あらすじ
追求の精神の権化ファウストは、行為の人として“大きな世界”での遍歴に入る。享楽と頽廃の宮廷から冥府に下った彼は美の象徴ヘレネーを得るが、美はたちまち消滅してしまう。種々の体験を経た後、ついに彼は、たゆまぬ努力と熱意によって、人間の真の生き方への解答を見いだし、メフィストーフェレスの手をのがれて、天上高く昇る。文豪ゲーテが、その思想を傾けつくした大作の完結編。
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Posted by ブクログ
「人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないで、愚かにももっといいものが欲しいと憧れ、一番すばらしい幸福にもすぐに慣れっこになってしまうのです。」
世界で一番面白い本だと言われている。
話し言葉だけでストーリーが展開されるので、物語の進行は速い。
一番好きなシーンは、
ヘレネーとファウストの間に子供ができた9695からである。
メフィストフェーレスも俗っぽく面白かった。
Posted by ブクログ
抽象的な内容を理解しようとして頭が沸騰しそう(笑)。地の文がほとんどないから状況を把握するのが大変。特に古代ギリシャの場面は読んでいるときは幻なのかと思っていたけど解説を読むと時間を飛んでいることになっていた。誰がファウスト、メフィストーフェレスか分からなくなる部分もあったし、本当に疲れた…。
場面の意味は解説で少し触れられていたけど大半は分からずじまい。他の解説、時間を空けてもっと平易な翻訳も読んでみたい。とにかく凄いことは伝わってくるんだけど、理解ができない部分が多かったから星四つ。いづれ五つにしたい。
ギリシャ・ローマ神話は岩波文庫のものを読んでいたのにほとんど忘れていた。やっぱり登場人物が多すぎてまず主要な人物以外は名前も覚えきれない。エピソードも多いし複雑。それを消化してオリジナルの物語を描いたゲーテの凄さに感服する。
Posted by ブクログ
ファウストとメフィストーフェレスの知識欲求の追求の旅は小世界から大世界へと舞台は移り変わる。話の展開がポンポンと変わりよくわからないところがある。ギリシャ神話の神々の会話には何がなんやらでとてもついていけない。相変わらずのファウストの無理難題な要求に対してぼやきながらも応えるメフィストのやりとりは楽しい。メフィストが契約完了によりファウストの魂を手に入れようとしたところ、天使たちが色じかけでメフィストから横取りして天国へと連れ去ってしまったが、悪魔以上にしたたかな悪魔だと思った。以下ネタバレ
第1幕 皇帝の居城に舞台は移り、国が乱れ国庫は底を突いていると歎いているところにメフィストが道化として皇帝の前に現れる。国の窮乏の打開策として、地中に財宝があると法螺を吹き担保にして皇帝署名の紙幣の発行を提案する。巨万の富を得たと錯覚した今度は皇帝はパリスとヘレネーを見たいとファウストに言い出し、母の国へ。2人を連れ出したファウストはヘレネーの美しさに恋に落ちる。連れ去ろうと触れた途端に爆発し気を失う。仮装舞踏会はよくわからない…
第2幕 ファウストの居室へ。メフィストは変装しファウストの助手に会う。過去にメフィストに言いくるめられた学生が一人前となり再び訪れ言い負かす。実験室ではホムンクルス(人造人間)が産まれる。寝ているファウストの夢を読み取ったホムンクルスはいても立ってもいられず古代ギリシャ?に旅立つ。ファウストも目を覚ましヘレネーを探すためにギリシア神話上の神々の土地を探し回る。ここでのメフィストとスフィンクスのやりとりは楽しい。またギリシャの魔女にてんてこ舞いになる。ホムンクルスはどうなったんだ?
第3幕 よくわからない…。いろいろあってファウストのヘレネーは結ばれる。二人の間にエウポリオーンが産まれる。しかし、元気のよすぎるエウポリオーンは、イーカロスのように墜落死してしまう。冥府からヘレネーに助けを乞い、ヘレネーは消え去る。
第4幕 高山に移る。ファウストは大事業を成し遂げ、名声を博し支配し所有したい、非生産的に波をねじ伏せ、海を遠いかなたへ押し戻そうという欲求を言い出す。そこに第1幕の皇帝の国の経済が破綻し、戦争が発生している。海岸地帯の土地を褒美として手に入れるために皇帝を助ける。ファウストはメフィストの3人の手下を従え、そしてメフィストの幻術により敵を惑わし勝利する。
第5幕 ファウストは高齢になり海岸に理想の宮殿を建る。が、今度は老夫婦を立ち退かせて菩提樹に住みたいと言い出す。メフィストは老夫婦の立ち退かせようとしたが、事は穏便に運ばず、老夫婦・旅人を死に至らしめ、火を放ってしまい菩提樹は滅んでしまう。憂いと言葉を交わし、己が世の中を駆け抜け、あらゆる快楽を体験してきたこと、今では賢明に思慮深く生きていて、この世のすべてを知ったと。『大地の上にしっかりと立って、自分の身の回りをじっくりと見回す。幽霊が出てきてもわが道を進め、苦も楽もあるだろうが、どんな瞬間にも満足してしてはいられない』と語る。憂いとの押し問答により、吐きかけた息によってファウストは盲目にされてしまう。メフィストは手下にファウストの墓穴を掘らせている。ファウストが宮殿から出てきて、その音を事業為すために働いている音と聞き誤り、壮大な夢を描く。そして、あの言葉を…
Posted by ブクログ
何と言うか、自分には合わなかった、という感じ。人間は生きている限り迷うものだ、とか、誘惑に惑わぬ者など居るだろうか、という投げかけは成る程と思うのだが、肝心のファウストの行状が酷すぎて納得感が無い。いくら研究漬けの人生をやり直したいからと言って、少女をだまして姦通し、サバトに参加してた挙げ句に死者に懸想して、最後にやった事が海の埋め立てとは。行動こそが善、というテーゼだとしても、最後に神に救って貰えるくらいに善いこと、あるいは英雄的なことを成したようには見えないのだが…。時代背景も有るのかも知れないが、ゲーテはこの生き方を美しいと本当に考えたのかと疑ってしまう。
これだったら、自分の罪を自覚しながらも逢瀬を後悔せず、それでも悩んだ挙げ句に心を病んでしまったグレートヒェンのほうがよほど美しいと感じる。なので、一巻目のほうが面白かった。いわゆるフォースタス博士の伝説にあるように、最後に破滅を迎えた方が、自分としては悲劇というテーマにむしろ沿っていたと思う。
Posted by ブクログ
ギリシア神話絶世の美女ヘレネーをめぐる冒険。
彼は、たゆまぬ努力と熱意によって、人間の真の生き方への解答を見いだし、メフィストーフェレスの手をのがれて、天上高く昇る。
メフィストの悲劇。
Posted by ブクログ
『ファウスト 第二部』は「つめこみすぎ」という感想になる。特に「古典的ヴァルプルギスの夜(第2幕)」が長すぎて、「ギリシャ神話のキャラクター」が数多く登場し、主人公ファウストまで消えてしまう場面が続く。
ただ、ゲーテは「ファウスト伝説」を研究し、それをアレンジして再現している。
1.ファウストのモデルは「ゲオルク・ファウスト」という実在した錬金術師。錬金術の研究に失敗して、彼は爆死してしまう。『ファウスト 第二部』でも、爆発でファウストが気を失う場面がある。
2.様々な「ファウスト伝説」のうち、「ファウストはギリシャ神話の美女ヘレネーと結ばれ、息子が生まれる」という内容の話があり、ゲーテはこれも採用している。ヘレネーの侍女たちは「合唱隊」であり、これは古代ギリシャ劇の「コロス(合唱隊・コーラス)」を意識したらしい。
3.「ファウスト伝説」は「ファウストの勝利」、もしくは「メフィストーフェレスの勝利」で終わるなど、様々な結末がある。ゲーテの場合は「二重のギャンブル」で決着をつけた。
『ファウスト 第一部』で魔法の薬によって若返ったファウストも百歳になり、現在ではなく未来を想像して満足し、「とまれ、お前はいかにも美しい」と言って死ぬ。メフィストーフェレスは「ファウストとのギャンブル」に勝利したが、ファウストは彼の力で堕落して死んだのではないから「神とのギャンブル」に敗北してしまう。
そのためメフィストーフェレスはファウストの魂を手に入れることに失敗し、天使や聖者、かつての恋人グレートヒェンがファウストを救済して物語は終わる。
……神様はずるい。
Posted by ブクログ
解説が無かったので、この作品をどういう視点から見ればいいのかがわからないまま第4幕まで読んでしまった。…下調べは必要ですね。
この作品は19世紀に書かれたもの(第1部が1808年で、第2部が1832年なのだとか)ですが、作品の舞台自体は16世紀ドイツに実在した伝説の「ファウスト博士」をモデルにしています。
そういう訳で、ポスト啓蒙主義時代のはずなのにアナクロニズム漂う不思議な作品でした。こういう作品がウケるというのは何なんでしょうね、20世紀に入ってからドイツが魔術に傾倒していく歴史的な何かを暗示してるんですかね。
この『ファウスト』という作品は2部構成になっていますが、第2部は1部から20年以上経過して発表されているので、ゲーテの心境に何か変化があったのかもしれません。
特に第2部は死の間際に完成したのではないかと思われる所からもやはり、ゲーテにとって特別な何かがあったようです。
ゲーテはファウスト博士の生涯に何を見たんだろうか、と最後まで読んでから考えると一本の糸が見えてくるような気がします。
第1部でファウストは、ものすごく真面目に生きて来たことを後悔し、悪魔と契約をして若返ります。そして人間的な様々な過ちを繰り返し第2部の最終幕までなだれ込みます。この最終幕でファウストは、やっと“ひとかどのこと”を成し遂げようと思い立つのですが、その途上で亡くなってしまいます。
この物語は自信家の若者が様々な過ちと苦悩を繰り返し、一つの真理にたどり着くまでを描いた…コメディなのだろうと思いました(たどり着いたのが死の間際、という所が悲劇的と言えばそうなのかもしれない)。
悪魔的な内容にもかかわらず、実に敬神的なラストを迎える本作ですが、最後まで納得いかないのはファウストって、天使が言う程魂の清い人なのだろうか?という所。
しかし、人を見ることに巧みなゲーテは、ファウストを敢えてみっともなく描いているのだろうなあと思います。どんな立派な人でも、非の打ちどころが無いなんてことはありませんからね。
そしてそれは彼自身の懺悔であったのかもしれません。
バイロン卿の暗示が出てきたりと、当時の観客の目線で見たらまた違った感想を持ったんだろうなあという印象なので、そこまで評価される作品ではないと思うけれど、間を取って★3つにしておきます。