あらすじ
山登りの好きな両親が山岳の岳から名付けた、シーナ家の長男・岳少年。坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思いでそれをみつめる「おとう」…。これはショーネンがまだチチを見棄てていない頃の美しい親子の物語。
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小学生ぶりに読み返してみると、当時とはまったく違う印象を受けた。今はオトナ目線で自分を重ねて捉えてしまう。いつか自分の子どもとも、こんなふうにバカやってたいな。
自分が大人になるにつれて、昔のように一緒にバカなことをする友達も、そんな環境も減ってしまった。「社会人」という呪いに囚われている。そこでは「現実を見ろ」という言葉が繰り返され、ワクワクや、ちょっとした心の喜びの芽が摘まれていく。
しかし人生で本当に大切なのは、そうした小さな心の動きにきちんと向き合うことだと思う。「現実」や「常識」という名のものから、自分の心の動きや喜びを守っていきたい。そして、その観点で、自分の好きな人や、いつかの子どもたちとも向き合いたいものである。
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30年ぶりくらいに読みました。子供であった頃と、親になった今読むのでは全く違う印象がありました。当然ながら、この本は男の子の親の目線で書かれた本であり、当時感じることが出来なかった、親としての嬉しさや切なさを今読むと感じることが出来て、自分も変わったんだなぁと感慨深くなりました。
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作家と息子との素敵な親子関係を描いている。岳は興味を持ったことはとことん突き詰める子だ。この本では釣りに興味を持ち普段本を読まないのに釣りの本を読みその知識はすごいと思った。学校の勉強とは何かに興味を持ったときにそれに突き進むための基本的な知識や考え方を学ぶところだと思う。またはそれを見つけるための場所であると思う。岳の両親は何かを押しつけることなくのびのびと育てているのだなと思った。とても良い子で父との会話も微笑ましい。
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父・椎名誠と息子・岳くんの物語。エッセイ的な。とても読みやすくておもしろかった。切なく楽しく。旅に出ることが多く不在も多い椎名家だからこその少し特殊な関係かもしれない。いやでもそこは家族それぞれいろいろあるか。お互い没頭するものがあって同士の匂いもする。親目線だと岳くんがどんどん成長していく姿が逞しく眩しく頼もしく、でも寂しくもあるなあなんて。息子といえどひとりの男として接している距離感も素敵だなあと思った。続も読もう。
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岳さんと私は歳が近く、実家も近いこと、我が家にも元気な男の子がいましたので、なんとなくその空気がリアルに感じられた。
ただ、あまりにリアルタイムでの連載だったためご本人はとても嫌だったようですね。
もう少しフィクションの要素がを強くした小説にしてしまえばよかったのかな。読み手としては大変楽しい父子のエピソードなんですけど。
私も子供の自主性を育てる子育てに基本的に賛成です。
しかしながらこの本の時代から30年ほど進んだ現代ではここまでの自由は親子共にないかもしれません。
周りのママ友の意見なども聞くととかく揺れ動きますが、この本を読んで、やっぱり子供を一人の人間として信じて付き合っていきたいと改めて思いました。
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息子・岳の成長を段階的に描いた私小説。
飾らずに淡々と描いているからこそ、驚くべき早さで成長していく息子への父親としての想いを追体験できるとても貴重な作品。
変わっていく息子には、嬉しさも誇らしさもあり、でもどこか侘しさも感じる。それが父親というものなんだと思うと、何とも言いようのない感情におそわれた。
「そうして『また今度やるときはいい勝負をしようぜ』とは言いながら、果たしてまた今度のときまでまだ私はこいつに捨てられずにいられるだろうか、などとふいにビール三本の酔いの中で考えたりするのだった。」
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愛情にあふれた作品。
岳はかわいくていい子だ。
その岳見て、ハラハラしたり可愛く感じたりしている親の心が伝わってくる。
いい親子関係だな、と思う。
現代にはない、おおらかな時代背景も感じる。
あれはダメ、これもダメ、なんて言っていたら、人間の強さや逞しさなんか育たない。
そんな風に思った。
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以前に読んだ時の岳物語は息子さんとのこと、 私的なことが描かれていて、なんとなく新鮮に読めた、という記憶がありました。
でも、今読んでみると印象がかなり変わっていることに気づきました。
今、自分の子供が、この中に書かれている岳少年と大体同じ年だし、 どうしても親の視点で読んでしまうのです。
昔は、たはは、とおかしかっただけのところが、
今読んでみると、 ”おとう、椎名誠”と同じようにハラハラドキドキしたり、不安になったり、
息子に捨てられる心配な気持ちが理解できたりして、
以前よりもかなりのめりこんで読んでしまいました。
最後の方で、岳少年が海に落ちた、と報告するところがあって、 椎名誠は遠く離れた外国でその話を聞いたあと、 バカだなあ、、と彼をいとおしみつつ、笑ってしまうのですが、 そこが父親と母親の違いだなあ、、と感じてしまいました。
母親は笑えないから。。
でも、笑えるチチとショーネンの関係が羨ましく感じました。
(昔のブログでの感想)
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この本は椎名誠さんとその息子「岳」さんとの話でした。世界を旅された椎名さんの息子「岳」さんとの関わり方が椎名さんの面白い表現で描かれていました。中でも、椎名さんと息子「岳」さんとの会話がとてもほのぼのしていて読んでいてとても楽しかったです。
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「椎名誠」の私小説『岳物語』を読みました。
「椎名誠」作品は、昨年の6月に読んだ『飛ぶ男、噛む女』以来なので久しぶりですね。
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山登りの好きな両親が山岳から「岳」から名付けた、「シーナ家」の長男「岳」少年。
坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。
自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。
旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思いでそれをみつめる「おとう」…。
これはショーネンがまだチチを見棄てていない頃の美しい親子の物語。
著者初の明るい私小説。
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「シーナ家」の長男「岳」少年の成長(幼稚園~小学校高学年)が、以下の九つのエピソードで描かれています。
■きんもくせい
■アゲハチョウ
■インドのラッパ
■タンポポ
■ムロアジ大作戦
■鷲と豚
■三十年
■ハゼ釣り
■二日間のプレゼント
■あとがき
■解説 斎藤茂太
「シーナさん」と「岳」少年の距離感がイイですよねぇ、、、
(多分)現代の一般家庭には珍しい、ひとつの理想の姿だよなぁ… と感じました。
のびのび育てられた結果なんでしょうが、、、
「岳」少年の腕白な行動や天真爛漫な素直な言動… 現代っ子には失われてしまった子どもらしさ、無邪気さに魅力を感じ、ワクワクしながら愉しく読み進みました。
勉強は苦手なようですが、遊びへの集中力への高さでは卓越した才能を発揮して、カヌーや釣りでは小学生にして「シーナさん」に勝る腕前を披露… 「野田知佑」との交流も大きな影響があったようですが、人間って、得意分野を上手く育ててあげれば、才能が開花するもんなんですよね。
続篇も読みたくなりました。
第一話の『きんもくせい』は、どこかで読んだ記憶があるなぁ… と思っていたのですが、、、
アンソロジー作品『家族の絆』に収録されていたので既読でしたね。
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椎名誠は何を書いても骨太な感じがする。父と子,というのはこそばゆいものだが,その感じも含みながら,こどもを愛おしく思っている気持ちが伝わってくる。
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久々に読んだ
中学受験の国語で読んだのが始めてやと思う。
初版が生まれる四年前でわろた
勉強なんて二の次でやりたいことをやる子供時代ってのは俺と全然違くて。そんな話もおもしろいなーて
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「子育て中のパパには超オススメ」と読書家の友人に勧められた作品。幼少期から小学校高学年に向けて日々成長していく椎名氏の息子「岳」くんとの親子エピソードをまとめた私小説だが、最初から最後まで楽しく爽やかに読み進めることが出来た。自分にも幼い二人の息子がいる。子育て真っ只中ということもあり、椎名氏が作中で抱く様々な感情にとても共感できたし、父と息子という男同士の親子関係ならではの機微な表現にいちいち感情移入してしまった。自分の育児の価値観にポジティブな影響を与えてくれた一冊。
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言わずとしれた名作です。20年ぶりくらいに再読しました。岳くんは多分僕と同い年だと思います。今は椎名さんもお孫さんに囲まれてでれでれらしいですが、この頃はいいお父さんしていますね。一緒にいられない時間が多いのでその分ちゃんと時間を作ってカバーしていてとてもとてもうらやましい。うちのどうしようもない父親比べてはいけないけれども。
天真爛漫で傍若無人な岳君はとてもいい青春を送りそうでなんともうらやましい。うらやましいと言えば野田知佑さんと友達なんだから本当にうらやましいうらやましい!!
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タイトルだけで山登りの話かと思ってたけど、子育て日記みたいなもんですね。
親が息子と接する上でとても良い関係を築いており、とても羨ましい。子供との時間をやりくりして作り出し、キチンと向き合い、尊重する。当たり前だけどなかなか出来ない羨ましいことですね。これから子育てをする人々に読んでほしいです。
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『海ちゃん、おはよう』に続いて二冊目の椎名誠作品は、これぞ代表作といえる『岳物語』。
長女、海ちゃん誕生の時にあれほどあたふたしていた椎名(作中では原田)さんだが、岳くんとのやりとりは父親そのもの。
途中、自分たちの育て方が間違っていたのか…?と悩む場面もあるが、そこはまっすぐ育つ岳くんを見て思い直す。実際本人は世間との軋轢などどこ吹く風で親が子どもを信じられなくなっていただけだった。
冒険の入り口としての釣りの魅力がふんだんに描かれている。実際に釣りをするよりもはるかに気持ちが高ぶる。
椎名さんより遥かに釣りに詳しい岳くんと二人で釣りに行くときのギブアンドテイクで対等な関係は親子というより仲間だ。仕事で家を空けることの多い椎名さんと岳くんの気持ちが離れないのは親子であるとともに信頼の置けるパートナーだからだろう。
椎名さんと岳くんだからこそあり得る親子の関係が微笑ましくも羨ましく、自分はどういう親になれるのか子どもはどう育つのか楽しみになった。
親はいずれ子どもに捨てられる時が来るという言葉を忘れずにいたい。
Posted by ブクログ
作家であり旅人でもある椎名誠さんが、息子(岳くん)との出来事を記した、私小説エッセイの短編集。
全体としてとても読みやすく、ほっこりした。しかし息子の名前に"岳"とは、よほど山登りが好きなんだなあ。
父子のまさに"男同士"の関係は読んでいてとても爽やか且つ微笑ましかった。
すごいなと思ったのが、椎名さんの文章。くどくどしてなくて、キレイ。優しくて的確で正直。教科書に載るのも頷ける。それとも作家を職業にしてる人は、みんなこんなふうに完成した文章を書くのだろうか。
特に、終盤のシベリアからの電話でのやりとり、不安定な回線と椎名さんの心理描写は印象的だった。旅行記は苦手だけど、この方が綴った旅行記なら読んでみたい。かもしれない。
本書を読んで教育論のようなものを感じる読者が結構多いらしい。ネットで読み漁った感想やレビューの中には「自分に男の子が産まれたらこう育てたい」とか、逆に「固定観念を押しつけられたような気がした」という感想を見かけた。
椎名さんが岳くんをとても好意的に書いているから、子育て論的なものを感じる人がいるのかもしれない。まず全体を通して「ほら、岳はいい少年だろ!」というのがビシビシ伝わってくる。
そして確かに、「周りはこうだったが私はこうした」「こういう教育の風潮はいかがなものかと思う」って記述はあった。
しかし、だからといって「私の教育でこんなにいい少年が育ちました!男の子はみんなこう育てるのがいいんだよ!」と読むのは乱暴すぎる。
椎名さん自身が幼少期に受けた教育を振り返る場面もあったし、椎名さんが教育について言いたいことはおそらく「それぞれ!」で間違いない。右に倣えの型に嵌めた教育を批判しているのであって、自分が岳くんに与えた教育が全ての子供にとって良いなどとは一言も言っていない。
どんな教育が"良い教育"なのかは、当然ながら、それぞれの親の考え、子供本人の性格、向き不向きなどによるだろう。あとは時代の風潮も多少は影響するかも。(岳物語は1985年に出版された著書)
この私小説から学ぶ教育論があるとすれば、『風潮にとらわれず子供の個性に合った教育を!』程度のことじゃなかろうか。
で、この私小説のメインテーマは教育論じゃないとして。
あとがきや解説が言うには「親の想像を超える、少年期の著しい成長」というのがテーマだそうだ。
この物語の中で、保育園児だった岳くんは小学5年生になる。
親が全てである幼少期、子供はずっと親を追いかけるし、何があっても親を頼る。食事、遊び、生活、移動さえ親頼み。親の目が届く範囲で新しいものに触れる。
しかし大きくなるにつれて自分で解決できることも増え、いつの間にか親の知らないところで新しいものに触れ、彼の世界は広がって、親の存在が占める割合はどんどん小さくなっていく。幼児期から少年期への移行。
これを最も象徴してるのが釣りの話。岳くんの世界が親の世界を抜け始めたと確信する話で、頼る頼られるの力関係も完全に逆転している。あとは長旅から帰った椎名さんを出迎える態度が変わったというエピソード。まさに驚くべき速さで、子供は親のいない場所へと世界を広げていく。
一方で椎名さんは、どんどん世界を広げ自立していく子供を無意識に引き止めようとしている。自分の存在が子供の中でどんどん小さなものになっていくのを、認めたくない気持ちがあるような。
これは坊主にするしないの話で強く感じたこと。もちろん子供の成長は嬉しいし見守りたいのが大前提だろうけど、子供の成長を素直に喜べない気持ちが椎名さんの中に、少しだけど絶対にある。
でも嫌そうな顔してるのに坊主に刈り上げちゃ可哀そうだよ椎名さん。子供はいつまでも親の管理下にはいない。親の帰りを喜んでいた小さな子供は、釣りを楽しむひとりの少年になりつつある。
という、幼児期から少年期における親子関係の転換期を描いたお話だった。親子関係って面白い。私が親になったら違う感じ方をするのかも。そしたらまた読もうかな。
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山登りが好きな両親がつけた名前、ってだけでソッコー読みたくなった本でしたが、山の話はでてこないです。笑笑
ただ、山登りが好きなお父さんだけど、釣りにハマった息子に釣りに付き合わされるっていう構図で話は進みます。
リアルな実体験、息子とわたしの話なのですが、読んでいて、、、息子の成長、青年期への緩やかな流れが、作者が旅小説を書く人で、年の数ヶ月海外へ行って帰ってきてることもあり、帰るたびに変化してる息子との対面。
家にいて仕事をするため、小さなころは送り迎えはお父さんがしていたので、公園でのコミュニティやら、仲良しのお友達、ママ友などをこんなふうに思った。という冷静な視点でゆったり分析しているのが読んでて、
あーなんかわかるなぁ。
4歳の息子が行きと帰りに手を繋ぎながら、保育園での話、夢みたいなあったらいいなの話、かと思えば、!?っと驚くような大人の発言をしたり。
そんな今、わたしが息子と共に感じてる色々が本を通じてなぞられていて、ホクホクと気持ちが暖かくなるようでした。
きっと息子が大きくなってしまって読んでも、あーそうそううちの息子も!ってなってまた違ったホクホクが訪れそうな一冊でした!!!
こんなふうに日常を過ごしたこと、思ったこと綴れたらいいのになぁ。
Posted by ブクログ
父親になったらこんな事考えながら子どもに関わっていくのかなぁと思いながら読んだ本。もし結婚して、子どもが生まれたら、いろんな経験ができるようサポートしてあげたいな。いろんな考えがあることを知ってほしい。
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男の子供ができたら岳少年のような逞しい子になってもらいたいものだ。
子育てに戸惑う椎名さんの様子が他の本にはない姿で新鮮で面白かった。
椎名さんも親やってんだなぁ。