井上靖のレビュー一覧
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初めて井上靖さんの小説を読みました。
また、天平の時代を舞台にした小説を読むのも初めてです。
会話文や、心情を表す表現が少なく、歴史書を読んでいるかのような印象を受けました。
用語も難しく、ページ数の割には読むのに時間がかかってしまいました。
鑑真が度重なる苦難の末、失明しながらも日本にやって来たことは歴史の授業で習いました。
しかし、その裏で普照のような日本人留学僧の尽力があったことは知りませんでした。
最も印象に残ったのは、ひたすら写経に没頭する業行さん。自身が書き写した経典に執着する彼に、共感を覚える普照。この2人の関係性が良いなと思いました。
それだけに、あの結末は切ないものがあ -
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後白河院の近くにいた同時代人四人が語る当時の「現代史」。
本書の発表は1972年。
1995年に発表された辻邦生の「西行花伝」は、本書の形式に倣ったものであることが分かる。
四人とは平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実だ。
平信範は、平の名前を持つが、武家平氏の清盛と違って貴族。堂上平氏と呼ばれる。鳥羽院、後白河院に仕える。
建春門院中納言は、後白河院の妃、平滋子。
清盛の夫人である時子の妹。
後白河院の間に高倉天皇を産む。
彼女の存在が、後白河院と清盛の融和を生み出していた。彼女の死によって後白河院と清盛な対立は先鋭化する。
吉田経房は、平氏政権の実務官僚だったが、源頼朝に認められ、 -
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井上靖本人の母親の老いに関して
家族が経験したことを
本人目線で淡々と綴っている。
とはいえ、母親の面倒を見たのは
主に女姉妹家族や妻娘であるため、
だから、淡々と分析できているのでしょう。
母親がどんどん子供返りしていくとか、
家族や周りを困らせているさまは、
なぜ?と、
分析せずには居れないのかもしれません。
別荘があったり、お手伝いの方がいたり、
家族が助け合えたり、
恵まれているとはいえ、
大変な時間をすごされたことでしょう。
人が亡くなるということは、
大きなことです。
そして、全ての人が、行く道なのです。
状況などは違えども、
全ての家族が通る道なのです。
感慨深くよませてもら -
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闘牛は実際にあった出来事をモチーフに書かれているそう。きっと恋愛パート以外は実話に近いのだろう。戦後間もないごたごたの時代の、泥臭く働く人たち。興行を成功させるには綺麗事だけでは済まないのだなと改めて思う。うさんくさい人とも付き合いながら、会社の命運を賭けて博打にも近いイベントを打ち出していく主人公。お仕事系の話が大好きなのでワクワクしながら読めた。
猟銃は、出てくる女性たち三者三様の視点からの手紙が面白い。薔子に関しては二十歳という年齢設定の割に子供っぽい文章だなぁと感じてしまったが、当時のお嬢様はそんなものだったのかな。
どの短編も出てくる人物が生き生きとしていて、魅力的でした。 -
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あすなろ忌
1953年の作品。
明日は檜になろう“あすなろう。
若い頃何かしらの感銘を受けて、いつか再読しようと持ち続けた一冊。
親と離れて祖母と二人、小さな村の蔵で暮らしていた少年、鮎太の恋心と成長の物語。
この少年の設定から、だいぶ本人に近いように思う。
以下は、覚え書き
⚪︎深い深い雪の中で
「しろばんば」と同時期。
明日は檜になろうと一生懸命考えている木。
永久に檜にはなれない。
伊豆山の雪の中、あすなろの木の下で若い男女
の心中事件。女は、鮎太の祖母の姪。時折、
同居していた。男は、鮎太に勉強の必要を教え
た大学生。この章の印象が強い。
⚪︎寒月がかかれば
ここ