森晶麿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ偽の葬儀を請け負う葬“偽”屋を舞台にしたシリーズ第2弾。
ブラック企業の告発や若い頃の忘れられない恋、明るみに出ていない犯罪に、息子の行く末。
それぞれの思惑を秘め、偽の葬儀を望む依頼者たち。
一歩間違えば詐欺みたいな話だけど、そこには彼らなりの切羽詰まった事情があり、切ない想いがある。
三つ目の「書物に頼りすぎた男」が一番ミステリーぽくもあり面白かった。作中に出てくるアルチンボルドの絵を知っていればもっと楽しめたかなと残念。
そして、全編を通して語られていくセレナと母親との関係。血が繋がっているからこそ、遠慮がなくなり、うまくいかない場合もある。
自分の死を考えた時、やり残したことはな -
Posted by ブクログ
SNSで親友の失踪を知ったジャーナリストの菜摘が、彼女の家族や知人たちを訪ね、失踪の理由や彼女の行方を追っていく物語。
いつも自信なさげで自分の意見を主張することが出来ない親友 麻衣亜を、自分が守ってあげなければと考える菜摘。
最初は、その上から目線で独善的な感じがどうにも鼻について共感しにくかった。でも、彼女を探す過程で、自分がいかに物事を一面的にしか見ていなかったかに気付き、新たな一歩を踏み出す姿に少し親しみを覚える。
待機児童問題にまだまだ弱い女性の立場など、社会問題を詰め込んだ感があるのと、後味があまり良くないので評価は少し低め。
それにしても、フィクションとは言え麻衣亜の不運さ -
Posted by ブクログ
父親と同じ道を目指し始めた主人公は
大学に出ていた広告代理店の求人に応募する。
連続短編で、飄々とした社長と
色々な課題に取り組んでいきます。
他の従業員は、営業とデザインだけという
出来立てそれほど時間がたってない感じの会社。
いつまで経っても、主人公の名前が出てきません。
亡き父と昔仕事をしていた
上司たる彼の名前も出てこない。
あだ名だけだな~と思っていたら、ようやく1回。
彼が気が付くほど、珍しい苗字らしいのですが
いつまでも出てこない…と思っていたら、最後に。
全編通して亡き父の話がちりばめられていて
最後の最後には! という状態でした。
これは確かに、最初に出てきていたら
駄目 -
Posted by ブクログ
「葬偽屋と弔わない」の続編。
セレナが歩武の元で働き出して、12か月。
お金の無心ばかりする両親から逃げるように、歩武の元で働いていたが、母の命が残り少ないと連絡が入り、セレナは転職を決意する。
しかし、転職先はブラック企業で、過労で倒れた上司に対する会社への怒りから、セレナは歩武に「葬偽」を依頼し、会社へ復讐することを決断する。
しかし、歩武の返事は全てセレナが仕切ること。
初めて葬偽を仕切ることで、セレナの中で「葬偽屋」への意識が変わっていく。
歩武、セレナ、黒村の3人の関係性がとてもいい。
文章が軽いタッチでありながら、死を通して見える人間関係も考えさせられるものが多い。
「黒猫シリーズ -
Posted by ブクログ
ジャーナリストの菜摘は、親友だと思っていた麻衣亜が幼い息子を連れて、行方不明になっていることを麻衣亜の夫のSNSの書き込みで知る。菜摘は麻衣亜の行方を探そうと奔走するが、彼女は何故失踪しなければならなかったのか?
その背後には待機児童問題、職場でのセクハラ、レイプなど、数々の問題が浮き上がり…
ほとんどが菜摘の視点から描かれるが、時々挟まれる女刑事の山口の視点がラストまで絡みが分からないところが、かなり興味をそそられた。
しかし、親友と言いつつ、失踪を夫のSNSで知って、しかもその理由を探る菜摘の苦悩する姿が、一人よがりで何とも理解し難い。