高橋義孝のレビュー一覧

  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    何度読んだか忘れたが、読むたびに読み方が変わる。デカダンス、美のイデア、イタリア喜劇、国際観光都市に集う国ごとの面々の癖…また、細部に注目してもいい。マンの残酷なまでのユーモアは、読み手を常に試してくる。勝てなければ、出直して再挑戦する、それだけの価値のある作家、作品である。

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    2013年03月05日
  • 魔の山(下)

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    読んだ。面白かった。長かったなあ。執筆に12年の歳月を要したとのこと。
    心身にこたえたタイプの面白さです。
    難解な哲学的思索・論争を展開するのみならず、そこかしこにユーモア・諧謔精神までもが散りばめられているのです。このウィットに富んだところがにくい。富野作品のザブングル(古い)を思い出したりしました。

    「ファウスト」(未読)、「ツァラトストラ」(既読)、と並ぶ20世紀文学の名作と言われているらしいけれど、“三枚目”で好感が持てました。サンバルカン(古い)で言うところのバルパンサー(イエロー)感があったような無いような。

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    2012年12月09日
  • ファウスト(一)

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    2015年98冊目。(再読)

    ゲーテが着想から60年かけて完成させた大作。
    場面展開のテンポが良く、多彩な人物(あるいは人ならざるもの)が次々と現れ、想像した光景のカオスがすごい。
    心に残る名言もあまりにも多い。
    また、日本語訳のリズムが非常に良く、特に歌の部分は日本的になじみのある語数できれいにまとまっている。
    注の数は多くないので、一つひとつの意味合いを深く知ろうと思うと物足りない感はあるが、
    一読目に勢いで読み切るにはちょうど良かった。
    ====================
    2012年43冊目。(初読:2012年7月1日)

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    2015年11月25日
  • 精神分析入門(上)

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    ネタバレ

    なんとなく難しいイメージがあったのだけれど、
    タイトルに「入門」と書いてある通り、
    大学での講義をもとにしてあるのでわりかし読みやすい。

    「錯誤行為」
    まず気付くことは、
    フロイトは非常に科学的な人間であるということ。

    反証例をことあるごとに提示し、
    それをひとつひとつ検証していくのは、
    ある側面においてはくどくもあるのだけれど、
    科学者としては正しい姿勢なのだろうと思う。

    有名な「無意識」「欲動」というワードは、
    本書の冒頭ですでに登場している。

    精神分析には一般解はない、
    ということを肝に命じておかなければなぁ。


    「夢」
    夢は眠りを妨げる、
    潜在思想

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    2012年05月03日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    サークルの後輩が卒論の題材にしてる(トニオクレーゲルの方)ということで読んでみました。
    ただ外国の純文学は初めてだったので、特にヴェニスに死すの方はかなり読むのに苦労が。
    ただ、これは…面白い!
    正直作品全体の命題とかは全然把握しきれないんですが、示唆に富んだ言葉や表現の密度が桁違いで、凄まじく刺激的な時間を貰えました。
    こういう本は何回も読み返すことが理解する上で前提な造りだと思うので、じっくり読み込んでいこうと思います!
    この詩は完成せず、十分に仕上げられず、また、悠々として何か纏まったものに刻み上げられることがなかった。彼の心は生きていたからである。
    後輩の卒論考察が楽しみだ。

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    2011年12月25日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    ネタバレ

    ≪内容≫
    『トニオ・クレーゲル』
    孤立の苦悩と、それに耐えつつ芸術性をたよりに生を支えてゆく青年の物語。
    『ヴェニスに死す』
    水の都ヴェニスにて、至高の美少年に魅せられた芸術家の苦悩と恍惚を描いた作品。

    ≪感想≫
    ヴィスコンティ監督の「ヴェニスに死す」がこの秋、ニュープリント上映されている。銀座テアトルシネマに職場がほど近く、原作を一度読んでから映画をみようと思い、本書を手にとった。

    マンの初期の代表作2編。どちらも芸術家あるいは文士を主人公に据え、芸術とは何かを徹底的に追求し苦悩する姿を描いている。

    「ヴェニスに死す」は映画のイメージ(というか、ビョルン・アンドルセンのイメージ)が頭か

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    2011年10月24日
  • みずうみ

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    小5で初めて読んだ文庫本です。以来の再読。感激しました。
    押し花を二人目にして「誰がくれたか覚えてる?」「はい」・・・もう涙なしでは
    読めないですねえ。本当にドイツらしい穏やかでまじめで静かな、でも深い愛をたたえた作品でした。

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    2011年08月15日
  • 魔の山(下)

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    1924年に出版された小説にこんなに共感出来るなんて意外でした。「精神と肉体」だとか「生と死」だとか「愛」だとか「時間」だとか、そういったかたちのないもの、理屈で解明出来ないものとはやはりいつの時代にも不変のテーマなんですね。そしていつの時代の人々も、同じようなことを感じ同じようなことに苦しみ同じような結論を出す。面白い。本当に面白い。

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    2011年07月21日
  • ファウスト(二)

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    2011.01.25-
    悪魔の力で最も美しい時を過ごしそれを失い、この世の栄華を極めようとするファウストだが、進めば進むほど彼の世界は混乱していく。苦悩の果てにたどり着いた人生の真理は、他者のために生きること。「今この時」に自分のすべてを忘れて没入することだった。そして真理にたどり着いた魂は、悪魔の手を逃れて天使と共に昇っていく。

    メフィストーフェレスが面白い。悪魔も大変なのね(笑)。

    自分が決めて行動した、その結果がどうであろうと受け入れる。それが責任を持つということ。それがどんなに辛くても、苦しみの先には救いがあるとゲーテは言っている。たぶん。

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    2013年03月19日
  • ファウスト(一)

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    2011.01.18-
    何か大きな物を追うばかりに、「今この時」に没入することが出来ない男の話。追っている物は余りに大きく、彼自身、何を追っているのかも見失ってしまう。「追求した先にあるもの」よりも、「追求すること」が目的になっているようだ。

    あと、処女信仰は無意味で残酷だと思いました。

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    2013年03月19日
  • 魔の山(下)

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    ナフタがとても好きだ。
    現実的なのは病であとは精神的世界と教養的世界で語られていたように思う。

    ナフタの最期とハンス・カストルプを目覚めさせた戦争がそれまでの世界とのギャップでくらくらした。

    ナフタが出て来てから物語は飛躍的に面白くなったけど、上滑りしたら意味ないのでじっくり読んだ。

    作中語られるように確かに錬金術的物語だけど、重要なテーマの一つとなっている「時間」についてをあの魔の山の上で描くのなら理想的な長さの作品だと感じた。

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    2010年07月31日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    言い忘れていました。この2篇に関しては、岩波文庫よりもこの新潮文庫の訳文のほうに、私は慣れているのでした。そして、岩波の「トニオ」に載せた「リザヴェータさん」はこっちのほうで、つまり岩波では「リザベタさん」でしたね。やっぱり、リザヴェータさんのほうがいいな。その1点だけでも、こちらを私の底本にしたいと思います。さて、まだ『魔の山』や『ブデンブローク家』のことを載せていないではないか、と言われそうですが、あれらには、まだ登攀していないのですよ。逃げるつもりはありませんけれど、きっとそのうちに、ね。約束します、運命の女神の許す限りにおいて。

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    2011年07月19日
  • みずうみ

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    「みずうみ」「ヴェローニカ」「大学時代」。お馴染み、高橋義孝訳です。「みずうみ」もまた、老人の回想という形を用いた枠物語と言えますね。訳者あとがきには、「……愛と死の関係をシュトルムほどにこまかに描きだした作家は少ないだろう。リヒァルト・ワーグナーを除いては。」とあります。ワーグナーでも聴きながら読むといいのでしょうか。私の元にあるのは、昭和48年のもので¥100です。

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    2011年07月19日
  • 魔の山(上)

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    10年以上前に読んだのですが、難しいことはわからなくても雰囲気が大好きで、何度も読み返した記憶があります。おそらく私にとって読みやすい文体だったのと、当時自分が療養生活を経験していたので共感する部分も多く、退屈しないで読めたのだと思います。サナトリウムでの療養生活の細かな描写や、そこに集う人々の人物描写が面白いと同時に興味深かったです。今読み返すと全く違った感想を持つかもしれません。ちょっと気力が持たなそうですが…

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    2009年10月04日
  • トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す

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    『トニオ・クレーゲル』…これほどまでに全編一字一句余すところなく共鳴できる作品は、これから先二つと出会えないと思う。感受性が最も鋭敏な思春期の頃に出会えてよかった。今ままで読んだことのある中で恐らく最も好きな本。
    『ヴェニスに死す』…当時の私には語彙があまりに難解すぎて途中で断念。別の訳者(名前失念)の訳で最近読み直したが読むペースが遅すぎて噛み締められなかったのでまた読みたい。

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    2012年01月03日
  • 魔の山(上)

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    思ってたよりガチガチの内容じゃなかったです。上巻は気軽に読めます。でも下巻はちょっとハードだったかな。脳みそが沸騰して何度か挫折しそうになりましたが、不思議と時々読み返したくなります(初めて読んだのは高校生の時。そして一度処分して、やっぱり読みたくなって買い直した)。スケールの大きい討論が繰り返されているのと、「死」が色濃く出ているので、小さなことで悩んでいる時に読むと効きます。でも、あのラストには納得がいかない…。あまりにもあっけなくて…いや、でも、あっけないから「こそ」ってことなのかな。

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    2009年10月04日
  • ファウスト(二)

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    ―「・・・まあお考え遊ばしませ、蛮族が押し寄せて国と民とを滅ぼしましたあの暗黒の恐怖時代には、恐ろしさのあまりに誰彼が、自分の一番大切なものを、ここ、かしこに埋め隠したのでございます。豪勢なローマの時代からしてもうそんな風でございましたが、その後とても同じこと、昨日もしかり、今日もしかりなのでございます。そういう金銀はすべて地中にひっそりと埋もれております。ところで、土地はどなたのものでございますか。陛下のものではございませんか。さすれば地中の財宝は誰あろう陛下の有に帰すべきものでございます。」

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    2009年10月07日
  • 魔の山(上)

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    中学の時、友人から誕生日プレゼントに頂きました。一言で語りつくすことが出来ません…。マンの作品は人物表現も秀逸だが、『ベニスに死す』にしろ情景描写とそこへの投影が素晴らしい。セテムブリーニやらに流されつつ一読しましたが、一冊の本として大きな模様が完成されていて一つ一つの文がこれほどまで完璧に精微に編込まれている作品はこれ以上には存在しないと思います。ただ読んでいると少し息が詰まります。マンなどのドイツ文学を読んでいるとフランス文学のエロティックな抜け落ち感が恋しくなりますよね…。

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    2009年10月04日
  • 変身

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    ネタバレ

    主人公が突然虫になってしまうというインパクトのある展開の作品でありながら、主人公が不自然なほど淡々とその状況を受け入れているのが印象的だった。 解説を読んだが、作者が表紙絵にと推した「主人公以外の家族の明るい団欒と、少し開いたドアの先の暗闇」がまさしくこの作品のテーマを表現しているのだと思う。主人公はたしかに虫になったが、この作品はただ人間が虫になる様を描いたファンタジーでは全くない。むしろ、人間の心の悲痛な叫びを、リアリティをもって描いた作品だと思った。

    父に投げつけられ体に深く食い込んだ林檎が、誰にも除かれることなく腐っていき、その傷は主人公の体をじわりじわりと蝕んでいく。
    解説ではこの

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    2026年03月26日
  • 変身

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    ネタバレ

    いつ自分が主人公のようになるか分からない。
    初めは主人公に対して妹はまだ優しかったのに、最後は誰からも見放される。それは主人公の行いのせいでもあるのだが、決して主人公が全て悪い訳ではなく、ただ環境が主人公をそうさせたのだろう。
    主人公が死ぬタイミングで、主人公視点の物語から第3社してんの物語に移っていくのが少し怖かった。

    読み終わったあとすごい変な夢見た

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    2026年03月30日