本田由紀のレビュー一覧
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中高生向けに我が国を徹底解剖。
家族→ジェンダー→学校→友人(人間関係)→経済・仕事→政治・社会運動→日本と、議題の枠を広げていくことで最初から関心を寄せやすい構成となっている。「本書をきっかけに日本をより高い精度で理解しようとしていただければ…」執筆にはそのような願いが込められている。
解剖と書いたが、ズバズバ斬り込んでいる印象に近い。
まえがきで早速「日本は(悪い意味で)ヤバい国」とタイトル回収し、第一章では福山雅治の「家族になろうよ」で歌われる家族観が「古臭くて苦手だ」と明言している。以降も全体に渡って彼女のストロング・スタイルが睨みを利かせている感じだ。(特に自民党の不適切発言を列挙 -
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ネタバレ「スクールカースト」と呼ばれる、同学年の児童生徒の間で共有されている「地位の差」について、インタビューとアンケートで実態を明らかにしている。
あとがきの謝辞を読むと、著者が東京大学大学院教育学研究科に提出した修論がベースになっていると分かるが、本編を読んでいても論文っぽさをあちこちに感じる。インタビューは必要箇所を書き起こした上で、その回答の意味するところを一字一句誤りなく引用しながら解説していく辺りとか、すごく論文っぽい。でもそのおかげで、理解はスムーズに進む。とても分かりやすい。
スクールカーストにまつわる発見がいくつかあった。
「『スクールカースト』で下位に置かれている生徒が、『クラ -
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日本の問題点がデータによって浮き彫りにされている本。
最初から半分位は、ずっとフェミニズム的な内容で、日本の問題点をデータに表してるだけ。「日本ってどんな国?」じゃなくて「日本の女性問題」とか「日本の男尊女卑思想について」のタイトルほうが適当だな。当たり前のように自民党批判もしていて、子供向けに作ってる本なのに、内容は結構偏ってるなーと思って読んでた。
ただ後半は、データを示しながら日本人の性格や教育などが具体的に書いてあり良かった。
最近の若者の右傾化問題について、権威主義、ことなかれ主義、新自由主義的な面からアプローチしているのは面白かった。
読みやすいし、1度読んでみる価値はあると -
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私も『マル激』を観て「では処方箋は?」と思って読んでみようと思った。問題提起に対して回答が薄かったので、★★★★。
なかなか深刻なデータをここ数年多くの国民が目にするようになってきている。(ハズ)。なのに、なぜか多くの人はそのことに対する反応を自らで抑えているのか、あえてじっとしているような感じを受けてしまう。
もしかしたら、それは選挙における自分の1票の価値のように映っているのかもしれない。「どうせ俺の1票なんて何にも変えられやないし、、、。」的に。 人間自分の行動の手応えの想像ができないと、達成できないことと思い込んでしまうようにできている。新しい世の中はこの思い込みの壁の向こう側にある -
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マル激トーク・オン・ディマンド(第1136回)
『まず今の日本がどんな国になっているかを知るところから始めよう』
に触発されて読ませていただきました。
2014年6月に発行されていますが、今(2023年)読んでも古びるどころか身に迫ってくるようです。
戦後の日本社会を1973年のオイルショックと1991年のバブル崩壊をターニングポイントとして「高度成長期」「安定成長期」「低成長期」に分けて分析。
高度成長期〜安定成長期について仕事、家族、教育という三つの異なる社会領域の間が①きわめて太く堅牢で、②一方向的な矢印によって、結合されていること特徴とする「戦後日本型循環モデル」を提示。低成長期にこ -
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ネタバレ豊富なデータをもとに、世界各国と比較しながら日本という国の特徴がよく分かる1冊。
「自己肯定感低め」「今は経済発展が滞ってる」など、日本の現在について何となく理解した気でいたが、データをもとに具体的に書かれている本書を読んで、「今のままではダメだ」と危機感を覚えた。筆者の思惑に乗せられているところもあるかもしれないが、それでも今のままでは日本が衰退していってしまうことには変わりない。
日本国民の一員として、政治のニュースをこまめに見るなど、まずは小さなことから始めたい。
・生きる意味を見出してない若者がとても多い。
・賃金よりも人間関係重視で仕事をしている。
→ 仕事のやりがいや意義を -
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日本を諸外国と比べてマイナスなところを指摘している本。
まぁ、実際日本ってほんと生きづらい国だよねと思っていました。この本は、それをデータで示してくれていて、あ、やっぱ自分のこの気持ちって間違えていなかったんだなって思わせてくれて、とても力をもらえます。
あまりにも日本を下げているので読んでいて萎えましたが、現実をしっかり見ましょうと、政府は何やってんだと思ってしまいますね。
自助努力ももちろん大事かもしれないけど、日本国憲法に則れば、政府は国民のために政治をしなきゃいけないのです。世界と比べても、国会議員はぶっちぎりでたくさんお金をもらっているのに、職務放棄も甚だしいと思いますね。なんとか -
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「教育は何を評価してきたか」や「『日本』ってどんな国?」の中で触れられてきた、戦後日本型循環モデルと、その破綻、それから、新たな社会モデルについて述べたブックレット。
二つの循環モデルについて、よーくわかる。
戦後の循環モデルは、教育と家族と仕事が強固な一方向の矢印で結ばれていたが、それは、人口要因や国際関係要因、エネルギー要因、自然要因がしっかりと支えてきたから。そのため、いい大学にはいっていい会社に勤める。そのために勉強する、ということが目的となり、本来あるべき根本的な意味が喪失されてしまうという、自壊的な性質を持つものであった。
これが、バブルの崩壊により、一つの矢印が崩れてしまう -
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データをもとに日本とはどんな国かを直視させる本。本田由紀氏の本気は、あらゆるところで、あらゆる層に向かって発信し続けることから、十分伝わる。Twitterさえ、発信している。
東大の教養部の推薦入試にも、彼女の本「教育は何を評価してきたのか」から出題され、東大もまた、この国に対する危機感を強くしている。
この本は、若者向けに、まずはデータでエビデンスを明確にし、偏見の先入観のない日本人像を提示、そこから展望を導き出す。
結局、やれることは、「どんな属性の人にも偏見を持たずに敬意を払う」という、どこでも言われ続けたことになるのだが、データを示された後では、説得力が増す。
本田由紀氏を応援します -
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家族、ジェンダー、学校、友だち、経済・仕事、政治・社会運動といった各社会領域を取り上げ、客観的な国際比較データにより、日本がどんな国かを浮き彫りにする。
世界的に見て、日本には様々な分野で問題があるという状況がよく理解できた。ただ、著者の解釈や評価には疑問に思う部分もあった。
特に政権与党批判の部分については、一理あると思いつつも、客観的データで日本の状況を明らかにするという本書のコンセプトに照らしても、著者の主観が出すぎているように感じ違和感を覚えた。せっかくの良書なのに、政権批判色が強く感じられることによって、届いてほしい読者層にそっぽを向かれてしまうおそれがあるように思われる。 -
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最近聞き始めたPodcastに著者の本田由紀さんが登場して、この本の内容のさわりを紹介していました。ちょっと気になる内容だったので手に取ってみた次第です。
本田由紀さんは東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学とのことですが、本書では、政治・経済をはじめとして、社会運動・家族・ジェンダー等々に係る様々なデータを世界各国と比較し、「今の日本の実態」を顕在化させています。
そこに現れた現実の姿は大いにショッキングですが、実感として納得できるものばかりでした。それでは、その状況をどうやって改善していくのか。とても困難な道のりですが、諦めず、ゴールに向かってチャレンジしている本田さんの気 -
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日本という国のリアルな姿を国際比較データを用いて丹念に問い直す本著。中高生にもわかる平易な文章で書かれており、たいへん読みやすかった。
「家族」や「ジェンダー」の章で、日本の厳しい現実を示すデータが出てくることはある程度想定していたが、「学校」の章における、高校入試が行われるのは先進国では特異であるという指摘や、進学する高校でその後の進路が大きく左右され、かつ生徒の家族背景にも高校間で明確な格差があるという指摘には驚いた。昨今よく指摘されていることではあるが、学歴は本人の努力の成果とは言えないことがよくわかる。
また全章を通して、データから、日本人の自己効力感の低さや、家族や仕事への満足度 -
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ネタバレ教室内(スクール)カースト (光文社新書) 新書 – 2012/12/14
同年齢の学校内のクラスという中でも対等な関係というものはない
2016年6月3日
鈴木翔 による 著作
1984年秋田県生まれ。
群馬大学教育学部卒業。
東京大学大学院教育学研究科博士課程に進学。
現在 web で見ると秋田大学で助教をしているようだ
本書は鈴木氏の学術論文を一般向けにわかるように改めて加筆再構成した本である
率直に言って学生、大学院生などの一部の人間しか読めないようなものよりも広く世の中一般に訴えかけるべき内容の学術論文も数多くあると思われる。
本書はそのうちの一つであると思える。
結局同世代 -
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最初に日本の特殊な状況を示すデータと、その特殊な状況の要因になっていると思われる日本の教育の特徴が紹介され、それが歴史的に形成されてきた経緯が推察されています。
端的には教育が個々の人の幸せにつながっていない状況が浮き彫りにされていて、その原因として、「垂直的序列化」「(「相対的で一元的な「能力」に基づく選抜・選別・格づけ」)「水平的画一化」(「特定のふるまい方や考え方を全体に要請する圧力」)が挙げられています。
特に、具体的に職業につながるスキルの教育が手薄であるというのが興味深かったです。日本には普通科が多く、ひたすら一般的な能力や知識を養成される一方、具体的なスキルを身につける機会は