杉井光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前巻が少女達にとってPNOが楽園であると示すエピソードになったなら、今巻はその楽園を作った真琴にとってPNOは楽園足り得るのか?という点を描いていたような
そう思えば、演奏面において真琴より秀でた伽耶の登場は真琴がバンドに居続ける事は正しいのか?と問うと共に、楽園に居ると選ぶのであれば何を楽園の外に置き去りにしなければならないかを問い掛けているかのようだったよ
真琴が新メンバー候補・伽耶のプレイングを耳にして心が揺さぶられる、なんてのは前巻でも似たような展開が有ったけど、今回はまた別種のものだったかな
キョウコの時は真琴の立ち位置が乗っ取られるかのような感覚だった。でも、伽耶は真琴とは異なるベースを操るから乗っ取りにはならずにPNOを別種の存在にさせかねない作用として効いてくる
けど、元々は感情の赴くままに奏でていた真琴にとってPNOは特定の形を持つバンドとまでは必ずしも確信できていない状態。また自らの音楽が急拡大していた事態に心が追い付いていなかった事もあって、真琴はバンドを外から見たいなんて言い出したのかもしれない
真琴の代わりにバンドへと仮加入した伽耶は瑞々しさに溢れたタイプだね。若い憧れを以てPNOに入り込んだ。そこには父への反発なんていうそれこそ若年時代にしか出来ない振る舞いも見て取れるし、芸能社長に騙される危うさも見える。先にバンドに加入した凛子達が音楽体験における危うさを持っていたのに対し、伽耶の場合は人格形成における危うさが見て取れるね
そう考えると、PNOに辿り着いた伽耶は凛子達とは異なる動機や背景によって辿り着いたと捉える事も出来なくはない。凛子達は音楽を自由に奏でられない境遇に息苦しさを感じていた所にPNOという楽園に巡り合った。対して伽耶もPNOは目指していたものの、そこに楽園を見ていた訳ではなかった。真琴への憧れから彼女はPNOを志した
若々しい彼女だからPNOへの加入背景には父親の陰ながらの手助けなんて幼さも見えてしまうが、それを伽耶は許容できないと
そこで真琴の自分勝手な音楽欲が伽耶にまで欲を与える形は面白いね。おまけに「僕は、伽耶の音が欲しい」とか言うなんて。そりゃ伽耶が真琴含めPNOに夢中になるのは当たり前だし、自分が加入した途端に真琴が一時脱退したらむくれるよなぁ(笑)
真琴がソロ活動を模索する中でネットの片隅で出逢った一つの音源。小さな子供にとって秘密の地図を見つけて方々を探し回って宝物を見つける行為が夢の具現であるならば、音楽家にとって音の欠片から関係者の記録を探し回って楽曲を作り上げるのも夢のような行いなのかもしれない。このエピソードを読んでそんな事を思ってしまったよ
何処からどう聴いても良い音源。だけど中途半端な作りで由来も不明。その音に魅了されれば完成させたくなるし、誰がどうしてネットの海に落としたのかも気になってしまう
これは真琴がバンド活動を続けたままであったなら、実らなかった出逢いだろうね
拓人が味わった奏でた音が自分の音では無くなる感覚。昔はそれに対し素直に反発してしまい音は楽曲に成らず誰の耳にも届かなかった。蒔田シュンとの繋がりも途絶えてしまえば、それが日の目を見るなんて本当に有り得なかったのだろうね
そう思えば、生まれ落ちないまま漂っていた音の欠片を何年も経ってから楽曲として作り直すなんて真琴は凄い事をやってのけたね。それはなんて夢のある話だろう
でも、このエピソードにて夢が甘いものとして扱われず苦々しいものとなっているのは現実の儚さを感じてしまう。音は楽曲に成れば消えない。けれど、それを扱う人間はいつか消えてしまうし、聴く人が居なくなっても消えてしまう。
なら、かつては自分の音ではないと反発してしまった音であろうと拓人は蒔田シュンという才能を認めた人が存在したとこの世に刻みつける為に曲をきちんと作り上げる必要があった
そこに真琴が介在できたのなら、真琴が音を拾い上げた甲斐があったというもの
そんな物寂しいエピソードの後に始まるクリスマス編も何とも言えぬ甘さと苦さが両立しているね
クリスマスイブにダブルブッキングならぬクアドラプルブッキングが発生するなんてそれどんな夢次元?と聞きたくなる。しかも、途中で変にバレたりせず誰とも穏やかにクリスマスデートを実行できるとかどういう事です……?
ただ、真琴は四人の少女への恋愛感情が現時点では希薄なものだから妙な背徳感とかも無かったりするのだけど。その傾向は真琴が選んだクリスマスプレゼントにも現れているね。物の見事に音楽関連アイテムばかりで、彼女らのどういった面を重視しているかが浮き出てくるかのよう
どこかの誰かさんみたいにビートルズのレコードを送らなかっただけマシとも言えるけど
こうして都合よく織り成された甘い夢のような時間は守られクリスマスライブの時間へ。そして裏で進行していた苦々しさの静かなインパクトが……
音は楽曲に成れば消えない。だから美沙緒がネット上に上げた楽曲も真琴に届いた為に消える事は無い。つまり、美沙緒という個人が消えてしまう事態が有ったとしても美沙緒が真琴の為に紡いだ楽曲が消える事はない
成功例の少ない手術に対して何か抵抗が出来るとすれば、自分を何処かに残すように祈りを音に乗せて放流する事だったのかもしれない。だからネットに曲を残して、用いたピアノを託して……
こうして託されたなら真琴だって応えなければならない。美沙緒によって結成のきっかけが与えられたPNOは真琴を中心とした楽園。だから伽耶という素晴らしいベーシストが居たとしてもPNOから真琴が抜けるなんて有り得ない
真琴にとってPNOは完璧な楽園とは言い難い。けれどそこを楽園としてしまったなら、楽園が奏でる音楽を求める者達の安息を守る為に彼は音を世に解き放ち続けなければならないわけだ
他方で伽耶を楽園から放逐して終わりにするのではなく、ソロプロデュースの形にしたのは意外だけど、良い着地点だったと思えるね
……その際の台詞がどう考えても告白以外の何物でもなかったのに他意が一切含まれてないって真琴は凄いなぁ(笑)
真琴が楽園で奏でた祈りは届き再会が約束された。彼はもう少しPNOに身を置きつつ、音楽的才覚を発揮していくのだろうと思える暖かいラストでしたよ -
Posted by ブクログ
同じテーマ性の作品なのだから『さよならピアノソナタ』要素を何らかの形で出してくるかもと思っていたけど、まさかこういう形でお出しされるとは!
第1巻では音楽を通して少女達と楽園を築き上げる工程が描かれた。続く2巻では楽園外での環境が少女達にどう影響するか、その際に真琴が築いた楽園はどのような助けとなるのかという点が描かれたような
一度ピアノを挫折してしまった凛子だから、バンドを通して復活できたならピアノの道に戻そうとする動きがあるのは当然。そのような揺り戻しに対し真琴達は他人故に凛子の家庭問題に首を突っ込むのは難しい。詩月の時は音楽を通して華道の腕前を上達させる事で親の束縛を黙らせたけど、凛子の場合は同じ音楽でありながらより難度の高いピアノに集中させるという親の意向が有り、凛子の母が軽蔑するバンドの人間である限り抗議すら聞いて貰えない
だから対処法を誤って初ワンマンが大コケしかねない状況に陥ってしまった。というより、凛子が発していた弱々しいメッセージを真琴が正しく汲み取れていなかったというべきか
ただし、結局は真琴達に出来るのって音を鳴らす事だけなんだよね。凛子を母の拘束から解き放つのは音楽しかない
真琴は凛子が音楽を奏でられる最高の舞台を用意した。でも、それ以上に凛子から弱々しさを吹き飛ばすのは選曲理由だろうね。真琴はいつだって凛子をステージの中央へと、楽園の真ん中へと招いてくれる。それは凛子に束縛する母から逃げる場所も立ち向かう場所もあると知らせるものとなる
最後、これを家庭の問題ではなく「わたしの問題」と言い切った彼女の姿は勇ましい
詩月に生じた問題もやはり他人にはどうしようもないもの。詩月の家庭環境も禄郎の病魔も一介の高校生である真琴に出来る事なんて一欠片も無い
代わりに、真琴に出来る事はここでも音を鳴らす事だけ。けれど、今度は聞かせる相手が異なっているね。余命が限られ親族の多くから嫌われる禄郎にとって、家庭に居場所が無く自分を頼る孫娘の行く末は喫緊の課題。それだけに詩月が慕う真琴に対して査定の形で音楽を奏でさせたのは、音楽を通して真琴は詩月が頼れる人間であるかを見定めようとしたからか
真琴が禄郎と行ったセッションは2回だけ。どちらも禄郎から合格点を貰えた訳じゃない。詩月を救える音楽ではない
真琴の音楽が真の意味で届いたのは禄郎を三途の川から呼び戻す際か。
聞かせる相手は意識が無いのだから本物の音を鳴らす必要はない。音の無い幻想のセッション。傍目に見る分には奇怪で奇妙な音楽。けれど、絶望に顔を伏せた詩月、詩月の行く末を見守れぬまま無人島へ旅立とうとしていた禄郎を引き止める最上の音楽となるね。
禄郎を呼び戻し、詩月を絶望から引き上げた。それは真琴で無ければ出来なかった事、そこに楽園があると示すセッション。禄郎が与えた合否判定は何よりも真琴の音楽への賛辞と思えたよ
そして朱音のエピソードはキョウコとの対決を含みつつ進行する話となったね
話の立ち上がりこそ朱音が詩作をしてみたいと言い出した事から始まっている。けれど、あっという間にPNOのマネージングについての話に移り、キョウコの登場へ至るからこれらのエピソードが朱音のものであるとは感じ難い。というより、朱音の話を展開しつつPNOの話を進行させた感じか
朱音は作詞をする理由を取り分を増やす為なんて嘯くけど、その実態はPNOを確かな居場所とする為なんだろうなと察せられるね
PNOに入るまで幾つものバンドを潰してきた朱音。PNOは真琴の才能に拠って潰れそうにはない。代わりに自分がいつまでも必要とされるか判らない。だから真琴が完璧に出来ているとは言い難い詩を担当する事に拠ってPNOに自分の居場所はあると確定させたかった感じか
だとしたら、キョウコの誘いは真琴を揺さぶるけど、同じくらい朱音を動揺させたんじゃなかろうか?
真琴にとってはキョウコのプレイングを眼の前で見せられて戦力外通告させられた形。朱音にとってはPNOが無くなってしまうかもしれない形。どちらにとっても切実で、バンドを続ける為に何をすればいいか魂懸けて考えねばならない問題
これは先の凛子や詩月の話と比べると、真琴達にはどうにか出来る余地のある問題。けど、プロミュージシャンを納得させるわけだから、実際にどうにか出来るかは別問題
ここで活きてくるのは朱音の詩作か。朱音は詩を作る上で「I need you」をどう訳すかを悩んでいた。この言葉の対象が誰であるか、何であるかは読者にとっては明瞭なのだけど、物語としても真琴としても不明瞭なまま。すると、真琴にとっての「I need you」の対象である美沙緒の話題になって、当然朱音はより真琴から必要とされたいとの想いを強くする事になって…
この必要とされたいとの感覚は双方向のものだね。勘違いしている真琴は当然として、不要と言われた朱音達にとっても互いを必要としている。このような感情から、PNOはバンドという形をしている事で楽園に成るわけではなく、あの4人で成立している事で楽園としても成立しているのだと見えてくる
そうこうしている内に真琴の中でキョウコを倒すという感覚が優先度の低いものになっていく様は印象的。キョウコから戦力外通告された事もバンドを解体されそうな事も腹が立っている。けれど、キョウコに認められたいとかそういう想いは何処かに置いてきてしまった
真琴が音楽を届けたい「たったひとり」、それはあの瞬間において間違いなくPNOの為だったのだろうなと思ってしまうよ。真琴にとっての居場所であり、凛子も詩月も朱音も居る居場所。そしてあの曲の詩を書いたのが朱音であるならば、朱音に最も届けたい歌となって
それを思えば、朱音が最後に告げたかもしれない言葉が「I love you」ではなく「I need you」に連なる言葉であるだろうと思えば、真琴の歌はきちんと朱音に届いたのだろうと思えるよ
そしてラストのオチですよ(笑)
確かにキョウコの発言は紛らわしかったけど、それが真琴を盛大に勘違いさせPNOの動力源に成るなんて誰が想像しただろうね(笑)
真琴ってこれまでも凛子や詩月の告白同然の言葉に全く気付かずスルー、なんて事態が多発していた。つまり彼を極度のニブチンと捉えればこのような事態もそりゃ生じ得るんだろうけど、それにしたってあんまりな勘違いですよ!
本作は基本的に真琴の視点で進行するから気付き難いけど、キョウコが指摘したように実はPNOにおいて最も厄介な問題を抱えているのって真琴なのかもしれないね(笑) -
Posted by ブクログ
杉井光先生の作品を読むのはこれで2度目。というか、『さよならピアノソナタ』以来
あらすじや表紙にどこか『さよならピアノソナタ』っぽさを感じてしまってどうにも読まずには居られなかったよ
そして内容はあの懐かしい熱量を彷彿とさせる要素を含みつつ、現代における若者達の音楽の楽しみ方を上手く作品に落とし込んだ作品に思えたよ
鬱屈とした想いを懐きつつも音楽に向き合わざるを得ない幾人もの少女達に寄り添う事になったのが本作の主人公・村瀬真琴
凛子達が持つ音楽の才能が非常に判りやすく華美であるのに対して、真琴の才能は控えめであり陰に籠もるかのよう。この控えめというのは才能が無いという意味ではなく、一見して判り易い才能を持つ華々しい凛子達に比べて、彼の何が凄いのかという点がすぐには判らない意味
真琴が投稿した動画の反響って冷静に考えれば凄いものだと判るけど、女装して投稿した事で再生数が伸びた事実が「実力に拠って評価された訳では無いのでは?」と本人含めて思わせる状態となっているね
けれど、美沙緒から押し付けられた音楽授業の代役も立派にこなせているし、合唱曲の編曲なんてのもほいほい出来ている。これらを「実は音楽の才能が無かった」なんて表現する事は宜しく無い
自信が無い彼の一人称視点である為に誤魔化されそうに成るけれど、よくよく見れば彼も一角の音楽家である事が判る
けど、本人の自覚としては凛子達に劣っている認識が続く。だからか華々しい才能を持ち、自分を魅了する音を鳴らせるのに、音楽に向き合う事すら辞めてしまいそうな凛子達を放っておけなかったのだろうね
音楽で絶望しているなら音楽で吹っ飛ばせ。これまで接してきた音楽で悩みを吹き飛ばせないなら、新たな音楽の光景を目の前にぶちかませ。そのような無茶苦茶な方法で真琴は少女達に寄り添っていく
この流れがいつしか控えめであった筈の真琴の才能を更に花開かせ、衆目に晒す流れも素晴らしいね
最初に関わる事になった凛子は音楽の申し子という表現を判りやすく当てはめられるタイプだね
真琴が面倒でいやらしい感じにアレンジした楽譜を少し見て弾いただけで暗譜してしまう。また高校入学前はコンクール荒らしなんて呼ばれる程にコンクールで優勝していた
そんな彼女が衝突してしまったのは音を望ましい形でなぞるだけでは到達できない領域か。彼女自身も自らの音を価値のないものだと考えるようになったのに、それでも彼女は音楽を捨てられなかった
そんな凛子に真琴がぶちかましたのはそれこそ音色を操作できる鍵盤楽器。あのシンセサイザーなら凛子が願い望んでいた音色を完全に再現できる。けれど、混じりっ気がないが故にそれは音楽家の凛子を満足させず、むしろ混じりっ気のある音楽こそ彼女が求めて止まなかった音だと気付かせる流れは素晴らしいね
このような遣り方にこそ真琴の真髄が詰まっていると言える
次に関わったのは詩月。本人は音楽に染まりたいと思っているし、ドラム愛が抑えきれていないが、家庭の事情や周囲が彼女に望む在り方によって音楽に己を染める事が許されない
結果、音楽の道が絶たれようとしていた。勿論、音楽の才能を愛する真琴はそのような事態を許せないが一方で他人の事情に踏み込む事を思い切れない弱さがあるね
ここで真琴の背を引っ叩いてくれるのが先に真琴に解放された凛子となるわけだ。凛子が仕掛けたセッションは詩月が自信を無くした一因かもしれない音合わせの焼き直しのようで居て、そこに真琴を挟み込む事で二人の音が調和される形となっていたね
凛子と詩月は幾つもの壁を挟んで音を重ね合わせようとした。普通なら届かない音が互いに耳を澄ませ、相手に届けようと思う事でセッションが可能となった。その上で真琴は二人が綺麗に合わせようとしていた音をぶっ壊してしまった。けれど、そのような無茶苦茶な音こそ詩月にとって気持ちの良いものだったと教える工程は真琴と凛子のコンビネーションでなければ出来なかったものだろうね
朱音は音楽以外に居たい場所を持っていなかったのに、バンドを続ける調和性がない為に音楽の居場所すら失いそうになっていた少女か
朱音は真琴や詩月が陶然とするような音楽の才を持っているのにそれを発揮できる居場所を持っていない。というより、手近な居場所に居着く為に才を敢えて使っていないというべきか
なら、彼女と向き合う為に真琴はバンド的な居場所を作る必要に駆られる訳だ。ここで面白いのは今度は詩月が朱音を解放するのに一役買う点かな。凛子の解放に真琴が対面したように、詩月の解放に凛子が前に出たように。彼女らはバンドを名乗り始める前から互いの音楽を必要とする繋がりが生まれていた
そうして行われたセッションはその後に作り上げられる楽園を前借りしたようで居て、既に完成形に近い形として出来上がっていたもののように思えたよ。あの時点で彼女らは互いの音に惚れ込んでいたと伝わってくる
少女達が集まる流れは全てが運命に拠るものとか、偶然が積み重なってとかそういったもので無いのは少し印象的かもしれない
本作における物語の始まりの地点を何か一つ定義するとしたら、それは美沙緒が真琴を見出した時ではなく、やはり真琴が演奏動画をネットの海に放流した時だったのではないかと思えてしまう。その時から全てが回りだし、美沙緒が真琴を見出し、真琴が凛子達と関わるようになったのだから
美沙緒が真琴と凛子達の出会いを導いたのは事実だけど、そこから様々な音楽が奏でられる楽園が築き上げられたのは確かに動画がきっかけだろうから
そういった意味では真琴達の在り方を変えるのが再び投稿動画となるのは納得の展開かもしれない
バンドをしたかったわけではない。音楽で世界に向けて訴えたいものが有るわけでもない。それでも鳴り響かせずには居られない音があって、十全に奏でさせてやりたい音楽家達が居て、音を届けてやりたい相手が居て……
人気や今後の活動を考えればあのライブシーンで真琴が出ないのは正解
でも、彼らPNOが音を奏でているのはそういった理由に拠るものではなくて、もっと純粋で尊い動機によるもの
だから幾千幾万のコメントから奇跡にも近い確率で一番大切な言葉を掬い上げられるし、そこから始まったアンコールはPNOが最も奏でたい音になる
いや、それにしても真琴が消してしまった初期衝動が込められた楽曲を凛子達も知っていたというのは驚きだったけども
最後に示された楽園の場所、美沙緒から託された大切な音の数々
終わり方は残響音だけが響いて他の音は鳴り止むかのように静かなもの。そのような構成だから読後の余韻を感じられるし、次に鳴る音がどのようなものか想像を膨らませてしまったよ -
購入済み
復活(?)おめでとうございます
このラノベは前作からかなり好きでしたので、この再開は本当に嬉しいです。ただ今巻はそれを差し置いても気になる所がありました。
今巻も色々事件が起こりキリカが捜査し解決するのですが、犯人の動機がかなりショボいです。とある事件簿みないな長年の因習とか強い恨みなどとは言いませんが、使ったトリックの大きさにしては動機が薄っぺらい印象です。ただまあ、待望の再開一作目ということで★+1です。 -
Posted by ブクログ
このシリーズでは一番面白かった。
単に麻雀の話題が出てきたから、ということもあり得るが、それだけではないだろう。
軽めの文体、重苦しい出来事、ほとんどどうでもいいかもしれないことの描写の細かさ、ストーリーの構成は、きちんと「小説」のレベルだ。というか時々話が重すぎて「ぜんぜんライトじゃないよね、これ」と思う。
続き物だから、これまでの話(17巻)を読んでいないと、うまく受け取れない場面も多々あるだろうが、その点を差し置いても完成度は高いと思う。
エンターテイメントの部分と、小説のコアの部分。これからの物語作家はそのバランスを見つけないといけないのだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった! でも22万円事件とキリカ父襲来事件が立て続けだったので、なんだか話がどんどこ進むなあ〜という印象もあった。神メモ読んでる感じだと、キリカ父襲来事件は1冊だけで出しそうなんだけど。短編二つくっついたみたいな印象?んん?多分22万円とキリカ父に関連がなかったからなんだろうけど、普通に考えたら個々の大事件にそんなに関連性あっても不自然だし、別にこの二つの事件が独立しているのはいいのか。ただなんとなく、一巻として出しているから何かしら関係あるのかなって勝手に想像してしまっただけだった! とにかく、キリカとの仲は深まってなによりだ。2巻も見つけないとなー!
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Posted by ブクログ
新しいレーベルの第一弾として書かれた杉井作品。
題名や書店店長が主人公な所から、こんどは流通業界を巡る口八丁な業界物語かなと思ったら、ちょっと違った。
店長は元伝説の不良でその筋からアイドルのストーカー騒動の解決を依頼されるという筋書きの神メモ的軽ミステリー。
いやこれ正直書店店長の設定要らなかった気がするな(笑)
主人公が腕力に自信があるのはいつもと違うので、いつもより少しへたれ度は低い(笑)
でもトーヘンボクなのはいつも通り。
吉村さんも苦労するなあ。
謎解き的には半分ぐらいは分かったけど、最後までお兄さんの正体には気づかなかった。
やっぱりかわいい探偵役が必要かも(笑)
この一冊で終わるのはもったいない気がする。
出来ればシリーズ化して欲しい。 -
Posted by ブクログ
イベント満載の学園に、ついに生徒会選挙の時期がきた。
今こそ、反旗を翻すべき時。
無敵にしか見えない生徒会長に勝つために! が
全員の合言葉。
それはそれで間違ってないと思いますが
口を開くと憧れやら、認めてほしいやら。
動力源にはなると思うのですが、何か違う?
どうすれば勝てるか、どうしたらいいのか。
右往左往していますが、どうしてこうなったのか、の
ニュースソースが…どういう事ですか?!w
黒幕と言っても、案外間違ってない気がします。
打倒、を掲げているので、学園生活(?)はシリアス。
情報を得るためだけに出て行った先では…頑張れ…w
何かこう…読んでいて、政治のシステムに
詳しくなったかのような錯覚を覚えます。 -
Posted by ブクログ
熱い。ホント熱い。
作中の季節は冬で雪とか降っているのにめちゃ熱い。上手く表現することはできないけれど、この作品で書かれていることは心に深く突き刺さるのだ。少年漫画のような熱さではなく彼らの置かれている状況が青春風景の中に居るからなのだ
それにしても直巳の鈍感さは何なのだろうか。正直言って読んでいて全力で殴りたくなる程に鈍感である。ようやく相手の想いに気付いてからも全く動けず極度の優柔不断っぷりを披露している点にはもう賞賛さえ贈りたくなる。だからこそこの巻では皆の想いが溢れ出し直巳に心労を負わせることになるのだが。
直巳は徹底的にぶちのめされる。何度も傷付き涙を流し倒れてしまう。ある意味痛々しくさえもあるのだが(プレゼントの件含め)、因果応報というべきかそれとも巡り合わせというべきか悩む点ではある。クライマックスでは今までにないほどボロボロの状態のフェテケリコがステージに立つ様は読んでいながら「もうやめてくれ!」と言いたくなってしまうほど
この作品を読んだ事で様々なジャンル、時代の音楽に触れてみたいと思うようになったのは大きなきっかけだったのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後のライブシーンを敢えて見せないなんて作者はなんて憎たらしいことをするのだろう。
恋愛モノには王道展開とも言える主人公よりもヒロインのことを知っているライバルキャラ登場。これにより直巳の心は大きく揺れ、謎の失意に襲われてしまう。こういった時には更に事態をややこしくするような事件が起きたりものだけれど本作ではそんな展開にならないばかりかライバルであるはずのユーリまでもが直巳に惚れてしまいある意味スッキリした展開に!何でだ!?
正直言って作中に登場する音楽用語や作曲家の名前はさっぱりだったりするのだが、それでも気にならず物語の雰囲気にのめり込めるのは流石だと思う。
ラスト数十ページはまるで最終回のような雰囲気で、このまま終わりだったとしても十分納得できるようなノリだった(そうなってしまったら物足りなく感じてしまうだろうが…)。実際には次巻が最終巻。どのような感動、そして終わり方を魅せてくれるのか非常に楽しみであり、同時に寂しいような気分になってしまう