井上靖のレビュー一覧

  • あすなろ物語
    思い出しては読んでいる本。でもなぜ何度も読むのか分からない本。ページをめくった時、「あれ、今ので終わりか」と毎回のように思ってしまう。
  • 氷壁
    デュブラの詩で涙。

    単なる登山家の愛と友情の物語ではなく、当時、本当にザイルが切れる事件があり、製造者責任の法整備に繋がる社会問題を扱った小説と知り、感動も倍増。
  • 蒼き狼
    ひとつの時代を作った1人の人物の一生を描いた伝記のようなもの。

    決して英雄物語ではない。

    この人物の征服欲の源はどこにあるのか、それを井上靖さんなり解説しているものだと思う。
  • 敦煌
    敦煌で二十世紀に、洞窟から数万巻の経典が発掘された、というところが史実。その経典がどのような事情で、誰によって隠されたか、というところが作者のフィクション。
    ひとつの史実から、ここまで物語を膨らませることが出来る、というところに単純に感動できる。物語構成的にも、ある意味、小説のお手本と云えるような安...続きを読む
  • 額田女王
    前半、額田女王がいい女すぎてほんとにくらくらする|д゚)でも神の声を聴く特殊な女として、プライドを持っており、ただの女になることを頑なに拒んだばっかりに、幸せを遠ざけてしまう。ま、妃として迎えられても同じかな。もちろん創作なんだけど、当時の宮廷の文化や雰囲気がいきいきと描かれていて、和歌を手掛かりに...続きを読む
  • 敦煌
    小学生の頃に金曜ロードショウでやっていたのが頭を掠め読んでみようと思った。

    舞台は中国の西域
    主人公の趙行徳は官吏採用試験でまさかの居眠りをしてしまい、当たり前の不合格!
    失意の彼の眼の前に現れた異国の女!
    彼女を何となく助けたことにより異国の文字が書かれた布切れを貰い、何となく西を目指して旅立つ...続きを読む
  • しろばんば
    生きてるときは、何となく真面目な大作が多い作家の印象があって読んでなかった、井上靖。ひさしは好きだったが。
    結構流行作家だったし、映画化もされていたから読むまでもないかと思っていたが、死後25年経っても本が刷られているのだからやはり名作なのだろうと思い、読んでみた。
    意外に良かった。
    二つしか年の違...続きを読む
  • しろばんば
    曽祖父の妾のおばあさんと土蔵で暮らす少年成長を描く

    前半はなかなか入り込めなかったが、洪作の成長とともに話に入っていけた。
  • 楼蘭
     歴史作品を中心に12編収録。楼蘭とは「中央アジア、タリム盆地のタクラマカン砂漠北東部(現在の中国・新疆ウイグル自治区チャルクリク)に、かつて存在した都市、及びその都市を中心とした国家の名称」である(wiki調べ)なんとロマンを掻き立てることか、更に「さまよえる湖」ロプノールの西岸に位置し、シルクロ...続きを読む
  • あすなろ物語
    現代文の模試かなにかに引用されていて、試験中に「文章がきれいでよみやすい!この本読みたい!」と思い購入。
    この本と夏目漱石は整った日本語に飢えたときに読み返している
  • 猟銃・闘牛
    「猟銃」を読みました。
    とても面白く、どんどん引き込まれた。
    ひとりの男性像が3人の女性の視点から出来上がっていく。
    愛されることと、愛すること、どちらが幸せなのか。その答えは・・・
  • 後白河院
    歴史書だけでは分からなかった、源平の戦いの原因が少しは理解できた。後白河法皇が裏で暗躍していたと言われているが、井上靖はそれを否定している。暗躍ではなく法皇自身の考えで政をした。しかも、その政の精神は少しもぶれていない。武士や公家がその時々の状況で烏合集合したに過ぎないと。
    この本も旅行には持ってく...続きを読む
  • 猟銃・闘牛
    著者の初期作品から、『猟銃』『闘牛』『比良のシャクナゲ』の三編を収録しています。

    『猟銃』は、三杉穣介という猟人から著者のもとに送られてきた手紙による、書簡体小説です。著者はある日、「白い川床」を歩くように、「ゆっくりと、静かに、冷たく」山のなかを歩んでいた三杉のすがたを目にし、その記憶に基づいて...続きを読む
  • 額田女王
    今回のバングラデシュの旅に持参した一冊。全くの異世界のベンガルで、日本の古代史を感じるのはなかなか乙であった。
    去年の春節の旅行で白村江にいったことがあったので、想像しながら読めた。もし唐が新羅と一緒に百済を駆逐したタイミングで日本侵攻してきたらどうだったのであろうか。今の日本はないのかも。
    お話は...続きを読む
  • 猟銃・闘牛
    表紙から売りという意味では、双方芥川賞候補になった「猟銃」VS「闘牛」という並びに味があるのだろうか。「闘牛」で芥川賞を受賞した時、選考委員の意見も多少別れたという。もう一篇、「比良のシャクナゲ」という作品もあるが、これは例外的で、ある意味無難な評価、皆似たような感想を持つと思う。
    「猟銃」は、主人...続きを読む
  • 蒼き狼
    地図が付いていたので地理的な把握がしやすかった。
    広大な領土を征するに相応しく、戦いに次ぐ戦いの人生が読みやすく、それでいてドラマチックに展開されている。
  • 北の海(下)
    文豪、井上靖が書いた自伝的小説三部作の最終章にあたる長編小説。実際に読んだのは単行本版。

    おそらく、日本の純文学史上最古のスポ根小説。本作を一言で言うなら、まずこれ。

    親元から遠く離れた地で暮らす主人公、洪作は、なんとか中学を卒業するも高校には受からず、浪人としての日々を柔道に費やして過ごしてい...続きを読む
  • あすなろ物語
    梶鮎太とそのぐるりのお話。
    印象に残る人物がたくさん。の描写はとても詳細で、
    鮎太と他の人たちとの対話は少ないように思われて、
    こんなもんかな?とは思った。
    自伝なのでしょうか。

    いのうえひさし、と、いのうえやすし、を間違えてて、読み進めてから、真面目な方だなぁ?あれ?とあとで気付いたことは内緒。
  • 楼蘭
    楼蘭は、移動するロブ湖をめぐる話。叙述詩を読んでるみたい。小磐梯は噴火の前の静けさが物凄く不気味に描かれている。今の時期だから余計にこわく思えるのかもしれない。
  • 楼蘭
    中国歴史だけかと思いきや、日本、インドの歴史や童話小説をモチーフにした話もちらほら。
    表題桜蘭は50ページ前後の短い話だが、南インドにまつわる虎の話はちょっとした小話にも最適かと。
    何人かにこの話をしてあげると喜ばれる。
    オチが予想外で。