椎名誠のレビュー一覧
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僕が20歳の頃、あけすけで、体当たりでことにあたる著者が好きだった。
本の雑誌も好きだったし、こんな大人になれれば良いな、なんて思っていた。
青年だった僕が60代を迎える今、本書を読むと、どうもがっかり感が激しい。テレビの状況に文句を言うが、テレビづけになっている生活が哀しいし、あちこちでビールを飲む姿も底が浅く見える。飲む機会の周辺の仕事ぶりが見えず、ビールを飲んでいることだけが印象に残るのだ。
80歳を迎えられる著者に何を期待するのかと怒られそうだが、僕のアイドルだったのだ。表紙も自身のお姿で、相変わらず男前な立ち姿がいっそうがっかりにつながっている。 -
Posted by ブクログ
作家であり旅人でもある椎名誠さんが、息子(岳くん)との出来事を記した、私小説エッセイの短編集。
全体としてとても読みやすく、ほっこりした。しかし息子の名前に"岳"とは、よほど山登りが好きなんだなあ。
父子のまさに"男同士"の関係は読んでいてとても爽やか且つ微笑ましかった。
すごいなと思ったのが、椎名さんの文章。くどくどしてなくて、キレイ。優しくて的確で正直。教科書に載るのも頷ける。それとも作家を職業にしてる人は、みんなこんなふうに完成した文章を書くのだろうか。
特に、終盤のシベリアからの電話でのやりとり、不安定な回線と椎名さんの心理描写は印象的だっ -
Posted by ブクログ
【きっかけ】
毎度思うが贔屓にしている作家の本が読めるのは幸せだ。
集英社のナツイチ企画のころに購入した。
【感想】
さて、この本はサンデー毎日に連載しているエッセイをまとめたもの。
記事に関しては2016-17年というコロナ禍前であり著者が車の運転もしているし、色々ある前のことが書いてあり、なかなか70歳でこの勢いという感じで楽しみながら読めた。
エッセイは、機知に富んだ内容が勝負どころだと思うが、緩急を織り交ぜたゆるさが読んでいい気晴らしになった(懐かしい昭和軽薄体!)。
【終わりに】
ところでこの文庫の刷数が凄い。奥付の初版が2021年11月25日であるが、既に4刷にな -
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Posted by ブクログ
ネタバレあらゆる飲食物のなかで「ビールが一番好きだ」だが、飲食店で冷やしすぎて、水滴の付いたキリンレモンのコップで出されるビールには反感を持つ、食物ではラーメンが好きだが、これは急いで食うことが必要で、読書と相性が悪い。食べつつ、「国分寺書店のオババはなぜ持ち込んだ段ボール箱を一瞥もせず俺(筆者)を無視したのであろうか」
一見とりとめないが、オババは売りに来た若者に「こんな全集の端本ばかり持ち込んでどうするんだい」と冷遇し、店は見渡してみれば全集の全巻揃いがひしめくというハイクラスインテレクチュアル御用達らしかった。
「制服」というものが嫌いなのは、鉄道乗務員が「乗車券を拝見します」と回ってきて、小銭 -
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メコン川を下る紀行文。
昔からこうしているからこう暮らしている、という人々がいたり、政策で集団移転してきた人がいたりというその国々ならでは事情に接した時間も多かったようだが(例えばp.42)、一方で、日本企業が関与するプロジェクトで森林破壊の事例に接することも多かったといい、ラオスでの保水力現象により洪水リスクが高まっているとの指摘には寂しい思いをした(p.62)
コーンパペンの滝をラオスの人々は「メコンが折れるところ」と呼んでいるようだが、森林の先で突然出現するその滝の濁流の描写には臨場感があった(p.87)。そしてまたその滝を迂回するためフランスの時代に敷設されたというメコン軽便鉄道の