高橋義孝のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ひとが人生のうちでこの本に心を動かされることがなかったとしたら、それはあまり良いことではないだろう」とゲーテは語ったらしい。「こんなにあなたを愛した私を、あなたは決して憎めない」と、ロッテへの純粋な愛と信頼を貫き通した彼の儚い人生についてのこの小さな記録は、到達不可能な憧れに一身を捧げる(シェリーが星と蛾のたとえで美しく言い表したような)愛の喜びと、それの裏側でしかない悲哀を同時に提示し、我々の生に暗くも美しい影を落としている。ウェルテルはロッテの元を静かに立ち去るべきであっただろうか。ロッテはだけれど、確かにウェルテルに想いを寄せていたし、ウェルテルは、ただのエゴイズムから最悪の結果を招い
-
Posted by ブクログ
主人公ハンス・カストルプの高地国際療養所での周囲との交流と成長を描いた小説、
とあらすじはシンプルだが登場人物たちの議論や言動の濃密さとその影響を受けてハンスが精神的に変化していく様は圧倒的な描写で流石にビルドゥングス・ロマンの大傑作。忘れられない読書体験。人間関係のさまざまな側面、自然、病、科学、政治・経済、宗教、哲学、心霊、文化、遊び…とありとあらゆるテーマが飛び交い、延々と言葉が積み重ねられていく描写は人によっては「退屈」と感じられるのだろうし、長い『魔の山』登山を楽しんでいた私自身でも「一体何を読んでるんだ?」と混乱してくる場面もあったが、多感な青年の成長とは理路整然や首尾一貫よりは混 -
Posted by ブクログ
堪能しました。
人文学者で合理主義者、ハンス・カストルプの師であるところのセテムブリーニの長々しい語りだけでも充分興味深かったのに、彼に強烈なライバルが現れる。
イエズス会の会員であり、宗教のためならテロやむなしとするナフタ。
この二人がそれぞれハンスを自分の陣営に引き込もうと語る語る。
ふたりに挟まれた形のハンスは、お互いに極論ばかり言わないで、何とか妥協点を見つけることはできないのだろうかとこっそり思うくらい。
現在の日本に生きる私は、やはりセテムブリーニの言い分の方が近しいと思える。
人間の尊厳であるとか、文学が持つ力であるとか、注意深く政治を見つめることとか、経済の重要性とか。
-
Posted by ブクログ
1巻執筆からかなり時間が空いてしまったせいか、なんかテイストが違うような・・・老齢に差し掛かったゲーテの思想的・教養的深みの大きさを感じさせます。劇作的な面白さは1巻のほうがよかったかな…これ、いちおう戯曲ですから。演劇ですから。
古代の美女ヘレネーに懸想したファウストが、はるか神話の世界まで飛んで行って~とかどんだけ荒唐無稽なの
てかグレートヒェンに対して悪びれもせずそういうことしちゃうんだ・・・まあ悪魔に取りつかれてる男ですから、さもありなん といったところでしょうが
古代時代はちょっとおもしろかったですね
ゼウス、セイレーン、ポセイドン、ヘラクレス、ホムンクルス、ケイローン、トリトン e -
Posted by ブクログ
ネタバレ詩聖ゲーテの名作『ファウスト』。
戯曲向けに書かれたので韻文でつづられている(最初ふつうの小説と思って読むとびっくりするかも)。
第一部は1808年に発表され、第二部はその約30年後の1833年=ゲーテの死の翌年に発表されたという・・・ゲーテの生涯を通して書かれた作品、なんですね~(30年推敲を重ねられたっていうか暫く放置されてた感があるけど…)。
新潮文庫の1巻では“天上の序曲”~天使たち(ラファエル、ミカエル、ガブリエル)の合唱から始まり誘惑の悪魔・メフィストーフェレス登場。神とひとつの賭けをする。即ち、善き人間であるファウストを悪の道へと引きずりこむことができるのか。
ここから悲劇的本 -
Posted by ブクログ
2011.01.25-
悪魔の力で最も美しい時を過ごしそれを失い、この世の栄華を極めようとするファウストだが、進めば進むほど彼の世界は混乱していく。苦悩の果てにたどり着いた人生の真理は、他者のために生きること。「今この時」に自分のすべてを忘れて没入することだった。そして真理にたどり着いた魂は、悪魔の手を逃れて天使と共に昇っていく。
メフィストーフェレスが面白い。悪魔も大変なのね(笑)。
自分が決めて行動した、その結果がどうであろうと受け入れる。それが責任を持つということ。それがどんなに辛くても、苦しみの先には救いがあるとゲーテは言っている。たぶん。