送り火

送り火

680円 (税込)

3pt

第159回芥川賞受賞作。単行本未収録の2篇を加えて、待望の文庫化。

春休み、東京から東北の山間の町に引っ越した、中学3年生の少年・歩。
通うことになった中学校は、クラスの人数も少なく、翌年には統合される予定。クラスの中心で花札を使い物事を決める晃、いつも負けてみんなに飲み物を買ってくる稔。転校を繰り返してきた歩は、この小さな集団に自分はなじんでいる、と信じていた。

夏休み、歩は晃から、河へ火を流す地元の習わしに誘われる。しかし、約束の場所にいたのは数人のクラスメートと、見知らぬ作業着の男だった――。少年たちは、暴力の果てに何を見たのか――。

「圧倒的な文章力がある」「完成度の高い作品」と高く評価された芥川賞受賞作。

「あなたのなかの忘れた海」(「群像」2016年8月号)、「湯治」(「文學界」2020年6月号)の、2篇を文庫化にあたり収録。

※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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送り火 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    第159回芥川賞受賞作。
    「あなたのなかの忘れた海」、「湯治」の三作。
    表題作は、終わり方も含めて、受賞作っぽいなと感じた。比較的鮮明にイメージできる文章に思われた。その他の2作品は、同じようにイメージはつながりやすかったのだが、内容はなんとなく、日常の断片が切り取られただけの感じがした。もっと長い

    0
    2023年01月06日

    Posted by ブクログ

    表題作「送り火」は、第159回芥川賞を受賞した著者の代表作です。父の転勤が多く引っ越しを繰り返していた歩は、その土地に順応するのが早かった。次の引越し先が、東北のある山の麓にある町で、歩は中学生最後をその町で過ごすことになった。そこで出会ったのが、学校のガキ大将的ポジションの晃だった。彼との出会いが

    0
    2024年07月01日

    Posted by ブクログ

    津軽地方の片田舎,転校した歩は息詰まる暴力に巻き込まれる.いじめを超えた快楽のための暴力ははけ口のない社会の澱なのだろうか.

    0
    2023年04月04日

    Posted by ブクログ

    第159回芥川賞受賞作。

    中学3年生の歩。
    中学生というだけで危うさがありそうだが、
    景色も、友達との関係も、全てのところにどこか後ろ暗い感じを醸造させている。

    なんでもできそうで、なにもできないような年頃の、
    なにも起きなさそうで、なにか起きてしまう、そんなお話。

    0
    2021年11月17日

    Posted by ブクログ

    閉じられたコミュニティでの虐め、暴力
    傍観者としてのいじめ
    最後はハラハラするし文章力がすごかった

    2021/7/18 ☆3.7

    0
    2021年07月18日

    Posted by ブクログ

    読書開始日:2021年6月23日
    読書終了日:2021年7月1日
    所感
    学生の頃の、悪いとは思うが周りに流されてやってしまう感じ。自分にも覚えがある。
    そんな時は決まって文章中の一文「その冷たい響きに反して、胸中には甘い微熱を覚えた」の感覚を味わっていた。
    田舎の年功序列、悪のサイクル、刺激が少ない

    0
    2021年07月03日

    Posted by ブクログ

     バイオレンス描写が、生ぬるい。
     というのも、殊にこの手の描写に関してなら村上龍とか花村萬月とか、究め尽くした作家が山のようにいるので、はっきり言って分が悪いだろう。

     もちろん、語彙の豊富さや描写の厚みは最近の作家では群を抜いているのは確かだ。本作にもそれは発揮できている。それだけに惜しいと思

    0
    2021年03月03日

    Posted by ブクログ

    芥川賞作品という点と著者まの経歴に親近感を覚え、手に取った。都会から田舎の環境に変わった中学生の心情が描かれた話。不安定な情緒が日に日に危険性を増し、遂には〜・・ラストは目を背けながら、死と紙一重な思春期の心境を感じさせられた。

    0
    2020年09月06日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    都会から田舎に引っ越してきた少年。彼は地元の学校の悪友らと一緒に万引きしたり危険な遊びに興じる。
    美しい自然描写の一方、物語全体にかかる不気味さがあり、終盤でそれは先輩の熾烈ないじめと、いじめられっ子から少年へ執拗な追跡という形で明示される。
    後味は悪い。

    0
    2023年06月11日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    無知な子供たちの悪戯という印象で始まるが後半は痛々しく生々しいが惹きつけられてしまった。

    実際中学生ぐらいまでは学校と家が世界の全てになってしまっているので恐怖を感じた。更に田舎という場所がより狭さを感じる。
    そんな狭い世界で生きる学生は地元や集団の中でひとつでも選択を誤ると取り返しのつかない事に

    0
    2021年05月24日

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