森晶麿のレビュー一覧

  • 黒猫の約束あるいは遡行未来

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    フランスにいる黒猫がイタリアに出張。相変わらず面白い黒猫のお話だが、今回は建築と映画を中心に据え、物語の構造が複雑になり面白さが増している。また、恒例となったポオ作品の美学的解釈だが、今回は「メエルシュトレエムに呑まれて」を付き人が解体してみせる。院に進んでかなりレベルアップしているようだ。あらかじめカントの「純粋理性批判」を予習しておくとより楽しめるだろう。

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    2014年10月10日
  • 黒猫の薔薇あるいは時間飛行

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    黒猫シリーズ第3弾。黒猫の渡仏から半年。パリと日本で、黒猫と付き人がそれぞれ謎に挑む。今回のテーマは、ポオの『アッシャー家の崩壊』に『万葉集』、『星の王子さま』と盛り沢山。そしてキーワードはタイトル通り時間と薔薇。美学講義の部分は理解できたとは言えないけれど、2人の薔薇のような女性をめぐる恋が切ない。
    別々のものでありながら、共通点が多く、やがて繋がっていくふたつの謎。離れていても、どこか繋がっている黒猫と付き人の関係を表しているよう。相変わらずじれったい2人だけれど、ようやく自分の気持ちを認めた付き人さんが、どう動いていくのか楽しみ。

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    2014年09月18日
  • 名探偵だって恋をする

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    宮内さん目当てで購入し、やっぱり「空蜘蛛」が一番好みだったし、この短さの中で、物語と人物描写のみならず細かな部分(音楽や服装等々)も「抜かりなし」で満足。
    影響されて、しばらくパッサカリアばかり聴いてしまった。

    アンソロジーゆえ、他4人の、今まで読んだことがないラノベ系作家さんの作品に触れられたことも良かった。失礼ながら、どなたも存じ上げなかったし、好みはあるものの、購入して損はなかった。(アンソロジー集は、半分以上の作品を気に入らないと、失敗したと思う)

    他作品では、椹野さんの軽めの探偵ものが特に気に入った。舞台がイギリスなのも好み。貴族探偵エドワードシリーズを読みたくなった。

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    2014年06月28日
  • 黒猫の薔薇あるいは時間飛行

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    渡仏した黒猫と、日本で研究に励もうとする付き人。
    同じ植物園、その植物園を作った植物学者、酔芙蓉、そして同じポオの作品。日本とフランスで、離れていても同じものをキーワードで謎を解決しようとする二人と、大切な人との時間。距離は離れて、二人が違う謎を追っているのに、共有しているような感じでした。二人の隣にはいつもの人がいないというところがとても寂しい。
    プロローグのシーンも意味ありげだったけれど、読んでみて納得。
    今回は二人が会話を交わすシーンがとても短かくて、付き人が、黒猫を想う気持ちがひしひしと伝わってきた。けれど、黒猫も同じなのでないだろうか、と思うところがあって、読んでてにんまり。このお話

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    2014年04月04日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    シリーズ2冊目。美学講義の割合が少ない分、長編でしたが、前作より読みやすかったです。
    事件は、とても悲しいもので、動機もこの作品ならではの解釈だなと思いました。黒猫と付き人の関係も、今回はすれ違く、どこか離れ離れになってしまってもろく壊れてしまうのではないかと思ったけれど、ところどころに、黒猫の付き人に対する想いのようなものが表れていて結果的に少し近づいたのかな。遠距離となってしまう黒猫と付き人だけれど、次作ではどうなるのか気になります。

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    2014年04月03日
  • ホテル・モーリス

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    劇場型ミステリーと謳われていますが、シチュエーション・コメディのほうが近いかと。
    シットコムが好きだという方、特に、三谷幸喜監督の「THE 有頂天ホテル」やドラマ「王様のレストラン」あたりがお好きな方には、おススメです。

    勤めている叔父の会社から、期間限定でホテルの支配人として出向させられた准。
    出向の理由もワケありなのだけど、そのホテルもかなりのワケあり。
    かつては伝説のホテルマン「星野ボレロ」が完璧な仕切りで有名人も御用達の一流ホテルだったのだが、彼の突然の死により、現在は見る影もない寂れ具合。
    そこにつけこまれたのか、今のお得意さまはなんとギャング。
    慣れない支配人の仕事と毎日やって来

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    2014年02月27日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    ネタバレ

    前作同様、緻密な論理と読めない展開が面白かった。ガラスの解釈が印象的。読み終わって少し怖くなったが、続けて読んだ3作目で緩和された。

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    2014年02月05日
  • 黒猫の遊歩あるいは美学講義

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    黒猫シリーズ一作目。完全なるジャケ買い。若くして助教になった黒猫とその付き人の話。内容は難しく、しかもポーの作品など読んだことがないのでわけがわからないが、二人の微妙な関係が逆にいい。

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    2014年01月21日
  • ホテル・モーリス

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    ホテルを舞台にしたうっすらミステリ。
    「グランド・ホテル」とか「ベニスに死す」とか、ホテルが出てくる映画をちょっぴり紹介してある。面白い。

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    2013年11月04日
  • ホテル・モーリス

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    経営が傾いたホテルの支配人になれと。ギャングが定宿にしていて、近々ギャングが大集合する宴会がある。逃げ帰りたいけど、素敵な未亡人がいたので頑張っちゃう。テレビドラマになりそうなスピード感と人情にあふれる物語です。

    だけど、昨今の銀行の件もあり、現実問題としては電波に乗せられないだろうな。だから、本を読んだ方がイイっすね。

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    2013年10月26日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    1巻目よりは理解できた気がする。長編になっていて、恋愛もの?
    バレエの描写が丁寧で、見に行きくなる。黒猫と付き人の関係がいい感じ!

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    2013年10月23日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    掴まえたと思ったら、逃げていく。論理も恋も猫の歩みのように優美で掴みどころがない。今回は長編。バレリーナとガラス。儚い。脆い。透明感、やっぱり美しいのだ。黒猫のすべてが、付き人ちゃんへの愛を物語っているのにそれに気づくのは物語の外にいる我々だけ。前巻に続きまして、黒猫は!いいかげん!付き人ちゃんへの愛を言葉にしなさいよ!

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    2013年10月18日
  • 黒猫の遊歩あるいは美学講義

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    美学っておもしろい!
    と思ったけど難しい。私の理解を越えています。
    あんまりミステリーって感じはしないかも。
    短編集だし、読みやすいと言えば読みやすい?
    登場人物が魅力的。
    表紙もすごく綺麗です。

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    2013年10月18日
  • ホテル・モーリス

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    黒猫シリーズ以外の森さんを初めて読みましたが、すごく好きでした!
    支配人のトークのセンスとか、物語の展開とか。

    出てくる皆様も魅力的。ぐんぐん読めました。

    この方の言葉の選び方や語り口、すごく好きです。ハイセンス!!

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    2013年10月18日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    黒猫かっこいい!一作目が短編だったため、だから読みやすかったのかな・・・?と二作目長編に少し不安を持っていたが、面白かった。メインのキャラもいいが、黒猫の友人が才色兼備ぞろいなこととか、才能があるからこその考え方苦悩などがわかりやすかった。本作の本筋であるバレリーナ等の話に加えちゃんと黒猫と付き人の関係が変わっていくのがよかった。三作目が楽しみ。続いてほしい。

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    2013年06月25日
  • 黒猫の薔薇あるいは時間飛行

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    じーんと来た。
    今回は日本とパリで起きたせつない恋のミステリ。

    相変わらず黒猫と付き人の関係はもどかしいままだけど
    黒猫風に解釈するならば
    外的距離は遠くなるばかりだけれど内的距離はいつも寄り添っている感じ。
    なんだかこういう関係ってうらやましいなぁ。

    今回はちょこっとしたか登場しなかったけど
    付き人母のキャラがとても好きだ。
    こちらを主人公にスピンオフ物も読みたい!

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    2013年03月10日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    上質なワインを飲んでいるかのような気分を味わえるミステリ。
    美しくておいしいけれどちょっと渋くて読み終えた今はほろ酔いの心地よさ。
    作品全体からグラス越しに見る景色のような透明感を感じる。
    これも透化運動?

    前作は短編集だったけどこのシリーズは長編が向いてる気がする。
    美学講義もよかったけれど今作の方がわたし好み。

    さて、パリに行ってしまった黒猫とその後の付き人との関係は如何に?
    次を読むのが楽しみだー

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    2013年03月03日
  • 黒猫の薔薇あるいは時間飛行

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    実に洗練されたセンスで、文学はもとより古今の音楽から美学までの芸術論をたっぷりと盛り込んだぺダンチックなミステリで、これがシリーズ三作目にあたるという。

    出版リストの題名に惹かれて、初めて手に取ったのだけれど予想外の面白さ。語り手の「付き人」の立場から見ると、これはミステリというよりは、なかなか前へ進まぬラブ・ストーリーに思えてくるほど。

    iいささかスノッブで、うんちくたっぷりの芸術用語のオンパレードや小難しい言い回しの連発に閉口する向きもあるかも。

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    2013年02月13日
  • 黒猫の接吻あるいは最終講義

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    「ガラスは存在を認められながら、一方で透明であることを求められる。」
    美学が核となっていて、理系なものとは全く異なった推理のミステリー。

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    2013年01月12日
  • 奥ノ細道・オブ・ザ・デッド

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    芭蕉=忍者説をベースにゾンビ映画のテイストを取り入れたロードムービー調のサバイバルホラー。芭蕉がばったばったと忍者の技で屍僕(ゾンビ)の首を飛ばしつつ歌を詠み、それに付き従うのが女装男子の曾良という、頭が痛いというか頭が悪い話で、これを日本人が書いたというところがポイント。毛色の変わったホラーを読みたいときにお薦め。

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    2012年08月26日