁併せ呑む毅然とした男。
【黄金/こがね】方位神(ほういがみ/ほういじん)。最初に出会った神様。大主神社末社にも祀られている。狐の姿をしており「黄金/こがね」と呼ばれていると名乗った。触りたくなるモフモフ。甘いものに目がない。方角を司るので目的地やそこへの行程が手に取るようにわかる《いわば、高性能狐型ナビだ。》p.87。「狐型モフペディア」でもある。とても古い神様らしいが良彦は威厳を感じていない。その願いは《日本中の人間が再び神祭りに目覚め、神に畏怖と敬いを持つように取り計らう》p.154第一巻。というもの。個人の力では無理そうなのに叶うまで離れないというので一生のつきあいになる? 強いて言えば良彦が神社ライターにでもなって影響力を持っていくしかなさそうだが? このままではお役目を果たすのも遠からず無理が出てくるやろうし。《方位神とは、理屈でできているようなものだ。》第一巻p.200。
【古事記】天皇家の歴史などを、国内向けに書いたもの。
【神職】《神に仕える彼らを通して、人々は神を視るのだろう。》第一巻p.251
【少彦名神/すくなびこなのかみ】有名どころ。第二巻最初の神様。見た目は身長十センチくらいの老人で白いポンチョのような服を身につけている。一寸法師のモデルとも言われている。大きな社殿に祀られているが、それでも地からは衰え老人の姿となった。大國主命とは国造りの頃の相棒。そのとき入った温泉の心地よさをもう一度味わいたい。
【神武天皇】神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびのみこと)などとも呼ばれる。
【須勢理毘売命/すせりびめのみこと】大國主命の妻。須佐之男命の娘。夫の浮気に悩まされている。大年神の腹違いの妹。激しい気性は父親譲り。
【高岡遥斗/たかおか・はると】男子高校生。穂乃香と同じ学校で隣のクラス。御用人のことを知っていた。名前からして高龗神とかかわりのある家(八家)の子かもしれない? 高龗神の役に立ちたくて仕方がない。レギュラーになる? 祖母は斗央子(とおこ)。愛車はズーマーX、二人乗りできたっけ?
【高龗神/たかおかみのかみ】貴船にいる。黄金は「水龍」と呼んだ。「貴船明神」と呼ばれることもある。水神の大元締め。
【田道間守命/たじまもりのみこと】菓子の神。大主神社の境内に祀られている。元は人間だったらしい。
【達也】→大野達也
【童子】高龗神と一緒に降ってきた。おしゃべりでいたずらもので神も困ったことがある。石で作られた柄杓を授かり森を守ることを約束した。人の娘と結婚し有限の寿命となったがその子孫は明治期まで代々高龗神に仕えてきた。
【敏益/とします】良彦の祖父。一年前に亡くなった。口数が少ない優しい人だった。神社に参るのが日課だった。
【泣沢女神/なきさわめのかみ】穂乃香は「沢女/さわめ」と呼ぶ。天香久山麓の神社の井戸の中にいた。小学二年生くらいの見た目。《泣くのが仕事のようなものなのだ》。日本に住む人間の悲しみの半分を肩代わりして泣いてくれる。彼女のおかげで泣いたら気分が晴れる。水神でもある。
【名草戸畔/なぐさとべ】神武東征で敗れて殺された。大野の父は異なった説を唱えている。名前からすると女性のようだ。
【日本書紀】国の歴史を同時に中国に向けて知らしめるために書かれたもの。
【宣之言書/のりとごとのしょ】別名「御用帳」。一年前亡くなった祖父、敏益のものだったという冊子で、謎の老人から渡された。神々の名が書かれている。これを手にした人間は浮き出る神名の社を訪ね、その神様の御用を聞かねばならない。敏益は信仰心の篤さを認められ、そういう家の人間ではないのに抜擢された。作ったのは「遥か高位の大神」なんだとか。神様の御用人としてのパスポートみたいなもんかな。
【萩原良彦/はぎわら・よしひこ】→良彦
【一言主】なんでも一言ですませてしまう神様。最近引きこもっているらしい。良彦が会ってみると予想外のタイプだった。
【貧乏神】窮鬼。《衣食住が足りた生活を送れることが、決して当たり前ではないということを忘れないための存在なのだ。》第二巻p.85。寒いので寝泊まりできる家を探してほしい。羽振りの良い者が転落する落差を味わい、稼ごうとする気力を吸う。が、ここで登場する貧乏神は、一旦どん底まで落ち込んだ者が這い上がろうとする姿が好きで、それを見届けてから離れる。繊細で涙もろいところがある。
【藤波孝太郎】→孝太郎
【方位神/ほういじん/ほういがみ】→黄金(こがね)
【疫病神】お婆さんの姿。貧乏神も恐れた。直接祀られることは少ないが、例えば祇園祭は疫病神を慰めるためのものだったりして、けっこう信仰はされている。
【洋治】大野達也の知り合いの神職。三十代半ばくらい。
【吉田穂乃香/よしだ・ほのか】視える人「天眼/てんげん」。超絶美少女。高校生。あまり笑わないクールビューティー。孝太郎が勤める大主神社の宮司の娘。
【良彦】主人公。二十四歳。神様の御用人にされてしまった。やる気も知識もあまりなかったが、結局のところとても誠実な人。ずっと野球をしており高校のとき一度だけ一番サードで甲子園に出場し一回戦で敗退。野球の才能で会社に入ったがケガをしたのと経営不振で野球部が廃部になったのとで退職。今はアルバイトの日々。
【良彦の妹】黄金《鬼神のような妹だな》第一巻p.187