杉井光のレビュー一覧
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ネタバレ「殺導線の少女」が翠川双輔によって完結することはもうないって分かったあとに、筆者の手によって物語が結末を迎えることができたという展開。
真の答えは用意されてないので読者が自由に考察してください系の本や映画があまり好きでないので、「殺導線の少女」の結末は翠川双輔の2人にも分からないのだという霧子さんの推理を聞いたときに正直がっかりした。
けれども菊谷先生が生きていた世界線とは違う結末を迎えてたとしても、こうやって「殺導線の少女」という作品が綺麗にラッピングされたのは私にとっても、琴莉ちゃんにとってもよかったんだと思う。
もう一回1も読み直そうかな
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Posted by ブクログ
いきなり殺人現場から始まるのですが、これがかなりグロい(多分男性は痛い)。なので、小学校NGです。あとは、能力や個性的な面々が事件を解決に導く感じとかが、ラノベを文学的に昇華させたような印象を受けました。推理小説だけど、考え過ぎずに、サラサラと読み進められます。キャラクター設定がおもしろく、続編でそうな終わり方をしています。面白かったけど、内容が暗い!めちゃくちゃ救われない人もいるし、主人公も暗いし、能力も重い人いるので、スカッとしない系です。謎が解けるのは、あー、なるほどあれがこう、これはあの回収、みたいにスカッとします。
湊人は十数秒先の未来が見える、しかし、それだけの力はあまり役にたたず、災難を回避する動きをすれば変人のように思われてしまう。また、12歳の時母が癌で亡くなったのも孤立感に拍車をかけた。父親は売れっ子の推理小説家だが、打ち解けておらず、ついには、親の許可を得て高校を中退し家を出た。未来視の能力で雀荘で荒稼ぎして目をつけられ暴行されているときに警視庁の黒谷千景に確保され、家に連れていかれた。そこにはスヲミという長身で栗色の巻き毛の華やかな男性と、ハクロウという名前でゲーム配信しているシュロがいた。未来視の能力を知っていてここに連れてこられたらしい。
そして、通っていた高校の一人が殺された連続殺人事件のことを問われる。
事件の真犯人は?能力者の仕業なのか? -
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とにかく面白かった。
確かに、この前作である「世界でいちばん透きとおった物語」のギミックといったら、超えるものはないと思うけれど、この作品もまた素晴らしかった。
何気ないところから始まったこの話は最後はだいぶ騒々しい感じになる。
作中で霧子さんが言った「謎だと思っていたことはそもそも謎ではないことがある」という技法。
私はミステリを読む人間ではないからこの手の技法とやらはよく知らないけれど、この技法がまさにここで使われていたんじゃないか?とも思った。
情報を整理しながら読むのに少し苦労することはあるけれど、終盤での霧子さんの語りは非常に爽快だった。
作中に何度も前作のことを登場させてくるから、もう一度前作を読みたくなった。 -
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この表紙、前面に居る伽耶に注目してしまうけど、よくよく見たら後ろの真琴ってメイド服姿?女装をメインに扱う作品でもないのに、女装姿の主人公が4度も表紙を飾るって本当にみょうちきりんな話だと思いますよ?
音楽要素をメインにした作品で『竹取物語』なんて今年公開された某作品を想起してしまうけど、本作は『竹取物語』を全く別の切り口から扱って見せたね
現状、PNOはアルバム制作に取り掛かっているけど、制作途中の音作りに現れていたようにPNOの終わりは既に予見されている。いずれ訪れる滅びを緩やかに待っているような状態。それは喩えればかぐや姫が月に戻る自分の運命を知った上で地上での日々を過ごしていたような
そうした喩えを真琴に当て嵌めた時、残る時間を真琴はどう過ごすのか、という点が主題に上がって来たような
それだけに真琴の日々を穢すかのように、PNOへと暴走したファンや記者が群がり、懸念した学校側がPNOの活動に口出ししてくるのは真琴にとって面倒な展開
真琴って途轍もない音楽バカだから音楽にかまけていられればそれで人生満足できそうなタイプ。逆に言えば、音楽以外のストレスが圧し掛かっていると途端に人間力が下がってしまうタイプでもある。そんな彼にとって明確に音楽活動を禁じられているわけではないが、学校関係者がバンド活動に控えめだけれどしつこく注文を付けてくる状況は面倒となるわけだ
作中でも言及されているけど、真琴が高校に通い続ける理由ってかなり希薄になっているんだよね。音楽関係では既に幾つも仕事をしているし、音楽バカだから音楽漬けの毎日となった方がコンディションは上がるだろうし、学校で親しい者なんてそれこそバンドメンバーしか居ない。そして大学へ進学する気は無いから学業に注力する理由がない
彼は早くもモラトリアムに突入している。それも何をすればいいか判らないというモラトリアムではなく、進む道が決まっているのに決断を先送りにするモラトリアム
真琴がそうした状況に陥っている為に、似た状況と言えなくもない伽耶が2学期になってから友達を作る展開は意外性があるね
伽耶って真琴程では無いにしろ、ある程度自分がどのような道を進みたいかはっきりしていて、既に芸能業にも就いている。まあ、芸能業だから学業を続ける利点は真琴よりもあるのだろうけど、学校生活へ必要以上に注力しなくても良い立場かもしれない
そんな伽耶が今更になって友達作りに成功して、おまけに友達・悠麻子の依頼により文化祭で活躍の場を得られるなんてなかなか無い経験
伽耶に朗読させるというのだから、てっきり悠麻子は伽耶をイメージして作劇したのかと思いきや、むしろ真琴をイメージしたのではないかと思わせるのは面白いね。勿論、真琴の苦悩とかぐや姫の苦悩が奇妙な形でリンクしているからそう見えているだけではあるのだけど
ただ、前半部と後半部を異なるイメージで悠麻子が作った可能性はあるんだよね。悠麻子は前半部を書き上げた後、PNOに見せて反応を求めた。自分の物語がPNOにどう響くかという点を見たかったのだろうけど、反応を貰ってもすぐには後半部を書き上げられなかった
前半部にてかぐや姫が自分の行動目標として提示したのは夫の獲得と水の運搬。後者は兎も角、前者は可能だがそれを得てしまうと『竹取物語』ではなくなってしまう。その意味ではかぐや姫はそもそも手に入らないものを求めていたと言える
後半部になって新たに現れる要素として音楽が挙げられるね。音楽関係者に作品の反応を求めていた悠麻子が後半部を書き上げる為に最も欲したのは何か?といえば、真琴と離れて活動する凛子達の様子だったのではないかと勘繰ってしまう
レコーディングシーンにて言及があるように、いつだって高クオリティな演奏を繰り広げる凛子達だけど、真琴が関わらず、真琴に見て貰える余地が無い局面ではパフォーマンスが落ちるとの事で
今回の朗読劇、本番は真琴に見て貰えるだろうとの期待があるからパフォーマンスは極端には落ちないだろうけど、彼女らの胸に渦巻くのは真琴がバンドや学校から去るのではないかという不安感か。前巻で十二分に示されたようにPNOはいずれ真琴が去る形で終わってしまう。かぐや姫がいずれ月に帰ってしまう物語に曲を付ける行為は彼女らに真琴が去る未来を想像させずには居られない。おまけに近頃の真琴が学校を辞めそうな雰囲気を醸し出しているなら尚の事
そうした感覚はきっと悠麻子が書く後半部に影響したのではないかと思えてしまう
『月の末姫の物語』の後半部、今巻の後半部、それらはどう終わるかと俎上に上がる展開。ラヴェルのエピソードだってそうだし、真琴が高校中退に誘惑され始めたのもそう。でも、そうした悩みにおいて本当の問題と成るのはどう終わるかよりも、どのように終わりの時を迎えるかなのでは無いかと思ってしまう。その点はそれぞれの文化祭の過ごし方に最も現れたような
真琴の姉は文化祭のノリを当時は嫌っていても今は人生に必要だったと述懐した。高校では生徒会を中心として無法ファンへの対処を行った。真琴を朗読劇の会場まで連れってくれた学生達が居た
言ってしまえば文化祭なんてたった1日で終わってしまうイベントだけど、生徒達は佳い終わり方が出来るよう全力で楽しんだ。でも、それは終わらせる為ではなく今を過ごすため。終わりを迎えるというより、終わらせない為の努力であるようにも思えてしまう
『月の末姫の物語』の終わり方は『竹取物語』と大枠で変わらない。かぐや姫は月に帰ってしまう。でも、かぐや姫にとっては帰った瞬間が終わりなのではなく、帰ってからも命尽きるまで戦い果てた後が終わり。彼女にはそれまで出来る何もかもがある
かぐや姫が唯一持ち帰り、最も必要な大切なものと称した竹笛こそが終わる瞬間までを豊かに過ごしつつも終わりに抗う最上の方法だったのかも知れない
だとしたら、文化祭や朗読劇を経て真琴が終わりへの向き合い方を変えたのは同様に今を豊かに過ごしたく成ったからかもしれないね
高校には様々な何もかもが在る。そこには出会いも別れも満ちている。最終的にPNOが崩壊してしまうとしても、その瞬間はきっと佳いものとして迎えられるのではないか?前巻まではPNOの終わりを悲壮に感じていたものだけど、この巻を通して少しだけ明るい終わりとして想像できるのではと思えましたよ -
Posted by ブクログ
ミステリを書いている人向けに書かれた指南書でもあり、ミステリ読みに向けて書かれた構造書でもある本。思いもよらぬ作品をこれはミステリですと、説明されて、なるほどなぁと感心したり、実際にミステリ技法を使って書いた短編と(解説つき)、叙述トリックの超短編もあり、計2作読めます。また、「世界でいちばん透きとおった物語」メイキング文章か読めます。想像していたより興味深く読めました(解説書だから、もっとつまんないと思ってました)。世界でいちばん~を読んでからじゃないと、ネタバレになるのと、ページの何割かを面白く読めないので、読後間をおかずに手に取ることをオススメします。
世界でいちばん~を読んだ小学生なら読んでも大丈夫ですが、短編のなかに男女関係らしき表現あります。基本は中学校以上。 -
Posted by ブクログ
1作目とは打って変わって本自体仕掛けはなく、話自体も主人公は同じだが別のコンビ作家の話。一人が亡くなって、連載が終わってしまったことで始まる物語。1作目のような驚きはないが、人のために行ったミステリという部分は同じで、1作目は何も出来なかった息子に対しての作品であれば、こちらは唯一共に時間を共有してくれていた姪に対しての優しさの為に嘘を共犯した人達の作品。
1作目と同じく心温まるけどもう故人が残したことという少しやりきれない切なさが残る作品だなと感じた。どうかこの嘘に姪が気づかないように、それに主人公も加担するという形で締めくくる綺麗な終わり方だと思う。霧子さんとの関係はまだまだ気になるものの、作品としてのメインの部分は変えずにあの作品に続編を書くのはすごいなと感動した。お気に入りの作品。