高橋義孝のレビュー一覧

  • 魔の山(下)

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    ナフタがとても好きだ。
    現実的なのは病であとは精神的世界と教養的世界で語られていたように思う。

    ナフタの最期とハンス・カストルプを目覚めさせた戦争がそれまでの世界とのギャップでくらくらした。

    ナフタが出て来てから物語は飛躍的に面白くなったけど、上滑りしたら意味ないのでじっくり読んだ。

    作中語られるように確かに錬金術的物語だけど、重要なテーマの一つとなっている「時間」についてをあの魔の山の上で描くのなら理想的な長さの作品だと感じた。

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    2010年07月31日
  • みずうみ

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    「みずうみ」「ヴェローニカ」「大学時代」。お馴染み、高橋義孝訳です。「みずうみ」もまた、老人の回想という形を用いた枠物語と言えますね。訳者あとがきには、「……愛と死の関係をシュトルムほどにこまかに描きだした作家は少ないだろう。リヒァルト・ワーグナーを除いては。」とあります。ワーグナーでも聴きながら読むといいのでしょうか。私の元にあるのは、昭和48年のもので¥100です。

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    2011年07月19日
  • 魔の山(上)

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    10年以上前に読んだのですが、難しいことはわからなくても雰囲気が大好きで、何度も読み返した記憶があります。おそらく私にとって読みやすい文体だったのと、当時自分が療養生活を経験していたので共感する部分も多く、退屈しないで読めたのだと思います。サナトリウムでの療養生活の細かな描写や、そこに集う人々の人物描写が面白いと同時に興味深かったです。今読み返すと全く違った感想を持つかもしれません。ちょっと気力が持たなそうですが…

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    2009年10月04日
  • 魔の山(上)

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    思ってたよりガチガチの内容じゃなかったです。上巻は気軽に読めます。でも下巻はちょっとハードだったかな。脳みそが沸騰して何度か挫折しそうになりましたが、不思議と時々読み返したくなります(初めて読んだのは高校生の時。そして一度処分して、やっぱり読みたくなって買い直した)。スケールの大きい討論が繰り返されているのと、「死」が色濃く出ているので、小さなことで悩んでいる時に読むと効きます。でも、あのラストには納得がいかない…。あまりにもあっけなくて…いや、でも、あっけないから「こそ」ってことなのかな。

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    2009年10月04日
  • ファウスト(二)

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    ―「・・・まあお考え遊ばしませ、蛮族が押し寄せて国と民とを滅ぼしましたあの暗黒の恐怖時代には、恐ろしさのあまりに誰彼が、自分の一番大切なものを、ここ、かしこに埋め隠したのでございます。豪勢なローマの時代からしてもうそんな風でございましたが、その後とても同じこと、昨日もしかり、今日もしかりなのでございます。そういう金銀はすべて地中にひっそりと埋もれております。ところで、土地はどなたのものでございますか。陛下のものではございませんか。さすれば地中の財宝は誰あろう陛下の有に帰すべきものでございます。」

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    2009年10月07日
  • 魔の山(上)

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    中学の時、友人から誕生日プレゼントに頂きました。一言で語りつくすことが出来ません…。マンの作品は人物表現も秀逸だが、『ベニスに死す』にしろ情景描写とそこへの投影が素晴らしい。セテムブリーニやらに流されつつ一読しましたが、一冊の本として大きな模様が完成されていて一つ一つの文がこれほどまで完璧に精微に編込まれている作品はこれ以上には存在しないと思います。ただ読んでいると少し息が詰まります。マンなどのドイツ文学を読んでいるとフランス文学のエロティックな抜け落ち感が恋しくなりますよね…。

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    2009年10月04日
  • 変身

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    ネタバレ

    ある日突然虫に変貌してしまった男、グレーゴル•ザムザとその家族の顛末を描いた作品。
    何故、どうして虫に変身したのかという理由は一切語られずに、一家を支えるため仕事に励んでいた好青年が突如人の言葉を介さない存在になるという不条理さ。しかもグレーゴル本人は人の心と思考を残しているのに、他人から見たら巨大な甲虫以外の何者でもないという、このなんとも言えない悲しさ...月日が経つにつれ、彼の感性が段々とそちらに寄っていくような描写があるのも悲しさを助長させます。
    誰よりも父母、そして妹の事を考えて行動していた筈なのに、変わってしまった事で彼らから相容れない異物として扱われる描写の苦しさは言い表しようが

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    2026年05月31日
  • 変身

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    高齢の両親と年端もいかない妹を養う為毎日懸命に働く男グレーゴルが、ある朝なにか気がかりな夢から目を覚ますと巨大な虫に変身していたという衝撃的な冒頭が有名な作品。
    当然仕事どころか日常生活さえままならなくなり、粉骨砕身しながら養っていた家族には遠巻きに扱われ、最期は…
    傍から見るとこの上ない理不尽の連続でグレーゴルを哀れまずにはいられないのですが、当の本人は一貫して冷静であり、絶望しているような様子もそこまで見られないのがまた不思議な印象を与えるお話でした。

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    2026年05月20日
  • 変身

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    よく分からなかった…。
    【海外文学最高傑作のひとつ】と内容紹介に記載されているのだが、なぜ、この作品が最高傑作のひとつなのかが分からない。
    研究をすれば色々な解釈の仕方があるから面白いのかもしれない。表層的なことしか思考できない自分にとっては、この作品の奥深さを感じ取ることができなかった。
    「わかりやすさ」ばかり求めているから、こういった作品の面白さを理解できないのかもしれない…。本との向き合い方に関して、再度考えていきたいと思った。

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    2026年05月17日
  • 変身

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    ネタバレ

    解説を読んで少し理解が深まったと感じた。グレーゴルの虫への変身は人が普通でなくなることを表現したのかもしれない。
    グレーゴルは元軍人のセールスマンで間違いなく普通の人であった。普通ではあったが、順風満帆という訳でもなく、親がいなければ仕事などとうに辞めていたという描写がある程度には自分の仕事に対して不満を抱いていた。また、彼の主観から語られる地の文からは、自分が家族の収入源だという自負が伺えた。
    これらの不満や精神的負担は彼を人から虫に変身させてしまうには十分すぎるものだったのかもしれない。

    解説されている通り、この物語を夢の世界だと考えるなら、描かれている家族の行動はグレーゴルのから見た家

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    2026年05月04日
  • 変身

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    グレーゴルの地位や存在価値が悲観的に描かれており、日常が突如として崩壊することの残酷さを感じる作品だった…

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    2026年05月04日
  • 変身

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    登場人物の中に特別に冷酷な人物がいるわけではなく、むしろ誰もが現実的に振る舞っているように見えた。
    それにもかかわらず、最終的には一人が排除される結果に至る点に、この作品の恐ろしさを感じた。
    個人の問題というよりも、役割や余裕によって人の価値が決まってしまう構造そのものが残酷なのだと思う。

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    2026年04月17日
  • 変身

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    ネタバレ

    主人公が突然虫になってしまうというインパクトのある展開の作品でありながら、主人公が不自然なほど淡々とその状況を受け入れているのが印象的だった。 解説を読んだが、作者が表紙絵にと推した「主人公以外の家族の明るい団欒と、少し開いたドアの先の暗闇」がまさしくこの作品のテーマを表現しているのだと思う。主人公はたしかに虫になったが、この作品はただ人間が虫になる様を描いたファンタジーでは全くない。むしろ、人間の心の悲痛な叫びを、リアリティをもって描いた作品だと思った。

    父に投げつけられ体に深く食い込んだ林檎が、誰にも除かれることなく腐っていき、その傷は主人公の体をじわりじわりと蝕んでいく。
    解説ではこの

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    2026年03月26日
  • 変身

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    ネタバレ

    いつ自分が主人公のようになるか分からない。
    初めは主人公に対して妹はまだ優しかったのに、最後は誰からも見放される。それは主人公の行いのせいでもあるのだが、決して主人公が全て悪い訳ではなく、ただ環境が主人公をそうさせたのだろう。
    主人公が死ぬタイミングで、主人公視点の物語から第3社してんの物語に移っていくのが少し怖かった。

    読み終わったあとすごい変な夢見た

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    2026年03月30日
  • 魔の山(下)

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    正直に言いますが下巻前半のセテムブリーニvsナフタの議論はほぼほぼ読み飛ばしました。そのあとの雪の章でも乗れなくて1ヶ月くらい放置して、戻ってきてみたらペーペルコルンが登場して、そこからが本当に面白かった。圧倒的人格者と議論好きの口先おじさんたちの対比。これまでおじさんたちの長い長い議論を読みながらモヤモヤとしていた気持ちが一気に晴れる感じ。そこにいるだけで周りの人を魅了する人っているよね。話す内容より、誰がそれを話すか。でも悔しいので、口先おじさんより人格者の方が優れているとは思いたくない。
    上巻でも思ったけど、語り手が主人公について意見を述べる形式が面白くて好き。あと、語り手がおもむろに語

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    2026年03月24日
  • 変身

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    ネタバレ

    「Qさま すごい本スペシャル」を見てたら出てきたので思い出した。これが授業で取り上げられた時には『こんなことある訳ないだろ』と思っていたけど、似た状況は現実でもよくあるんだよなあ。朝起きて異様に大きいできものが顔に出来ていることもあるし、ひどい事故にあって二目とみられぬ顔になってしまうこともある。違う生き物に変身してしまうような現実の隠喩なら、成立してしまうリアル譚だ。

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    2026年03月05日
  • 変身

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    ネタバレ

    後味悪すぎる…。
    特に最後の場面が強烈で、主人公のことを話さないのはおろか家族それぞれが前向きになっていく様がかなりキツい。

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    2026年02月27日
  • 若きウェルテルの悩み

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    若さゆえにロッテに恋して浮かれて暴走してしまったけど、もとのウェルテルは身分関係なく友達をたくさんつくれるような人当たりのいい青年だから、ロッテの婚約者アルベルトのことも嫌いになれず、むしろ完璧な人だと認めて、自分が入り込む隙はないんだと理解してどんどん自分を追い詰めていってしまう。
    自分のほうがロッテに相応しいと言ってしまえるくらい図々しかったらこんなに思い詰めることはなかったのかな。
    友人のウェルヘルムに宛てた手紙で自殺を仄めかしていたし、本当は心のどこかで誰かに自殺を止めてほしかったのかな。

    まだ若いんだし何より一途だし、なんとか自殺を思いとどまって生きてみたらロッテと同じか、それ以上

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    2026年02月23日
  • 変身

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    最も印象的だったのは、語りの視点の変化。
    物語は彼(グレーゴル)視点で始まるが、
    彼の死から第三者的な視点へと移行する。
    死の苦悩や劇的な最期は描かれず、
    彼がその時何を思ったのかも明確には示されない。
    その空白が、かえって死を生々しく感じさせる。
    人の死は当人の内側ではなく、
    外側から処理されていくものなのだと
    突きつけられるようだった。

    父親が投げたリンゴの傷が死因であるという点も、
    美しく、象徴的。
    かつて家族を支えていたはずの息子が、
    父によって傷つけられ、徐々に衰弱していく。
    大黒柱だった彼よりも、
    父の威厳や家族の秩序が優先される構図は不気味で、
    家族という共同体の冷酷さを感じさ

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    2026年02月12日
  • 変身

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    役割を失った「個」と、残された家族の再生

    朝目覚めると巨大な毒虫になっていた、という不条理な設定から始まる物語。Audibleでの鑑賞において、背後に流れる時計の秒針の音は、本人の異変とは無関係に刻々と進む世界の残酷さを際立たせていた。

    ■社会的な役割と「うつ」の心理
    毒虫に変貌した直後、主人公グレゴールが真っ先に案じたのは自分の体ではなく「早く出社しなければ」という仕事への義務感であった。自分を二の次にして社会的な役割を優先する姿は、現代のうつ病を患う人の心理状態にも重なる。個人がどれほどの絶望の中にいても、社会や時間は何事もなかったかのように動き続けるという描写は、極めて冷徹である。

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    2026年02月01日