あらすじ
世界の根源を究めようとする超人的欲求をいだいて、ファウストは町へ出る。理想と現実との乖離に悩む彼の前に、悪魔メフィストーフェレスが出現、この世で面白い目をみせるかわりに、死んだら魂を貰いたい、と申出る。強い意志と努力を信じる彼は契約を結び、若返りの秘薬を飲まされて、少女グレートヒェンに恋をするが――前後六十年の歳月をかけて完成された大作の第一部。
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ゲーテはすべてを言ったを読んでからの初ゲーテです。
古典文学ってもっと難しいのかなと思っていたけど、とても読みやすく、尚且つ面白いです。
四大呪文とかまんま現代のRPGでも使われてそうだし。
尻に霊を見る人とかいきなり出てくるし。
2巻も楽しみです。
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ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe、1749年-1832年)は、ドイツの詩人、小説家、劇作家、科学者、政治家であり、ドイツ文学や哲学における巨人として評価されています。ゲーテの幅広い知識と深い洞察力により、彼の作品は文学だけでなく、自然科学、哲学、美術など多方面にわたって影響を与えました。代表作には、『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』があり、ロマン主義やドイツ古典主義を代表する作家です。
生涯と活動
ゲーテはドイツ・フランクフルトの裕福な家庭に生まれ、幼い頃から文学や語学に触れて育ちました。法学を学び、その後も詩や劇、小説を執筆しながら、自然科学の研究にも没頭しました。特にヴァイマル公国の宮廷に仕えた時期には、政治や行政にも関わり、同地で多くの重要な作品を生み出しています。
主な作品
•『若きウェルテルの悩み』(1774年): 若者の激しい恋愛とそれに伴う苦悩を描いた書簡体小説です。実際の失恋体験と友人の自殺をもとにしたこの作品は、発表後に爆発的な人気を呼び、ヨーロッパ全土に「ウェルテル旋風」を巻き起こしました。この作品は感情表現の自由を強調したロマン主義文学の先駆けとされます。
•『ファウスト』: ゲーテの生涯にわたる大作であり、2部構成の悲劇です。学者ファウストが悪魔メフィストフェレスと契約し、知識と快楽を求めて冒険する物語で、人間の欲望や救済、善と悪の概念が深く掘り下げられています。この作品はドイツ文学の頂点と見なされ、多くの作家や芸術家に影響を与えました。
•『イタリア紀行』: ゲーテはイタリアへの旅を通して古典主義への関心を深め、古代ギリシャやローマの芸術に触れ、自然の美しさや感性を重視する姿勢を確立しました。この旅での体験が彼の作品に大きな影響を与え、後期のゲーテの美意識を支えました。
自然科学への関心
ゲーテは文学だけでなく、自然科学にも強い関心を抱いていました。特に色彩理論を追求し、『色彩論』を発表しました。この中で、ニュートンの光学理論に反対し、色は光と闇の相互作用から生まれると主張しました。また、植物学や解剖学の分野でも研究を行い、植物の「原植物」や骨の「中間顎骨」などに関する理論を提唱しました。
ゲーテの影響
ゲーテの思想と作品は、ドイツ国内外の文学や哲学に多大な影響を与えました。彼のロマン主義的な感性と古典主義への傾倒は、後のドイツ文学やヨーロッパ文学における重要な基盤となり、ニーチェやトーマス・マン、フリードリヒ・シラーといった作家や思想家に大きな影響を及ぼしました。また、ゲーテの作品は音楽や美術など他の芸術分野にもインスピレーションを与え続けています。
ゲーテの遺産
ゲーテは、個人の内面的な葛藤や、人間としての成長を描き出す作品を通じて、普遍的な人間性への洞察を深めました。その思想と文学的手法は、現代でも文学研究や哲学、芸術の分野で参照されており、彼の名前は「ドイツ古典主義」の象徴として語り継がれています。
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私生児を産んだ女への懲罰をゲーテが廃止したのは、この時代にパラダイムシフトがあったのでしょうか。優れた物語はいつも、転換点前夜のまどろみを描きます。だからグレートヒェンは我が子を殺して破滅するのですが、それに比べて、ファウストの苦悩や悔恨は口先ばかり。まるで、生き延びてしまった老人はこうやって世間を眺めているんだよと言わんばかりの冷たい表情で、死んだ友人たちを呼び起こして追憶を始める。
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「善い人間は、暗い衝動に駆われても、正道を忘れるということはないものなのだ、と。」
世界で一番面白い本と聞いていたので、いつ読もうかずっと迷っていた本。戯曲なので、セリフだけで話が進む。なので、時間の流れを掴むのが難しかった。
この本は確かに面白い。とても面白い。ゲーテが60年かけて作っているのだから、そこに凝縮された何かがある。
マルガレーテの兄のセリフは、真に迫るものがある。
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綺羅星のような戯曲。構成も素晴らしい。メフィストフェレスになりたくなってしまった。高校生の時には挫折した作品。ドイツ文学の最高峰では。
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詩聖ゲーテの名作『ファウスト』。
戯曲向けに書かれたので韻文でつづられている(最初ふつうの小説と思って読むとびっくりするかも)。
第一部は1808年に発表され、第二部はその約30年後の1833年=ゲーテの死の翌年に発表されたという・・・ゲーテの生涯を通して書かれた作品、なんですね~(30年推敲を重ねられたっていうか暫く放置されてた感があるけど…)。
新潮文庫の1巻では“天上の序曲”~天使たち(ラファエル、ミカエル、ガブリエル)の合唱から始まり誘惑の悪魔・メフィストーフェレス登場。神とひとつの賭けをする。即ち、善き人間であるファウストを悪の道へと引きずりこむことができるのか。
ここから悲劇的本編“第一部”へとはいっていく。
第一部はファウストが悪魔メフィストと出会い、あの世での魂の服従を交換条件に、現世であらゆる人生の快楽・悲哀を体験させるという約束をする。
ファウストは素朴な街娘グレートヒェンと恋をし、子供を身ごもらせる。そしてあい引きの邪魔になる彼女の母親を毒殺し、彼女の兄も決闘の末に殺す。そうして魔女の祭典「ワルプルギスの夜」に参加して帰ってくると、赤子殺しの罪で逮捕された彼女との悲しい別れが待っていた。
・・戯曲ということで主人公の内面の葛藤がセリフとして直接的に表現されている分あまり深く考えずにサクサク読むことができます。
ドラマチックな面白さがあるのは何といっても“ワルプルギスの夜”(ブロッケン山における魔女たちの祭典)かな!ほんものの、いわゆる≪ファウスト伝説≫には確かこのようなシーンはなかったはずだが、ゲーテはこの場面の描写に、かなり力を入れたかったもよう。本編中随一の躍動感と、幽霊たちの意味深なやりとりが見どころです。
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ドイツ文学が好きで、その中でもファウスト第一部が一番好き。
メフィストフェレスの様な人に出会いたい。というよりもメフィストフェレスのようになりたいと常に思ってしまう。
ファウスト先生がどう考えても俗っぽく思えてしまうのは、私の読み方が甘いせい??ま、そこが良いんだけど★
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2015年98冊目。(再読)
ゲーテが着想から60年かけて完成させた大作。
場面展開のテンポが良く、多彩な人物(あるいは人ならざるもの)が次々と現れ、想像した光景のカオスがすごい。
心に残る名言もあまりにも多い。
また、日本語訳のリズムが非常に良く、特に歌の部分は日本的になじみのある語数できれいにまとまっている。
注の数は多くないので、一つひとつの意味合いを深く知ろうと思うと物足りない感はあるが、
一読目に勢いで読み切るにはちょうど良かった。
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2012年43冊目。(初読:2012年7月1日)
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2011.01.18-
何か大きな物を追うばかりに、「今この時」に没入することが出来ない男の話。追っている物は余りに大きく、彼自身、何を追っているのかも見失ってしまう。「追求した先にあるもの」よりも、「追求すること」が目的になっているようだ。
あと、処女信仰は無意味で残酷だと思いました。
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解説がないと(あっても)一回で色々落とし込むのは難しい。元々のベースとなる話があるので、それをざっと知っておくことも必要。感想と聞かれると難しいけど、ファウストを元にした絵画は結構美術館で目にしたのでそれを元に情景を思い浮かべながら読みました。
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ゲーテが生涯のほとんどをかけて構想した小説の前半部。主人公ファウストの悪魔との契約に至るグレートヒェンとの出会い、冒険等を著す。映画化され、リストが当小説をテーマの曲を作曲するなど、ドイツを代表する小説。
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いつ読んだが覚えていないが、、、ドリアングレイの肖像のような、知ってしまう怖さのような。罪が辛くて第二部が進まない。
数多の作品に引用されるという意味ではマクベスに並ばずとも劣らないメフィストフェレス。これが何者か知っているかいないかで、引用の意味や印象が変わる。
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この世に絶望した知識人ファウストが悪魔メフェストーフェレスと契約を結び、死後魂を差し出す事を条件に願い事を叶えまくってもらう。
女と縁のなかったファウストが悪魔をパシリにして女を追っかけ回すというドイツ文学の最高傑作との異名とは乖離した内容が大変シュールである。
喜劇と悲劇が交錯する物語の結末はいかに。
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主人公ファウスト、悪魔のメフィストフェレス、ファウストの恋した少女グレートフェンの物語。戯曲スタイルでお互いの関係が分かりにくいがメフィストフェレスに操られている感がする。ゲーテ自身の悩みが伝わってくる書だと感じた。
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上巻しか買っていない本
ゲーテ 「 ファウスト 」 上巻は ファウストが世界の真理を知るために悪魔と契約し、信仰を捨て、世界の快楽を知る巻。
命題は 「ファウストは 信仰を取り戻して救われるか、悪魔と化して裁かれるか」
上巻で「刹那に向かって とまれ、お前はあまりにも美しい と言ったら〜喜んで滅んでいく」の結論は出ていないので、ファウストは 悪魔と化していない
序章部分が、献詞→前狂言→天上の序曲の3章を経て、本編の悲劇第一部「夜」が始まる構成。時間と場所(舞台)の違いが明確で、インパクトのある始まり
ストーリーテラー=ファウスト=ゲーテ という構成
中間にある前狂言の章の意味は 何か? 座長→詩人→道化役の構造を ゲーテ→ファウスト→メフィストフェレス(悪魔)の関係性に引き継ぐため?
気になるのは「書斎」「夜」という章タイトルが繰り返されていること。書斎=知性=人間の精神、夜=闇=悪、罪、破滅と捉えた
もっと別の解釈や深読みできる本だと思う。解説や注がもう少しほしい
Posted by ブクログ
文豪ゲーテの代表作とされる長編の戯曲。第一部は1808年、第二部は1833年(ゲーテの死の翌年)に発表された。
15~16世紀にドイツに実在したと言われる高名な錬金術・占星術・魔術師ファウスト博士が、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたと云う奇怪な伝説をベースにしている。
ゲーテは文人であるとともに、自然科学者、政治家、法律家でもあった万能人で、代表作『ファウスト』においても、その思想・人生観が随所に表現されている。
(382行)ファウスト「世界を奥の奥で統べているもの、それが知りたい、また世界のうちに働く、力と元素のすべてを見極めたい、そうなったら、もう言葉を漁ることも要るまいと思ったからなのだ」
(534行)ファウスト「わが身にしかと納得せずには、人の心は動かせぬ。自分の魂から迸り出て、力強く切々と語るのでなければ、聴く者の心は得られぬわけだ。・・・真に心の底から出たことでなければ、決して人の心には訴えぬものなのだ」
(1224行)ファウスト「「太初に言ありき」と書いてある。ここでもうつかえてしまう。さてどうしたものか。・・・そうだ、うまい言葉を思いついた。こうすればいい、「太初に行ありき」」
(1759行)ファウスト「休みなく活動するのが男というものなのだ。・・・知識欲とは縁を切った己の胸は、今後どんな苦痛をも避けぬつもりだ。己は自分の心で、全人類に課せられたものを、じっくりと味わってみたい。自分の精神で、最高最深のものを攫んでみたい。人類の幸福と苦悩とを己の胸で受けとめてみたい」等
すなわち、『ファウスト』とは、「考える人」ファウストが「行動する人」に変身し、広い世界に出て、いかなることを成しとげたかいう物語と言えるのではあるまいか。
現代においては決して読み易い作品とは言えないが、ゲーテ自身の人生観を示した代表作として、一読する意味はあるように思う。
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全編が詩のように美しく、日本語もこなれていてすらすらと読める。グレートヒェンの悲劇が痛ましく、錯乱した彼女の言葉は胸をつく。
(2015.6)
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ズブズブと悪に染まっていくファウスト、関わった人々がどんどん不幸になっていく。中途半端な部分は2部で回収されていると思いたい。思ったよりもずっと楽しめた、というと多少不謹慎か。悪魔との契約なんてキリスト教的にはどういう捉え方をされたんだろう。
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言わずと知れた古典中の古典に初めて挑戦。戯曲という形式について詳しくは分からないけど韻が大切ということか。日本語に限らず翻訳するとどうしても原作とは印象が変わってしまうだろう。いずれ他の訳も読んで比べてみたい。
宗教的な示唆が多くて聖書を読んでいればもっと理解が深くなったはず。メフィストーフェレスという悪魔を描く作者の頭がどうなっていたのか想像できない。恋愛や色欲は200年以上前のヨーロッパでも今と本質的に変わらないってことが発見。性的な表現を伏字にしているところに笑ってしまう。ワルプルギスの夜のところは全然理解できなかったけどなんか色々混ざり合った感じが凄い。ファウストは「己は自分の心で、全人類に課せられたものをじっくりと味わってみたい。」と言っているけど、ここが所謂ファウスト的衝動と呼ばれる部分なのかな。ファウストは薬を飲んで若返ったの?時間のとび具合がよくわからない、などもやもやするところは解説でふれられているのか。
「ワルプルギスの夜」はまどマギで有名だし。作品自体が「化物語」で触れられるなど個人的に日本のアニメへの影響も見逃せない。
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カテゴリを「詩」にしたが、これは「本で読むための詩劇」で、舞台で上演するのは難しい。
「天上の序曲」は『旧約聖書 ヨブ記』のパロディ。『ヨブ記』ではサタンが神をそそのかし、「ヨブの信仰心が本物か否か」を確認するため、次々とヨブに厳しい試練を与えてテストする。
『ファウスト』は、神と悪魔メフィストーフェレスが「神が愛でるファウストをメフィストーフェレスが堕落させられるか否か」というギャンブルをする。メフィストーフェレスはファウストともギャンブルを始め、ファウストが「とまれ、お前はあまりにも美しい」と言ったら、メフィストーフェレスがファウストの魂を手に入れるという契約をする。この「二重のギャンブル」が後で重要な意味を持つのだが……。
ストーリーはそれほど難解ではないが、「ファウストが留守の間、恋人グレートヒェンが『赤子殺しの罪』で逮捕された事件」がわかりにくい。その瑕瑾がなければ五つ星。
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名作に挑戦。と少し構えてましたが、読みやすく風刺や諧謔に満ちて、言葉を楽しめます。ファウストは悪魔に惑わされつつ精いっぱい恋する中二病な元おじさんでした。〈ゲーテ先生すみません)展開が早過ぎてちょっと戸惑うことも;;グレートヒェンが懐妊し狂気に堕ち…女は哀しいです。でも恋に対するメフィストフェレスの態度が軽く見ているようで、だけど厄介なものとどこか分かっているの感じられて興味深い。嫉妬や憎悪と違い、自由にならない最たるものでしょうね。
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入院中に自宅の本棚から供給してもらったが、読んだ記憶もなくなっている。購入したのはもう20年以上前だ。
さて、早速読んでみて衝撃、すべて台詞仕立て。当たり前か、戯曲なんだから。それにしても言葉を目で追いつつ意味がわからないなんとも悩ましい状況に…。それでもめげずに読み進めるしかない。次第にファウストが人間の強い欲傲慢さ、そして良心の弱さを併せ持つ人間の代表として描かれていると認識してきた。これが正しいかわからないが、良い副読本が欲しいところだ。
第二部もこの調子で読み進めようと思う。
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読んだ本 ファウスト(一) ゲーテ 20230412
戯曲なんで、読みづらくはないです。だけど、わかりづらい。本当に重要な出来事が埋もれていて、うっかり読み飛ばしちゃいます。最後のマルガレーテの悲劇なんて、いつそうなったかわからなくて、80ページほど捜索しましたよ。悲劇の悲劇たる理由が埋もれちゃうなんて。それでも、あらすじとしては全く古さはないですね。
それにしても、昔の人ってこれを舞台で観て、娯楽ととらえていたんですかね。昔の方が知的水準が高かったってことなんでしょうか。
Posted by ブクログ
【始】献詞
その昔、私の曇った眼の前に現れ出たおぼろげな姿が、今また揺らめき近づいてくる。
【終】
声 (内部より次第にかすかに) ハインリヒ、ハインリヒさん。
時系列がわかりにくかったり、思想の話が難しかったりで読みづらいところはあったけど、ストーリーは普通に面白かった。
ところどころにゲーテの詩の要素も甲斐見えてストーリーだけではない読み応えがあった。
Posted by ブクログ
知識、教養を身に付けてもなお心が満たされないファウストは悪魔メフィストーフェレスは契約をした。
若返りの秘薬を飲まされて、少女に恋をする。
ファウストはやりたい放題。
Posted by ブクログ
グレートヒェンが踏んだり蹴ったりな結末になるんだけど、それもこれもファウストに出会ったがためであったというのが第一部なのかな…要するに。なんとなく心に残った言葉-「何がなんでも自説を通そうとして、一つのことだけをいっていれば、そいつが勝つに決まっているのだ」(ファウストがメフィストーフェレスに対して)