井上靖のレビュー一覧

  • 敦煌
    実在の人物より、架空の人物に重きを置いていて、どちらかというと時代小説みたいな感じ?面白かったけど、ウイグルのお姫様の話は蛇足のような... 個人的には、歴史小説の中の中途半端なロマンスは要らないなぁ。まぁ、主人公が運命に翻弄されている感じがとても良い。
  • 風林火山(新潮文庫)
    舞台は大河ドラマ「真田丸」の時代の一歩手前、 武田信玄に仕えた軍師、山本勘助の働きを軸にして、武田勝頼の誕生、武田家、命運尽きるを予感させる。

    猛々しく荒々しい戦国絵巻というには、井上靖の真骨頂。芒が原に飄々とすさぶ風の印象が濃く、 むなしさがにじみ出るストーリー展開。

    しかし、こうしていろいろ...続きを読む
  • 敦煌
    テレビで作者の特集を観て気になった。
    思っていたのとは違うストーリー。
    登場人物は予測不可の活躍だったり、その逆も。
    総評して面白い、中国の歴史に詳しいともっと楽しめるょ
  • 風林火山(新潮文庫)
    面白い
    テーマはよくわからないけど、短いし章立ててあって読みやすい
    敦煌もそうでしたが、井上靖さんの小説はけっこう古いはずなんだけど、それを感じさせないです
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集
    井上靖は日本文学の代表とひとりごちた。
    渡海上人の様々なパターンが金光坊を通して綴られ、各人の表情が、シャープに読者の心を抉る。
    個人的には、小磐梯が心に残る。吉村昭に通じているドキュメンタリーながら、民俗的な風景と慕情が、読後の印象を最も強めている。
  • しろばんば
    大正時代に伊豆湯ヶ島という所で小学生時代を過ごした主人公、洪作の物語です。
    学校や村で起こる小さな事件、そして狭い世界ながらも色々な人々との関わりを通じて、少しずつ成長していく様子が主に洪作の目線で描かれています。
    作者の自伝的作品ということもあってか、心の動きの描写が生き生きとしていて素晴らしいで...続きを読む
  • 敦煌
    古い時代なのに、
    色鮮やかな光景が思い浮かぶ。

    賑やかな街や、荒々しい争い。
    砂と岩と、人間の感情。

    読書で世界旅行できた。


    この作品は、井上靖の「天平の甍」と同様に、
    同じようなテーマ、つまり貴重な経典や史書を
    後世に残したいというミッションに身を捧げる
    主人公の高揚感で満ちている。

    ...続きを読む
  • しろばんば
    夕暮れに飛ぶ白い虫を追いかける情景は、
    まるで自分の経験したことのように
    頭に浮かぶ。

    多感な少年の目を通した感覚は、
    この小説が描く大正時代のみならず、
    現代にも共通すると思う。
  • 天平の甍
    こういうときになって、
    以前にはあれほど軽蔑していた単なる写経というものを、
    いやそれこそが、守るべき全てだと心底感じるようになる・・・

    この心境、きっと誰も経験する。
    漠然と存在に期待していた大きな何かが、
    近づく段になって実は最初から目の端に止まっていた
    ちっぽけな糸きれが全てだっ...続きを読む
  • 氷壁
    読みたいリストに入れておきながら、今更ようやく読み終えました。”ザイルがなぜ切れたのか?”。これを巡っていろんな推測がされる中の主人公の葛藤やその周りの人間関係がずーっと絡み続け、読んでいても真相が知りたくてワクワクする。古い本ではあるが、今見ても十分に楽しめる。ラストがあーなんとなくとは思っていた...続きを読む
  • あすなろ物語
    1人の少年が、愛や友情、挫折などを知り、大人になってゆく。
    1人の人間の成長を目にして、自分と重ね合わせて、懐かしい気持ちになった。
    改めて、人には、それぞれの歴史があるということを実感した。
  • 天平の甍
    幾多の困難を乗り越えて鑑真が来日に至るまでの内容が史実に基づいて描かれており、200ページ弱だが、非常に重い内容であった。一つ一つの行動に何年もかかり、その時代の鼓動の大変さが伝わってきた。それらの困難を乗り越える不屈の精神と、遣唐使の僧のそれぞれの生き方が心に残った。

    当時は知識を身に着ける事は...続きを読む
  • 敦煌
    数十年ぶりに再読しました
    10代の私は壮大な中国宋代の物語に感動したことを覚えています
    淡々と歯切れよく、読み進められる文章は井上靖先生ならではのものだなぁと改めて思いました
    難しい漢字が多く使われていたことにも驚きました
    中学生の私、よく読んだ!
  • 敦煌
    もし、行徳が普通に試験に合格し、官史になっていたら、彼の人生は充実したものになっていたかもしれないが、世界に何の影響も与えなかっただろう。
    彼は失敗し、一度は絶望するが、さまざまな人物と出会い(特に女性と出会う時に大きな転機がある)好奇心や探究心を掻き立てられ、新たな人生を歩み出す。
    自らの人生を水...続きを読む
  • 風林火山(新潮文庫)
    井上靖の作品は、初めて読むが、昭和30年の作品とは思えないくらい、今読んでも色鮮やかな作品。
    登場人物の心象風景が手に取るように分かる。
    武田家のために、命を懸けて仕えた、軍師・山本官兵衛。
    官兵衛を信頼し、何事にも動じなかった武田信玄。
    信玄を愛し、最期まで信玄を信頼していた由姫布。
    それぞれが、...続きを読む
  • 敦煌
    官吏任用試験に失敗した趙行徳は、助けた西夏の女にもらった西夏文字に惹かれて西夏に向かう。西夏軍の朱王礼に認められ西域での戦いにも加わったが、沙州(敦煌)で王の李元こうに反旗する。滅ぼされる前に多くの貴重な仏典を石窟に隠そうとする。
  • 敦煌
    10世紀の西域アジアを舞台とした歴史ロマン。西夏に吐蕃に契丹に高昌・・・出てくる単語がどれも懐かしい。司馬遼太郎より文体は好みかも。キャラクター立ってるし、しっかりとした知識に基づいた精緻な作り。ある程度前知識のあったほうが楽しめるかも。
  • 蒼き狼
    淡々とテムジン・成吉思汗の一生を追っていく小説。
    これが非常に面白かった。名前でしかしらなかったテムジンの弟、こども、仲間が色をもち、生き生きと動き出して、みんな魅力を放っていた。
    蒼き狼のような伝説はローマの伝承のロムルスにも似て、世界いろんなところに存在するようだ。
  • 夏草冬濤(下)
    新年を地元ですごし、新学期をむかえる・耕作が2人と別れ、上級生とつきあいを始めるこの巻。とても面白く、すらすら読めた。耕作の成長がおもしろく、ラーメンを食べるシーンや、足を骨折したく件、フランス料理を食べる件など印象深かった。今後の旅も楽しみ。
  • 夏草冬濤(上)
    耕作の中学時代が書かれている。
    鞄をなくした時の表現が的確で、読んでいるこちらもはらはら。出てきてほっとしました。
    かみきの家の姉妹の描写が印象的。
    正月に帰った耕作が、叔父より読書感想文の宿題をもらうが果たして達成できるのか、次巻がたのしみ。

    日常を描き出しているが、その表現が素晴らしく、ストレ...続きを読む