あらすじ
追求の精神の権化ファウストは、行為の人として“大きな世界”での遍歴に入る。享楽と頽廃の宮廷から冥府に下った彼は美の象徴ヘレネーを得るが、美はたちまち消滅してしまう。種々の体験を経た後、ついに彼は、たゆまぬ努力と熱意によって、人間の真の生き方への解答を見いだし、メフィストーフェレスの手をのがれて、天上高く昇る。文豪ゲーテが、その思想を傾けつくした大作の完結編。
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Posted by ブクログ
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『ファウスト』は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作であり、ドイツ文学の金字塔とされる悲劇です。ゲーテが約60年をかけて完成させたこの大作は、彼の文学的成長と哲学的思想が反映されており、特に人間の欲望、道徳、救済、そして死後の世界に関する深い探求が行われています。『ファウスト』は、全2部から成り立ち、非常に複雑で多層的な構造を持っています。
あらすじ
第一部
『ファウスト』の物語は、学者であるファウスト博士が登場するところから始まります。ファウストは自らの知識に満足せず、人生の意味を求めて絶望し、死にたいと思っています。その絶望的な思いの中で、彼は悪魔メフィストフェレスと契約を交わします。メフィストフェレスはファウストに対して、地上の快楽を提供し、最終的には彼の魂を引き取ることを約束します。ファウストは若返り、さまざまな冒険や恋愛を経験しますが、最終的には彼の追い求めた快楽や自己中心的な欲望が破滅的な結果を招くことになります。
第二部
第二部では、ファウストの精神的成長と探求が描かれ、より哲学的かつ象徴的な要素が強調されます。ファウストは数多くの時代や場所を旅し、神々や精霊との対話を通じて、自らの存在意義を求めます。最終的に、ファウストは自己超越を果たし、天国への昇華を迎えることになります。彼の魂は、単なる自己中心的な欲望から解放され、神の恩寵を受け入れることで救われます。
主なテーマ
1.人間の欲望と追求
『ファウスト』は、人間の欲望とその限界を描いています。ファウストは知識、愛、快楽、力などさまざまなものを追い求めますが、その追求がどれも満たされることはなく、最終的に彼は魂を失う危機に直面します。ゲーテは、人間が持つ無限の欲望と、それがもたらす破滅的な結果を描きながら、最終的には人間の精神的な成長と道徳的な探求が重要であることを示しています。
2.善と悪、メフィストフェレスの役割
メフィストフェレスはファウストの悪魔的な側面を引き出し、彼を誘惑する存在ですが、同時に物語全体を通じて道徳的な対立と成長を促す役割も果たします。メフィストフェレスはただの悪役ではなく、ファウストの成長における重要な試練を提供し、最終的に彼の救済に貢献します。この二元的な性格が『ファウスト』の哲学的な深みを生んでいます。
3.救済と人間の精神的成長
『ファウスト』の核心テーマの一つは、救済と人間の精神的成長です。ファウストは物質的な成功や快楽を追い求める一方で、最終的には自己超越を果たし、精神的な救済に至ります。ゲーテは、知識や物質的な成功を追求することだけが人生の目的ではなく、精神的な成長と人間の内面的な探求が最も重要であると伝えています。
文学的影響
『ファウスト』は、その哲学的・文学的な深さから、後世の作家や思想家に大きな影響を与えました。特に、カフカ、ニーチェ、ヘーゲルなどがその思想を取り入れ、また音楽や演劇にも多大な影響を与えました。例えば、メフィストフェレスのキャラクターや「ファウスト的」という言葉は、文学や哲学で広く使われるようになり、人間の限界と欲望を描く上での重要な基盤となっています。
結論
『ファウスト』は単なる悲劇ではなく、人間の存在や道徳、知識、愛、救済についての深い哲学的探求を含んだ文学作品です。その多層的なテーマや構造、キャラクターの心理的な描写は、ゲーテの人生と思想の集大成として、今もなお多くの読者や学者に影響を与え続けています。
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749年-1832年)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家、科学者、政治家であり、ドイツ文学や哲学における巨人として評価されています。ゲーテの幅広い知識と深い洞察力により、彼の作品は文学だけでなく、自然科学、哲学、美術など多方面にわたって影響を与えました。代表作には、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』があり、ロマン主義やドイツ古典主義を代表する作家です。
生涯と活動
ゲーテはドイツ・フランクフルトの裕福な家庭に生まれ、幼い頃から文学や語学に触れて育ちました。法学を学び、その後も詩や劇、小説を執筆しながら、自然科学の研究にも没頭しました。特にヴァイマル公国の宮廷に仕えた時期には、政治や行政にも関わり、同地で多くの重要な作品を生み出しています。
主な作品
•『若きウェルテルの悩み』(1774年): 若者の激しい恋愛とそれに伴う苦悩を描いた書簡体小説です。実際の失恋体験と友人の自殺をもとにしたこの作品は、発表後に爆発的な人気を呼び、ヨーロッパ全土に「ウェルテル旋風」を巻き起こしました。この作品は感情表現の自由を強調したロマン主義文学の先駆けとされます。
•『ファウスト』: ゲーテの生涯にわたる大作であり、2部構成の悲劇です。学者ファウストが悪魔メフィストフェレスと契約し、知識と快楽を求めて冒険する物語で、人間の欲望や救済、善と悪の概念が深く掘り下げられています。この作品はドイツ文学の頂点と見なされ、多くの作家や芸術家に影響を与えました。
•『イタリア紀行』: ゲーテはイタリアへの旅を通して古典主義への関心を深め、古代ギリシャやローマの芸術に触れ、自然の美しさや感性を重視する姿勢を確立しました。この旅での体験が彼の作品に大きな影響を与え、後期のゲーテの美意識を支えました。
自然科学への関心
ゲーテは文学だけでなく、自然科学にも強い関心を抱いていました。特に色彩理論を追求し、『色彩論』を発表しました。この中で、ニュートンの光学理論に反対し、色は光と闇の相互作用から生まれると主張しました。また、植物学や解剖学の分野でも研究を行い、植物の「原植物」や骨の「中間顎骨」などに関する理論を提唱しました。
ゲーテの影響
ゲーテの思想と作品は、ドイツ国内外の文学や哲学に多大な影響を与えました。彼のロマン主義的な感性と古典主義への傾倒は、後のドイツ文学やヨーロッパ文学における重要な基盤となり、ニーチェやトーマス・マン、フリードリヒ・シラーといった作家や思想家に大きな影響を及ぼしました。また、ゲーテの作品は音楽や美術など他の芸術分野にもインスピレーションを与え続けています。
ゲーテの遺産
ゲーテは、個人の内面的な葛藤や、人間としての成長を描き出す作品を通じて、普遍的な人間性への洞察を深めました。その思想と文学的手法は、現代でも文学研究や哲学、芸術の分野で参照されており、彼の名前は「ドイツ古典主義」の象徴として語り継がれています。
Posted by ブクログ
「人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないで、愚かにももっといいものが欲しいと憧れ、一番すばらしい幸福にもすぐに慣れっこになってしまうのです。」
世界で一番面白い本だと言われている。
話し言葉だけでストーリーが展開されるので、物語の進行は速い。
一番好きなシーンは、
ヘレネーとファウストの間に子供ができた9695からである。
メフィストフェーレスも俗っぽく面白かった。
Posted by ブクログ
1巻執筆からかなり時間が空いてしまったせいか、なんかテイストが違うような・・・老齢に差し掛かったゲーテの思想的・教養的深みの大きさを感じさせます。劇作的な面白さは1巻のほうがよかったかな…これ、いちおう戯曲ですから。演劇ですから。
古代の美女ヘレネーに懸想したファウストが、はるか神話の世界まで飛んで行って~とかどんだけ荒唐無稽なの
てかグレートヒェンに対して悪びれもせずそういうことしちゃうんだ・・・まあ悪魔に取りつかれてる男ですから、さもありなん といったところでしょうが
古代時代はちょっとおもしろかったですね
ゼウス、セイレーン、ポセイドン、ヘラクレス、ホムンクルス、ケイローン、トリトン etc
聞いたことのある、西洋の妖精・怪物・神話上の人物が続々でてきます。想像しながら読むのは楽しい。
皇帝の信任を得て地位と富貴と名声を手にしたファウストが
最期に、禁断の言葉を口にしてしまうあたりはドラマチックで素敵でした・・・!常にひたむきに努力し、向上しようとするものは、天から救いの手をさしのべられる・・・救いのある物語じゃないですか
天に召されてゆくファウストの最期に、詩聖ゲーテのヒューマニズムを見た。(にしてもメフィストかわいそすwww)
Posted by ブクログ
2011.01.25-
悪魔の力で最も美しい時を過ごしそれを失い、この世の栄華を極めようとするファウストだが、進めば進むほど彼の世界は混乱していく。苦悩の果てにたどり着いた人生の真理は、他者のために生きること。「今この時」に自分のすべてを忘れて没入することだった。そして真理にたどり着いた魂は、悪魔の手を逃れて天使と共に昇っていく。
メフィストーフェレスが面白い。悪魔も大変なのね(笑)。
自分が決めて行動した、その結果がどうであろうと受け入れる。それが責任を持つということ。それがどんなに辛くても、苦しみの先には救いがあるとゲーテは言っている。たぶん。
Posted by ブクログ
―「・・・まあお考え遊ばしませ、蛮族が押し寄せて国と民とを滅ぼしましたあの暗黒の恐怖時代には、恐ろしさのあまりに誰彼が、自分の一番大切なものを、ここ、かしこに埋め隠したのでございます。豪勢なローマの時代からしてもうそんな風でございましたが、その後とても同じこと、昨日もしかり、今日もしかりなのでございます。そういう金銀はすべて地中にひっそりと埋もれております。ところで、土地はどなたのものでございますか。陛下のものではございませんか。さすれば地中の財宝は誰あろう陛下の有に帰すべきものでございます。」
Posted by ブクログ
この本は難解で言いたいことがよく分からなかった。何故最後に天上高く昇っていくのだろうか?ところどころギリシャ神話の神が出てくるのでキリスト教とギリシャ神話の理解が前提になっているのだろうか?
Posted by ブクログ
ゲーテが生きた時代への風刺など、
理解できたとは言えないが、
壮大な物語の構造、巧みなセリフ回し、
時折、挟まれる深遠な詞章、
時代を越えて読み継がれるのも
わかる名作。10年後、読み返したい。
Posted by ブクログ
文豪ゲーテの代表作とされる長編の戯曲。第一部は1808年、第二部は1833年(ゲーテの死の翌年)に発表された。
15~16世紀にドイツに実在したと言われる高名な錬金術・占星術・魔術師ファウスト博士が、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたと云う奇怪な伝説をベースにしている。
ゲーテは文人であるとともに、自然科学者、政治家、法律家でもあった万能人で、代表作『ファウスト』においても、その思想・人生観が随所に表現されている。
(6265行)ファウスト「母の国。その言葉をきくたびに、何かはっとさせられる。なんとしても耳にしたくない言葉だ。・・・それでも己は物に動じないということを必ずしもいいことだとは考えないのだ。驚く、これは人間の最善の特性ではあるまいか。世間はこの「驚き」という感情を味わわせてくれないようになってきたが、驚き撃たれてこそ、巨大な神秘に参入しうるのだ」
(11936行)天使「絶えず努力して励む者を、われらは救うことができる」
(12104行)神秘の合唱「すべて移ろい行くものは、永遠なるものの比喩にすぎず。かつて満たされざりしもの、今ここに満たさる。名状すべからざるもの、ここに遂げられたり。永遠にして女性的なるもの、われらを牽き手昇らしむ」等
一般に言われているように、第二部は冗長な感は免れないし、主題もわかりにくく感じられるが、それはおそらく第一部から一貫する「世界を奥の奥で統べているもの、それが知りたい、また世界のうちに働く、力と元素のすべてを見極めたい」(382行)というファウスト(=ゲーテ)の思いであり、その根源とも言えるのが「母の国」なのではあるまいか。
現代においては決して読み易い作品とは言えないが(しかも、第二部は500頁弱ある)、ゲーテ自身の人生観を示した代表作として、一読する意味はあるように思う。
Posted by ブクログ
ギリシア神話ネタ満載の古代ワルプルギスの夜。1巻よりも難しく、ゲーテの教養の深さを感じられる。ファウストの欲求がますますエスカレートするが、年を取るにつれ考えが変わるとこが意外だった。オチも自分の予想とは違った展開で一本取られました天使様、あまりメフィストをいじめないでー。
Posted by ブクログ
有名だし、何か高尚なイメージを持ってたけど、読んでみると結構読みやすいしユーモアがあって、娯楽としていいなと思いました。ギリシャ神話とかの教養もつくし、一行が短いので厚さほど長くはないです。原語でよめば、韻律とかすごいのかもしれないけど、ハードルが高い。
Posted by ブクログ
抽象的な内容を理解しようとして頭が沸騰しそう(笑)。地の文がほとんどないから状況を把握するのが大変。特に古代ギリシャの場面は読んでいるときは幻なのかと思っていたけど解説を読むと時間を飛んでいることになっていた。誰がファウスト、メフィストーフェレスか分からなくなる部分もあったし、本当に疲れた…。
場面の意味は解説で少し触れられていたけど大半は分からずじまい。他の解説、時間を空けてもっと平易な翻訳も読んでみたい。とにかく凄いことは伝わってくるんだけど、理解ができない部分が多かったから星四つ。いづれ五つにしたい。
ギリシャ・ローマ神話は岩波文庫のものを読んでいたのにほとんど忘れていた。やっぱり登場人物が多すぎてまず主要な人物以外は名前も覚えきれない。エピソードも多いし複雑。それを消化してオリジナルの物語を描いたゲーテの凄さに感服する。
Posted by ブクログ
面白かった、けど、やはり難しかった。
学者などでない限り、すべてをきっちり理解するのは不可能ではないかと思ってしまう。私の知識が足りないだけかもしれないけれども…。神話のこととか、もっと知りたくなった。
Posted by ブクログ
ファウストとメフィストーフェレスの知識欲求の追求の旅は小世界から大世界へと舞台は移り変わる。話の展開がポンポンと変わりよくわからないところがある。ギリシャ神話の神々の会話には何がなんやらでとてもついていけない。相変わらずのファウストの無理難題な要求に対してぼやきながらも応えるメフィストのやりとりは楽しい。メフィストが契約完了によりファウストの魂を手に入れようとしたところ、天使たちが色じかけでメフィストから横取りして天国へと連れ去ってしまったが、悪魔以上にしたたかな悪魔だと思った。以下ネタバレ
第1幕 皇帝の居城に舞台は移り、国が乱れ国庫は底を突いていると歎いているところにメフィストが道化として皇帝の前に現れる。国の窮乏の打開策として、地中に財宝があると法螺を吹き担保にして皇帝署名の紙幣の発行を提案する。巨万の富を得たと錯覚した今度は皇帝はパリスとヘレネーを見たいとファウストに言い出し、母の国へ。2人を連れ出したファウストはヘレネーの美しさに恋に落ちる。連れ去ろうと触れた途端に爆発し気を失う。仮装舞踏会はよくわからない…
第2幕 ファウストの居室へ。メフィストは変装しファウストの助手に会う。過去にメフィストに言いくるめられた学生が一人前となり再び訪れ言い負かす。実験室ではホムンクルス(人造人間)が産まれる。寝ているファウストの夢を読み取ったホムンクルスはいても立ってもいられず古代ギリシャ?に旅立つ。ファウストも目を覚ましヘレネーを探すためにギリシア神話上の神々の土地を探し回る。ここでのメフィストとスフィンクスのやりとりは楽しい。またギリシャの魔女にてんてこ舞いになる。ホムンクルスはどうなったんだ?
第3幕 よくわからない…。いろいろあってファウストのヘレネーは結ばれる。二人の間にエウポリオーンが産まれる。しかし、元気のよすぎるエウポリオーンは、イーカロスのように墜落死してしまう。冥府からヘレネーに助けを乞い、ヘレネーは消え去る。
第4幕 高山に移る。ファウストは大事業を成し遂げ、名声を博し支配し所有したい、非生産的に波をねじ伏せ、海を遠いかなたへ押し戻そうという欲求を言い出す。そこに第1幕の皇帝の国の経済が破綻し、戦争が発生している。海岸地帯の土地を褒美として手に入れるために皇帝を助ける。ファウストはメフィストの3人の手下を従え、そしてメフィストの幻術により敵を惑わし勝利する。
第5幕 ファウストは高齢になり海岸に理想の宮殿を建る。が、今度は老夫婦を立ち退かせて菩提樹に住みたいと言い出す。メフィストは老夫婦の立ち退かせようとしたが、事は穏便に運ばず、老夫婦・旅人を死に至らしめ、火を放ってしまい菩提樹は滅んでしまう。憂いと言葉を交わし、己が世の中を駆け抜け、あらゆる快楽を体験してきたこと、今では賢明に思慮深く生きていて、この世のすべてを知ったと。『大地の上にしっかりと立って、自分の身の回りをじっくりと見回す。幽霊が出てきてもわが道を進め、苦も楽もあるだろうが、どんな瞬間にも満足してしてはいられない』と語る。憂いとの押し問答により、吐きかけた息によってファウストは盲目にされてしまう。メフィストは手下にファウストの墓穴を掘らせている。ファウストが宮殿から出てきて、その音を事業為すために働いている音と聞き誤り、壮大な夢を描く。そして、あの言葉を…
Posted by ブクログ
荘厳なラストまで続く、圧倒的な言葉。
どのページを開いても教訓となる一文が盛り込まれていて、凡百の自己啓発本がバカらしく思えてくる。
まさしく古典的名作。
Posted by ブクログ
「ファウスト」って、もっと小難しくてとっつきにくい本かと思っていました。
予想に反して、読みやすいし、面白い。
もっと早く読んでおけばよかったです。
Posted by ブクログ
ゲーテの傑作長編、完結編。
最後の最後、人に尽くすことこそが喜びであり、「とどまれ、お前は美しい!」と告げるに値する瞬間だと感じたファウスト氏。
まあ、それは結構ですけどね。やっぱ悪魔に魂を売るから何もかもよろしくなくなるんじゃないんですか。
ていうか、グレートヒェンを孕ませて、捨てて、殺したということについては、眠っていたからどうでもいいんでしょうか。まあ、どうでもいいことではないからこそ、長い間眠っていたのでしょうが・・・。
ギリシャ一の美女とデレデレしてますが、それは何なのですか。
でもって、最後、天使が助けてくれるとか、グレートヒェンが迎えに来てくれるとか、そういうのはご都合主義ではないのですか。女性的なものが男性たるファウストを救ってくれるというのは、どうも、うーん、甘えみたいなものを感じなくもない。
第一部でグレートヒェンが救いを一心に求め、それゆえに救われるとか。
第二部でも、努力するものは救われるとか。
結果が何も伴っていなくても、一心に求めるものは救われるというのはゲーテの信念(究極に切望する願い)みたいなものだと思う。その信念はとても美しいと思うし、一部では共感できなくもない。
でもねえ。社会で生きる分には、それでは通用しないんだよねえ。
人の内心においては全面的にその信念に賛成できても、他者と接する社会に生きる我々は、そうした信念を全面的に受け容れることはできないわけです。
まあ、感動巨編なのは認めます。ゲーテの畢生の作品であることも、知っているし、充分そういわれるだけの傑作だとも思う。
けれども、こんな人が崇高な魂の持ち主で、神や天使、おまけに初恋の女性からいろいろ助けてもらえるというのはどうかと思う・・・やっぱり、ゲーテの想像(妄想)なんだろうか。
Posted by ブクログ
え?なんで?の連続。
ちゃんと解説を別で読まないとですね。1巻に比べて、さらに現実味がなく、比喩や風刺も減っているので純粋にストーリーを追いましたが、やっぱり、え?なんで?笑
Posted by ブクログ
入院中に自宅の本棚から供給してもらったが、読んだ記憶もなくなっている。購入したのはもう20年以上前だ。第一部に続いて読んだ。
第二幕と第三幕はギリシャ神話の知識がないとほとんど意味が理解できないのではないだろうか、なんとかめげずに頑張ったが、我が身にとって内容が頭に入るとか理解できるできないという次元にないことが分かっただけか…。
第五幕になると言葉としての意味は理解できるが、最後にファウストの魂がなぜ救われるのかがまた理解できない。それになぜ死の直前でファウストの身体が盲目にされたのかもわからない。ファウスト晩年の行いに基づいて天使が魂を救済する、一方、死の直前に「憂い」によって盲目にされるのはやはり人間の罪の一部を被る(「人間は一生盲目なのです」)と言った意味合いがあるのだろうか。おそらく第一部と第二部まをしっかり理解しながら読むことでなぜゲーテの考えを読み解くことができるのだろう。やっぱりしっかりした副読本が欲しいし、しっかり読まないと答えがわからない大作なんだな。
Posted by ブクログ
何と言うか、自分には合わなかった、という感じ。人間は生きている限り迷うものだ、とか、誘惑に惑わぬ者など居るだろうか、という投げかけは成る程と思うのだが、肝心のファウストの行状が酷すぎて納得感が無い。いくら研究漬けの人生をやり直したいからと言って、少女をだまして姦通し、サバトに参加してた挙げ句に死者に懸想して、最後にやった事が海の埋め立てとは。行動こそが善、というテーゼだとしても、最後に神に救って貰えるくらいに善いこと、あるいは英雄的なことを成したようには見えないのだが…。時代背景も有るのかも知れないが、ゲーテはこの生き方を美しいと本当に考えたのかと疑ってしまう。
これだったら、自分の罪を自覚しながらも逢瀬を後悔せず、それでも悩んだ挙げ句に心を病んでしまったグレートヒェンのほうがよほど美しいと感じる。なので、一巻目のほうが面白かった。いわゆるフォースタス博士の伝説にあるように、最後に破滅を迎えた方が、自分としては悲劇というテーマにむしろ沿っていたと思う。
Posted by ブクログ
読んだ本 ファウスト(二) ゲーテ 20230416
本読んだ後に、ネットであらすじを探すのは初めてですね。
この第二幕(二巻)は、ゲーテの死後に発表されたものらしく、一般的なファウストなるものは、第一幕(一巻)のことらしいです(間違えてたらご免)。
第二幕は、よりストーリー外の描写が長く、ギリシャの神様や戦争中の皇帝(こっちはストーリー内か)が長々と描かれていて、その中で物語と言えるのは極々簡単なもので、それが埋もれて見失ってしまうって感じです。
手塚治虫も漫画化している名作ってことですが、確かに悪魔のメフィストーフェレス、人造人間(魂?)のホムンクルスとか、創造力は素晴らしいものがあるかも。
戯曲なので、読み易いですが、わかりづらいです。
Posted by ブクログ
【始】第一幕 優雅な土地
ファウスト、花の咲く草地に、疲れて不安な身を横たえ、眠ろうとつとめている。
薄暮。漂い動く妖精の群、優しい小さなすがた。
アーリエル(アイオロスの竪琴の伴奏でうたう)
花々が春の雨のようにすべてのものの上に漂い落ち、野の緑の祝福が地上の子らの上に輝くと、小さな妖精の広やかな心は、救うことのできる人のもとへと急ぐ。
【終】
神秘の合唱
すべての移ろいゆくものは、永遠なるものの比喩にすぎず。
かつて満たされざりしもの、今ここに満たさる。
名状すべからざるもの、ここに遂げられたり。
永遠にして女性的なるもの、われらを牽きて昇らしむ。
第一部より神話の話がかなり多くなってきて、あまり理解はできなかったけど雰囲気は楽しめた。
Posted by ブクログ
ギリシア神話絶世の美女ヘレネーをめぐる冒険。
彼は、たゆまぬ努力と熱意によって、人間の真の生き方への解答を見いだし、メフィストーフェレスの手をのがれて、天上高く昇る。
メフィストの悲劇。
Posted by ブクログ
『ファウスト 第二部』は「つめこみすぎ」という感想になる。特に「古典的ヴァルプルギスの夜(第2幕)」が長すぎて、「ギリシャ神話のキャラクター」が数多く登場し、主人公ファウストまで消えてしまう場面が続く。
ただ、ゲーテは「ファウスト伝説」を研究し、それをアレンジして再現している。
1.ファウストのモデルは「ゲオルク・ファウスト」という実在した錬金術師。錬金術の研究に失敗して、彼は爆死してしまう。『ファウスト 第二部』でも、爆発でファウストが気を失う場面がある。
2.様々な「ファウスト伝説」のうち、「ファウストはギリシャ神話の美女ヘレネーと結ばれ、息子が生まれる」という内容の話があり、ゲーテはこれも採用している。ヘレネーの侍女たちは「合唱隊」であり、これは古代ギリシャ劇の「コロス(合唱隊・コーラス)」を意識したらしい。
3.「ファウスト伝説」は「ファウストの勝利」、もしくは「メフィストーフェレスの勝利」で終わるなど、様々な結末がある。ゲーテの場合は「二重のギャンブル」で決着をつけた。
『ファウスト 第一部』で魔法の薬によって若返ったファウストも百歳になり、現在ではなく未来を想像して満足し、「とまれ、お前はいかにも美しい」と言って死ぬ。メフィストーフェレスは「ファウストとのギャンブル」に勝利したが、ファウストは彼の力で堕落して死んだのではないから「神とのギャンブル」に敗北してしまう。
そのためメフィストーフェレスはファウストの魂を手に入れることに失敗し、天使や聖者、かつての恋人グレートヒェンがファウストを救済して物語は終わる。
……神様はずるい。
Posted by ブクログ
解説が無かったので、この作品をどういう視点から見ればいいのかがわからないまま第4幕まで読んでしまった。…下調べは必要ですね。
この作品は19世紀に書かれたもの(第1部が1808年で、第2部が1832年なのだとか)ですが、作品の舞台自体は16世紀ドイツに実在した伝説の「ファウスト博士」をモデルにしています。
そういう訳で、ポスト啓蒙主義時代のはずなのにアナクロニズム漂う不思議な作品でした。こういう作品がウケるというのは何なんでしょうね、20世紀に入ってからドイツが魔術に傾倒していく歴史的な何かを暗示してるんですかね。
この『ファウスト』という作品は2部構成になっていますが、第2部は1部から20年以上経過して発表されているので、ゲーテの心境に何か変化があったのかもしれません。
特に第2部は死の間際に完成したのではないかと思われる所からもやはり、ゲーテにとって特別な何かがあったようです。
ゲーテはファウスト博士の生涯に何を見たんだろうか、と最後まで読んでから考えると一本の糸が見えてくるような気がします。
第1部でファウストは、ものすごく真面目に生きて来たことを後悔し、悪魔と契約をして若返ります。そして人間的な様々な過ちを繰り返し第2部の最終幕までなだれ込みます。この最終幕でファウストは、やっと“ひとかどのこと”を成し遂げようと思い立つのですが、その途上で亡くなってしまいます。
この物語は自信家の若者が様々な過ちと苦悩を繰り返し、一つの真理にたどり着くまでを描いた…コメディなのだろうと思いました(たどり着いたのが死の間際、という所が悲劇的と言えばそうなのかもしれない)。
悪魔的な内容にもかかわらず、実に敬神的なラストを迎える本作ですが、最後まで納得いかないのはファウストって、天使が言う程魂の清い人なのだろうか?という所。
しかし、人を見ることに巧みなゲーテは、ファウストを敢えてみっともなく描いているのだろうなあと思います。どんな立派な人でも、非の打ちどころが無いなんてことはありませんからね。
そしてそれは彼自身の懺悔であったのかもしれません。
バイロン卿の暗示が出てきたりと、当時の観客の目線で見たらまた違った感想を持ったんだろうなあという印象なので、そこまで評価される作品ではないと思うけれど、間を取って★3つにしておきます。
Posted by ブクログ
主役はメフィストフェレスに変わったんですか?ファウスト影薄っ!
しかし「ギリシアの神様連れて来て」と言われれば「いや宗教違うし」って渋ったり(メフィストフェレス君はキリスト教の悪魔だからね)、そのギリシアではホーム地と勝手が違って現地の魔物に振り回され放題だったり、皇帝に指揮杖貰えなくても「あんなものいらないさ。何かこう形が十字架めいていたしな」なんて言ったり、なんだか可愛いなぁメフィストフェレス君。やっぱり十字架は苦手なんですね。(と思っていたら私が見たオペラでは突きつけられた十字架の銀紙を剥いて中のチョコレートを食べていた。すごい演出だ)
とりあえずゲーテは詰め込みすぎじゃないのかこの話。ギリシアの神々はまだしもタレスとかまで出てくるのか。そんなに出してどうするの。そこに意味はあるんだろうか。
あと一番突っ込みたかったのは、ヘレネと恋人になりたいなんてファウスト、君身の程知らずだなぁ…、と。いやアフロディーテとか言い出さないだけマシだろうか。