本田由紀のレビュー一覧
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戦後日本型循環モデルを見出したことは社会学の真髄であり、戦後の日本のカタチが分かりやすく示されている。
「家庭」、「教育」、「仕事」、この3つの社会的機能の新たな循環モデルを構築していく上で最も大切な視点は筆者の言うとおり「一方向」から「双方向」である。
特に「教育」の本質、つまりは学ぶことの意義とは、従来の循環モデルでいう優秀な人材を「社会に送り出すこと(進学・就職)」に限ったことではなく、「個人が豊かに生きること」ではなかろうか。
進学競争、就職戦線が人々をどんどん歪めていっている。就職し組織に入った後も、自己のキャリア形成という概念はどこ吹く風であり、学歴エリートほど「上を向いて歩こ -
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️p.6 同学年の児童や生徒の間で共有されている「地位の差」を、本書では「スクールカースト」と呼びます。
こう定義される「スクールカースト」。でもよくよく考えてみると、この「スクールカースト」なるものって学校生活の中でごくごく自然にあったことだろう。それに敢えて焦点を当てて論じたという意味で、この本には意義があると言えるだろう。
スクールカーストが発生する学校の「クラス」とは、全ての生徒がまったく平等であるという建前の下で扱われる集団だ。でもだからこそ、余計に地位の差、ヒエラルキーの差を作りたくなるものなのかもしれない。完全に平等であることに、もしかしたら人は耐えられないものなのかも。
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スクールカーストという名前付けはよいが、以前からあったものであり、アメリカなどでは学校で実際にカーストに近いランク付けが存在したりする。それらを、論文形式でまとめたものを新書にまとめなおしたという感じがした。
内容は、スクールカーストとは、いじめとの関係、小・中・高等学校のそれぞれのカーストと特徴、教師にとってのカースト制度、権力や風土などのまとめをしているが、今まで誰もが気が付いていたが言葉になっていないことを表した本ではないような気がした。
この手の本の問題は書き方の問題なんだろうか、それとも発想の問題なのか、自分にはわからなかった。 -
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3人の著者が、バトンをわたすようにして、それぞれの立場から「ニート」言説について切り込んだ本。問題意識としては「三者三様」という面もありながら、その中心点として「ニート」という言葉が析出するところに妙がある。
第一部の本田由紀のパートが、俗流「ニート」論のまやかしをわかりやすく示している。だいたいのところは
・統計で見れば、ニート(働く気がない若者)は増えていないし、以前からわずかである
・そもそもイギリスの「ニート」は、経済的に恵まれず低学歴な若者が社会から排除されるのを問題視するために生まれた言葉だった
・しかし日本では15~34歳までと対象が大きく拡大され、しかも「失業者」が除外 -
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小中高の学校に存在するスクールカーストと最近では呼ばれる、
生徒間での序列がどういうものかを解き明かそうとする本です。
前回読んだ、『桐島、部活やめるってよ』でも、生徒間の関係性の「上」「下」
というものがでてきました。きっと、僕が高校生だった90年代の中頃よりも、
そういったものがクリアになってより子どもたちをひっ迫しているのかなぁと
思って読みました。そして、読んでいるうちに、自分が学生だった頃の、
スクールカースト的な序列というものも思い出してきて、
今考えればそう分類されるのかなと新たな視点からとらえ直すことになりました。
きっと、ほとんどの人が感じたことがあると思いますが、
あの人 -
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言ってることは正しいけど、それはもうわかってるでしょ、
とどうしても思ってしまう内容。
"ニートとひきこもりを近似値で見ること自体が間違え、更に言えばひきこもりを否定的に見ること自体が間違え(要約)"
"典型的なのは、2003年に内閣府が刊行した「平成十五年度版国民生活白書」における認識です。この白書の中では、「フリーター」問題は企業が若者、特に新規学卒者の採用を抑制したことから生じており、一番重要な原因は企業側にあると言い切っていました。"
ニートという単語が張り切る前にフリーター論がそういう風に転んでいたのは初耳でした、おしい。
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ネタバレ淡々と。
読み物というより、論文的な構成ですので、楽しんで読む本でもないです。
まず現状として、
・増加する非正社員側の苦境:低賃金と脱出の困難さ
・正社員側の苦境:過重労働化と、年功序列による賃金カーブの傾斜の鈍化
という事態が呈示される。
「若者」の中での非正社員の増加は最早一般常識として、
正社員側の労働環境の悪化についてはまだ浸透した認識とは言えないし、
個人的な実感としても議論の余地がありそうに思う・・・
自分の勤め先について言えば、過去においては「実質」の労働時間と、データとして提出される額面上の労働時間とにかなりひらきがある。
まぁそういう(法律に引っかかるような状況は)1