本田由紀のレビュー一覧

  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    語りかけるような、読みやすくわかりやすい文章で、様々なデータをあげ、他国との比較をしながら、日本のジェンダーや教育、政治などに関する問題を説明している。あまりにも問題が多くて暗い気持ちにもなるが、腐臭を放っていると自民党をしっかり批判する力強さや、現実を直視することから始めるのだという言葉に励まされる。

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    2026年09月30日
  • 新版 文系でもわかる統計分析

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    統計の本は数式が多く出てくるが、この本は数式があまり出てこず、また、対話形式で書いてあることで読みやすい。

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    2026年08月07日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    だいぶ放置してたけど読み始めたら2日でサラッと読めた。
    少し?けっこう?著者のバックグラウンドが反映されているな〜と感じる箇所もあったが、2021年時点での日本を他国と比較した客観的データをもとに理解することができた。

    コロナ関連のワードも散見されたが、なんだか遠い昔のような気がして、たった5年前の出来事を歴史の一部として捉えらえている自分がいた。

    2026年時点での日本ってどんな国なんだろう。。

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    2026年07月29日
  • 社会を結びなおす 教育・仕事・家族の連携へ

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    "男性は働き、女性は専業主婦となり、子どもは学校で教育を受けて卒業と同時に企業に就職"という戦後日本の社会がどのようにして成立したのか、他の先進諸国とどのような違いがあるのかがわかりやすく説明されている。他国との違いは、日本より進んでいるくらいかと思っていたので、人口、国際関係、エネルギー、自然災害などの偶発的で複合的な要因が絡んで日本の社会が独特なものとなっているということを初めて知って興味深かった。ほころびが出て維持することができなくなっている日本型社会から、どのような社会を目指すべきかという新しい社会モデルも提示されている。実現は簡単ではないものの、多くの人に参加してほしいと呼びかけられている。それは、社会は少数の人たちが都合のいいように作るものではなく、みんなにとってより良くなるようにみんなで作るものと著者が考えているからだろう。2014年に出版されているのに古さを感じないことに暗い気持ちになるが、私も参加したいと思った。

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    2026年06月14日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    本書は、出口治明さんの著書で触れられていたこともあり、興味をそそられたので手に取ってみました。

    著者は、日本の教育の原理的な特性を、「垂直的序列化」と「水平的画一化」という2つのキーワードで表現しています。
    「垂直的序列化」とは、相対的で一元的な「能力」に基づく選抜や格付けを意味し、「水平的画一化」とは、特定のふるまい方や考え方を全体的に要請する圧力で、「態度」と「資質」がそれと不可分の言葉だと指摘します。

    特に「能力」について、明治以降の書籍の丹念な調査により、その意味の変遷をたどっていく過程はとても興味深いものでした。
    かつては、単に様々な力を表現するだけの言葉であった「能力」が、徐々に優劣を決める測定可能なものに変化し、特に1960年代以降、学生の増加により普通科の高校が急増することもあって、「学力」(偏差値)による垂直的序列化が進んでいきました。
    しかし80年代以降は、学力偏重の反省もあり、「生きる力」や「人間力」といったものが「能力」を構成する要素として重要性を増してきたということです。

    この現象について、著者は、「学力」による垂直的序列化に対処しようとした政策が、皮肉にも「人間力」というもう一本の垂直的序列化の物差しを立ち上げたと指摘する一方、今世紀に入り法律や学習指導要領による「水平的画一化」の圧力も再浮上したとして、選抜と同調圧力が教室に充満する今、「水平的多様性」というベクトルを教育に張り巡らしていくことが必要だと主張します。

    著者曰く、「水平的多様性」とは、一元的な上下(垂直的序列化)とも均質性(水平的画一化)とも異なり、互いに質的に異なる様々な存在が、顕著な優劣なく併存している状態のことで、異質であることの価値を認め、排除を可能な限り抑制することにある、と定義しており、そのために必要な施策について、高校に焦点を当てた提言を行っています。
    この点についても、日本の教育制度の際立った特徴として、高校における普通科の比率の高さと専門学科の比率の少なさ(かつ序列内での低い位置づけ)を著者はその論拠として挙げており、高卒者の比率は過去から大幅に減少しているにも関わらず、(普通科が多いことで)高校には垂直的序列化が凝縮して生じていると論じています。

    本書における著者の主張については、表現的なものも含め全面的に首肯するものではありませんが、教育のあり方を考える上で大いに示唆に富む一冊でした。
    著者が解説を寄せる「実力も運のうち 能力主義は正義か?」(マイケル・サンデル)も読んでみたいと思います。

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    2026年04月20日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    日本の教育制度を振り返る本として、素晴らしい一冊であったと思う。
    本田さんが「あとがき」で指摘しているように、確かにデータなどが多く、一冊の一般書としては読みづらい部分もあったが、その分、説得力を持って、現在の日本の教育制度を包括的に提示していると思った。

    個人的な関心に寄せて、概要を振り返ってみたい。
    現代の日本の教育制度は、以下の三つの中心的な要素によって説明可能だ。
    「垂直的序列化」「水平的画一性」「水平的多様性」がそれであり、最初の二つが重視され、最後の「水平的多様性」が過小に取り込まれているのが現在の実態である。本田さんは、「垂直的序列化」×「水平的画一性」にとらわれる現代の教育制度を批判し、「水平的多様性」へとシフトしていくことを展望する。この点も、現状の批判にとどまらず、代替される仕組みをしっかり提案しているところに好感が持てた。

    まず「垂直的序列化」については、「日本型メリトクラシー」と「ハイパー・メリトクラシー」によって決定される。前者は従来から日本にあった「お勉強ができるかどうか」という「学力」の物差しによって測る能力主義であり、後者は「学力」以外の「人間力」「生きる力」を測る物差しを持った能力主義である。これまで「学力」という一本のみ出会った物差しは、「生涯学習」(生涯学び続けることの重要性が高まり、教育においても主体性、自己教育力の技能を身につける必要がある)や90年代の若者不安(オウム事件などの若者の「心の闇」の指摘)、雇用問題によって見直しを要請され、「学力」以外の要素を重視する「新学力観」(学びへの主体性を身につけさせるために、「指導」ではなく「支援」を重んじる)や「生きる力」といった要素が、新たな「垂直的序列化」の軸として追加された。(この新軸は、「関心・意欲・態度」などの曖昧な基準の導入をもたらした。)そして、この詰め込み的な「日本型メリトクラシー」の処方箋として本来打ち立てられた「新学力観」によって始められたプロジェクトが「ゆとり教育」なのだった。

    そして、「垂直的序列化」とは別次元的に、「水平的画一性」という圧力が日本の教育を支配している。これは「態度」や「資質」といった言葉によって象徴される。要は、この時代に生き抜くための「社会的性格」を育てるため、画一的な要素を全員に要求したものが、「水平的画一性」であり、例えば道徳教育の導入などはこれの具体例だ。また、この形成される「社会的性格」の問題点として指摘されるのが、「新自由主義」的なサバイバルに挑戦する性格にすること、日本に対する愛国的なナショナリズムを持たせた性格にすること、という方針が見て取れることだ。この「ハイパー教化」が「垂直的序列化」とは異なる大きな要素としての、「水平的画一性」をもたらしている。

    「垂直的序列化」では、「学力」や「生きる力」など、絶対的な物差しを提示することで、例え教育水準が高まったとしても、確実に敗者が生まれる。また、「水平的画一化」においても、マジョリティの意見が規範となり、その規範に従わないものは排外される。

    そこで重要となってくるのが、第三の軸「水平的多様化」である。「垂直的序列化」×「水平的画一化」の教育制度がもたらす、若者の無力感を解消するためにも、社会主義的な教育の寛容さが必要とされる。教育の実態は、日本という「国」の決めた制度がかなりの部分を方向づける。だからこそ、その全てを打開させるには、「国」による方策が不可欠なのだ。

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    2026年04月01日
  • 教室内(スクール)カースト

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    鈴木翔先生の教職科目を受講した際に本書のことを知り、手に取った。
    スクールカーストの定義やそれを考える意味については、自身の経験や教職課程の学びから持っていた印象と同じだった。3章から5章の生徒と教師の語りから探るスクールカーストの見え方や意味は生々しい経験が描き出されていて、すごく心苦しかった。生徒視点は大学1年生でまだしょうがないにしても、教師がスクールカーストを肯定的に受け止めていることが衝撃的だった。
    6章のまとめで出てきた図(P273 図6-1 「スクールカースト」のメカニズム)が、この研究で見えたスクールカーストの構造をきれいに表していて素晴らしかった。
    結局教師が生徒の目線にたって考えられていなくて、自分たちに都合よく解釈し、利用していることでこの悪習を助長しているのだと分かった。

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    2026年02月23日
  • 「東大卒」の研究 ――データからみる学歴エリート

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    たまたま、東大生の親はどんな家庭教育をしていたかという文脈でこの本の一部が紹介されていたが(地方は共働きの親が多くお金のかからない読み聞かせなどを重視しているという偏った内容)、本の内容自体は、そんな物見胡散ではなく、学内に内在する地域格差や経済格差を紐解き、それが日本の官僚や大企業の人材を排出する機関だとすれば内から検証すべきではと警鐘を鳴らすもの。

    地方から都内の大学に進学したものとして「あるある」と当時の思い出を抉られる内容。

    一つ目は地域格差。地方は公立進学校(中学受験していない)出身者が多い中、首都圏は私立中高一貫校の出身が多い。それはすなわち、親の学歴や職業の違いのみならず、当人の人脈(同じ学校出身の先輩同級生と日常に繋がっていられる)にもつながる。都内の大手企業や官公庁でも同様の状況が続く。公立の大学は設備も古いし、大人数の教室、教授によるケアも手薄だし、お金持ちの私学出身者がいきなり公立に落ちてきて満足できるんだろうかと疑問に思っていたが、彼らはそのぬるま湯の人脈の中で生きているんだから関係ないよなあ。東京私学出身の子とは仲良くなれなかったなあ(ただただ怖かったのだが、私なぞ視界に入ってなかったし、私と仲良くするメリットなかったんだろう)。

    二つ目は第一世代問題。アメリカで第一世代(親が大卒でない)学生でアイビーリーグとかに入ってしまった学生が途中で辞める話は聞いたことがあったけれど、米国の大学は学費が高い=ローンの重圧、みたいな話と相まって、日本を重ねて考えたことはなかった。でも古い例えだが、キューティーブロンド(だっけ。ウィザスプーンが弁護士になるやつ)で彼女が馴染めないシーンって、その問題をコミカルにしたものだったんだろうし、違う階層に紛れ込んでしまった一般人という意味では、日本の大学でも十分あり得る。その意味では、お金をかけて鍛えられた学力という意味で東大生もそうだが、幼少期からお金で築かれたエスカレーターを登れる某私大も凄そうだなあ。

    いやはや、私は過去を振り返らない(あの時代に戻りたいという気持ちがわかない)タイプではあるが、大学時代には戻りたくないという気持ちを新たにした(東大じゃないのに笑)。



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    2025年10月03日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    国際比較データが(リーディンググラス必須)多くて面白い。
    特に「(日本では)妻が家事を担当すればするほど不公平感が下がる傾向」を表すデータは初めて見るものだった。ケアレスマン、という造語とともに、広く伝えて欲しい。

    以下は考察、感想の記録
    ・小中学校の1クラス当たりの人数を減らし、(公立での)高校間格差が無くすこと,
    進学校化から個性化へ
    ・教員の待遇を改善し、中高でも女性教員が増えることでのジェンダーバイヤス克服
    それらに伴い、男女共に働き易く、家庭生活が充実する社会に変化していくと期待する。

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    2025年09月22日
  • 「東大卒」の研究 ――データからみる学歴エリート

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    今の日本の停滞の原因のひとつが「偏差値エリート」にある、と私は見ている。
    この新書は、「学歴エリート」ということばで、東大卒についてデータで掘り下げ、
    私の「仮説」を検証してくれている。


    序章、第一章、第二章で今の東大生の多くが首都圏の私立中高一貫校の男性であることを明らかにしてくれている。
    36校の有力校だけで東大生の半分を占めるという。36校の中には灘、ラサール、東大寺、久留米、旭丘、甲陽など
    首都圏以外が10校あるにはあるが、大半が首都圏。男子校が17校。女子高は3校。
    地方、女性、大学第一世代はマイノリティ。
    つまり、首都圏で両親が大卒で年収が一千万以上の男子が恵まれた環境から東大に入れる。入りやすい。
    大学生活でも地方女性第一世代は馴染みにくい。交わらない。これが就職、就職後にも影響し、「偉く」なりにくい。

    東大女子は結婚できない、は都市伝説。決してそんなことはない。ただ、相手の半分は東大生。
    子供に教育熱心だが、それが実を結ぶかどうかは別。

    東大生は必ずしも自己責任論を振りかざすわけではないが、再分配には消極的。

    私の仮説を肯定する内容だったと認識している。
    小学校の時から地元に馴染まず点数を取るだけの勉強を重ね有名中高一貫に入り、東大に入り、大企業や官僚になる。
    狭い社会しか知らない彼らはマイノリティの気持ちなどわかるはずがないのだ。
    そういう人間が政治をすれば偏った政策になるのは当然のこと。
    そしてたちが悪いのは、そういう誤った政策を「間違えていた」と認めないこと。
    コロナのような不測の緊急事態には失政も当然ありうる。
    間違えたらただせばいいだけのこと。しかしそれを認めず、あろうことかアベノマスクは口頭発注、などと嘘をつく。
    偏差値エリートのやりそうなことだ。
    政治家にしっぽを振って嘘の上塗りをするモリカケサクラはもっと悪いか。

    国家権力で人を縛ることのできる検察、警察に入れば、「こいつがあやしい、犯人に違いない」と目をつければ、
    それを「正解」として、なんとしても○を貰うためにあらゆる姑息な手段を用いて犯人に仕立て上げるのは目に見えている。
    最近やたらめだつ人質司法がそれだ。
    これは国民誰しも被害者になりうるから、失政よりたちが悪い。

    そういう人たちを生む土壌がこの国にある、ということがはっきりする新書。
    防止策は、東大自身が、そうした偏差値エリート、学歴エリートを生まないようにすることなのだが、、、
    今の入試の基準を変えるのは簡単ではないのだろうな。

    さらにいえば財務省をはじめとする役所や大企業が、学歴で採用しないことなのだが、、
    これも無理なのかな。選んだ理由を学歴にしておけば言い訳がたつから。人事採用の保身だ。
    負のスパイラル。
    今の日本はそういう状況にあるということ。

    マイノリティとまじわり、ダイバシティ&インクルージョンに目覚める場。
    これをどうやって作ればいいのか。
    かくいう私も中学受験組。たまたま大学受験の必要のない学校だったので、そういう苦労はせず、
    変なプライドは持たなかった。中学は教学だったが、女性との接点はほとんどなかったな、、口もきけない。
    運よく結婚できて、やっと女性と語り合うことができて(実は壮絶な口喧嘩だが)、
    ダイバシティを体感した、というところだろうか。

    そういうこともなく、自分が恵まれていることに気づかないまま権力を握ることの危険さ。
    世襲議員と相まって、日本を加速主義的に劣化させているように思う。

    令和の米騒動の原因も減反政策という失政を改めようとしない官僚と、それをコントロールできない政治家が原因。
    それを放置してきた国民。声をあげねば。


    序章 「東大卒」は日本社会の何を映しているのか(本田由紀)
    重なり合う象徴としての東京大学/知的優秀さの象徴としての東大/東大卒業生の社会的地位/東大の研究力は高いのか/東大に凝縮される「教育格差」/東大におけるジェンダーギャップ/闘争・運動・抵抗の宿る場としての東大/日本社会の現状と「学歴エリート」としての東大/東京大学を対象としたこれまでの調査など/東京大学卒業生に対する調査の概要/本書の構成

    統計用語の解説

    第一章 「地方出身東大女性」という困難――出身地格差とジェンダー格差(久保京子)
    東大生の地域・性別の偏り/なぜ「地方女性」に着目するのか/東京大学の地方女性を調査することの困難/分析に用いる方法/親学歴における地方と東京圏の格差/フルタイム率が高い地方女性の母親と無就業率が高い東京圏女性の母親/文化的資源の豊かな東京圏女性とそれを追いかける地方女性/地方女性の親子関係/読書量の多い地方女性、海外経験がダントツに多い東京圏女性/友だちは多くないが交際経験のある地方女性/誰に東大進学を勧められたか/地方女性の特徴/地方女性の困難/女性が少ないことや地方学生が少ないことへの問題意識/まとめと提言

    第二章 東大生の学生生活――「大学第一世代」であるとはどういうことか(近藤千洋)
    大学進学は教育格差の終わりか?/見過ごされたマイノリティとしての大学第一世代/大学第一世代の東大生は「男性」「地方出身」「共学出身」に多い/「東大に入学した理由」に見る大学第一世代の不利/大学第一世代は「実利志向」が強い?/東大に馴染めたのは誰か/ハラスメントや差別を受けやすいのは誰か/学業にはどう取り組んでいるか/課外活動にはどう取り組んでいるか/誰が・どんな人脈を形成しているか/学生生活の「大きな分断」/“不器用”な大学第一世代は就職活動でも不利?/まとめと提言

    第三章 東大卒のキャリア形成――学歴資本は職業的地位にどうつながるか(本田由紀)
    「学歴エリート」の職業キャリアとは/就労状態と雇用形態――働き方の分布はどうなっているか/職種――どんな仕事をしているか/役職――どのくらい「偉く」なっているのか/勤務先の規模――大企業に就職しやすいのか/転職経験――内部労働市場にとどまっているのか/収入――高い報酬を得ているのか/仕事の性質――どのように感じながら働いているのか/仕事における自身の性別の有利・不利/学歴資本は有効か/まとめと提言

    第四章 東大卒の家族形成――だれと結婚し、どんな家庭をつくるか(中野円佳)
    3つの問い/東大卒の女性は結婚できないというのは本当か?/女性の東大卒業生の結婚相手は半数程度が東大卒/東大卒業生の出会い/東大卒業生が結婚相手選びで重視したこと/東大卒業生の子どもの数/仕事と子育てを両立してきた女性の卒業生たち/東大卒業生の子育て、階層は再生産されているか/東大卒業生を親にもつ子どもは受験をしているか/まとめと提言

    第五章 東大卒は社会をどう見ているか――自己責任論、再分配支持、社会運動への関心からジェンダーギャップ認識まで(九鬼成美)
    なぜ東大卒の社会意識を分析するのか/なぜ格差や不平等に関する社会意識の分析が必要か/東大卒業生を育む学び、学び方、課外活動/東大卒業生はどのような社会意識をもつか/「自己責任意識」はどのように育まれたか/「再分配支持」はどのように育まれたか/「社会運動への関心」はどのように育まれたか/「ジェンダーギャップ認識」はどのように育まれたか/東京大学の学びや生活以外の社会意識への影響/専攻と学び方で育まれる社会意識は異なるか/まとめと提言

    おわりにかえて――座談会 「東大卒」を考える

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    2025年06月10日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    「古市くん、社会学を学び直しなさい!!」に登場した教育社会学者の本田由紀さんの本。初めましてだったがもう何というか頭の中のぐちゃぐちゃがスッキリ整頓された。
    自分の38年間の教師生活で抗いまくった思いをこんなにあっさり解き明かしてくれて感動した。その時々に学んできたものが一直線に説明され、なるほどの思いが強い。
    「垂直的序列化」と「水平的画一化」、頭に入った。
    本田さんの本の書き方はとても工夫されていて、感心した。なかなかこういう人とは出会わない。
    子どもの現在と未来に関わる人には、心から薦めたいと思う。

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    2024年11月26日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    垂直的序列化と水平的画一化
    ↓
    高校における普通科に偏ったコース編成の多様化
    イエナプラン

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    2024年08月16日
  • 教育の職業的意義 ――若者、学校、社会をつなぐ

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    ネタバレ

    教育現場では、人格の完成や学ぶこと自体の楽しさを重要視する傾向にあるが、本書での教育の視点=経済的利益、社会的効率(特に職業的意義)に着目して教育の有効性をどう担保していくのかについて指摘されている点が非常に面白い。

    確かに教育の目的を抽象化しすぎてしまうと、日本国という社会が教育にとって何を成し得るのかという視点が抜け落ちてしまう。

    社会学的視点で教育を見ることの重要性、面白さに気づかせてくれた本であるため、高い評価をつけた。

    昔から今まで、私の社会教育学を研究する上での指南書です。

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    2024年01月10日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    ネタバレ

    とっても面白かった。統計データの国際比較をもとに、日本がいったいどんな国なのか分析している。統計分析って面白いな。そういう勉強すればよかったな。

    ほぼ同時進行で読んでいた「学校がウソくさい」に書いてあった通り、国際比較データから見ても、日本の学校は異常に1クラスの人数が多い。なんとかしてくれ文科省。そして中学校の先生は世界一忙しい。(そんな現場で頑張ってきた自分をほめてあげたい笑)。
    ジェンダーの問題も日本は異常に遅れている。これは国際比較ではないが、自民党の政治家の過去の女性やセクシャルマイノリティに対する問題発言の一覧も超興味深かった。日本を腐らせ続けている古臭い考えに凝り固まった政治家たち、早く消えてくれ。
    じゃあそういう政治家を、有権者がちゃんと監視しなきゃいけないんだけど、日本の若者は投票率も低く、保守的らしい。保守的と言えるのかどうかを、さまざまな角度からのデータ分析で検証している。これも非常に興味深かった。
    日本の若者は保守的というよりは政治に非常に無関心。そして、かなり政治をあきらめている。自分も社会の役に立ちたいとは思っているが、政治を通してではなく、働いてきちんと税金を納める、などかなり消極的な方法だ。デモなどの政治活動は「過激」「迷惑」という印象をもっており、一部の極端な人がやっていること、と考えているのだ。
    学校で教員が政治的中立を保たなければならないことも、政治への無関心へとつながっている。身近な大人である教員が政治活動をしていたり、そこまでしなくても政治的な持論を披露したりすれば、賛成意見も反対意見も生まれやすくなるだろう。
    最後まで読んで、正解のない、複雑化したこの社会ではあるが、やはり民主主義を求めていくことは大事なのだと納得できた。民主主義が確立された現代(正解)に到達しているのだと考えるから矛盾が生じ、疑問が生まれてくるが、民主主義とは有権者が不断の努力をして、求め、守り続けるものなのだ。
    いろいろと納得でき、とても面白かった!

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    2023年07月28日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    ビデオニュースで本田由紀氏がでていて、前のめりで語っていたので久々に彼女の本を読むことにした。  以前は教育分野の本を読んだ気がするのだけど、そこにも教育に軸足を置きながらも社会を見つめていた著書だった気がする。
     ちくまプリマー新書からですところがいい。私も迷わず手にとった、これなら私にもすらすら読めるだろうと思ったから。果たして予想どおり、予想どおり読みやすいのだけど、表やグラフが多く、その読み込みが少し複雑なものがあったり、指摘されている部分が日本への苦言にとどまらず、自分にもグサグサと突き刺さってくるのでその辺りではすらすらとはいかず、読み淀んでしまった。
     兎に角、“日本”を知りたければ世界の中にいったん映し出して眺めないとその歪みも、微かな輝きも見えてこないことがわかった。自分を知るときも他者に交えなければならないし、地球を外から見ると人生が変わるというのと同じ原理だ。
     
     しかしてその処方箋の部分は少ないボリュームで物足りなかったので、紹介されていた他の著書で読むことにする。

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    2023年01月28日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    日本における人間の「望ましさ」とは何なのかを他国との比較や戦前期から近年までの日本の制度や政策を「能力」「態度」「資質」の言葉の用法に踏み込んで論じている。その中で、垂直的序列化は格差を生み、水平的画一化はふるまい方や考え方を強要(同調圧力)してきた背景があり、これからの時代には水平的多様化が必要であると著者は述べている。
    個人的にも格差や貧困、マイノリティ、少子高齢化や人口減少等を考える上でも、多様性や柔軟性は必須と考えるため、排除の仕組みを変えていくことや誰ひとり取り残さない政策は国としても、小集団のグループにしても必要と思う。そして、能力だけで人を判断するのではなく、多様な生き方を受け入れる社会が求められるのだと思う。自戒も込めて。

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    2022年12月27日
  • 「日本」ってどんな国? ──国際比較データで社会が見えてくる

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    世帯の主な働き主、多くの場合は夫であり父である男性、を企業組織に抱え込んでもらい、賃金などを長期に渡って保障してもらえれば、政府が本来責任を担うべき福祉などへの支出を節約できたからです、

    このような明快な言い方で、いろいろおかしくて相当やばい日本、日本政府、自民党をバサバサと。日本に居心地が良いという人の気が知れないけど本当に居心地悪さをデータと本田さんのバッサリざっくり率直な物言い、分析で斬ってくださるので気持ち良い、そして徒労感、不安。
    先のような理由でとても簡単な選択制夫婦別姓という選択さえできないんだよ。

    一つ一つのテーマとデータが絡み合い次の項目に繋がる。時代がつながる。そして分断される様子が若い人向けにわかりやすくしかし断固たる本田さん目線で貫かれていて頼もしく手元にいつも置いておきたい一冊となった。若い世代の方が手に取り選挙に行ったり日本では当たり前みたいに思わされてるけど本当はすごくおかしいことに気づいて声をあげたりできるようになれたら素晴らしいと思うし、若くもない自分たちがダンマリしてきた責任をひしひしと感じこれからでも自分たちを解放し未来を作れるような行動を取れたらと切に思う。本田さんの熱い言葉を忘れずに耳を澄まし目を凝らし今目の前にある現実は当たり前のことではなく、変えるべきことは変えて行こうと、そーゆー当たり前の感覚を広げていこう。

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    2022年02月07日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    ネタバレ

    現代日本の教育が垂直的序列化、水平的画一化により、人間の能力を教育が評価してきたのかを論じている。
    明治維新から現在までの教育の変遷から、能力による格付けがされていき、学ぶ意欲が欠けてきていることへの危機感が感じられた。

    具体的な数字を示すためのグラフや専門的な内容だったため読むのが大変だったが筆者の教育に対する熱意が伝わった。

    雇用もパートナーシップ型からジョブ型への移行が考えられていることや、高校の学科などが政府で議論されていることを知れたので、自分で情報を集めてみようと思う。

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    2021年09月13日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    私たち日本人が受けた学校教育が誰によってどのような人間になるように作られたものなのかを明らかにし、それが現在の日本の停滞感と閉塞感を生んでいると明らかにする大著。
    2020年現在はコロナ禍の中、貧困と格差拡大が社会問題として大きくスポットライトを当てられており、現状に対する一つの解答を提示していることはまさに今だからこそ読むべき一冊。
    特に漫然の学校教育の中で使われてきた「能力」「態度」「資質」などという抽象的な語の意味を読み解く良書。
    現役教員はもとより、教員を目指す学生や教育行政に携わる方々、目指す学生にとって示唆に富む一冊になるだろう。

    ・日本の低成長、停滞感の原因は教育にある。
    ・日本型教育の中心である垂直序列化(日本型メリトクラシー、ハイパーメリトクラシー)と、水平画一化が日本人の均一性を生み、イノベーションを生み出す妨げになっている。

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    2021年01月04日
  • 教育は何を評価してきたのか

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    感想メモ

    ①日本の若者は、高い一般的スキルを誇る一方、ウェルビーイングからは程遠く、その背景には日本の「垂直的序列化」と「水平的画一化」という独特なシステム構造がある。
    ②「能力」「資質」「態度」といった言葉は、歴史の中でその意味合いが変遷しており、その言葉の磁力が「呪い」として社会と個人に独特な影響力を及ぼしている。
    ③現状のシステム構造のオルタナティブとなるのは、「水平的多様化」であり、イエナプランはその参考となり得る。

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    2020年12月19日