本田由紀のレビュー一覧
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[ 内容 ]
一九九〇年代に、若者の仕事は大きく変貌した。
非正規社員の増加、不安定な雇用、劣悪な賃金…。
なぜ若年労働者ばかりが、過酷な就労環境に甘んじなければならないのか。
それは、戦後日本において「教育の職業的意義」が軽視され、学校で職業能力を形成する機会が失われてきたことと密接な関係がある。
本書では、教育学、社会学、運動論のさまざまな議論を整理しながら、“適応”と“抵抗”の両面を備えた「教育の職業的意義」をさぐっていく。
「柔軟な専門性」という原理によって、遮断された教育と社会とにもういちど架橋し、教育という一隅から日本社会の再編に取り組む。
[ 目次 ]
序章 あらかじめの反論
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いわゆる「就職」でなく「就社」であったこれまでの日本における教育と社会の関係の実体がよく分かった。これまでの日本は「何が出来るか(職能)ではなく、「どれだけ優秀か(潜在能力)」で人を採用するため、新卒一括採用、学歴主義が行われてきた。しかし、これこそ高度経済成長期に特有な状況であったのであり、戦後50年の状況こそ特別だったと言うことになる。したがって、いつまでも戦後の良かった時代の習慣にしがみついていることは出来ない。
また、最近大学でやたらと喧伝される「キャリア教育」なるものの怪しさを、本書を読んで再確認できた。「自分のキャリアを自分で作り出せ」「自分探し」「夢を追いかけろ」的なものはナンセ -
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どうせ安易なニート擁護の本であろうと期待せずに読んだのだが、ちゃんとしたデータに基いた精緻な議論がなされており、読んでよかったと思える内容だった。ニートの増加という「社会現象」を何の疑いも無く信じていた自分が恥ずかしくなった。無気力、怠け者といったイメージのいわゆる「ニート」ととして想起されるような若者は、ニートと定義される人々全体のなかではほんの一部に過ぎず、その数は以前と比べてあまり変化していないという分析には特に納得させられた。実体のない「ニート」という虚像だけが一人歩きして、そのような言説に基いて、政策や社会運動が進められているのは実に愚かしいことだと思う。本書は、ニートについて考え
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話題の新書として三宅香帆さんが進めていたので読んでみた。
東大の学生は首都圏出身者が半数というのは予想できる結果。進学校から有名大学にいくのは普通のルートだし、しかも親が「太い」家庭出身が多いところなど、経済的に豊かじゃないと受験競争には勝てないのだから当然の結果だろう。データでしっかり説明できているのでそれはそれでいいと思う。
海外を見たって、親の教育レベルが高い、それなりに中級、くらいのレベルの人たちの進学率が高いのはどこも同じである。海外と違うところは男女差が極端なところで、女子率が低く、女子の中でも地方出身者はとくに少ないことだろう。地方と都会がいろいろな面で違うということの表れかと思 -
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日本の学歴社会の頂点に立つ東京大学は、実は大きな格差を内在している。男/女、東京圏/地方という四象限で分析すると、マジョリティとしての東京圏男子と、マイノリティの地方女子の大きな格差が浮かび上がってくる。東大に入学してくる新入生の半数程度が東京圏男子であり、中高一貫校を経て鉄緑会のような塾歴を持ち進学してくるのが特徴である。地方男子が約30%、東京圏女子が15%と続き、地方女子は約5%となっている。
東大卒、という学歴に期待されるのは大きく2つの伝統的キャリアがあり、研究機関として世界に伍する最先端の科学技術を探求する研究者と、官僚養成機関として国家の中枢を支える公務員というイメージが先行し -
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本田先生×東大論は面白そうと思い、購入。
『教育格差』を読んだ時だったかな。
東大に入るには、結局は親の資本力だと知って、エリートは単純に学力・能力を指すのではないのだと、あらためて見せられた気持ちになった。
この本では、さらに東大卒女性のキャリアに焦点を当てることや、東大卒女性でも関東圏と地方出身者にはどのような違いがあるかについて、アンケートを元に提言をされている。
地方出身者で東大を目指す女性は、ある意味、女がいい大学行ってどうする、の枠組みから逃げること(または知ることのない)環境にいるとも言える。
こうしたジェンダーバイアスを脱却するために昨今盛り上がっている「女性優遇」は、 -
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ネタバレ日本は終わりだ、と言わないためのデータ分析。
学校、ジェンダー、職場、家族、人間関係など様々な場面の意識調査や統計を国際的に比較して日本の現状を分析しようとする本。著者の政権批判的な態度に反発してしまう読者もいるかもしれない。自分もそのような傾向がある。何を言ってもどうせ変わらない。誰かに任せておけばいい。学校で、職場で、ずっとそのように教えられてきた。それではダメだ、自分から動け、と言われても、ただでさえしんどい毎日で、自分からしんどいことをさらにできるわけがない。
しかし言わなければ変わらないのだ。言っても変わらない、言わなくても変わらない、ならば少しでも行動した方がいい。デモにネガテ -
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様々な国際データに基づいて日本という国が世界と比べてどういう順位か、日本という国はどうなのかをジェンダー、学校教育、経済、政治の観点から考察している。2021年出版なので少し古いが、世界から見た日本の立場は変わらない。かさらに格差は拡がっているかもしれないと思う。
問題点は明らかになってきているものの、なかなか改善まではいかない。
最後の文章には
nobody's free until everybody's free.
すべての人が自由にならない限り、誰も自由にならない。
という、アメリカで1960年代から70年代にかけて、人種差別に立ち向かう公民権運動で活躍したファニー