本田由紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スクールカースト…つまり、学校生活を送る上で教室内に必ずと言って良いほど存在する児童生徒たちの序列、ランク分け。本書はアンケートや教員・大学生へのインタビューなどを用いてスクールカーストについて少々粗くはありますが、考察されていきます。インタビューなんかは口調もそのままに記されていますので、その方のランク以外のものも自ずと見えてきて非常に興味深かったです。当たり前のことかもしれませんが、「私」は一人しかいないので、小中高の時間に「私」という一通りのあり方で身を置くことが出来ません。結局他の学校や他のランク、他の見方や経験は、他人から話を聞いたりこうやって本を読むことでしか知ることが出来ないのだなあと、改めて思いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレニートのコアとされる「就業意欲の無い若年層」が増加していないという本田の現状分析には手堅さを感じるし、いたずらに心の問題に矮小化しニートの「鍛えなおし」を強調する論に対する内藤の構造批判にも説得力がある。ただ、先に内藤によりニート問題の心の問題化とその背景について分析がなされているので、最後の後藤による様々なメディアにおける言説批判が少々蛇足と感じられた。
一方でニートという言葉が「社会的ひきこもり」と混同されている現状への本書の批判は、残念ながら、「社会的ひきこもり」という現象自体を問題として捉え、再教育を促そうとする声には届かないのではないか?昔からいた裕福な家庭の「道楽息子」(内藤)が、さほど裕福でない家庭にも出現し始めたことへの社会の当惑が昨今のニート批判であるとするなら、ニートの一角を確実に占める「社会的引きこもり」に対する本書なりの処方箋(その必要性の有無も含めて)を示してほしかった気がする。 -
Posted by ブクログ
「楜沢 小説をひとりで読むのが近代文学なんですが、もともとプロレタリア文学には、「壁小説」というのがあって、壁にはられた小説をみんなで読んで、みんなで考えるという手法があった」ー 223ページ
小説の出版数とかいろいろ厳しいと言われるようになって久しいし、今この時期に小説家になろうと思う人はよほどの酔狂か現実逃避者が大半なのだと思わざるをえない状況なのだが、それでも小説というものーーあるいは物語というものーーにあえて拘泥するのだとすれば、なにか別の表し方、手法について考えてみるのも必要なのだと思う。
そのあたり、星海社とかいろいろ実験的にやってて面白いと思うし、こういうところが盛り上がればまだ未来はありそう。小説で定石、当たり前と思っているところを崩すとしたらどのへんか。一人で書くというあたりか、読者と一体一の対話というところか、紙媒体というところか文字媒体であるというところか、さてどのへんなのだろう。 -
Posted by ブクログ
筆者と同い年である。ここ数年来、メディアに登場することも増えてきた気鋭の教育社会学者である。教育と仕事と家族が研究テーマだそうだ。この本が初出されたのは2008年。くしくも安部首相が退陣したころだ。この本を今、読んでも当時と何も変わらないことに衝撃を受ける以上に、より選別や排除の論理が進んでいる気がする。一方では絆といいながら、選別と排除をテーゼとする人が人気取りを競っている。今の状況を変えていくには時間がかかる。かかるからこそ、一見、決めれない状況に見える。がらがらポンで一気に決めることより、よくよく考えながら行動する時間が必要であると思う。
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Posted by ブクログ
キャリア教育の重要性は確かにそうなんですが、当人にとっては今一つ実感が持てません。特に高校生などは、社会にはどんな仕事があるのか、抽象的にしか把握できず、興味を持ちたくても持てない現実があります。
僕らがまだ小さい頃の将来の夢はプロ野球選手やサッカー選手、ケーキ屋さん等が上位で、サラリーマンはランクインすらしていなかったように記憶しています。仕事の大多数はサラリーマンで占められているのに、どうして現実との齟齬が生じるのだろうか?と友達と議論しましたが、『サラリーマンは実際何をやっているのか分からなかったから魅力的に映らなかったのでは?』という結論に至りました。ということを思いだしました(笑)
知らないと対処できないことは多いので、キャリア教育自体は悪いことではないと思います。
ただ、本書に即して言えば、「役立っていない」というだけのことで、改善の余地があります。
仕事に対して、適応と抵抗の能力を高める教育が必要なのはわかりますが、具体策が少ない印象がありますし、内容的にはもう少し踏み込んだ議論を展開してほしいところです。
日本的雇用からの脱却や正社員と非正社員の二極化は破綻モデルとして認識するべきで、未だにそれらにこだわっている人々が多いのは残念です。
著者の主張は、これから社会に出てゆく若者に対しての提言であり、その成果が実際に現れるのは数年先のことでしょう。その間の空白期間にあたる若者(僕も含め)の対症療法を早急に立てなければなりません。
職はあるのに、なぜフリーター等が減らないのか。職業に対する需給のミスマッチの問題と、賃金のミスマッチが差し当たりの問題でしょう。
ハローワーク等の求人情報で紹介している賃金を見れば絶句します。いくら能力があってもワーキングプアは必死。生きてゆけない水準にまで買い叩かれた賃金では、一人暮らしなんてままならないし、パラサイト・シングルを生み出す結果ともなります。雇用の流動化は生まれないし、ますます所得階層の固定化に拍車がかかります。
個々企業ではそれが精一杯でも、全体を見渡せば、ますます景気が悪くなる循環から逃れられません。社会的ジレンマを抱えています。
そこで政府の登場ですが、まだまだ果たせる役割を全うしてるとは言えず、惨憺の念がこみあげます。
この際国債を大量に発行して、市場に金をばらまく政策もアリでしょう(実際ここ数年で議論されています)。
…本書の領域を逸脱した感想ですが、教育もさることながら、現状の対策も考えてほしいと願います。
教育に関しては鋭い指摘であると思いますので、僕の評価はA-にします。 -
Posted by ブクログ
4月、たまたまラジオをつけていたときに、本書に関連して教育のあり方について問う番組が流れてきました。その内容が自分も以前、疑問に思ったり気になっていることと少し重なっていたので、本書を読んでみることにしました。
全体的に私の頭には難しい言い回しで、消化し切れていない部分が多々ありましたが、ほんのちょっぴりは理解できたつもり。
本書で特に強く訴えているのは、以下二点の強化なのかな、と思います。
1. 業務・仕事に”適応”するための、実用的・専門的な技能と知識の教育
2. 雇用する側の不当な扱いに”抵抗”するための、雇用者としての権利に関する教育
“1”については実際に「もう少し学校で実践的な教育を受けたかった」と思ったこともあるので、おおむね賛成。ただ、そちらに偏りすぎるのも問題だと思いますし、人によっては汎用性の高い基礎学問の方を重点的に学びたい人や、そうしたスタイルが合っている人もいると思います。なので、教育スタイルの異なる学校が多く出来、生徒側が自分に合った場所(学校)を選べるようになるのが理想なのかな、と思ってみたり。
しかし、これにはもう一つ解決しなくてはならないことがあるような気がします。それは例えば大学への進学を決める際、将来目指すべき職業について知る機会が得られないこと。そして仮に目指す職業を決められたとしても、その職業に必要となる知識・技術が一体なんなのかを知る機会がないまま進路を決めなくてはならない、ということ。
できるなら、高校や中学でもOB・OG訪問を行うなどし、世の中にはどのような仕事があり、そこに適応するにはどのような知識があると良いのかを知るきっかけを与えてあげたいと思います。その中で興味がある職業が見つかったら、それに必要な知識を得るにはどのような教育機関を選ぶべきかを調べたり、親に相談したりできると思うんです。
現状のような、ただ進学の為の教育だけでなく、その先の人生を見据えた教育も出来るようになると良いと思いますね。
そしてもう一つ、“2”「雇用者としての権利に関する教育」。これは現在、大多数の人が学生時代に全く学ぶ機会がないがないのでは?
社会に出たら、ほぼ100%に近い人が雇用者としてスタートするはず。にもかかわらず、そのような教育が全くなされていないのは大きな問題だと思います。万が一、不誠実な企業が労働基準法に抵触する不当な行為を行ったとしても、知識がなければ雇用者側は自分が不当な扱いを受けていることすら知ることなく、経営者のされるがままになってしまいます。
この問題は…実は多くの人が必要と既に気づいているのかもしれず、解決に向けた動きが過去あったのかもしれません。しかし、企業側からすると“抵抗”のスキルを身につけた雇用者の存在は邪魔な存在に映りかねません。そして、そのような教育を行っている学校の卒業生というだけで、採用を躊躇してしまう可能性もあります。
なので、雇用者としての権利についての教育は、いっそのこと義務教育過程に組み込んじゃうのはどうかと。どのみちほぼ全員が社会人になるのであれば、全員が就学する小・中学自分に、本当に基礎的なことだけでも教えておきたい、と思いました。
本書にはいろんなことを考えさせられる、興味深い内容がたくさん詰まっていました。久々にじっくりと、小説ではない本を読んだ気がします。
ただ、本編少々文章が堅くてちょっと読みづらい感があります。「あとがき」は、生徒のインタビュー内容をベースに“現場”ベースで語られていて、本編に比べると読みやすい印象がありましたので、いずれ本書と同じテーマで、教育者の側、教育を受ける側、そして採用する側それぞれのインタビューを綴った本などを(もし、そのような本があれば)読んでみたいと思います。