本田由紀のレビュー一覧
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世界的に高いスキルを持つにも関わらず、世界の中でも賃金が低い日本。このようなねじれや現代的な課題が生まれる要因に、日本独自の垂直的序列化と水平的画一化にあるとし、それを生み出しているのが能力、態度、資質といった言葉であることをデータと文献を基にあぶりだして見せてくれる。それを助長してきたのが教育であったというのは悲しい現実である。
言葉の定義に戸惑わなければ論の進め方は明快。迷った場合は最終章を読めばよく、非常に丁寧。
考えてみれば、学校は教育機関であるが教育の目的に沿った国民を育成する画一化のための機関でもある。学校の内、外では常に何かの競争があり、それが結果として個人や学校の序列化を生んでいる面は否めない。このような現状の学校のシステムでは不登校が増え続けるのは仕方ないように思えた。 -
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東大分析✖︎本田由紀先生。
教育、経験格差、再分配のされなさ、に、最近大変興味(と言うとなんか面白半分ぽくて良くないが、“問題視“というには行動が伴わなくて申し訳ない。)があり、また、仕事で東大生たちと関わる中で、そのエリート同質性(あまりに家庭環境が良い人たち、有名校出身者ばかり)に危機感を覚える中で、新聞で紹介された本。
本田由紀先生だし、きっと面白い。と思ったら面白かった。
何より私の中で新しかった、第一世代(非大卒の親を持つ大学生)と大卒の親を持つ学生との分断。
東大の中に、ジェンダーだけじゃない、複合的な分断や差別があること、なんとなくわかってたけど、はっきりと可視化された。
「第一世代の学生は、課外活動や大学外の人脈形成の取り組みに差がある。その結果、就職にも差が出てくる。」
また、衝撃的で落胆、失望したのは、
「すなわち、日本社会の中枢を担う可能性の高い東大卒業生たちの集団が、格差や不平等の是正に積極的でないという問題を抱えていることが示唆されています。」という結果。。。
日本の最エリートが、寛容性のない、ノンブレスオブリージュの精神を持ってないって。。。や、人による。人によるんでしょうけどね。そして、時代性もはらんでいる。が。。。
それぞれの課題に対して、対策も書かれていて、私も何かできないものか、と思った。
・第一世代への支援
・異なるもの同士が関わり深く理解し合う場の提供
できないものか。 -
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国際データで日本とは何か?その特徴をまとめた本です。
国際比較することで、日本の変だなというところがよくわかる。
読み終えてみると、「日本ってダメじゃん」という絶望感がひたひたと沁みる。
日本人の意識調査をまとめたものや、経済的な成長度などを上げたものなど、トピックが複数あるんだけど、どのトピックでも、日本のダメさ加減にうんざりしてしまう…。
人間関係の話で言うと、いじめそのものは少ないかも知れないが、真面目な人ほど友達が作れないし、いじめられやすい!とか。
家族関係への満足度が低いとか、お父さんへの敬慕の数値が低いとか…。
何より、本当は政治でなんとかしなくちゃいけないのに、そういう意識が国民にほとんど浸透してないってこたが、問題だと思った。
最近読んだ「反貧困」という本にも、日本の「自己責任論」への批判が述べられていたけれど、国民全体に「自己責任」という言葉が浸透していると、個人だけではなく、国力の問題にも繋がるなぁと思った。
セーフティネットの切り下げを行い、弱者を切り捨てている日本。
そのせいで、数年前の「すごい国」からは転落し、もはや発展途上国レベルに陥ってしまった。
サービス業が増えてますっていうのは特徴として知っていたけれど、それが国力衰退にも繋がっているのかも?というのも驚いた。
目先のことにとらわれすぎて、日本は本来持っていた豊かな資源を失ってしまったのかも。
かなりどんよりする内容だったけれど、この本の内容は多くの人に伝えていきたいと思う。 -
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中高生向けに我が国を徹底解剖。
家族→ジェンダー→学校→友人(人間関係)→経済・仕事→政治・社会運動→日本と、議題の枠を広げていくことで最初から関心を寄せやすい構成となっている。「本書をきっかけに日本をより高い精度で理解しようとしていただければ…」執筆にはそのような願いが込められている。
解剖と書いたが、ズバズバ斬り込んでいる印象に近い。
まえがきで早速「日本は(悪い意味で)ヤバい国」とタイトル回収し、第一章では福山雅治の「家族になろうよ」で歌われる家族観が「古臭くて苦手だ」と明言している。以降も全体に渡って彼女のストロング・スタイルが睨みを利かせている感じだ。(特に自民党の不適切発言を列挙したページでは、凄まじい怨恨が伝わってきた)
福山さんの件は「2020年の紅白でわざわざ歌う内容なのかな」と確かに思うことはあったけど、ジュニア向けだからといって自分の意見を勢いよく晒さなくても良いんじゃないか…?とたじろいでしまった汗
しかし、というか無論、彼女の意見は決して偏見ではない。
データから浮き彫りになった日本の問題点を中高生にも分かりやすく解説しているから、日本がちゃんと「ヤバい国」であることが立証されているし、単刀直入な意見も寧ろ的を得ている。
データもOECDといった国際機関や内閣府の調査を引用しており、非常に信憑性が高い。2000年代の調査結果が時折紛れていたが、結果的に違和感なしだった。(それはつまり問題解決がされていないということになるが…)
各章においても「何となく肌では感じていたが、いざグラフ化してみると愕然…」という事象が多かった。
教育費における生徒一人当たりの政府支出はOECD加盟国平均を下回り、家計負担を強いられている。男性の無償労働(収入にならない労働。多くは家事・育児・介護が占める)時間はデータのある30ヶ国の中で最低。入社時には何一つ交渉せず、キャリアの決定権を企業側に委ねている率が一番高い。
最後のキャリアについては、「メンバーシップ雇用」が元凶だと著者は語っている。「入社する=メンバーになる」という認識で、職務・労働時間・勤務場所は会社に従ってもらう我が国特有(特異?)の形態なんだとか。
他にも色々あるけど、(上記を含む)全体を通して言えるのは、国民が「そういうものだ」と開き直っているところにある。それは主観だろうと信じたいけど、残念ながらそれをよく表したグラフが存在する。
妻の平均家事分担率とそれに対する不公平感を数値化した図だが、分担率が34ヶ国中最高値であるのに対し不公平感が恐ろしい程低いのだ。
2000年代のデータから改善が見られないのも、こうした開き直りが蝕んでいるからでは?
本書はジュニア向けらしく、今一度周囲の環境を見つめ直し行動する勇気を持って欲しいといったメッセージで締め括られている。自分は自ずと今までの生き方を見つめ直していた。彼女のストロング・スタイルは効果覿面だったようだ。 -
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ネタバレ「スクールカースト」と呼ばれる、同学年の児童生徒の間で共有されている「地位の差」について、インタビューとアンケートで実態を明らかにしている。
あとがきの謝辞を読むと、著者が東京大学大学院教育学研究科に提出した修論がベースになっていると分かるが、本編を読んでいても論文っぽさをあちこちに感じる。インタビューは必要箇所を書き起こした上で、その回答の意味するところを一字一句誤りなく引用しながら解説していく辺りとか、すごく論文っぽい。でもそのおかげで、理解はスムーズに進む。とても分かりやすい。
スクールカーストにまつわる発見がいくつかあった。
「『スクールカースト』で下位に置かれている生徒が、『クラスメイトに馬鹿にされている』と感じる傾向が見て取れます。一方で、全体的に見ると、男女ともに中位の生徒が馬鹿にされていない傾向があるだけで、上位の生徒もある程度『馬鹿にされている』傾向がある」(p110)
「もともとハルキらが所属する『イケてないグループ』のメンバーが、みんなを盛り上げるようなエンターテイナー的な素質や能力を持ち合わせていないわけではない」(p128)
「彼女は上位のグループに入ったことで、『〈1軍〉の義務として』権利を使わなければならず、そのことに重責を感じていたということです。
先に示したとおり、彼女は、上位のグループに所属するということは『与えられる権利の数』が多くなることだと解釈しています。その権利は、与えられているだけで使わなくてもいいのではなく、権利があるからには使わなければならないのだと彼女は考えています。
そしてそれは、『〈1軍〉の義務として』権利を使わなければ何も進まないのであって、クラスの方向性や雰囲気を決めていくために、そうした権利を使うことは、彼女にとっては重責であったようです」(p137)
「たとえば吉田先生は、『スクールカースト』の下位に位置づけられる生徒は『100%将来使えない』と考えています。なぜならば、吉田先生は、勤務校の中で今年の就職の結果が芳しくないのは、『スクールカースト』の下位に位置づけられるような『気の弱いオタク』の生徒であり、企業はそのような人材は求めていないと考えているからです。
一方、たとえば就職の採用結果が芳しくなかったとしても、吉田先生が『強い系』と呼ぶような『スクールカースト』の上位に位置づけられる生徒のことは、それほど心配はしていません。というのも、彼らは『生き方』が『うま』く、『ゴマすり』などもでき、人間関係をうまく構築していけるため、たとえ仕事を辞めたとしても、『そんなに心配ではない』と吉田先生は考えているからです」(p246-247)
「松本先生も、『スクールカースト』による『地位の差』を、『なきゃいけない』ものだと考えています。松本先生も、『スクールカースト』は、『コミュニケーション能力』により成り立っていると考えており」(p261)
「一方、小林先生は、加藤先生や松本先生と違い、『スクールカースト』による『地位の差』を、『リーダー性』によるものだと考えています。『リーダー性』は、良い意味で利用している生徒も、悪い意味で利用している生徒もいますが、小林先生はそうした『リーダー性』を持つ生徒は、『才能』や『資質』がある児童だとみなしており、努力で得ることの難しい潜在的な能力だと解釈しています」(p261)
「生徒と教師は、ほぼ同じ状況を見て、生徒間の『地位の差』、すなわち本書でいうところの『スクールカースト』を把握していますが、その解釈にズレが生じているということです。
生徒が『権利の多さ』を軸とする、『権力』構造として『スクールカースト』を解釈しているのに対し、教師は『能力の高さ』を軸とする、『能力』のヒエラルキーだと解釈しています」(p273)
高校時代を思い出しながら読んだ。振り返れば、自分はスクールカーストでいえば中位から下位の人間だったと思う。上位にはかなり苦手意識のある人もいて、怒りを覚えたこともあった。敵意を見せることはなかったけど。
また自分の学校の場合、学園祭や体育祭などはスクールカーストがあいまいになりやすい時期だったように思う。自分も上位の人から一定の評価を受けたりするタイミングでもあり、そんな時は素直にうれしかった。
一方で、スクールカーストに関係なく自由にフラットな人間関係を構築する人もいた。いまでも親しく付き合っているのは、そんな人だったりもする。 -
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日本の問題点がデータによって浮き彫りにされている本。
最初から半分位は、ずっとフェミニズム的な内容で、日本の問題点をデータに表してるだけ。「日本ってどんな国?」じゃなくて「日本の女性問題」とか「日本の男尊女卑思想について」のタイトルほうが適当だな。当たり前のように自民党批判もしていて、子供向けに作ってる本なのに、内容は結構偏ってるなーと思って読んでた。
ただ後半は、データを示しながら日本人の性格や教育などが具体的に書いてあり良かった。
最近の若者の右傾化問題について、権威主義、ことなかれ主義、新自由主義的な面からアプローチしているのは面白かった。
読みやすいし、1度読んでみる価値はあると思う。
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私も『マル激』を観て「では処方箋は?」と思って読んでみようと思った。問題提起に対して回答が薄かったので、★★★★。
なかなか深刻なデータをここ数年多くの国民が目にするようになってきている。(ハズ)。なのに、なぜか多くの人はそのことに対する反応を自らで抑えているのか、あえてじっとしているような感じを受けてしまう。
もしかしたら、それは選挙における自分の1票の価値のように映っているのかもしれない。「どうせ俺の1票なんて何にも変えられやないし、、、。」的に。 人間自分の行動の手応えの想像ができないと、達成できないことと思い込んでしまうようにできている。新しい世の中はこの思い込みの壁の向こう側にあるということは歴史が教えてくれているというのに。革命家と言われた人たちは、おそらくそんな思い込みの壁が見えない奴らだったにちがいない。(革命家だけではない、実業家も、政治家も、何かことをなす人たちはみなそうだ)
戦後日本型循環モデル期に壮年時代を過ごした者たちはその運を自分の能力や実績と思い込まずに運だと認めて謙虚に残りの余生と資源を有効に引き継ぐことを考え、未来社会とそこに暮らす人たちを暖かく見つめる心を取り戻さなくては、如何なる政策も力を発揮し得ない。未来を生きる者たちだけでは背負うものが大きすぎる。どん底に落ちる前に目を覚まさなければ、、、。
と本田由紀さんがこの思いを綴ってからもう9年も経っているのか。
戦後減り続けてきた犯罪数が2022年からプラスに転じてきているという、社会のイタミの兆候が見え始めている。でも、私も含め周りの者はみなマクロな世界に目を瞑りミクロな世界の中を生きているように映る。 -
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マル激トーク・オン・ディマンド(第1136回)
『まず今の日本がどんな国になっているかを知るところから始めよう』
に触発されて読ませていただきました。
2014年6月に発行されていますが、今(2023年)読んでも古びるどころか身に迫ってくるようです。
戦後の日本社会を1973年のオイルショックと1991年のバブル崩壊をターニングポイントとして「高度成長期」「安定成長期」「低成長期」に分けて分析。
高度成長期〜安定成長期について仕事、家族、教育という三つの異なる社会領域の間が①きわめて太く堅牢で、②一方向的な矢印によって、結合されていること特徴とする「戦後日本型循環モデル」を提示。低成長期にこのモデルが破綻したと分析。
さらに新たな社会モデルとしてこの三者を結ぶ矢印が双方向的な社会を提示している。
日本の現状に危惧を感じている方、現状の打破を模索されている方に一読をおすすめします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ豊富なデータをもとに、世界各国と比較しながら日本という国の特徴がよく分かる1冊。
「自己肯定感低め」「今は経済発展が滞ってる」など、日本の現在について何となく理解した気でいたが、データをもとに具体的に書かれている本書を読んで、「今のままではダメだ」と危機感を覚えた。筆者の思惑に乗せられているところもあるかもしれないが、それでも今のままでは日本が衰退していってしまうことには変わりない。
日本国民の一員として、政治のニュースをこまめに見るなど、まずは小さなことから始めたい。
・生きる意味を見出してない若者がとても多い。
・賃金よりも人間関係重視で仕事をしている。
→ 仕事のやりがいや意義を見出せない。
・効率悪+賃金低のサービス業従事者が多い。
・自己責任の意識が強い。
→政治に期待しない・貧乏な友人を助けない。
・保守派が多い。改革派が少ない。