井上靖のレビュー一覧

  • 星と祭 上

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    ヒマラヤが舞台になるということで読み始めたが、途中まで主人公の架山と合わず進みが悪かった。けれど、十一面観音を拝む辺りから興をおぼえそこからは一気だった。十一面観音と観音に関わる描写が美しく涙腺が緩んだ。

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    2018年04月18日
  • 楼蘭

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    『タクラマカン砂漠』という響きが好きです。

    生まれ変わるならタクラマカン砂漠に吹く風になりたいと思います。

    12編の短編 表題作の楼蘭は中央アジア、中国の西域を舞台とした古代弱小国の興亡の物語 立地的に大国の漢と匈奴の両方から支配と搾取が繰り返されるなか、細々と暮らしていかなければならない楼蘭の人々に無常さを感じます。

    他にも人間になる事と夫の浮気に制裁を加える事が出来なくなる葛藤を描いた羅刹女国!?
    即身仏に強制的に祭り上げられる側の内面を描く補陀落渡海記など心に何かが引っ掛かりずり落ちていくような短編集です。

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    2018年03月03日
  • 後白河院

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    後半流し読み。
    なんだか平安時代の話は苦手である。
    とっつきにくいというか。
    まぁ、知識がないだけなのであろう。

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    2018年01月22日
  • しろばんば

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    善人すぎたり悪人すぎたりするのではなく、本音で行動する人物がたくさん登場するのである意味爽快。少年が成長していく過程に自分の子供時代と重ねてほのかな懐かしさをおぼえた。天城の田舎の描写が目の前に浮かぶようでまたよい。

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    2018年01月16日
  • 楊貴妃伝

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    玄宗皇帝の近づき、楊貴妃にしか分からない距離の感知と変化。権力の恐ろしさと儚さ。権力を維持するために、脅かすものの排除。淡々とした描写。

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    2018年01月08日
  • あすなろ物語

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    明日は檜になりたいと願う翌檜。子供から大人になると、翌檜ですらなくなっていくのか。そう言われればそうかもなあ。この本も、鮎太が子供時代の頃が一番よかったなあ。ピナクルは、無論後半、激動の戦争時代なのだろうけど、個人的には子供時代にこそ救いがあり、良くも悪くも暗示があり、それら込み込みの翌檜なのだと思う。翌檜は、置いて行くとその願いすらなくなり、その願いすらなくなれば、それはもはや翌檜ですらなくなるという自己矛盾を抱えている。俺は、翌檜なのだろうか。

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    2017年12月18日
  • 戦国無頼

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    昭和33年(1958)の作品です。
    司馬遼太郎の「梟の城」が翌年発表ですが、それ以前の、むしろ昭和初期に活躍した山手樹一郎(桃太郎侍の原作者)の世界に近い様に思います。そもそも疾風之介(はやてのすけ)などという命名にも一寸時代を感じさせます。もっとも眠狂四郎もほぼ同時期ですから、まだそういったチャンバラ小説の雰囲気が十分残っていた時代だったのでしょう。そう言えば疾風之介のニヒルさは狂四郎に通じる物がありますし、おりょうは梟の城のこさるに似ているようにも思います。
    古さは感じさせますが、それなりの面白さはあります。罪の無いエンターテインメント小説、そんな感じのする本でした。

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    2017年11月10日
  • おろしや国酔夢譚

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    最初は16人いた一行のうち、最後まで生き残ったのが4人。うち2人はキリスト教に帰依し、10年の後日本に帰国したのは2人。18世紀のシベリアの過酷な自然環境や華麗なロシア文明を描いた作品です。
    小説と史書の中間、どちらかと言えば丹念に調べた史実を忠実に再現しようとしています。主人公の感情とかの描写は少なく、事実が淡々と述べられていく。作家は皆さん古くなるとこうゆう傾向になるのでしょうか?司馬遼太郎も吉村昭も方向の違いはあれ、そんな感じがします。この作品についていえば吉村昭の最近の作品に近いように思います。もちろん井上靖の方が大先輩ですので、本当は井上さんに吉村さんが近いと言うべきでしょうが。

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    2017年11月10日
  • 風林火山(新潮文庫)

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    風林火山なので、武田信玄の話かと思いきや、信玄に支えた軍師 山本勘助の話し。
    物語は山本勘助視点で進んでいき、勘助の信玄や由布姫への忠誠心がすごく伝わってくる。
    あと、勘助の視点から見た信玄の成長が伝わってくる。
    川中島の戦いの途中で終わっており、戦いの結末、そしてそのあと信玄の活躍ぶりを知りたくなる。

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    2017年10月22日
  • あすなろ物語

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    梶鮎太の少年期から壮年期までの成長物語。明日は檜になろうと願うあすなろの木。本物の檜は一握り。でも、鮎太はあすなろですらない。ぐだぐだの日々。

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    2017年08月14日
  • あすなろ物語

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    明日は檜になろうと懸命に生きている人々の姿が描かれている。また、登場する女性がみなそれぞれに魅力的。

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    2017年06月26日
  • 風濤

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     流し読み。同じ(こちらは朝鮮の歴史)中国歴史時代小説の大家、陳舜臣にも言えるんだけど、歴史資料を日本語訳で読ませるような小説って楽しめるのかな、それってあくまで資料であって小説じゃないよね。正直おもろなぃ。

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    2016年10月21日
  • 額田女王

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    大化の改新、白村江、壬辰の乱という謎に満ちた古代史の最後を飾った、古代史に燦然と輝く歌人額田王と二人の天皇の物語。茜指す紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る、を歌い出すまでの前段の話作りは秀逸。
    井上靖の長編読む度に思うんだけど、長さ半分に出来るよね。何なら敦煌くらい短くてもいい。

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    2016年10月14日
  • あすなろ物語

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    ネタバレ

    自伝的な小説。あすなろは檜になろうとする少年。
    親戚を心中で亡くしてしまう。女性たちが何人も出てくるが、そういう人浮きあうこともなく全然知らぬ人と結婚する。妻と子を疎開させてある少女と出会い仲良くなる。
    くまさんの妻。春さんが故郷に帰るそして、死。 色々あって生きてきた。
    信子と加藤の妹ともそれから合わなかった。という一説は不思議だった物語が発展すると思った。

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    2016年10月10日
  • 蒼き狼

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    チンギスカンの物語。一代にして南は、金、西夏、西はカスピ海に至る大帝国を築く。凄まじい征服欲、そして何より運が備わっていたからだろう。物語には無いが、チンギスカン没後もなお、版図が拡大していくのも興味深い。2016.8.27

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    2016年08月27日
  • わが母の記

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    最後の年表で名前は変えられているんだなと知る。よって、ノンフィクションのカテゴリではないかな。親が死んで自分と死との距離が近くなる。親が死から自分をかばっていてくれたんだなという文豪ならではのセンスが光る。

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    2016年08月22日
  • 風濤

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    朝鮮半島の悲惨な歴史の一幕を見たような。地理的な状況もあり、常に大陸の巨大な権力に怯えざるを得なかったのであろう。それに比べると日本は島国というだけで呑気なものなのであろう。それぞれの国には地理的な状況に基づいての歴史が必然となってあるものである。歴史はくり返すというのもあながち真っ赤な嘘ではない。

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    2016年07月26日
  • ヤマケイ文庫 穂高の月

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    ネタバレ

    2016/7/18 喜久屋書店北神戸店にて購入。
    2018/2/20〜2/26

     「氷壁」の執筆の裏側や、氏と穂高との関わりなど、新聞・雑誌などへ発表したエッセイをまとめたもの。執筆時にはほとんど山の経験が無かったとは驚きであった。徳沢から横尾への梓川の美しさについては完全同意。

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    2018年02月26日
  • わが母の記

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    映画を見た時、作中に使われる詩が好きで
    原作の方にも手を出したが、家族構成も違って詩も出てこなくて、映画はけっこう脚色されていたのだとわかった。

    では、映画でうたわれたあの詩はどこから来たのだろう。


    〝おかあさんと 渡る 海峡〟

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    2016年07月10日
  • 後白河院

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    時代は平安末期から鎌倉幕府の始まるくらいまで、公家の衰退が進む中、公家のトップとして武家の勃興と渡り合う後白河院の生涯を四人の語り手が読み解く。日本史でも、あるいは時代劇時代小説でも影の薄い時代かなと思うが、藤原摂関家、平清盛、木曽義仲、源義経、源頼朝など顔ぶれは豪華。もっと掘り下げたい欲求と、南北朝時代の本も読みたくなった。

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    2016年06月11日