井上靖のレビュー一覧

  • 楼蘭

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    四半世紀ぶりに取りて読む。中学生のときは李陵と比べて格段に低い評価をしていたが、改めてこれはこれで趣の深い作品である。

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    2015年12月08日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    山本勘助の人間味が描かれていて好感が持てる内容だった。また、武田信玄の意向をくみ取り、部下として、仕事師として優秀な人だったと感心させられました。。

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    2015年11月26日
  • 異域の人 幽鬼 井上靖歴史小説集

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    井上靖の短編小説。特に西域物である「異域の人」・「明妃曲」・「聖者」が個人的にお気に入りである。

    西域都護として有名な班超にスポットを当てた「異域の人」は、班超自身が西域遠征に半生を費やすうちに西域の匈奴人のように「皮膚と眼の色」を変え、老胡人と化していた。
    これは「僧行賀の涙」で、帰国した僧行賀がまさに漢人のようになっていたのに似ている。国家の事業に自らの半生を賭した彼らだが、結果的にその功績は報われなかった。
    しかし、こういった人生を歩んだ班超や行賀にはなんとなくシンパシーを感じてしまう。

    王昭君にスポットを当てた「明妃曲」も、本来の悲しい王昭君の物語とは別のサイドストーリーが描かれる

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    2015年08月03日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    名門、武田家に仕えた天才軍師
    山本勘助が主人公の話。
    ただし実際いたのかいなかったのかは不明なんだけど
    そんなことどうだっていいじゃない!!
    で、そんな山本勘助。
    武田家に仕える前から亡くなるまでのストーリー展開。
    武田信玄はもちろんのこと由布姫や武田勝頼の為に
    全力を尽くしつつ、時には軍師時には見守る親のように時代を生きていく感じ。
    人間関係が露骨に出てて、それはそれでまたなんとも言えない
    複雑さがあるけども、とりあえず山本勘助は熱い男だな!と。
    まぁ史実云々よりも作品として楽しめた。
    ラストの川中島の戦いはとてもよかった。
    あれこそ戦国の世の華々しい散り方かと思う。

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    2015年06月20日
  • わが母の記

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    「もう面倒見切れない気持ちになっている」実の母親をそんな風に言う場面なんて嫌だなぁ。そう思った時、昔私の祖母が呆けた時を思い出して頭を抱えた。   そうだ、中学生の私も母が大変そうで『大好きな』ばーばに腹が立っていた。   身近な人間が急激に変わっていくのをすんなりと受け入れられる人間なんてそうはいないんだった。それでも暖かく忘れていく母を見守っていくささやかな愛の詰まった一冊でした。

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    2015年06月03日
  • おろしや国酔夢譚

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    ネタバレ

    アムチトカ島を出るまでは他にもある漂流記と大きく違いは無いが、カムチャッカに渡りさらにヤクーツクさらにイルクーツクまで来るともはや漂流記を逸脱して異世界冒険譚となる。主人公が異世界を旅するフィクションは掃いて捨てるほどあるが、そのどれも物語としての迫真さにおいて本作には叶わない。これが江戸時代のシベリアの大地と帝政ロシアを舞台にした実話というところが驚き。

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    2014年12月30日
  • 蒼き狼

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    スケールの大きい小説だった。
    人類史上最大の帝国を築いたチンギスハンの生涯。
    家族とテントで暮らしていた彼が、そんな帝国を築き上げるとは、凄まじい話だ。
    人物の語り口調が面白い。
    男も女も闘争心がある!

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    2014年07月14日
  • 楼蘭

    購入済み

    壮大なドラマ

    壮大なドラマですが作中に出てくる地名を一々地図で探すのも面倒なので軍勢の移動ルート等も一緒に示して欲しかった。もう一つ、昔読んだ時に見つけた誤植がそのままになっていた。(「洪水」の終わりの辺り)

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    2014年07月07日
  • おろしや国酔夢譚

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    海流の影響か、昔からロシアには日本の船が流れ着くことが珍しくなく、もちろん日本には帰れずに現地で一生を終える者がほとんどだった。そんな中、和歌山の商人である大黒屋光太夫は知恵とど根性で日本に帰ってくるのだ。帰りの船を出してもらうために当時の女帝エカテリーナに謁見するという歴史的な事実もあって、ロシアでは知られた人のようだ。ロシア人の気質なども垣間見られる貴重な調査記録だ。

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    2014年05月12日
  • 蒼き狼

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    モンゴルに行き、馬で走る事になったのでこの小説を読んでから行くことにした。
    現地で知り合った遊牧民はチンギスハンの末弟の子孫だという事や、草原にかける想いを聞いて歴史に思いを馳せることができた。本物の遊牧民、草原、馬と触れ合って、本の中に行ったようだった。
    読んで行ってよかった。
    繰り返し読みたい一冊になった。

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    2013年12月07日
  • 夏草冬濤(上)

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    「しろばんば」の続編。
    子どもの頃に読んだときは、続編があるとは知らなんだ!

    中学生になった洪作の生活を描いています。
    「しろばんば」と同じく、大事件が起こったり手に汗握らせたりすることなく、淡々と日常を描いているのに、次が読みたくてたまらなくさせる! 名作だー!

    キラキラと眩しい先輩たち、仲はいいけど脱皮しきれない子どもっぽさが鼻につく同級生、美しいけれど性格の悪い親戚の女の子…
    そんなものたちに翻弄されながら、少しずつ成長していく洪作。
    あぁ、おぬい婆さんにもこの成長を見せてあげたい!

    「子どもを産むなら女の子!」と思ってたけど、この洪作の青くさい、成長っぷりを見てると「男の子もいい

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    2013年11月21日
  • 後白河院

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    井上靖は10代のときから好きな作家である。「あすなろ物語」「しろばんば」に始まり、「淀どの日記」「楊貴妃伝」「敦煌」「天平の甍」「蒼き狼」「本覚房遺文」など、むさぼり読んだ。特に「楊貴妃伝」と「淀どの日記」は好きで何度も何度も読み返し、これは今でも文庫本を手元に置いている。

    渡米して日本の本をあまり買えなくなってから少し遠ざかっていたが、先日日本食料品店の古本コーナーで彼の「孔子」を見つけて買い、読んだ。ひさしぶりに読む彼の文体は美しく、ああ、私がこの人の作品を好きなのは、内容もさることながら、文体が好きだからなんだ、と痛感したものである。

    そして日本から取り寄せた「後白河院」。昨年の大河

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    2013年10月05日
  • 北の海(下)

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    きっかけは「七帝柔道記」。
    それほど柔道柔道していなかった。
    洪作の人柄には魅かれるモノがある。
    「しろばんば」「夏草冬濤」を早々に読まねば。読みたい。

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    2013年08月13日
  • 北の海(上)

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    キャア順番間違えた。まあええか。
    とにかく下巻へ急ぐ。
    早々に「しろばんば」「夏草冬濤」読まねば。
    そして「あすなろ物語」も。

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    2013年08月12日
  • 孔子

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    10代の頃大好きだった作家だが、この作品は未読だった。晩年に書かれた最後の長編だそうだ。とにかく紡ぎ出される言葉の美しさ。そこに書かれる孔子への限りない憧憬。儒教に対して断片的な知識しかない私にとっては、堅苦しく、封建社会の人々を縛る規範となった哲学、という印象が強かった。孔子の言葉の数々をこれほどあたたかく人間的に解釈し、美しい理想を求める真摯な人間として描いたこの小説を読んで、もうちょっと儒教のことをよく知ってみたい、という気持ちがある。

    考えて見ると、イエス・キリストとキリスト教の関係と似たようなもので、本人はもっと柔軟に、しなやかな教えを説いていたのに、後々の人々によってその教えは変

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    2013年07月23日
  • 額田女王

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    私が日本史で一番興味を持っているのは飛鳥時代なのですが、思い入れの強さからこの時代と人物に持つイメージが作品と食い違うのが少し怖くて、この時代を扱う小説は今まで敬遠していました。そんな中この作品を読んだのですが、これが実に艶っぽい。作者の想像力が人物中心で注がれているおかげでしょうか、気持ちよく憧れの世界に浸れました。毅然とした額田女王、凛々しい中大兄皇子、勇ましい大海人皇子、この三人の微妙に変化する距離感がすごく良くて。脇を固める中臣鎌足の存在感も大きいです。人物の魅力が輝く上品で美しい物語でした。

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    2013年01月20日
  • 額田女王

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    額田像が折口信夫説に寄っている(采女的)。あかねさすの解釈、これが一番しっくりくるなぁ。何はともあれ2012年度ベスト・キュンキュン小説。たまらん。

    レビューに淡白な小説との意見が多いですが、私はコレとんでもなく情熱的だと思う。読みながら思わずムラムラしちゃったよ…。

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    2012年11月18日
  • 北の海(下)

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    『しろばんば』『夏草冬濤』ときて三部作の最後。高校に入るまでの浪人生活。今まで何にも風来坊だった洪作が、柔道という打ち込める物をみつけ、それによって今までとは違った仲間と出会う。
    ちょっと大人になった洪作です。

    細かい描写はどちらかというと少なめです。
    三部作の中では夏草冬濤が一番好きですね。

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    2012年09月05日
  • 夏草冬濤(下)

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    『しろばんば』に続き井上靖の自伝的小説三部作の第二部にあたるもの。
    今度は中学校に上がった洪作が、前半では同学年の友人とつるむ平凡な日常が、後半ではふと出会った上の学年の友人の文化的でちょっと不良な面に触れ多いに影響されてゆく様が描かれている。

    郷里に帰省したときの美しい風景の描写は秀逸。

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    2012年08月26日
  • 北の海(上)

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    偉大なる青春讃歌に感動した。
    当初は高専柔道、七帝柔道の事がメインと思って読み始めたのだが。
    人生とは、青春とは、友人とはそして柔道とは。
    少し青臭くなるけれどもう一度考えるきっかけになるかもしれない。
    もっと若いうちに読んでおけば人生の、特に青春時代の過ごし方ももっと深い物になっていたのではないかと悔やまれる。

    同じような思いをしたのが「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか」を読んだ時。この本ももっと早く読む機会があったら自分の柔道も変わっていたことだろうととても悔やまれたから。
    上記二冊、これから青春を迎える全ての若い人、青春まっただ中の人、振り返らなければ青春が見えなくなった人、そして

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    2012年08月07日