本田由紀のレビュー一覧
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日本の学歴社会の頂点に立つ東京大学は、実は大きな格差を内在している。男/女、東京圏/地方という四象限で分析すると、マジョリティとしての東京圏男子と、マイノリティの地方女子の大きな格差が浮かび上がってくる。東大に入学してくる新入生の半数程度が東京圏男子であり、中高一貫校を経て鉄緑会のような塾歴を持ち進学してくるのが特徴である。地方男子が約30%、東京圏女子が15%と続き、地方女子は約5%となっている。
東大卒、という学歴に期待されるのは大きく2つの伝統的キャリアがあり、研究機関として世界に伍する最先端の科学技術を探求する研究者と、官僚養成機関として国家の中枢を支える公務員というイメージが先行し -
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ネタバレ日本は終わりだ、と言わないためのデータ分析。
学校、ジェンダー、職場、家族、人間関係など様々な場面の意識調査や統計を国際的に比較して日本の現状を分析しようとする本。著者の政権批判的な態度に反発してしまう読者もいるかもしれない。自分もそのような傾向がある。何を言ってもどうせ変わらない。誰かに任せておけばいい。学校で、職場で、ずっとそのように教えられてきた。それではダメだ、自分から動け、と言われても、ただでさえしんどい毎日で、自分からしんどいことをさらにできるわけがない。
しかし言わなければ変わらないのだ。言っても変わらない、言わなくても変わらない、ならば少しでも行動した方がいい。デモにネガテ -
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様々な国際データに基づいて日本という国が世界と比べてどういう順位か、日本という国はどうなのかをジェンダー、学校教育、経済、政治の観点から考察している。2021年出版なので少し古いが、世界から見た日本の立場は変わらない。かさらに格差は拡がっているかもしれないと思う。
問題点は明らかになってきているものの、なかなか改善まではいかない。
最後の文章には
nobody's free until everybody's free.
すべての人が自由にならない限り、誰も自由にならない。
という、アメリカで1960年代から70年代にかけて、人種差別に立ち向かう公民権運動で活躍したファニー -
Posted by ブクログ
ネタバレ日々ぼんやりと感じていた日本の諸問題が国際データ比較によって明確な証拠や裏付けとなって明確に見えてくる。
既知の問題が多く、目からウロコが落ちるような新しい発見はほぼないが、この本を読んで今の日本の現状を再認識できたし、日本を「他人事」のような感覚ではなく、当事者意識を持って捉えられたのがよかった。
以下、読書メモ
家族、ジェンダー、学校・仕事、経済、政治どれも密接に関わり合い、複雑に絡み合いながら問題を孕んでいる。
いつまでも男性を主力戦力として働かせる政府、企業。女性は雇用機会が増えるも、男性の長時間労働を支えるため、仕事と家事の両立必須。
政府の非正規雇用制度を企業は大いに活用し、 -
Posted by ブクログ
マイケル・サンデルの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」の解説に本書が引用されていたため、読んでみることに。本書ではまず、日本人の異常さとして1.異常に高い一般的スキル、2.それが経済の活力にも社会の平等化にも繋がっていない異常さ、3.そして人々の自己否定や不安の異常な濃厚さを挙げる。これらを解明し、解決していく手立てが本書で論じられる。能力主義とはmeritocracyの日本語訳だが、本来は「業績主義」と訳すべきもの。海外のmeritocracyと日本の「能力主義」が乖離していく辺りに原因のひとつを求める下りは納得だが、全体に文章が硬く読みやすいとは言えない。25%ほど読んで挫折・・・積ん