井上靖のレビュー一覧

  • 利休の死 戦国時代小説集

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    戦国乱世を短編で描く。
    現代の研究成果からは遅れた描写が多いが、人生の終焉を迎えようとする武将たちの滅び。

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    2021年09月28日
  • しろばんば

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    前半がほんとにほんとに退屈で、何が名作なのかぜんぜんわからなかった。
    出てくる人みんな意地悪いし、仲も悪いし、冗談も言わないし。

    でも中〜終盤、特に死にまつわる話がよかった。

    さき子姉ちゃんの面影や、狂ってしまった犬飼先生や、もうろくしていくおぬいばあさんの姿。
    体験したことのない日常が描かれていて、素朴で情感が強かった。
    映画のなかった時代の映画のように思った。
    何十年も経ってから、記憶を頼りにこれだけのことが書けたのだとしたらものすごいことだと思う。

    ただとりとめがないので、「子供に読ませる名作」としては全然魅力的に思わない。

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    2021年09月08日
  • 孔子

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    孔子の伝記ではなく、架空の人物が孔子との生活を振り返りながら、天命とか仁とかのテーマに対して考察をしていくという内容。
    私は、儒教というのは徳だとか天命だとかによって、規則なり秩序なりがガチガチに決められているような印象を持っている。しかしこの本では、天はどう決めるか分からないが自分たちは一生懸命がんばる、仁は死んでも通す信念という意味もあるが相手を思うことというのもある、など実生活のシンプルな考え方を提示していた。これは老荘にも連なるのかな。

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    2021年09月05日
  • 敦煌

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    Eテレの「深読み読書会」で話してたので、
    興味を持ち読み始めました。
    本屋さんで見かけてもお買い上げしないかもと思う難しい内容でした。

    理解できるまでには達していないですが
    中国の歴史

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    2021年08月21日
  • 敦煌

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    シルクロードの分岐点であり、重要なオアシス都市である敦煌。
    その敦煌にある莫高窟で20世紀に大量の書物が発掘され、文化人類学上の大発見になるのだが、書物がなぜ莫高窟に保存されていたかは不明。この謎を、史実と創造で描いた歴史作品が本書である。

    敦煌と莫高窟に旅行したので読書感想ではないけどメモ

    莫高窟は1000年に渡り岩をくり抜き、中に壁画や仏像を構築しているのだが、1000年という長い歳月がかかっている為、窟によって文様などの様式が異なる。政治の強さにもよりチベット式、インド式など様々変わるのだが、これを長きに渡り掘り続ける事ができる財力を持った土地が敦煌であり、シルクロードのもたらした富

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    2021年05月03日
  • 風濤

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    二度にわたる元寇を日本の目でなく途中経路にある高麗から見る。武力により属国となった高麗では王や首脳が無理難題の要求に何年も苦しみを味わう。世界史的にも島嶼の地域を無理して征服する意味は不可解だが、いわゆる中華思想のなせる技か。2021.3.24

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    2021年03月24日
  • 星と祭 上

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    ネタバレ

    本書によって、2つのことを知った。『殯』と『十一面観音』。
    『殯』。本書では、事故で亡くなった娘の死体があがらず、鬼籍に入るまでの期間を指している。あたかも、東日本震災で、死体があがらず行方不明のままになっている状態に似ているといってよいのでしょうか?死んだことを認めることができない状態でしょうか?
    事故から7年、事故現場を避け、湖を避けてきたが、琵琶湖を訪ねることとなり、湖畔の秘仏・十一面観音巡りを始めてゆく。
    渡岸寺、石道寺、福林寺、赤後寺(人間の苦しみを自分の体一つで引き受けて下さっていたので、あの仏さまはあのような姿になってしまったんだ)、盛安寺、宗正寺と。順番にWebサイトでお寺と十

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    2021年03月16日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    武田信玄の軍師山本勘助を主人公とした歴史小説でした。井上靖さんは僕にはとても読みやすい作家で、本作も、勘助から見た武田家、特に信玄が生き生きと描かれていたように思います。司馬遼太郎とはまた違った良作でした。

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    2021年02月03日
  • 楼蘭

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    短編集。

    井上靖に対しては、同じようなテイストの小説を多産する流行作家のようなイメージを持っているが、氏の「西域もの」はその限りではない。
    明らかに他の量産作品群と「西域もの」との間には、クオリティの差が存在している。このテーマに対する著者の没入度の深さが、おそらく異なる。

    本編を離れた話だが、山本健吉が解説で次のように書いている。

    「人間の行為の意義、無意義を分つものは、人間の意志を超えている。人間の歴史は、結局人間行為の無数の捨石の上に築かれているのだから」。

    井上靖の「西域もの」の解説として、これ以上のものはないのではないかと思える。

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    2021年01月22日
  • 後白河院

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    『しろばんば』『敦煌』『額田女王』『孔子』。
    これまでに読んできた井上靖作品は、これが全て。
    後白河を取り上げたものがあったのか、と驚きもあって手にした。
    ちょうど先日、アンソロジーで『梁塵秘抄』に触れたばかりだったことだし。

    源平争乱のあの時代、白河、後鳥羽、崇徳、後白河あたりの天皇家の確執に、摂関家、武家の覇権争いが重なる。
    その構図の複雑さに、どうしてもこの時代を扱ったものを避けて通りたくなる。
    だから、四つの章の語り手が、平信範、建礼門院中納言(健御前)、吉田経房、九条兼実と移り変わっていくこの小説はの結構は、表現効果の見事さはわかっても、少しつらい。

    近づいて来る者たちに心を許さ

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    2020年11月15日
  • 天平の甍

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    井上靖の流れるような文面が非常に魅力的。かつ、その知識の深さには感服する。

    日本史がある程度わかっている人なら、読んでいても疲れないと思うが、知らない人が読むと確実に挫折する。

    私は好きだが…

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    2020年11月04日
  • 額田女王

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    茜さす紫野行きしめ野行き野守は見ずや君が袖振る
     額田女王。
    紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに恋ひむやも 大海人皇子。
    大海人皇子とのあいだに、十市皇女を出生後、兄である中大兄皇子に求愛された額田女王。
    古代の狂わしい三人の愛の形が、恋歌として古代へと僕らを誘う。

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    2020年08月08日
  • あすなろ物語

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    井上靖の文体は、一文一文が練られてるから読み飛ばせない。なので速読派の自分でもすごく時間がかかってしまった。
    最後の方の星空にまつわる話が好き。「あすはなろう」の思いをもつ様々な人の生き方や死に方が胸を打った。

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    2020年03月09日
  • 楊貴妃伝

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    世界3大美女の楊貴妃。
    それ以上の事は知りませんでした。
    どういう人なのか知りたくて読んでみました。

    いろいろな楊貴妃の見方があるみたいですが、井上靖氏の見方として楊貴妃の数奇な生涯として紹介されています。

    傾国の美女の一人として数えられていますが、皇帝玄宗が楊貴妃に夢中になり、政治が疎かになったのか?
    又は楊貴妃が政治に口出しして、国を傾けさせたのか?

    これを想像して物語にするのが、小説の面白さ!浪漫ですね〜。

    時代背景やら登場人物を調べて読むと
    中国の歴史の勉強にもなりますよ。




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    2019年12月28日
  • 蒼き狼

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    中国の歴史はなかなか頭に入ってこないが、昭和の文豪達は、壮大なロマンに魅せられていたのだろう。
    男尊女卑が凄いことは、共通である。

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    2019年12月15日
  • 孔子

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    孔子と末弟子が、研究会の人たちと語る、孔子の名言集。
    「仁」「天命」など、孔子がどのように考えていたのかを皆で推測している。現代でも変わることのないテーマ。人の生き様の根底、つまりはポリシーとしてそれぞれの心に刻んでおきたい

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    2019年11月26日
  • 井上靖全詩集

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    『北国』『地中海』『運河』『季節』『遠征路』の五つの詩集と、その後に書かれた著者の詩を収録しています。

    著者の詩は、そのほとんどが散文詩であり、宮崎健三の「解説」にも書かれているように、いくつかの詩は著者の小説作品のなかにかたちを変えて取り入れられています。著者も『北国』の「あとがき」で、「私にとっては、これらの文章は、詩というより、非常に便利調法な詩の保存器であり、多少面倒臭い操作を施した詩の覚書である」と述べています。興味深いのは、著者の小説作品の文章から、そのエッセンスを結晶化して詩が生まれたのではなく、逆に本書に収められているような凝縮されたことばから、リーダビリティの高い著者の小説

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    2019年11月05日
  • しろばんば

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    作者の自伝的小説 5歳の洪作が中学に入るまでの物語。物語を通して刺激はないが、ゆっくりとした田舎で成長する洪作に懐かしさや淡い感動を感じる。

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    2025年12月18日
  • あすなろ物語

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    主人公鮎太が幼少期、少年期、青年期、そして記者への就職後から関りがあった6人の女性たち。冴子、雪枝、(佐分利)信子、清香…。特に若い未亡人・信子への憧憬は切実。美人の義妹2人が共にいながら、3人の友人学生たちも同じ思いを抱いていたと思わせる表現が秀逸。「あるよな!」甘酸っぱい記憶に満ちた6つの章。ライバル社の記者・左山町介との妙な友情劇が異色で面白く、次第に親しみを感じていくところに著者の暖かさを感じた。

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    2019年05月25日
  • 幼き日のこと・青春放浪

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    井上靖の作品で、中学生か高校生の時に読んだものは『額田女王』と『黒い蝶』。それ以来読んでいなかった。歴史的作品を多く書く、品の良い作家というイメージだった。先日、『しろばんば』を読み、イメージが少し変わり、親近感が増して、『しろばんば』の世界をもっと知りたくなって手に取った。

    湯ヶ島での、おかのお婆さんとの暮らしについて書いているところが、やはり一番面白かった。エッセイなので、『しろばんば』のようにその世界に引き込まれることはなく、お婆さんの語り口も現代風で情感はないけれど、『しろばんば』の背景を色々と知ることができた。
    「…わが儘いっぱいに振舞ってはいたが、家庭で育つのと異って、甘えという

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    2019年05月01日