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80歳の母を祝う花見旅行を背景にその老いを綴る「花の下」、郷里に移り住んだ85歳の母の崩れてゆく日常を描いた「月の光」、89歳の母の死の前後を記す「雪の面」。 枯葉ほどの軽さのはかない肉体、毀れてしまった頭、過去を失い自己の存在を消してゆく老耄の母を直視し、愛情をこめて綴る『わが母の記』三部作。〈老い〉に対峙し〈生〉の本質に迫る名篇。ほかに「墓地とえび芋」を収録。
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Posted by ブクログ
「わが母の記」には、著者が老耄の母への思いを記した「花の下」「月の光」「雪の面」の3編を収録しています。
著者には、『しろばんば』『夏草冬濤』『北の海』の自伝三部作があり、それらの作品のなかで著者の母は七重という名前で登場しています。おぬい婆さんと激しくやりあっていた気丈な著者の母が、若い頃へ向かって記憶を抹消していき、やがて著者の妹のもとで死を迎えるまでの叙述に、母に対する著者の静かな愛情が染みわたっているように感じました。
「墓地とえび芋」は、著者の作品のなかで個人的にもっとも好きなもののひとつです。京都の骨董屋に田黄の古印を買いに行った著者が、図らずも骨董屋の主人の葬式に参列することになり、田黄を買うはずの金で墓とえび芋を購入することになったいきさつが語られるエッセイ形式の佳品で、清澄な読後感のある短編です。
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