高橋義孝のレビュー一覧

  • 若きウェルテルの悩み

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    「ひとが人生のうちでこの本に心を動かされることがなかったとしたら、それはあまり良いことではないだろう」とゲーテは語ったらしい。「こんなにあなたを愛した私を、あなたは決して憎めない」と、ロッテへの純粋な愛と信頼を貫き通した彼の儚い人生についてのこの小さな記録は、到達不可能な憧れに一身を捧げる(シェリーが星と蛾のたとえで美しく言い表したような)愛の喜びと、それの裏側でしかない悲哀を同時に提示し、我々の生に暗くも美しい影を落としている。ウェルテルはロッテの元を静かに立ち去るべきであっただろうか。ロッテはだけれど、確かにウェルテルに想いを寄せていたし、ウェルテルは、ただのエゴイズムから最悪の結果を招い

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    2024年05月19日
  • 魔の山(下)

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    主人公ハンス・カストルプの高地国際療養所での周囲との交流と成長を描いた小説、
    とあらすじはシンプルだが登場人物たちの議論や言動の濃密さとその影響を受けてハンスが精神的に変化していく様は圧倒的な描写で流石にビルドゥングス・ロマンの大傑作。忘れられない読書体験。人間関係のさまざまな側面、自然、病、科学、政治・経済、宗教、哲学、心霊、文化、遊び…とありとあらゆるテーマが飛び交い、延々と言葉が積み重ねられていく描写は人によっては「退屈」と感じられるのだろうし、長い『魔の山』登山を楽しんでいた私自身でも「一体何を読んでるんだ?」と混乱してくる場面もあったが、多感な青年の成長とは理路整然や首尾一貫よりは混

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    2024年01月19日
  • 魔の山(下)

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    最後に至るまで思弁的で、冗長で、密度が高く、読むのが辛かった。

    しかし、読み終わって思索してみると、ハンス・カストルプの凡俗さに人間存在の危うさが垣間見れる力作であった。

    女性の描かれ方が考えさせられる。観念、理性が男性に割り振られ、情緒、感情が女性に割り振られている。

    ショーシャが連れ戻ってきたピーター・ベーペルコンの存在感が印象的だった。

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    2023年07月09日
  • ファウスト(一)

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    古さを感じない傑作。
    セリフの端々に、現代も変わらず営まれている
    人の世のリアルがにじみ出ている。

    何度読み返しても発見がある。

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    2019年01月27日
  • 魔の山(下)

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    くっそムカつくしイライラする展開ばっかりなんだけど文学作品として最高峰のレベルに位置しているのはわかる。不条理をありありと描いた小説。

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    2018年11月06日
  • ファウスト(一)

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    私生児を産んだ女への懲罰をゲーテが廃止したのは、この時代にパラダイムシフトがあったのでしょうか。優れた物語はいつも、転換点前夜のまどろみを描きます。だからグレートヒェンは我が子を殺して破滅するのですが、それに比べて、ファウストの苦悩や悔恨は口先ばかり。まるで、生き延びてしまった老人はこうやって世間を眺めているんだよと言わんばかりの冷たい表情で、死んだ友人たちを呼び起こして追憶を始める。

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    2017年07月11日
  • 魔の山(上)

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    ドイツの偉大な教養文学というだけあって教養になる物事が山程詰め込まれた本。人間を科学的な面での身体から、精神やら思想やら芸術について突き詰めてあってとても面白い…そして難しい。「文学とは常に“苦悩”について描かれている」という言葉が腑に落ちたし好き

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    2017年02月17日
  • 魔の山(下)

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    若い頃でないと読み切ることが難しい。
    それほど本書は読者に背景を理解するためのハードルを上げる。
    宗教家と教師との長い論争は最たるもの。読者もまたその理解を求められる。

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    2016年12月03日
  • ファウスト(二)

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    ネタバレ

    「人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないで、愚かにももっといいものが欲しいと憧れ、一番すばらしい幸福にもすぐに慣れっこになってしまうのです。」

    世界で一番面白い本だと言われている。
    話し言葉だけでストーリーが展開されるので、物語の進行は速い。

    一番好きなシーンは、
    ヘレネーとファウストの間に子供ができた9695からである。

    メフィストフェーレスも俗っぽく面白かった。

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    2016年06月19日
  • ファウスト(一)

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    「善い人間は、暗い衝動に駆われても、正道を忘れるということはないものなのだ、と。」

    世界で一番面白い本と聞いていたので、いつ読もうかずっと迷っていた本。戯曲なので、セリフだけで話が進む。なので、時間の流れを掴むのが難しかった。

    この本は確かに面白い。とても面白い。ゲーテが60年かけて作っているのだから、そこに凝縮された何かがある。

    マルガレーテの兄のセリフは、真に迫るものがある。

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    2016年04月29日
  • 魔の山(下)

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    堪能しました。

    人文学者で合理主義者、ハンス・カストルプの師であるところのセテムブリーニの長々しい語りだけでも充分興味深かったのに、彼に強烈なライバルが現れる。
    イエズス会の会員であり、宗教のためならテロやむなしとするナフタ。

    この二人がそれぞれハンスを自分の陣営に引き込もうと語る語る。
    ふたりに挟まれた形のハンスは、お互いに極論ばかり言わないで、何とか妥協点を見つけることはできないのだろうかとこっそり思うくらい。

    現在の日本に生きる私は、やはりセテムブリーニの言い分の方が近しいと思える。
    人間の尊厳であるとか、文学が持つ力であるとか、注意深く政治を見つめることとか、経済の重要性とか。

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    2014年10月22日
  • ファウスト(一)

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    ネタバレ

    綺羅星のような戯曲。構成も素晴らしい。メフィストフェレスになりたくなってしまった。高校生の時には挫折した作品。ドイツ文学の最高峰では。

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    2014年03月02日
  • ファウスト(二)

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    1巻執筆からかなり時間が空いてしまったせいか、なんかテイストが違うような・・・老齢に差し掛かったゲーテの思想的・教養的深みの大きさを感じさせます。劇作的な面白さは1巻のほうがよかったかな…これ、いちおう戯曲ですから。演劇ですから。
    古代の美女ヘレネーに懸想したファウストが、はるか神話の世界まで飛んで行って~とかどんだけ荒唐無稽なの
    てかグレートヒェンに対して悪びれもせずそういうことしちゃうんだ・・・まあ悪魔に取りつかれてる男ですから、さもありなん といったところでしょうが
    古代時代はちょっとおもしろかったですね
    ゼウス、セイレーン、ポセイドン、ヘラクレス、ホムンクルス、ケイローン、トリトン e

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    2013年05月20日
  • ファウスト(一)

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    ネタバレ

    詩聖ゲーテの名作『ファウスト』。
    戯曲向けに書かれたので韻文でつづられている(最初ふつうの小説と思って読むとびっくりするかも)。
    第一部は1808年に発表され、第二部はその約30年後の1833年=ゲーテの死の翌年に発表されたという・・・ゲーテの生涯を通して書かれた作品、なんですね~(30年推敲を重ねられたっていうか暫く放置されてた感があるけど…)。

    新潮文庫の1巻では“天上の序曲”~天使たち(ラファエル、ミカエル、ガブリエル)の合唱から始まり誘惑の悪魔・メフィストーフェレス登場。神とひとつの賭けをする。即ち、善き人間であるファウストを悪の道へと引きずりこむことができるのか。
    ここから悲劇的本

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    2013年04月30日
  • 魔の山(下)

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    読んだ。面白かった。長かったなあ。執筆に12年の歳月を要したとのこと。
    心身にこたえたタイプの面白さです。
    難解な哲学的思索・論争を展開するのみならず、そこかしこにユーモア・諧謔精神までもが散りばめられているのです。このウィットに富んだところがにくい。富野作品のザブングル(古い)を思い出したりしました。

    「ファウスト」(未読)、「ツァラトストラ」(既読)、と並ぶ20世紀文学の名作と言われているらしいけれど、“三枚目”で好感が持てました。サンバルカン(古い)で言うところのバルパンサー(イエロー)感があったような無いような。

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    2012年12月09日
  • ファウスト(一)

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    2015年98冊目。(再読)

    ゲーテが着想から60年かけて完成させた大作。
    場面展開のテンポが良く、多彩な人物(あるいは人ならざるもの)が次々と現れ、想像した光景のカオスがすごい。
    心に残る名言もあまりにも多い。
    また、日本語訳のリズムが非常に良く、特に歌の部分は日本的になじみのある語数できれいにまとまっている。
    注の数は多くないので、一つひとつの意味合いを深く知ろうと思うと物足りない感はあるが、
    一読目に勢いで読み切るにはちょうど良かった。
    ====================
    2012年43冊目。(初読:2012年7月1日)

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    2015年11月25日
  • みずうみ

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    小5で初めて読んだ文庫本です。以来の再読。感激しました。
    押し花を二人目にして「誰がくれたか覚えてる?」「はい」・・・もう涙なしでは
    読めないですねえ。本当にドイツらしい穏やかでまじめで静かな、でも深い愛をたたえた作品でした。

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    2011年08月15日
  • 魔の山(下)

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    1924年に出版された小説にこんなに共感出来るなんて意外でした。「精神と肉体」だとか「生と死」だとか「愛」だとか「時間」だとか、そういったかたちのないもの、理屈で解明出来ないものとはやはりいつの時代にも不変のテーマなんですね。そしていつの時代の人々も、同じようなことを感じ同じようなことに苦しみ同じような結論を出す。面白い。本当に面白い。

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    2011年07月21日
  • ファウスト(二)

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    2011.01.25-
    悪魔の力で最も美しい時を過ごしそれを失い、この世の栄華を極めようとするファウストだが、進めば進むほど彼の世界は混乱していく。苦悩の果てにたどり着いた人生の真理は、他者のために生きること。「今この時」に自分のすべてを忘れて没入することだった。そして真理にたどり着いた魂は、悪魔の手を逃れて天使と共に昇っていく。

    メフィストーフェレスが面白い。悪魔も大変なのね(笑)。

    自分が決めて行動した、その結果がどうであろうと受け入れる。それが責任を持つということ。それがどんなに辛くても、苦しみの先には救いがあるとゲーテは言っている。たぶん。

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    2013年03月19日
  • ファウスト(一)

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    2011.01.18-
    何か大きな物を追うばかりに、「今この時」に没入することが出来ない男の話。追っている物は余りに大きく、彼自身、何を追っているのかも見失ってしまう。「追求した先にあるもの」よりも、「追求すること」が目的になっているようだ。

    あと、処女信仰は無意味で残酷だと思いました。

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    2013年03月19日