本田由紀のレビュー一覧
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本田由紀さんによる追加考察
①「スクールカースト」のような集団間の上下関係が最も顕在化するのが教室内であるならば、その教室の構造にこそメスを入れる必要があるのではないか。
②「スクールカースト」が顕在化するのが教室内であるとしても、自分(たち)の押しの強さや有利な立場をよいことに、他者に敬意を払わず押しつぶすようなふるまいは、日本社会のいたるところに見られるのであり、そのようなより広い社会的な素地をももっと踏み込んで問う必要があるのではないか。
この2つのことについては、私自身も本書を読み進めていく中で感じていたことと同じだったので、私自身も教員としての経験を伊達に積んできたわけではない -
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「いじめ」という問題ではなく、「スクールカースト」という現象として教育の現場を探求していく一冊。
感情論になりがちなテーマに対し、アンケートやインタビューを用いた定量、定性の両角度から考察を行っている点は評価できる。(後半の教師陣の意見は極端すぎるとおもうが笑)
そもそも群れを作る動物は狼であれサルであれ自然に優劣をつける習性がある。生物学的にそのほうが集団での意思決定が容易だからだ。(サルで言う餌の配分、クラスでの文化祭の出し物など)このことを踏まえると、この本では「各人を尊重するような道徳教育を~」のような理想論ではなく、きちんと「環境を変える」や「感情をコントロールする」などの現実的で -
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スクールカースト…つまり、学校生活を送る上で教室内に必ずと言って良いほど存在する児童生徒たちの序列、ランク分け。本書はアンケートや教員・大学生へのインタビューなどを用いてスクールカーストについて少々粗くはありますが、考察されていきます。インタビューなんかは口調もそのままに記されていますので、その方のランク以外のものも自ずと見えてきて非常に興味深かったです。当たり前のことかもしれませんが、「私」は一人しかいないので、小中高の時間に「私」という一通りのあり方で身を置くことが出来ません。結局他の学校や他のランク、他の見方や経験は、他人から話を聞いたりこうやって本を読むことでしか知ることが出来ないのだ
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Posted by ブクログ
ネタバレニートのコアとされる「就業意欲の無い若年層」が増加していないという本田の現状分析には手堅さを感じるし、いたずらに心の問題に矮小化しニートの「鍛えなおし」を強調する論に対する内藤の構造批判にも説得力がある。ただ、先に内藤によりニート問題の心の問題化とその背景について分析がなされているので、最後の後藤による様々なメディアにおける言説批判が少々蛇足と感じられた。
一方でニートという言葉が「社会的ひきこもり」と混同されている現状への本書の批判は、残念ながら、「社会的ひきこもり」という現象自体を問題として捉え、再教育を促そうとする声には届かないのではないか?昔からいた裕福な家庭の「道楽息子」(内藤)が、 -
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「楜沢 小説をひとりで読むのが近代文学なんですが、もともとプロレタリア文学には、「壁小説」というのがあって、壁にはられた小説をみんなで読んで、みんなで考えるという手法があった」ー 223ページ
小説の出版数とかいろいろ厳しいと言われるようになって久しいし、今この時期に小説家になろうと思う人はよほどの酔狂か現実逃避者が大半なのだと思わざるをえない状況なのだが、それでも小説というものーーあるいは物語というものーーにあえて拘泥するのだとすれば、なにか別の表し方、手法について考えてみるのも必要なのだと思う。
そのあたり、星海社とかいろいろ実験的にやってて面白いと思うし、こういうところが盛り上がれば