ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
2pt
精神と肉体、芸術と生活の相対立する二つの力の間を彷徨しつつ、そのどちらにも完全に屈服することなく創作活動を続けていた初期のマンの代表作2編。憂鬱で思索型の一面と、優美で感性的な一面をもつ青年を主人公に、孤立ゆえの苦悩とそれに耐えつつ芸術性をたよりに生をささえてゆく姿を描いた「トニオ・クレーゲル」、死に魅惑されて没落する初老の芸術家の悲劇「ヴェニスに死す」。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
情景描写がすごく美しい。同じ芸術家をテーマにした2作だけどなんだか違う。自分と自分の外側と。芸術家も所詮人間。いい意味で。
まだトニオの方しか読んでいない。 芸術家を目指す俗人の話。小説って何でも小説になるんだなぁと思った。トニオがたまたま芸術家を目指していただけて、社会との接点を持つようになる若者の多くは、彼に似たような思いを抱くだろうと思うと、この話にはやはり普遍性がある。リザヴェータの迷える俗人宣告は痛快で、その前...続きを読むまでのトニオがいとおしい。
何度読んだか忘れたが、読むたびに読み方が変わる。デカダンス、美のイデア、イタリア喜劇、国際観光都市に集う国ごとの面々の癖…また、細部に注目してもいい。マンの残酷なまでのユーモアは、読み手を常に試してくる。勝てなければ、出直して再挑戦する、それだけの価値のある作家、作品である。
サークルの後輩が卒論の題材にしてる(トニオクレーゲルの方)ということで読んでみました。 ただ外国の純文学は初めてだったので、特にヴェニスに死すの方はかなり読むのに苦労が。 ただ、これは…面白い! 正直作品全体の命題とかは全然把握しきれないんですが、示唆に富んだ言葉や表現の密度が桁違いで、凄まじく刺激...続きを読む的な時間を貰えました。 こういう本は何回も読み返すことが理解する上で前提な造りだと思うので、じっくり読み込んでいこうと思います! この詩は完成せず、十分に仕上げられず、また、悠々として何か纏まったものに刻み上げられることがなかった。彼の心は生きていたからである。 後輩の卒論考察が楽しみだ。
言い忘れていました。この2篇に関しては、岩波文庫よりもこの新潮文庫の訳文のほうに、私は慣れているのでした。そして、岩波の「トニオ」に載せた「リザヴェータさん」はこっちのほうで、つまり岩波では「リザベタさん」でしたね。やっぱり、リザヴェータさんのほうがいいな。その1点だけでも、こちらを私の底本にしたい...続きを読むと思います。さて、まだ『魔の山』や『ブデンブローク家』のことを載せていないではないか、と言われそうですが、あれらには、まだ登攀していないのですよ。逃げるつもりはありませんけれど、きっとそのうちに、ね。約束します、運命の女神の許す限りにおいて。
『トニオ・クレーゲル』…これほどまでに全編一字一句余すところなく共鳴できる作品は、これから先二つと出会えないと思う。感受性が最も鋭敏な思春期の頃に出会えてよかった。今ままで読んだことのある中で恐らく最も好きな本。 『ヴェニスに死す』…当時の私には語彙があまりに難解すぎて途中で断念。別の訳者(名前失...続きを読む念)の訳で最近読み直したが読むペースが遅すぎて噛み締められなかったのでまた読みたい。
大作「魔の山」の前に、トーマス・マンの雰囲気をつかもうと思って読んだ。「ヴェニスに死す」は別の訳で読んだので割愛。「トニオ・クレーゲル」は魔の山を読む前に読むには丁度いい小説だと思う。多少、観念的で暗中模索気味な読書になるが、読み通せば感じるものはある。傷口が拡がるような感覚じは読み通して良かったと...続きを読む思えるものだし、再読しがいのある作品だと思う。三島的感性というよりも芸術や青春に対する憧れや愛着といったものを見つめている。途中少し集中が切れそうになったが読み終えてよかった。読み通す価値のある小説だと思う。
トーマス・マン。 とにかく長大・重厚な作品を書いた大作家という印象だが、本書は比較的ボリュームの軽い、中編を2編収める。 とはいえ、ここにも「過剰なる叙述の片鱗」と言ってもいいような、詳細かつ細部に分け入っていく、畳みかけるような描写がある。 2編に共通しているのは、「決して混じりえぬものへの憧憬」...続きを読むとでも言えようか。。 『トニオ・クレーゲル』は一人の芸術家の半生を描く。謹厳な父に、異国から嫁いだ、夢見るような母。周囲に完全に溶け込むことのない一対の観察する目のような少年時代が印象的である。少年トニオが愛したハンスは、トニオよりも乗馬友達の方がお気に入りだ。長じて詩人となったトニオが女流画家に当てた手紙はそのまま、マン自身の芸術論であるように思える。 『ヴェニスに死す』では、気分転換にと大作家がヴェニスを訪れる。やはり旅行に来ていたポーランド人一家の中に、端正な顔立ちの少年がいた。ギリシャの美少年を思わせるような中性的な美しさを愛で、老作家は密かに見つめ続ける。生ぬるい風に消毒薬の匂いが混じる。死の伝染病が流行しているが、当局が伏せているらしい。この地を去るべきだと思いつつ、少年に魅せられた作家は、そこを離れることができない。 「美」を見出し、描き出すのは「芸術家」だが、「美」そのものを体現するものは、それを描写する必要を持たない。「芸術家」は「美」の一番の理解者でありながら、「美」自体になることはできない。「美」は自身が「美」であるがゆえに、「芸術家」が「美」を求め、それを捉えようと苦しみ、遂に手中にする喜びを、真に理解することはない。 かくしてこの片恋は、永遠に片恋のまま。 『ヴェニスに死す』では、間接的にではあるが「美」への愛のため、「芸術家」は命を落とす。ある意味、幸福な結末であるようにも見えるし、辛辣な喜劇のようにも見える。途中からは引き返せない道であることがありありと見えることから、一直線に奈落へ落ちていく悲劇のようにも見える。 読むたび印象が変わりそうな、万華鏡のような不思議な世界である。 *トーマス・マンといえば思い出すのは北杜夫。敬愛するマンの「トニオ・クレーゲル」から筆名を「北”杜二夫(とにお)”」とし、読みにくいため「杜夫」に改めたのはよく知られる話。代表作の1つである「楡家の人々」もマンの「ブッデンブローク家の人々」に影響を受けたものとのこと。 *「ヴェニスに死す」は学生時代にヴィスコンティの映画を見ました。当時は、不健康で退屈、と思ったのですが(^^;)、先日、オペラ仕立てのものを見たら存外おもしろくて原作を読んでみる気になりました(映画とオペラの作品の出来不出来ではなく、自分の方が年を取ったということだと思うのですが)。 *水の都、ヴェニスは、実際に感染症の蔓延に悩まされていたんでしょうかね。このあたりもちょっと追ってみたいような。 *マンは後年、反ナチスの姿勢を明確に打ち出していきます。金髪・碧眼という本二作で描かれる美の象徴はそのまま、ヒトラーの賛美した「アーリア人」的容貌であるようにも思えます。その重なりが余計に許せなかったのかもしれない、とちょっと思ったりします。
ドイツの作家トーマス・マンが1903年に発表した"トニオ・クレーゲル"と1912年に発表した"ヴェニスに死す"を収録。どちらも映画されており、特に"ヴェニスに死す"は有名な作品です。どちらも芸術家を主人公にした作品で、作中ではそれぞれが苦悩...続きを読むする姿が描かれます。"トニオ・クレーゲル"は、作者自身の自伝的内容らしいが芸術に対する苦悩と思春期特有の苦悩が上手く結びつきあって、彼の独白に共感しやすさを持たせていると感じた。"ヴェニスに死す"は同性愛(BL?)的な視点で読んでみるのも一興かと。
薦められて読んでみた本。面白かったなあ。 芸術か実生活か、直感か理性か… 『魔の山』の時にも感じていたのだが、トーマス・マンの筆致は強くてシリアスでありながら、どこか諧謔的で、一寸とぼけたようなところがあると感じるんだよね。そこが好き。テレビ「ドラゴンボール」のナレーションみたいなところがありはし...続きを読むないか? 満足です。 そして、推薦者がコレを推す意義もひしひしと伝わってきました。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
新刊情報をお知らせします。
トーマス・マン
高橋義孝
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
魔の山 上
試し読み
ファウスト(一)
変身
粋と野暮のあいだ
大人のしつけ 紳士のやせがまん
芸術論
叱言 たわごと 独り言
すこし枯れた話
作者のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す ページトップヘ