井上靖のレビュー一覧

  • しろばんば
    ふと読みたくなり、中学生以来、久しぶりに手にしました。
    洪作少年の心の機微、おぬい婆さんとの土蔵での日々、美しい湯ヶ島の風景。自分が過ごした時間、場所ではないけれどどこかノスタルジーな気持ちになります。
    再読して、また違う印象も受けました。これからも読み継いでいきたい本です。
  • しろばんば
    古い本読んでいると、その世代の人が何をどう考えて生きていたのかがかいまみえる。この本もそんな一冊。おぬいばあさんの行動が、祖母に見えて、祖母はこの時代の人だったのか。様々な言動は異常ではなかったのだと思った。
    おぬいばあさんとの接点は年を取るごとに描写が減っていき、子供の成長期にあたり、関心事の変遷...続きを読む
  • 天平の甍
    当時の海を渡ることの困難さとそれを賭すエネルギーに感服。普照はもちろん業行に対して凄くシンパシーを感じました。 唐招提寺の鴟尾、しんみりと眺めてみたいと思います。
  • 蒼き狼
    成吉思汗(チンギス・カン)の一代記です。
    しかし成吉思汗、改めて凄まじいですね。日本では百姓からの天下取りをした秀吉が有名ですが、成吉思汗も一介の人(この本では部族に見捨てられた一家族)からユーラシア全体を覆うほどのとてつもない大帝国を一代で築き上げたのですから。

    全ては成吉思汗の視点で描かれます...続きを読む
  • 天平の甍
    仏教関連の小難しい用語が多用されていて、よく分からないままに読み進めたが(それでも話を追う分には支障はない)、文章がだらだらしておらず簡潔で読みやすい。唐招提寺を訪ねたくなった。
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集
    人生と死に向き合う作品9編。掲題は、既に海に流され死ぬ運命を認めながら、恐怖と葛藤にもがく僧の話。著者の筆力の凄さを感じる。2018.1.13
  • 天平の甍
    たぶん、大学生の時に読んだ記憶があるので、2度目の通読になる。
    (その割に家に見つからなかった)

    鑑真が何度か航海に失敗しながらも日本にたどり着く話。
    日本人は誰でも知っている鑑真だが、中国人に聞いてみると、「知らない」と。
    鑑真って中国人なんだけどなぁー
    また、途中で広東省に立ち寄るシーンがある...続きを読む
  • 風濤
    日本の目から見たら侵略者であり、暴風により2度にわたり奇跡的に防衛された元寇ですが、それを当事者であった高麗の国から描いた作品です。
    元の圧制に対する高麗の硬軟あわせた数々の外交戦が主体に語られます。その中でフビライや側近の洪茶丘、高麗国王・玄宗、宰相・李蔵用など多くの人物が登場します。しかし、誰...続きを読む
  • 夢見る沼
    親父から譲り受けた本シリーズ。現代のように恋愛が高度化していない時代の不器用だがもどかしい感じが結構良い。夏目漱石の「こころ」や武者小路実篤の「友情」のような裏切りピカレスクと思いきや…最後まで爽やかなのが若干物足りない。
  • 蒼き狼
    ちょうど学校で元の歴史をやったので。
    キプチャク汗国?バトゥ?フラグ??っていう状態だったけど、読んだら結構わかった!
    チンギスハンは父親が蒙古人じゃないかもしれないと思っていたから、蒼き狼として認められる(自分が認める)ように征服戦争を続けなければならなかったし、ジュチも然り。
    忽蘭かっこいいー。...続きを読む
  • 幼き日のこと・青春放浪
    2017.06 再読。評価変更☆4→☆3

    洪作3部作のあとにあとがき的位置付けで読むのがいい感じ
  • 額田女王
    難波遷都、半島出兵と白村江の会戦、その後の天智天皇の統治から壬申の乱への歴史の流れの中で、中大兄・大海人両皇子と額田女王との関係性や額田から十市皇女への想いや行動の移り変わりが非常に興味深かった。

    額田なりの「神に仕える女としての誇り」を守るために、心を与えないとして振る舞ったことで、他の両皇子の...続きを読む
  • 風林火山(新潮文庫)
    07年のNHK大河の原作。17年に再放送してるので見る前に読んでみる。内野さんのイメージが湧かない。新田次郎の「武田信玄」、中井貴一で大河になったので、西田敏之が演じた勘助とはかなり違う描かれ方。また、描かれる期間が短いので、個々の話が詳しい感じ。昭和30年12月に出されたとのことで、おお、私より年...続きを読む
  • 額田女王
    万葉の頃の和歌は何とも美しい。
    『源氏物語』とかでもそうですが、たとえ大きな声では言えない関係の恋であったとしても、和歌のやり取りだけみていたら綺麗だと感じてしまいます。
    でも現実は…笑
    なかなかのドロドロ具合というギャップがまた面白かったりして。
  • 敦煌
    恥ずかしながら井上靖の小説を読むのは初めて。
    敦煌に関しては歴史的な部分がわからないと
    面白くないので結果的には今読んだのが正解かも
    しれない。
    中国は実際多民族国家でいわゆる宋とかの時代でもこの小説に出てくる夏とか結構漢民族以外の勢力が強い時代もある。
    また今あまり中国では大きな宗教ではない仏教も...続きを読む
  • 蒼き狼
    読むのに1年くらいかかった(笑)
    チンギスハーンはすごいなぁ、という。
    歴史オンチの私でも面白く読めました。
    しかし歴史的な内容は全く覚えてない。
    勉強には役に立たなかったようです。。
  • おろしや国酔夢譚
    授業でちらっと勉強しただけの大黒屋光太夫
    漂流民として暮らしているときよりも
    日本に戻ってからのほうが苛酷
  • わが母の記
     人が年老いていくと食べて排泄するだけの一本の管になる。そもそも、それこそが生物の基本的な活動なんだと・・・他の出来事は薄ぼんやりと霧の彼方へ・・・DNAを無事に次世代へ引き渡したのなら、わが身は死を待つばかりなり(合掌
  • 風林火山(新潮文庫)
    (*01)
    虚言やハッタリが出世の初期設定になっている点で、加瀬あつし氏の漫画『カメレオン』の風貌がまず、勘助像として結ばれた。やぶにらみのせいもあるだろう、そのためか爬虫類を想起させ、「地を這う者」というイメージも抱いた。第1章の登場の場面の暗さ、他を殺めるときの醜さ、終盤で海野の戦場からの徒歩帰...続きを読む
  • わが母の記
    最近、井上靖にはまっています。文章が好き。幸いにして家族一同無病息災であったのですが、1年半ほど前に祖父がなくなりました。短い闘病生活でしたが、その時、親を看取らんとする両親の、叔母の背中を見ていた気持ちを思い出しました。今の私の立場は孫娘にあたる芳子のようなものですが、いずれ立場が筆者や、その姉妹...続きを読む