村山早紀のレビュー一覧
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優しい世界 村山さんの描く世界はいつも優しく、思いやりに満ちている。
こちらの小説も例に漏れず、思いやり、慈しみそして望郷の念に満ちている。
かつて、百貨店に行くときはおめかしし、最上階のレストラン街で緊張しながらスプーンを動かし、屋上の遊園地ではどの子もよそ行きの顔を忘れて遊んでいた。
そんなことを懐かしく思い起こさせてくれると同時に、人と人の温かさ、良い思い出の持つ力強さを感じさせてくれる。
そして、奇跡を起こすのは、実は名もなき人たちの誠実な毎日なのだ、と気付かされる。
世知辛い世の中で、この小説を読むと癒され、明日も頑張ろう、私にできることをしようという気持ちになれる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクリスマスイブの夜に住む場所も仕事も失った主人公の茜音が、カーレンという少女に出会ったことをきっかけに、洋館のアパートかなりや荘の住人になります。
かなりや荘の住人たちは皆心のどこかに傷を負っていますが、互いに寄り添い合って暮らしています。自分が大変な時でも他人を思いやる優しい住人たちに、心が温まりました。
繊細な性格の母を持ち苦労の多い人生を送ってきた茜音が、自分では目指そうと思わなかった漫画家になるという夢に向かうところまででこの巻は終わりました。
自分に自信が無かった茜音が才能を見出され、未来に目を向けていく様子に胸が熱くなりました。
続巻があるので、まだ深掘りされていない住人のお -
Posted by ブクログ
『桜風堂ものがたり』の続編。前作よりもストーリーが明るく、とんとん拍子に話が進んでゆく印象。非現実的ともいえるけれど、そこがこの作品の良さなのだと思う。
前作と比べて、様々な読み手の姿を描いているように感じた。本を愛する人たちに焦点を当てて、その一人ひとりの物語を紡いでできたような作品だった。
もちろん、作品の芯には書店の未来への憂いと、まだまだ戦えるのだという希望が詰まっている。本を売るために試行錯誤し、仕掛けていく書店があり、それに応える読者がいる。
ネットやデジタル化によって煽りを受けている書店や書物であるが、逆にネットの力をうまく利用して本を売るということもできるのだと思った。
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