井上靖のレビュー一覧
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成吉思汗(チンギス・カン)の一代記です。
しかし成吉思汗、改めて凄まじいですね。日本では百姓からの天下取りをした秀吉が有名ですが、成吉思汗も一介の人(この本では部族に見捨てられた一家族)からユーラシア全体を覆うほどのとてつもない大帝国を一代で築き上げたのですから。
全ては成吉思汗の視点で描かれます。彼を取り巻く女性、母ホエルン、妻ボルテ、寵姫・忽蘭は心情を吐露する場面がありますが、何故か男性陣については発言や行動のみ記され、その心情は成吉思汗の推察でしかありません。そのせいでしょうか、どこか伝記のような雰囲気があります。
出自の疑念を自ら払拭するため、そして貧しい部族を裕福にするため、近隣 -
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難波遷都、半島出兵と白村江の会戦、その後の天智天皇の統治から壬申の乱への歴史の流れの中で、中大兄・大海人両皇子と額田女王との関係性や額田から十市皇女への想いや行動の移り変わりが非常に興味深かった。
額田なりの「神に仕える女としての誇り」を守るために、心を与えないとして振る舞ったことで、他の両皇子の妃からは独立した、自由人としての彼女の形ができたのかなぁと思う反面、母親になりきれなかった面もあったのでは?という感じ。そういう意味では、最終盤までは女としての役割や振る舞いが多かったかなと思います。最終盤、天智天皇崩御から、壬申の乱に至り、ここで初めて女としてよりも母親としての役割が前面に出て、神 -
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(*01)
虚言やハッタリが出世の初期設定になっている点で、加瀬あつし氏の漫画『カメレオン』の風貌がまず、勘助像として結ばれた。やぶにらみのせいもあるだろう、そのためか爬虫類を想起させ、「地を這う者」というイメージも抱いた。第1章の登場の場面の暗さ、他を殺めるときの醜さ、終盤で海野の戦場からの徒歩帰還(*02)などに粘着質でいてテカっているような、また陰険で執拗な感覚を勘助から得た。孤独という性質からきた印象なのかもしれない。
(*02)
彼、勘助は移動する人である。駿府での停滞では想像ばかりが飛躍していたのであろうが、信玄の下で機動力となって働き、足で稼いだ。小柄であること、目や脚や指にス