井上靖のレビュー一覧
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733年(天平5年)聖武天皇の時代
第九次遣唐使のお話
船に関連する人材は元より、訳語者、医師、画師、僧侶ら総勢580名くらいが船四艘で出航する
当時の目的として、宗教的、文化的なものであり、政治的意図は少なかったよう
というのもこの時期の日本の大きな目標は、近代国家成立である
外枠だけができて、中身は混沌としていたため、先進国唐から吸収しなければならないものが多くあった
また、課役を免れるために百姓は争って出家、かつ僧尼の行儀も堕落(乱れているなぁ…)
仏教に帰入した者の守るべき師範は定まっていなかった
そのため唐よりすぐれた戒師を迎えて、正式な授戒制度を布きたい
伝戒の師を請して日本は戒 -
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ネタバレ架山のエベレスト観月旅行から始まる。いつかテレビで紹介していた「エベレスト街道の旅」を思い出しながら、エベレストの勇姿を描く。2020年以降、海外旅行が思い通りにならない現在であるが、いつかは登山をと考えていたが、数十年前に実現されていたことに感銘を受けてしまった。現在と比べて、どれほど、大変な旅行だったのだろうか。それゆえ、どれほどの「永劫」とか「宿命」といったものを感じることができたのでしょうか?東北の海に、夜空に私たちが感じる「永劫」とか「宿命」といったものと比べて。
そして、春の満月の下、琵琶湖に船を浮かべて二人の供養をする架山は、『殯』を終わらせてお墓にまつる。十一面観音と月と湖に、 -
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ネタバレ山本勘助の物語。
300ページほどの本だったので数日で読めました。
本書では軍師として描かれています。
間者より軍師の方がピタッときますね。
今川家で士官が叶わないところから、武田家で召し抱えられ、軍師となり川中島の戦いで死去するところまでが描かれています。
物語の導入が上手かったです。
青木大膳という浪人者を最初描いておいて、少ししてから勘助を登場させるところが上手く話に引き込まれました。
信玄との関係性の他に由布姫(諏訪御料人)と勝頼に忠誠を誓うところも話の柱となっていますね。
信玄は於琴姫も妾としたので、勘助は一度於琴姫の命を奪おうとしたりもします。
軍師としての活躍も十分描か -
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帰国後隔離期間中の2冊目。
私も一時期祖母と2人で1年間ほど暮らしたことがあり、その間両親と兄弟とは別々だった。
大人同士の会話は、当の大人と子どもとではその捉え方が違い、子どもの年齢に応じても違うのだろう。そこは子どもワールドで、大人には想像も及ばない。感受性、人生経験、距離感など色々影響される。大人同士の人間関係に子どもは敏感。確かに振り返ると自分もそうだったと思い出す。
大人になった今、親になった今、子どもたちがどう感じるのか、ということも考えながら発言したい、と考えた。
親や祖母がだんだん物理的に小さく見てくるのは、その通りだと思う。そこに複雑な思いが去来した。
こういう本、中学生 -
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ネタバレ久しぶりに噛み応えのある小説を読んだ感じがする。
どちらかというと歴史とか、いわゆる社会科の内容は得意ではない。大化の改新も壬申の乱も、ギリギリ試験のための勉強をしたくらいで、とうの昔に大概のことは忘れてしまってる。井上靖さんの作品も『しろばんば』辺りは読んだけど、この作品や『天平の甍』や『敦煌』は歴史への苦手意識があって読んでなかった。『敦煌』は西田敏行さんが出た映画は見たけど・・。
そういえば、この作品も読んでいて、『敦煌』で描かれてたような壮大な景色を連想した。映画を見ているような、鮮やかに場面が展開される感じがした。
万葉集は好きな(興味のある)部分とか関連本を読んだりしてるんで、 -
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ネタバレ巫女として神の声を聞き、神の心を歌う額田女王。大海人皇子との間に十市皇女をもうけてからも、神の声を聞くためにその心は誰にも渡すまいと誓っているが、有間皇子や中大兄皇子への想いは結構人間的だと思う。神の心を歌うとしながら、いつしか中大兄皇子の心を歌うことに喜びを見出していくあたりも、「あなたの心は私だけが知っている」「あなただけは私の言おうとしていることわかるでしょ」的な気持ち、それを喜ぶ気持ちも、結局中大兄皇子に恋する人間の女性の気持ちに他ならない。神の嫁としての巫女的性格は、人に恋する以前の、男と関係を持つ前の乙女にこそふさわしい。そんな巫女のあり方は折口を彷彿とさせる。しかし、ある意味こじ