森晶麿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今回の作品が今までの中でもっともミステリーっぽかった。というのは、それまでの作品が相当程度美学寄りだったが、今回のモノはそれよりも少し日常寄りだったから。
「文学作品を土台にして」というところがしっかりミステリーとして活かされてたという気がする。それに違う場所で「時間」を同じくするような構造はまさにミステリーっぽい。
今回の作品は、これまでであれば3枚目的なポジションに近い「付き人」が探偵役としても自立した気がする。物語の構成上、そうならざるを得ないのかもしれないけども、そういう成長の上に黒猫との関係があるだろうし、その結果として、単なる探偵の助手ではなく、ある種の専門家として探偵的な役割 -
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ネタバレやはり小難しい。だがそれがいい。
芸術を「見る・感じる」だけではなく、「理解をする」ということはこういうことなんだなと本当に思う。そしてそれはけっこう大事なことなのではないだろうかと思うし、その感覚は何事にも通じる。
それを学ぶためにこの本を読んでるわけではないんだけども(笑)、それを自分の中に落とし込まないと、ミステリーとしても理解できないのだから、しょうがない。
ただ、そのせいなのかどうかはわからんが、登場人物の熱量はなんとなくみんな低めな気がする。そうすると同期の部分で弱くなりがちに感じられて、そこが難しいところかもしれないなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物事を解釈するということはこういうことなんだろうなぁと思った。本筋とは全く別な話だけども、美学とはこういうものかというのがわかっただけでも意味があった。
ミステリーとしては、人が死ぬことがあるにも関わらず、淡々とものごとがすすんでいく様に日常なのナゾなのかとおもわされる不思議なペースがある。謎解きも「美的推理」という素人が介在できない小難しさがあって、読者としては入り込めない感もあるが、逆にそれが作品の魅力とも言えるような印象。
大げさに持ち上げるつもりはないけど、ある意味難しいナゾを婉曲的に解くという古典のような作品なのかなと思った。 -
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黒猫シリーズからの流れで、この作者さんの作品を何となく読んでいるが、偽の葬儀を行う「葬偽屋」と言う突拍子もない設定に期待せずに読んだのに、見事に裏切られ、号泣することに…
保険の調査員だった主人公・セレナは調査で結果を出せず、悩んでいるところに、恋人を突然事故で失う。
仕事も恋人も失ったセレナは、親からの金の無心からも逃げるように自殺を試みようとしたところを殺生歩武に助けられ、4か月の間だけ彼の仕事「葬偽屋」を手伝い、自殺を考え直すことに。
「葬偽屋」の仕事を手伝ううちに、依頼人の人生を通じて、生きることの意味を考え、立ち直っていくセレナの姿が描かれているが、とらえどころのない歩武の発言が適度 -
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主人公の華影忍がなかなかの最低男。お金にも美貌にも恵まれながら死にたがり、そのくせ女癖が悪く、妻以外の女性と心中未遂。
知らず読んだけれど、『四季彩のサロメ〜』の続編らしい。
そちらは華影の高校時代の話らしく、『心中探偵』だけでは、彼の厭世的な感じが分かりにくかったので、やっぱり順番に読んだほうがいいかも知れない。
物語は、主人公が行きずりの女性と服毒心中をしたところ、翌朝自分だけが目覚め、傍には見知らぬ女性が死んでいた。自分が昨夜一緒に死のうとした女性は誰なのか、事件の真相を探り始めるというもの。
華影の性格は置いておくとして、ミステリとしては面白かった。死んだ財閥令嬢や、彼女の兄である -
Posted by ブクログ
独立しても読める物語だけれど、やはりここは事前に主人公華影忍の高校時代を描いた「四季彩のサロメまたは背徳の省察」をぜひ。
成長した彼は新鋭の作家となり厭世感を強くしたものの、女に甘いのも性にだらしないのも相変わらず。むしろ大人になった分その行動は危うげで、女を疑う事を基本しない忍はその計略にあっさりとひっかかる。
共に死のうと誓ったはずの行きずりの女は一人で命を絶ち、何故か生き残った忍は彼女の素性を知るために担当編集者を巻き込んで奔走する。
彼と一夜の愛を交わした女は誰なのか。ソフトボイルドな探偵行の果てに知るその正体と行動の意味と原因はある意味とてもグロテスク。
高校時代の事件に続き、今回 -
Posted by ブクログ
ネタバレ黒猫の回帰の文庫版が出たので再読。最初に出会ったのは大学生の時だったので、久しぶり。
「月まで」と「月と王様」は互いに相互的関係にあるなあと思った。そして今後の黒猫と付き人の関係にも……。
「壁と模倣」「頭蓋骨の中で」はどちらも悲しいひとりの人間の物語だった。〈自分〉を持たなくなった青年と、〈自分〉とのせめぎ合いに苦しむ人の話。後者は生と死の相反するようで同じところにあるものという解釈を初読では持っていたので、また違う楽しみ方もできた。
「水のレトリック」は初読では、イマイチ理解追いつかずだったけど、今回はなんとなく理解。詩的というか言葉遊びの世界というか。
「秘すれば花」の存