井上靖のレビュー一覧

  • 敦煌

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    実在の人物より、架空の人物に重きを置いていて、どちらかというと時代小説みたいな感じ?面白かったけど、ウイグルのお姫様の話は蛇足のような... 個人的には、歴史小説の中の中途半端なロマンスは要らないなぁ。まぁ、主人公が運命に翻弄されている感じがとても良い。

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    2020年03月07日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    舞台は大河ドラマ「真田丸」の時代の一歩手前、 武田信玄に仕えた軍師、山本勘助の働きを軸にして、武田勝頼の誕生、武田家、命運尽きるを予感させる。

    猛々しく荒々しい戦国絵巻というには、井上靖の真骨頂。芒が原に飄々とすさぶ風の印象が濃く、 むなしさがにじみ出るストーリー展開。

    しかし、こうしていろいろの歴史的人物・事項など小説にしたものを読み継いでいくと、いままで頭に入ってこなかった歴史が、俯瞰図をのぞくごとくわかるようになるからおもしろい。

    それにしても日本の年号はこうくるくる変わるのだろう
    この小説でも、天文22年、弘治3年、永禄元年と変わっていく。 たとえ西暦に直したとしても、印象が濃

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    2020年02月10日
  • 敦煌

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    テレビで作者の特集を観て気になった。
    思っていたのとは違うストーリー。
    登場人物は予測不可の活躍だったり、その逆も。
    総評して面白い、中国の歴史に詳しいともっと楽しめるょ

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    2020年02月04日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    面白い
    テーマはよくわからないけど、短いし章立ててあって読みやすい
    敦煌もそうでしたが、井上靖さんの小説はけっこう古いはずなんだけど、それを感じさせないです

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    2020年01月13日
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

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    井上靖は日本文学の代表とひとりごちた。
    渡海上人の様々なパターンが金光坊を通して綴られ、各人の表情が、シャープに読者の心を抉る。
    個人的には、小磐梯が心に残る。吉村昭に通じているドキュメンタリーながら、民俗的な風景と慕情が、読後の印象を最も強めている。

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    2019年11月29日
  • しろばんば

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    大正時代に伊豆湯ヶ島という所で小学生時代を過ごした主人公、洪作の物語です。
    学校や村で起こる小さな事件、そして狭い世界ながらも色々な人々との関わりを通じて、少しずつ成長していく様子が主に洪作の目線で描かれています。
    作者の自伝的作品ということもあってか、心の動きの描写が生き生きとしていて素晴らしいです。時々自分の小学生の息子と重ねてしまい、ああ息子もこんな風に感じてるのかもなあと思いました。
    いつの時代も、少年の心の動きは変わらないのですね。小説を楽しむ一方で、男児の育児書のようにも思えた一冊でした。
    現在、続編の「夏草冬濤」を楽しく読んでいます。

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    2019年10月27日
  • 敦煌

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    古い時代なのに、
    色鮮やかな光景が思い浮かぶ。

    賑やかな街や、荒々しい争い。
    砂と岩と、人間の感情。

    読書で世界旅行できた。


    この作品は、井上靖の「天平の甍」と同様に、
    同じようなテーマ、つまり貴重な経典や史書を
    後世に残したいというミッションに身を捧げる
    主人公の高揚感で満ちている。

    今の時代、身を捧げて守り抜こうと思える
    経典は、あるのだろうか。
    やはりそれは仏教典や聖書、などなのだろうか。
    科学技術などは対象になるのだろうか。

    色々と面白く考えてしまう。

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    2019年10月22日
  • しろばんば

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    夕暮れに飛ぶ白い虫を追いかける情景は、
    まるで自分の経験したことのように
    頭に浮かぶ。

    多感な少年の目を通した感覚は、
    この小説が描く大正時代のみならず、
    現代にも共通すると思う。

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    2019年10月12日
  • 氷壁

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    読みたいリストに入れておきながら、今更ようやく読み終えました。”ザイルがなぜ切れたのか?”。これを巡っていろんな推測がされる中の主人公の葛藤やその周りの人間関係がずーっと絡み続け、読んでいても真相が知りたくてワクワクする。古い本ではあるが、今見ても十分に楽しめる。ラストがあーなんとなくとは思っていたけど、やっぱり支社長があのときにいった言葉通りになっちゃったかーって感じで締めくくられていた。ページ数も結構なボリュームだけど読み応えはあった。

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    2019年07月08日
  • あすなろ物語

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    1人の少年が、愛や友情、挫折などを知り、大人になってゆく。
    1人の人間の成長を目にして、自分と重ね合わせて、懐かしい気持ちになった。
    改めて、人には、それぞれの歴史があるということを実感した。

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    2019年06月04日
  • 敦煌

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    数十年ぶりに再読しました
    10代の私は壮大な中国宋代の物語に感動したことを覚えています
    淡々と歯切れよく、読み進められる文章は井上靖先生ならではのものだなぁと改めて思いました
    難しい漢字が多く使われていたことにも驚きました
    中学生の私、よく読んだ!

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    2019年05月07日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    井上靖の作品は、初めて読むが、昭和30年の作品とは思えないくらい、今読んでも色鮮やかな作品。
    登場人物の心象風景が手に取るように分かる。
    武田家のために、命を懸けて仕えた、軍師・山本官兵衛。
    官兵衛を信頼し、何事にも動じなかった武田信玄。
    信玄を愛し、最期まで信玄を信頼していた由姫布。
    それぞれが、三者三様に戦国の世を駆け抜ける。

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    2019年05月04日
  • 蒼き狼

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    淡々とテムジン・成吉思汗の一生を追っていく小説。
    これが非常に面白かった。名前でしかしらなかったテムジンの弟、こども、仲間が色をもち、生き生きと動き出して、みんな魅力を放っていた。
    蒼き狼のような伝説はローマの伝承のロムルスにも似て、世界いろんなところに存在するようだ。

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    2018年12月11日
  • 夏草冬濤(下)

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    ネタバレ

    新年を地元ですごし、新学期をむかえる・耕作が2人と別れ、上級生とつきあいを始めるこの巻。とても面白く、すらすら読めた。耕作の成長がおもしろく、ラーメンを食べるシーンや、足を骨折したく件、フランス料理を食べる件など印象深かった。今後の旅も楽しみ。

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    2018年11月06日
  • 夏草冬濤(上)

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    ネタバレ

    耕作の中学時代が書かれている。
    鞄をなくした時の表現が的確で、読んでいるこちらもはらはら。出てきてほっとしました。
    かみきの家の姉妹の描写が印象的。
    正月に帰った耕作が、叔父より読書感想文の宿題をもらうが果たして達成できるのか、次巻がたのしみ。

    日常を描き出しているが、その表現が素晴らしく、ストレスなく読み進める。何気ない日常が過ぎる中で、次はどうなるのかと先を続けて読みたくなる希有な本。

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    2018年11月03日
  • しろばんば

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    ふと読みたくなり、中学生以来、久しぶりに手にしました。
    洪作少年の心の機微、おぬい婆さんとの土蔵での日々、美しい湯ヶ島の風景。自分が過ごした時間、場所ではないけれどどこかノスタルジーな気持ちになります。
    再読して、また違う印象も受けました。これからも読み継いでいきたい本です。

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    2018年12月19日
  • しろばんば

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    ネタバレ

    古い本読んでいると、その世代の人が何をどう考えて生きていたのかがかいまみえる。この本もそんな一冊。おぬいばあさんの行動が、祖母に見えて、祖母はこの時代の人だったのか。様々な言動は異常ではなかったのだと思った。
    おぬいばあさんとの接点は年を取るごとに描写が減っていき、子供の成長期にあたり、関心事の変遷が描かれていて、スピードも心地よく素晴らしかった。
    主人公の今後が気になるところ。

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    2018年10月20日
  • 蒼き狼

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    成吉思汗(チンギス・カン)の一代記です。
    しかし成吉思汗、改めて凄まじいですね。日本では百姓からの天下取りをした秀吉が有名ですが、成吉思汗も一介の人(この本では部族に見捨てられた一家族)からユーラシア全体を覆うほどのとてつもない大帝国を一代で築き上げたのですから。

    全ては成吉思汗の視点で描かれます。彼を取り巻く女性、母ホエルン、妻ボルテ、寵姫・忽蘭は心情を吐露する場面がありますが、何故か男性陣については発言や行動のみ記され、その心情は成吉思汗の推察でしかありません。そのせいでしょうか、どこか伝記のような雰囲気があります。

    出自の疑念を自ら払拭するため、そして貧しい部族を裕福にするため、近隣

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    2018年05月06日
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

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    人生と死に向き合う作品9編。掲題は、既に海に流され死ぬ運命を認めながら、恐怖と葛藤にもがく僧の話。著者の筆力の凄さを感じる。2018.1.13

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    2018年01月13日
  • 風濤

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    日本の目から見たら侵略者であり、暴風により2度にわたり奇跡的に防衛された元寇ですが、それを当事者であった高麗の国から描いた作品です。
    元の圧制に対する高麗の硬軟あわせた数々の外交戦が主体に語られます。その中でフビライや側近の洪茶丘、高麗国王・玄宗、宰相・李蔵用など多くの人物が登場します。しかし、誰かを主人公に立てた物語と言うよりも、史実に沿って俯瞰的に描いた作品です。かといって史書と言うわけではなくて、血が通っていると言うか、物語でもあります。そのあたりのバランスが絶妙です。

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    2017年11月10日