村山早紀のレビュー一覧
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ネタバレタイトルに「異聞」とつく通り、いつものコンビニたそがれ堂シリーズとは、ほんの少し違い、今作では、3話とも、風早三郎を祀る神社の娘さんが語り手です。
一番心に残ったのは、冬のエピソードです。
主人公の沙也加は、病弱だった母を早くに亡くしたり、年の離れた幼い弟の面倒を見たりで、年齢よりも大人っぽく思えるけれど、でも、本当は、まだまだ成長中の高校生で。
彼女が、幼いときに欲しいと言えなかったクリスマスプレゼントをやっと望んで手に入れられたのが、本当に少し大人に近づいた時なのかもしれないです。
2020年、コロナ禍のもとでの春・夏・冬の出来事なので、読んでいて、去年の不安感や閉塞感を思い出しました -
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さて、下巻。
悩みながらも店主不在の桜風堂を引き受けることになった一整だが、理想の書店を自分の手で作り上げることに取りかかる。
再び万引きに遭遇したらとかあまり葛藤がなかったところは気になりつつも、店とお客様のために一整がとった書店員としての行動や知識を興味深く読む。
とんとんと運んでいく話は少し上手く行き過ぎで、人里離れた桜野町の佇まいのせいもあって、ちょっとしたユートピア小説の趣だが、登場人物それぞれの胸の内がしっかり書き込まれていることで、ただのファンタジーに終わらなかった。
一整、苑絵、渚砂はもとより、銀河堂の店長からパートに至る店員さん、桜風堂の店主とその孫の心の内の思いやそこから発 -
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『トロイメライ』、『桜の木の下で』、『秋の祭り』の三作品を収録した文章とイラストが綺麗な短編集です。
『トロイメライ』は夏は死ぬほど暑くなりロボットが普及し、そして戦争が続く未来を描いています。
兄を亡くした愛美を主人公に、兄の代替ロボットのシロウや隣に住む弘志などの個性的な登場人物が物語を彩ります。
環境や戦争に対する人間の姿勢を問題提起しているように思えます。
『桜の木の下で』は飼い猫目線で家族との思い出が描かれています。
実家に帰ってきた15歳のゆりを15歳の猫さくらが迎えます。
同じ15歳でもさくらは高齢です。
人間だけでなく猫にも思い出と未来があり、命の儚さと尊さを感じました。
『秋 -
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シリーズ9作目。
刊行されている分は、これで全部読み終わってしまった。
今作は大事な人の命を守れなかった人たちの後悔のお話が中心。
自分にとって、かけがえのない人がある日突然いなくなったら…とても心が締め付けられる。
でも、そこでコンビニたそがれ堂の出番。
悲しい記憶も、コンビニたそがれ堂の手にかかれば、優しい記憶に変わる。
ここ最近の作品は猫に関する内容が多かったが、今作は本来読みたかった人の温かみがきちんと描かれていて、読み終わった後に癒される。
コンビニたそがれ堂も、カナリヤ浪漫荘も早く続編が出て欲しい。
個人的には完結している「桜風堂ものがたり」も何かの形で復活してくれると、さらに嬉し