井上靖のレビュー一覧

  • 淀どの日記

    Posted by ブクログ

    織田信長の姪であり、浅井長政とお市の方の娘であり、豊臣秀吉の側室である淀殿(茶々)の物語。
    その強気な性格がゆえに、運命に翻弄されていく。

    様々な女性の生き様が印象的でした。

    0
    2009年10月04日
  • 楼蘭

    Posted by ブクログ

    これは作家井上靖氏の昭和30年代中心の短篇小説集です。標題に代表されるように西域に主題をとった作品群が多く、この地域に関心の深い私には前から読みたかった作品です。小説というよりは史書のような趣きで、どこまでが創作でどこからが史実かとかわからなくなりそうなくらい、引き込まれます。日本の説話にまつわる作品も集録されており、磐梯山の爆発の事件に主題をとった小磐梯という作品も味わい深いです。ま、核となる作品は間違いなく楼蘭です。実際にあった楼蘭という小国の過酷な運命が描かれており、それと興味尽きない謎の湖、ロプノールの変遷も興味津々です。読後、シンセサイザー奏者の喜多郎の作品を聞きながら床に入ると一層効果的です。

    0
    2023年02月24日
  • 北の海(下)

    Posted by ブクログ

    終わった〜!10代で挑戦し挫折した井上靖の自伝的三部作を読破。この下巻でも会話がイキイキしてて、特に洪作が宇田に台湾行きに関して一札とられる場面は面白すぎてニヤけてしまった。全作通し、なんて靖氏は昔をよく覚えておられるのだろう!と感嘆しながら読み終えたら、本作の解説を読んで、ガ〜ン・・・「『坊ちゃん』を漱石の自伝小説と思うのは、よほど単純な人間観と文学感を持った読者だろうが、井上氏の三部作、ことに『北の海』を作者の自伝と思い込むのも同様のことである。」(by山本健吉氏)
    言い訳をすると、洪作が実在したことを願いたくなるような思いが「井上氏=洪作」という錯覚を起こしたのでしょう・・・素直にモノを受け入れ感じ入るところが魅力的であり、別の見方をすれば欠点でもあり、そのことに本人は気付いていない・・・そんな洪作に恋心を抱くれい子の気持ちが、なんだか分かるのです。ついつい世話を焼くはめになる宇田先生タイプに自分は近いと思ってたけれど、こんなに洪作のスタイルに魅かれるのは自分自身にもどこか洪作的なところがあるのでは?と思ってしまいました。
    そして、年齢を経ると同じ物語でも違った見方ができるという通説にものすごく納得できた、良い経験ができたかも。

    0
    2009年10月04日
  • 夏草冬濤(下)

    Posted by ブクログ

    洪作の下巻の“ワル”っぷりは気持ちがいい程です。洪作すなわち作家井上靖氏が文学に興味を抱き始めたきっかけが興味深い。それにしても、詩歌をたしなむ不良学生たち・・・インテリジェント

    0
    2009年10月04日
  • 夏草冬濤(上)

    Posted by ブクログ

    『しろばんば』の続編。ちょうどこの作品の洪作と同じ年頃に、読んだ以来だと思う。複雑な家庭環境で繊細に立ち回っていた湯ヶ島時代の洪作に比べ、思春期を迎えちょっぴり”坊”の道をそれ始めた洪作に、当時はあまり魅力を感じなかった。オトナになり、今回再読して、物語の中の洪作が引き起こすあれこれを、まるで姉のような・・・母のような?・・・広い心持ちで受け止められたことで感慨にフケたのであった。

    0
    2009年10月04日
  • おろしや国酔夢譚

    Posted by ブクログ

    時は江戸、大黒屋光太夫の漂流記。
    彼はおろしや国(ロシア)で何を見たのか?
    戦後の旧ソ連抑留者を思い起こさずにはいられません。

    0
    2009年10月04日
  • 夏草冬濤(上)

    Posted by ブクログ

    井上靖自伝3部作の2番目。中学時代の多感な年頃が舞台。

    女性というこれまで道の生き物への接し方と刺激的な友人との出会いは、主人公を少年時代からぐっと成長させるが、オトナになりきれないココロとのギャップがまた切ない。

    0
    2009年10月04日
  • 後白河院

    Posted by ブクログ

    貴族から武士の世へ移り変わる時代、後白河院は重要な役割を望む望まないに関わらず果たしていく。
    自分の望む世にしたい野望はあったと思うが、最後に頼朝に潰されたのは、心外であったろう。

    0
    2026年09月24日
  • 北の海(下)

    Posted by ブクログ

    洪作は金沢にある高校柔道部の夏の稽古に参加。柔道に熱を入れながらも、生来ののんびりした性格は、そのまんま。それでも自分なりに受験の決意を固める。金沢の仲間たちも、沼津の仲間たちも、どちらもとてもいい。映像でも見たくなるような自伝的小説でした。

    0
    2026年09月18日
  • 北の海(上)

    Posted by ブクログ

    井上靖さんの自伝的三部作のうち、第一部のしろばんばは以前読んだ。第二部をまだ読んでいないけれど、この第三部の北の海を先に読みました。
    中学を卒業し、高校に失敗し、浪人生となっている洪作。ずいぶん成長したなぁと思いきや、洪作も仲間たちもまだまだ単純な男子たちで、そのやりとりに笑ってしまう。

    0
    2026年09月18日
  • 風林火山(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    昔、これの大河ドラマをやってた頃に読んで以来の再読。

    武田信玄の軍師である山本勘助が、武田に仕えるようになる経緯から生涯を閉じるまでの話。
    打ち倒した諏訪氏の姫だった由布姫が話に絡む。

    最近の時代小説はエンタメ色が強くて飽きさせないが、それと比べると昔っぽい感じ。ただ、表現は派手ではないが、なかなかに味わいがあり面白かった。

    0
    2026年09月16日
  • 額田女王

    Posted by ブクログ

    初めて読む飛鳥時代の歴史小説で、とっつきにくさを覚悟で読み始めたが、人名が難しい以外は大変読み易く書かれていた。額田女王と中大兄皇子、大海人皇子の微妙な人間関係とそれぞれの心の動きが面白いだけでなく、短歌・長歌の面白さも教えてくれる本だった。中学生以来、すっかり忘れていた歴史の出来事や現代に残る遺跡にも興味が出て、読んで良かったと思える本だった。

    0
    2026年09月09日
  • わが母の記

    Posted by ブクログ

    最後まで健全で長寿を全うした曽祖母とボケて亡くなった祖母を思い出して、本当にそうだなぁと共感しながら読んだ。
    愛想笑いを口辺に漂わせたがすぐ視線をあらぬ方に持って行った。どこかに鬱々としてまないところがあった。
    いつからか知らないけれど、娘だとは思われなくなってしまっているわ。年とった召使ぐらいに思っているらしいの。

    「人間は誰でも年をとれば、持っている荷物を一つずつおろしていく。母もおろしているのだ」
    若いうちはたくさんの記憶や人間関係という「荷物」を抱えて生きていますが、あの世へ旅立つ準備として、母はただ荷物を軽くしているだけなのだという、温かくも切ない諦念が込められている

    0
    2026年08月23日
  • あすなろ物語

    Posted by ブクログ

    大学時代に読んだ本を再読。
    青春のモラトリアム的な物語だった記憶があるけれど、読み返してみると、人生を俯瞰したような内容だった。それもそのはず、井上靖自身の経験をベースにした主人公の物語。

    他人からはうかがい知れない人とのつながりや、その人から受けた影響など、人生の現実が淡々と描かれている。フランス文学を読んだあとのような、もやっとした、解決策のない現実感が残る。

    あらためて読んでみると、今よりも大学時代のほうが、戦争がごく自然にストーリーに入り込んでくる本が多かったことに気づく。現在、戦争が身近ではなくなっている危機感も感じた。

    0
    2026年08月11日
  • 額田女王

    Posted by ブクログ

    国家形成の時代といえる大化の改新から壬申の乱天智、天武天皇兄弟の治世下。二人の皇太子時に愛された主人公。神の声を聞き歌に詠むとはいえ、神秘的より人間的な感情で世と接する。近親間での接触に古代を伺わせるが当時としては特殊なことでなかったことも話としておおらか。2026.8.3

    0
    2026年08月03日
  • 額田女王

    Posted by ブクログ

    歴史の教科書でしか聞いた事のない人物について、著者の解釈にて物語として知っていくのは、歴史の勉強をするよりもずっと面白くて楽しかった。
    歴史上の出来事について理解が深まるだけではなく、こんなことが本当にあったのかもしれないと思うと、ロマンを感じた。

    0
    2026年07月28日
  • 天平の甍

    Posted by ブクログ

    第8回芸術選奨文部科学大臣賞

    鑑真は、6度目の渡航でようやく来日して仏教の発展に貢献した唐の僧、という知識しかなかった。
    鑑真が日本へ渡ることは唐王朝から許可されておらず役人の目を忍んでの出航だったことや、普照をはじめたくさんの留学僧が関わっていることを知らなかったのでとても興味深く読むことができた。
    日本へ仏教を伝えるために何年もかけて写経をしたり、渡航が命懸けだったり、当時だからこその苦労がもどかしく胸が痛んだ。
    漢字や古い表現が多いので細かく意味をつかもうとすると難しいけど、ざっくり理解しながらなら読みやすく、薄いので数時間で読めた。

    0
    2026年07月15日
  • あすなろ物語

    Posted by ブクログ

    「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ」
    『あすなろ物語』の中に出てくるセリフだ。
    あすなろは漢字で『翌檜』と書く。
    檜と似ているけれど、檜ほど大きくならないため「明日は檜のように大きくなろう」という意味が込められているらしい。
    著者はこのあすなろの説話の持つ哀しみや美しさを表現したかったということだ。
    物語はひとりの人間の少年期から壮年期までが描かれている。
    淡々と描かれている人生譚だが、その中に多くの哀しみや憤り、葛藤、そしてそんな中にもかすかな希望を感じられるような物語だった。
    井上靖作品をもっと読んでみたいと思わせる物語だった。

    0
    2026年06月21日
  • しろばんば

    Posted by ブクログ

    著者の幼少期の体験に基づいたと思われる回想記的小説。昭和以前と思われる時代の片田舎で育った少年。ひょんなことから曽祖父の愛妾(今はすっかりお婆さん)に預けられ、本宅の隣地の土蔵で育てられる。古き時代の価値観や振る舞いが随所に描かれていて、田舎育ちの身としても体験したわけではないが十分に想像でき感情移入できる。悪く言えば下品で粗野で乱暴でモラルも常識もない。平気で近所の家に上がり飯を食い風呂を覗き女子を揶揄い時には手を出す。良く言えば情が厚く助け合い精神に溢れ信心深く平和なコミュニティ。主人公は、お婆さんとの二人の世界から、本宅の家族、近所の悪ガキや友人、学校の先生、都会で暮らす親戚などの交流を経て徐々に社会を知り成長していく。そのもどかしい感じがなんとも言えず生々しい。

    0
    2026年06月19日
  • わが母の記

    Posted by ブクログ

    文章が上手いわ。感情的になりかねないテーマであるのに、至極客観的視点で捉えて書かれており、とはいえ冷たい印象は全くない。兄弟の対応についても同様で家族間のいさかいなるものは老婆のお世話にあたり全く無かったようにも見受けられる。文体も非常に読みやすく、とはいえ硬さもあり、硬すぎずなのでセンスよく品良く、自然とキレる頭が良い人の印象。他の作品も読んでみたいと思った。

    0
    2026年05月06日