高橋義孝のレビュー一覧
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ネタバレある芸術家の生き様の軌跡。
肥大化し膨れ上がった自意識、彼の思想は、極限まで高められた内省に源泉を持つ。
凡人と才能ある人々を区別することの意味。むしろ区別するという行為自体が極めて凡人的なのかもしれない。
悩める俗人。
「恋が人を豊かにし、生き生きとさせることを知っていたからだった。」
彼が愛したのは、容姿端麗で、活発な青年とブロンドのお転婆娘。彼らは詩を軽蔑する。
彼は叶わぬ恋に身を焦がす。そしてそれが彼の内的な自己否定であり、彼らに愛され承認されることによる自己肯定への欲求なのかもしれない。
「なぜなら幸福とは、と彼は自分に言って聞かせた。愛されることではない。愛されるとは嫌悪を交えた虚栄心の満足に過ぎない。幸福とは愛することであり、また、時たま愛の対象へ少しばかりおぼつかなくても近づいていく機会を捉えることである。」
言って聞かせた。ここに彼の歪な愛が垣間見える。
「春は最も醜悪なる季節なり」
春は想い出や感情の優しい部分を引き出す。そしてそれは醜悪なことなのだ。
「全てを理解するということは全てを許すということでしょうか」
「認識の嘔吐と言いたいような何かがあるんですよ、リザヴェータさん。ある事柄を見抜くだけでもうそれが死ぬほど嫌になってしまう。」
人生なんて認識の嘔吐の連続でしかない。それでも人生を愛するとはどういうことなのだろうか。 -
Posted by ブクログ
早朝に変なことつぶやいてたらツイッターのフォロワーさんにオススメ頂いたトニオ・クレーゲル。
ちょっと難しい言葉があったけど、勧めてもらった理由は納得しました。まあ自分は迷える俗人というか迷えるクズですけど。自分とは何であろうか?とかマジョリティーに中々属しない人なんかは共感する部分がありそうな。
ヴェニスに死す は美しい話だけど恐ろしいなやっぱり。苦悩の追求と陶酔の狭間の文学って感じ。映画版を昔これまた人に勧められて観ました。当時はおっさんドーシタみたいに思って凄い映画だとは思ったけど中身は理解できてませんでしたけど、今は少しはわかるような気がします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレファウストとメフィストーフェレスの知識欲求の追求の旅は小世界から大世界へと舞台は移り変わる。話の展開がポンポンと変わりよくわからないところがある。ギリシャ神話の神々の会話には何がなんやらでとてもついていけない。相変わらずのファウストの無理難題な要求に対してぼやきながらも応えるメフィストのやりとりは楽しい。メフィストが契約完了によりファウストの魂を手に入れようとしたところ、天使たちが色じかけでメフィストから横取りして天国へと連れ去ってしまったが、悪魔以上にしたたかな悪魔だと思った。以下ネタバレ
第1幕 皇帝の居城に舞台は移り、国が乱れ国庫は底を突いていると歎いているところにメフィストが道化として皇帝の前に現れる。国の窮乏の打開策として、地中に財宝があると法螺を吹き担保にして皇帝署名の紙幣の発行を提案する。巨万の富を得たと錯覚した今度は皇帝はパリスとヘレネーを見たいとファウストに言い出し、母の国へ。2人を連れ出したファウストはヘレネーの美しさに恋に落ちる。連れ去ろうと触れた途端に爆発し気を失う。仮装舞踏会はよくわからない…
第2幕 ファウストの居室へ。メフィストは変装しファウストの助手に会う。過去にメフィストに言いくるめられた学生が一人前となり再び訪れ言い負かす。実験室ではホムンクルス(人造人間)が産まれる。寝ているファウストの夢を読み取ったホムンクルスはいても立ってもいられず古代ギリシャ?に旅立つ。ファウストも目を覚ましヘレネーを探すためにギリシア神話上の神々の土地を探し回る。ここでのメフィストとスフィンクスのやりとりは楽しい。またギリシャの魔女にてんてこ舞いになる。ホムンクルスはどうなったんだ?
第3幕 よくわからない…。いろいろあってファウストのヘレネーは結ばれる。二人の間にエウポリオーンが産まれる。しかし、元気のよすぎるエウポリオーンは、イーカロスのように墜落死してしまう。冥府からヘレネーに助けを乞い、ヘレネーは消え去る。
第4幕 高山に移る。ファウストは大事業を成し遂げ、名声を博し支配し所有したい、非生産的に波をねじ伏せ、海を遠いかなたへ押し戻そうという欲求を言い出す。そこに第1幕の皇帝の国の経済が破綻し、戦争が発生している。海岸地帯の土地を褒美として手に入れるために皇帝を助ける。ファウストはメフィストの3人の手下を従え、そしてメフィストの幻術により敵を惑わし勝利する。
第5幕 ファウストは高齢になり海岸に理想の宮殿を建る。が、今度は老夫婦を立ち退かせて菩提樹に住みたいと言い出す。メフィストは老夫婦の立ち退かせようとしたが、事は穏便に運ばず、老夫婦・旅人を死に至らしめ、火を放ってしまい菩提樹は滅んでしまう。憂いと言葉を交わし、己が世の中を駆け抜け、あらゆる快楽を体験してきたこと、今では賢明に思慮深く生きていて、この世のすべてを知ったと。『大地の上にしっかりと立って、自分の身の回りをじっくりと見回す。幽霊が出てきてもわが道を進め、苦も楽もあるだろうが、どんな瞬間にも満足してしてはいられない』と語る。憂いとの押し問答により、吐きかけた息によってファウストは盲目にされてしまう。メフィストは手下にファウストの墓穴を掘らせている。ファウストが宮殿から出てきて、その音を事業為すために働いている音と聞き誤り、壮大な夢を描く。そして、あの言葉を… -
Posted by ブクログ
ネタバレ正直、難解で読み手に委ねられる作品だった。
私は、カフカは人間の関係性の究極の希薄さを描きたかったではないかと考えた。
家族であってもその体裁によっては、急激に瓦解するような関係性であることがそのまま描写されている。「変身」では、今までグレゴールに養ってもらっていたのにも関わらず、最終的には家族3人でいた方が良かったかのように終わる。最初は歩み寄る姿勢があった娘でさえ、きっかけさえあれば放り出せとまで言ってのける。家族とは言いながらも、結局はその形に拘泥しているだけである。しかし、それが悪いとも思えない。恐ろしく、悲しく、どうしようもない気分になった。
ユーモラスでありながら、不条理な絶望をこれでもかとありありと見せつけられた。
少展開が少し躓く箇所があり、少し読みづらかった。