井上靖のレビュー一覧
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二度にわたる元寇を日本の目でなく途中経路にある高麗から見る。武力により属国となった高麗では王や首脳が無理難題の要求に何年も苦しみを味わう。世界史的にも島嶼の地域を無理して征服する意味は不可解だが、いわゆる中華思想のなせる技か。2021.3.24Posted by ブクログ
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武田信玄の軍師山本勘助を主人公とした歴史小説でした。井上靖さんは僕にはとても読みやすい作家で、本作も、勘助から見た武田家、特に信玄が生き生きと描かれていたように思います。司馬遼太郎とはまた違った良作でした。Posted by ブクログ
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井上靖の流れるような文面が非常に魅力的。かつ、その知識の深さには感服する。
日本史がある程度わかっている人なら、読んでいても疲れないと思うが、知らない人が読むと確実に挫折する。
私は好きだが…Posted by ブクログ -
茜さす紫野行きしめ野行き野守は見ずや君が袖振る
額田女王。
紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに恋ひむやも 大海人皇子。
大海人皇子とのあいだに、十市皇女を出生後、兄である中大兄皇子に求愛された額田女王。
古代の狂わしい三人の愛の形が、恋歌として古代へと僕らを誘う。Posted by ブクログ -
井上靖の文体は、一文一文が練られてるから読み飛ばせない。なので速読派の自分でもすごく時間がかかってしまった。
最後の方の星空にまつわる話が好き。「あすはなろう」の思いをもつ様々な人の生き方や死に方が胸を打った。Posted by ブクログ -
孔子と末弟子が、研究会の人たちと語る、孔子の名言集。
「仁」「天命」など、孔子がどのように考えていたのかを皆で推測している。現代でも変わることのないテーマ。人の生き様の根底、つまりはポリシーとしてそれぞれの心に刻んでおきたいPosted by ブクログ -
井上靖の作品で、中学生か高校生の時に読んだものは『額田女王』と『黒い蝶』。それ以来読んでいなかった。歴史的作品を多く書く、品の良い作家というイメージだった。先日、『しろばんば』を読み、イメージが少し変わり、親近感が増して、『しろばんば』の世界をもっと知りたくなって手に取った。
湯ヶ島での、おかのお...続きを読むPosted by ブクログ -
鑑真の不屈の闘志による渡日をメインに、遣唐使の普照を通して
淡々と進める井上靖の代表作。
面白いのは大化改新からさほどたっていない、まだ赤ん坊の日本に対して、中国は唐の玄宗で繁栄を謳歌していたというコントラスト。横の串刺し歴史を感じる作品。Posted by ブクログ -
「島国根性」なんて言葉がある以上、「半島」にもそれに類する言葉が生成されがちな事情はあるとは思ってたけれど、隣の大国の理不尽さにヒドい目にあい続けたらそりゃ「恨」が醸成されるよな。唐辛子が持ち込まれる前の話。Posted by ブクログ
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時代小説で山本勘助が主人公となっているが、武田に滅ぼされた諏訪の娘で勝頼の母である由布姫が大きな存在として描かれる。題名は男っぽいが内容は女性っぽい。Posted by ブクログ