井上靖のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
帰国後隔離期間中の2冊目。
私も一時期祖母と2人で1年間ほど暮らしたことがあり、その間両親と兄弟とは別々だった。
大人同士の会話は、当の大人と子どもとではその捉え方が違い、子どもの年齢に応じても違うのだろう。そこは子どもワールドで、大人には想像も及ばない。感受性、人生経験、距離感など色々影響される。大人同士の人間関係に子どもは敏感。確かに振り返ると自分もそうだったと思い出す。
大人になった今、親になった今、子どもたちがどう感じるのか、ということも考えながら発言したい、と考えた。
親や祖母がだんだん物理的に小さく見てくるのは、その通りだと思う。そこに複雑な思いが去来した。
こういう本、中学生 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりに噛み応えのある小説を読んだ感じがする。
どちらかというと歴史とか、いわゆる社会科の内容は得意ではない。大化の改新も壬申の乱も、ギリギリ試験のための勉強をしたくらいで、とうの昔に大概のことは忘れてしまってる。井上靖さんの作品も『しろばんば』辺りは読んだけど、この作品や『天平の甍』や『敦煌』は歴史への苦手意識があって読んでなかった。『敦煌』は西田敏行さんが出た映画は見たけど・・。
そういえば、この作品も読んでいて、『敦煌』で描かれてたような壮大な景色を連想した。映画を見ているような、鮮やかに場面が展開される感じがした。
万葉集は好きな(興味のある)部分とか関連本を読んだりしてるんで、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ巫女として神の声を聞き、神の心を歌う額田女王。大海人皇子との間に十市皇女をもうけてからも、神の声を聞くためにその心は誰にも渡すまいと誓っているが、有間皇子や中大兄皇子への想いは結構人間的だと思う。神の心を歌うとしながら、いつしか中大兄皇子の心を歌うことに喜びを見出していくあたりも、「あなたの心は私だけが知っている」「あなただけは私の言おうとしていることわかるでしょ」的な気持ち、それを喜ぶ気持ちも、結局中大兄皇子に恋する人間の女性の気持ちに他ならない。神の嫁としての巫女的性格は、人に恋する以前の、男と関係を持つ前の乙女にこそふさわしい。そんな巫女のあり方は折口を彷彿とさせる。しかし、ある意味こじ
-
Posted by ブクログ
舞台は大河ドラマ「真田丸」の時代の一歩手前、 武田信玄に仕えた軍師、山本勘助の働きを軸にして、武田勝頼の誕生、武田家、命運尽きるを予感させる。
猛々しく荒々しい戦国絵巻というには、井上靖の真骨頂。芒が原に飄々とすさぶ風の印象が濃く、 むなしさがにじみ出るストーリー展開。
しかし、こうしていろいろの歴史的人物・事項など小説にしたものを読み継いでいくと、いままで頭に入ってこなかった歴史が、俯瞰図をのぞくごとくわかるようになるからおもしろい。
それにしても日本の年号はこうくるくる変わるのだろう
この小説でも、天文22年、弘治3年、永禄元年と変わっていく。 たとえ西暦に直したとしても、印象が濃 -
Posted by ブクログ
大正時代に伊豆湯ヶ島という所で小学生時代を過ごした主人公、洪作の物語です。
学校や村で起こる小さな事件、そして狭い世界ながらも色々な人々との関わりを通じて、少しずつ成長していく様子が主に洪作の目線で描かれています。
作者の自伝的作品ということもあってか、心の動きの描写が生き生きとしていて素晴らしいです。時々自分の小学生の息子と重ねてしまい、ああ息子もこんな風に感じてるのかもなあと思いました。
いつの時代も、少年の心の動きは変わらないのですね。小説を楽しむ一方で、男児の育児書のようにも思えた一冊でした。
現在、続編の「夏草冬濤」を楽しく読んでいます。