本田由紀のレビュー一覧

  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    概観が体系的にまとまっており、分かりやすかった。目新しいことはないが、改めて「認識できる」といったところ。単に並べられた事実だけ受け取ると「ネガ」で終わってしまうし、確かにどうしようもないことも多い。それでも、自分が幸せに生きるために自分をどこに置くか?」をマクロ的に考える際に必須なインプットだと思った。特に女性と20-30代。

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    2022年11月12日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    日本の社会問題をジェンダー、教育、政治などさまざまな切り口からわかりやすく論じられている本。だからこそそれぞれの社会問題が何らかの形で影響力を持ち、相互につながっていることを認識できた。関係ない、優先順位が低い問題なんてないんだと痛感した。
    あまり知識がなかった仕事や教育についても知れてよかった!

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    2022年09月18日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    日本を諸外国と比べてマイナスなところを指摘している本。
    まぁ、実際日本ってほんと生きづらい国だよねと思っていました。この本は、それをデータで示してくれていて、あ、やっぱ自分のこの気持ちって間違えていなかったんだなって思わせてくれて、とても力をもらえます。

    あまりにも日本を下げているので読んでいて萎えましたが、現実をしっかり見ましょうと、政府は何やってんだと思ってしまいますね。
    自助努力ももちろん大事かもしれないけど、日本国憲法に則れば、政府は国民のために政治をしなきゃいけないのです。世界と比べても、国会議員はぶっちぎりでたくさんお金をもらっているのに、職務放棄も甚だしいと思いますね。なんとかしてほしいものです。

    この本の最後に諦めてはいけないと書かれてましたが、この、何やっても変わらない感が今の日本には蔓延してて、その気持ちが今の日本の閉塞感だとか、衰退感を生み出しているのかなぁと思いました。

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    2022年09月15日
  • 社会を結びなおす 教育・仕事・家族の連携へ

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    「教育は何を評価してきたか」や「『日本』ってどんな国?」の中で触れられてきた、戦後日本型循環モデルと、その破綻、それから、新たな社会モデルについて述べたブックレット。

    二つの循環モデルについて、よーくわかる。

    戦後の循環モデルは、教育と家族と仕事が強固な一方向の矢印で結ばれていたが、それは、人口要因や国際関係要因、エネルギー要因、自然要因がしっかりと支えてきたから。そのため、いい大学にはいっていい会社に勤める。そのために勉強する、ということが目的となり、本来あるべき根本的な意味が喪失されてしまうという、自壊的な性質を持つものであった。

    これが、バブルの崩壊により、一つの矢印が崩れてしまうと、次々にこの循環が成り立たなくなり、更に、少子高齢化やグローバル化、災害リスクなどにより、この循環を支える要因も無くなってきたのが1990年以降。

    ただ、循環している部分も残っているから、壊れ始めた部分の窮状をいっそう厳しいものにしている。

    今まさに、フタコブラクダ化している、格差の原因がここにある。辛い…。

    破綻したモデルにしがみつかないで、双方向に行き来できる新たな社会モデルにするには、メンバーシップ型の働き方から、ジョブ型正社員を増やすこと。

    わかってはいたが、手が出せなかったこの方向に行くしか生き残りはできない、とそろそろ、政府も企業も気づく頃だと信じたい。

    学者ってつらいね、と本田さんの本を読むと思う。すごく頑張ってくれてる。
    私は読むことで応援します。

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    2022年07月29日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    データをもとに日本とはどんな国かを直視させる本。本田由紀氏の本気は、あらゆるところで、あらゆる層に向かって発信し続けることから、十分伝わる。Twitterさえ、発信している。
    東大の教養部の推薦入試にも、彼女の本「教育は何を評価してきたのか」から出題され、東大もまた、この国に対する危機感を強くしている。
    この本は、若者向けに、まずはデータでエビデンスを明確にし、偏見の先入観のない日本人像を提示、そこから展望を導き出す。
    結局、やれることは、「どんな属性の人にも偏見を持たずに敬意を払う」という、どこでも言われ続けたことになるのだが、データを示された後では、説得力が増す。

    本田由紀氏を応援します!

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    2022年07月28日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    家族、ジェンダー、学校、友だち、経済・仕事、政治・社会運動といった各社会領域を取り上げ、客観的な国際比較データにより、日本がどんな国かを浮き彫りにする。
    世界的に見て、日本には様々な分野で問題があるという状況がよく理解できた。ただ、著者の解釈や評価には疑問に思う部分もあった。
    特に政権与党批判の部分については、一理あると思いつつも、客観的データで日本の状況を明らかにするという本書のコンセプトに照らしても、著者の主観が出すぎているように感じ違和感を覚えた。せっかくの良書なのに、政権批判色が強く感じられることによって、届いてほしい読者層にそっぽを向かれてしまうおそれがあるように思われる。

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    2022年06月29日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    膨大なデータを駆使して、日本の現状を炙り出す凄い本だ.かなり高度な解析によって、現状を冷静に見ているが、説明が軽快でよく理解できた.日本の会社社会がこれまでのメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に転換できるかが、これからの日本の将来を左右するものと実感したが、実際の会社がどこまで対応できるか、退職者として注意して見ていきたい.

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    2022年05月03日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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     最近聞き始めたPodcastに著者の本田由紀さんが登場して、この本の内容のさわりを紹介していました。ちょっと気になる内容だったので手に取ってみた次第です。
     本田由紀さんは東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学とのことですが、本書では、政治・経済をはじめとして、社会運動・家族・ジェンダー等々に係る様々なデータを世界各国と比較し、「今の日本の実態」を顕在化させています。
     そこに現れた現実の姿は大いにショッキングですが、実感として納得できるものばかりでした。それでは、その状況をどうやって改善していくのか。とても困難な道のりですが、諦めず、ゴールに向かってチャレンジしている本田さんの気概が大いに伝わってくる本です。

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    2022年03月28日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    日本という国のリアルな姿を国際比較データを用いて丹念に問い直す本著。中高生にもわかる平易な文章で書かれており、たいへん読みやすかった。

    「家族」や「ジェンダー」の章で、日本の厳しい現実を示すデータが出てくることはある程度想定していたが、「学校」の章における、高校入試が行われるのは先進国では特異であるという指摘や、進学する高校でその後の進路が大きく左右され、かつ生徒の家族背景にも高校間で明確な格差があるという指摘には驚いた。昨今よく指摘されていることではあるが、学歴は本人の努力の成果とは言えないことがよくわかる。

    また全章を通して、データから、日本人の自己効力感の低さや、家族や仕事への満足度の低さ、将来への諦め、他者への冷酷さ、所属する企業や政府にへつらう権威主義の強さが窺われ、つらい気持ちになった。しかし、著者も述べているとおり、まずはひどい現実にきちんと正面から向き合い、あきらめることなく取り組んでいくほかはない。日本を、自分を、手放してはならない。

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    2022年01月28日
  • 教室内(スクール)カースト

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    ネタバレ

    教室内(スクール)カースト (光文社新書) 新書 – 2012/12/14

    同年齢の学校内のクラスという中でも対等な関係というものはない
    2016年6月3日

    鈴木翔 による 著作
    1984年秋田県生まれ。
    群馬大学教育学部卒業。
    東京大学大学院教育学研究科博士課程に進学。
    現在 web で見ると秋田大学で助教をしているようだ
    本書は鈴木氏の学術論文を一般向けにわかるように改めて加筆再構成した本である

    率直に言って学生、大学院生などの一部の人間しか読めないようなものよりも広く世の中一般に訴えかけるべき内容の学術論文も数多くあると思われる。
    本書はそのうちの一つであると思える。

    結局同世代の人間を集めた学校内のクラスという中でも対等な関係というものはないのだ。
    対等な島宇宙が存在するのではないとする指摘は重要だ。
    宮台真司氏(制服少女たちの選択 講談社 1994年)への反論と言える。

    これまでにも学生生活でグループ分けに人間を分類したような話は多く語られてきた辛酸なめ子氏による女子の国はいつも戦争によると自分の合ったグループに入って生活しようと提唱している
    それ自体が間違いではない。
    しかしそのグループ間に上下関係があること。
    権力などが違いがある。
    また一番下の受け皿層に所属する生徒達にとってはあまり気分よく過ごせる環境ではない。

    個人的に小中高時代を振り返ってみてもクラス内の力関係が平等ではなかったと思う。
    ただ一番上の層の子達が周りに配慮できるなどがあれば状況は大きく異なる。
    小学校時代はガキ大将と仲良くしていた為、グループ間で阻害されることもなく過ごせた。
    高校時代もあるにはあったものの大学受験に向けて必死になり、あまりそこまでグループ間うんぬんどころではなかった記憶がある。
    受験勉強の影響もこのクラス内でのカーストに多大な影響を与えているのではないか。
    もっとこの辺はつめてもらいたい。

    スクールカーストの順位が対して変わらないという本書内の指摘については噂や情報が学年間で共有されていることに加え、本人の能力、性格、資質も影響するからだろう。
    教師側がカースト構造を能力によって出来ていると見る考えはある程度正しいと思える。

    鈴木翔氏の研究はまだはじまったばかりと言える。
    本書内でも認めているように
    研究対象事例が少ない。
    特に教師側への取材は不十分に感じた。

    いじめにせよ、それをうむ土壌たるスクールカーストにせよ固定されたクラス制度があるが故の問題である。
    だからゼロにするのは難しいだろう。
    しかしある程度の緩和策をうっておくべきではないだろうか。
    教師側も本書からグループ間の力関係など複雑に絡まる生徒たちへの配慮をしつつ共同作業、グループ学習をさせてやって欲しいと思えた。

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    2023年06月13日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    様々な観点から、現代日本の状況が詳しく説明されている。

    経済面だけやってあと個人の生活や雇用、教育は全て自己責任という風潮があまりに長く続くこの世の中を変えていけるのか。
    その原因は与党の姿勢にあり、それを長く続けさせたのは私たち有権者の責任である。

    とても良い本だと思った。

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    2021年11月28日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    最初に日本の特殊な状況を示すデータと、その特殊な状況の要因になっていると思われる日本の教育の特徴が紹介され、それが歴史的に形成されてきた経緯が推察されています。

    端的には教育が個々の人の幸せにつながっていない状況が浮き彫りにされていて、その原因として、「垂直的序列化」「(「相対的で一元的な「能力」に基づく選抜・選別・格づけ」)「水平的画一化」(「特定のふるまい方や考え方を全体に要請する圧力」)が挙げられています。

    特に、具体的に職業につながるスキルの教育が手薄であるというのが興味深かったです。日本には普通科が多く、ひたすら一般的な能力や知識を養成される一方、具体的なスキルを身につける機会はないまま職業につく場合が多いということです。

    国の政策としてはそうやって具体的なスキルを身につけるパスが用意されると多少なりとも幸福につながるのかもなあと思うし、意識の面では、結局個々の人が、個々の場面で言及される「能力」はある特定の観点で見た評価でしかなく、他の観点や基準もあると理解するかどうかという問題なんだろうなと思いました。

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    2021年11月27日
  • もじれる社会 ――戦後日本型循環モデルを超えて

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    『もじれ』=「もつれ」+「こじれ」。
    『戦後日本型循環モデル』日本独特の循環のあり方ともいえる社会構造。バブル崩壊前までに形成された、教育・仕事・家族の3つの社会領域が循環している図。一見効率的に見えるが、何のために学ぶか、何のために仕事するか、なんのために家族と一緒に住むのか、という人間の生涯にとって重要な意味を持つはずの家族・教育・仕事の本質的な存在意義や価値を、掘り崩すように作用していた。バブル崩壊後、モデルは破綻しつつあり、各社会で歪みが出来ている。今後の方向性としては、一方向の循環でなく、双方向になるよう、リカレント教育の推進によるジョブ型雇用の推進、ジョブ型雇用によるワークライフバランス、男女共同参画の推進、共働きによる子供や家族のケアを教育が地域のハブとなって支えられるように。
    メリトクラシー→コミュ力のようや人間性、感情に結びついた測定し難い能力を重視する社会に移行しつつある→『ハイパーメリトクラシー』

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    2021年09月25日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    「能力」「態度」「資質」という言葉が日本の近代以降の教育の中でその意味を変化させながら今日まで使われており、「垂直的序列化」と「水平的画一化」という枠組みが変化する社会への適応を阻害しているとのこと。そして、今世紀に入って「日本型メリトクラシー」と「ハイパーメリトクラシー」、「ハイパー教化」が進行しているといいます。筆者が理想とする教育は、オランダなどにみられるイエナプラン教育であり、とりわけ後期中等教育、高等学校での学びの中で「水平的多様化」を推し進めることを提言しています。最後は自民党政権批判でした。

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    2021年06月26日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    能力主義に基づく「垂直的序列化」と特定の考え方を要請する「垂直的画一化」を組み合わせたシステムにより日本の教育が行われている。新学習指導要領のキーワードである資質・能力は、まさにこのシステムによる典型である。しかし、閉塞的な社会を乗り越えるためには、「水平的多様性」の実現が大事であると筆者は提言している。

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    2021年01月23日
  • 社会を結びなおす 教育・仕事・家族の連携へ

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    仕事・家族・教育の3つの社会領域が一方向的に太く・堅牢に結合した「戦後日本型循環モデル」とする日本社会の捉え方には非常に腑に落ちた。
    高度成長期・安定成長期でこのモデルが形成・成熟していったが、バブル経済崩壊の端を発する低成長期になるとこのモデルは劣化が進み、モデルに内在する様々な問題が生じているのが現状。まず、バブル経済崩壊等で仕事の領域が劣化。非正規社員の増加で非婚化・少子化が進み家族領域が劣化。家族の劣化で十分な教育を受けた若者が減るうえ、元々少ない公的支出は依然増えず教育の劣化も進んでいる。
    対策(案)は、循環モデルを片方向から両方向にするというもの。現状分析に比べると、割かれたページ10ページ足らずで、論理展開もあいまいで迫力不足。
    日本社会の現状を把握する上で、非常に有効な本だと思う。

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    2020年11月08日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    本田さんの著作の中では、読みやすく分かりやすい。当人はあとがきで、分かりにくくて申し訳ないと謝罪してるけど。
    行政や法律で「資質」「能力」の育成とか謳ったところで立法の精神が行政に引き継がれるとは限らない。例えば「能力」もそのコトバの解釈の仕方で現場で用いられるときには立法時とはずれた能力観になったりする。
    最終章で提言された「水平的多様化の推進」にはとっても同意する。何とか多様性を受け入れることのできる社会になってほしいもんだ。ただこういう書籍で触れられないのが、到達度をいかに確保するかだ。到達できないことを多様化にかこつけて肯定しちゃうのは困るよね。

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    2020年10月11日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    ネタバレ

     PISA(国際学習到達度調査)等、国際的な調査では、日本人は高い評価をされているのに、賃金水準は、他国との比較でもその評価に見合うものとなっていない。加えて、本人の意識が「職務を十分にこなすスキルが足りない」という自己評価になってしまっている。社会的な役割発揮意識が、諸外国の中でも目立って低いのも大きな特徴。どうして、そうなってしまっているのか。
     著者は、<「能力」「資質」「態度」という言葉が、社会と人々をがんじがらめにしていることが、多くの問題を生み出してしまっている>、ということを仮説として提示。このことがどうして異常なのか、それはどのようにしてできあがってきたのか、そのがんじがらめになった縄をほどいていくにはどうすればいいのかについて、根拠を示しながら解説。
     著者によると、日本は、「能力」にもとづく選抜・選別・格付けがされる「垂直的序列化」と、特定のふるまいや考え方を全体に要請する圧力である「水平的画一化」の二つの要素が際立っており、「水平的多様化」の要素が少ないという。これは日本に特有の状況。諸外国では、「良い市民であるために何が必要か」という質問に「意見の違う人の考えを理解すること」という回答や、民主主義における権利の質問に「政府のすることに異議がある時それに従わない行動をとること」という回答が、「とても重要」とする回答が多いのに、日本は、その回答に対する評価は、欧米14ケ国中最低になっている。日本は、「異質性や批判を排除する空気」が際立って強い。
     日本が欧米と比較し新型コロナウィルスの死亡者率が少ないこと(アジアの中では多いが)について、副総理は「民度のレベルが高いから」と発言し問題視されたが、ただ、その論調は、「諸外国の民度が低いと評価したと受け取られかねない」との批判が多かったが、問題の本質は違うはず。同調圧力が強く、強制力を行使しなくても、行動を引き出せるのは、為政者にとっては都合がいい。かつて「ナチスの手口を学んだら」と発言している政治家の発言。「民度のレベルが高い」という評価について、何をもってその評価とし、その評価は真に妥当なのかについて、突っ込むべきだったはず。国民の主体的な行動自粛は、新型コロナウィルスの流行の抑制ということではプラスに作用したが、底流にある「同調圧力」の負の面についても、眼を向けていないと、この先危ういことになってくる。社会の空気が、SNSもあって画一化の方向に加熱しがちな傾向は注意が必要で、こういう時こそ、多様な見方を大切にすべき。
     垂直的序列化と不可分な言葉は「能力」、水平的画一化と不可分な言葉は「資質」「態度」。著者は、現状の社会の中で、「能力」「資質」「態度」がもっている弊害を考慮し、できる限り使わないこと、使う時は注意して使うことを提起している。特に、社会が「危機」を迎えている状況だからこそ、受け止めるべき提起と考える。本田由紀氏は、東大大学院教授で、教育社会学者。固い部分は残るが、一般の読者に向け提起。一読の価値あり。

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    2020年06月10日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    日本の教育が「能力」「資質」「態度」という3つ(ないしは2つ)をどのように位置づけ、それを用いて生徒・学生を評価してきたかを記述し、終章に筆者の提言が載る。

    自分は所詮、(学力よりの)能力と、人に悪印象を与えない態度(コミュ力)でやりくりしてきただけだと、改めて思ってしまうよね。

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    2020年06月03日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    タイトルからして、面白そうと思った一冊。

    私たちが思う「能力」や「資質」「態度」とは一体何だったのか。
    筆者は、こうした「言葉」の多用がある種のベクトルを発生させ、その基準をクリアーしなければならないという垂直的序列化を促進してきたと述べている。

    言い替えると、日本社会にとって都合の良い「能力」を持ち、学校システムに従順な「態度」の人間だけが、「資質」ありと見なされるということなのだろう。

    言いたいことは分かるんです。
    でも、他国と比べて、日本人はこんなにマナー良いでしょうとか、ロックダウンなんかしなくても日本人は大人しく家にいますよ、って言いながら、他方で、不謹慎不謹慎と個人も会社もボコボコにしちゃう「同調圧力」の国は、そもそもこの美徳の呪縛から正しく抜け出せるんだろうかと思う。

    普通科高校が設立され過ぎて、この構造が断ち切れないのだから、水平的多様化を目指して各学校毎の特色づくりをしましょう!
    と言われる内容も面白いのです。

    でも、個人的にはこの三つの言葉の呪縛が解けたとして、安心して(または肯定的に)働ける環境ってどういう場所なんだろうかと考えている。
    そういう所で行き詰まってる時点で、呪縛に捕われているんだろうな(笑)

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    2020年04月08日