井上靖のレビュー一覧

  • 星と祭 下

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    立ち直れない辛さの中で一筋の希望、それは宗教的な救いとヒマラヤの村の祈り。エベレストが目的で読んだ本だったが、悲惨な設定には何度も挫けそうになった。エンディングとしては納得だが、十一面観音はまだそんな心境にはなれず理解は難しい。どうすれば永劫という悟りにたどり着き、殯があけるのだろう。諦めとはどう違うのだろう。琵琶湖はいいとして、いつかナムチェバザールやポカラを歩き、祈りと天空の山を実感してみたい。

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    2015年01月11日
  • わが母の記

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    ネタバレ

    認知症の母を理知的な観察眼をもって記録した本。私の祖母も同じだ。離れて暮らしている為、感情的に巻き込まれることはないのだが、、。(認知症は魂の半分はあの世にいっている状態。向き合う家族に多くの体験と感情をもたらす為に、現世で最後の役目として、半身を残して、我々に語りかける状態だ)という見解を何処かで読んだことを思いだす。

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    2014年06月12日
  • 蒼き狼

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    ネタバレ

    チンギス・カンは自分は正当なモンゴルの血を継いでいるのだろうかと、不確かな自分の出生に悩む。
    モンゴル族の創生神話による蒼き狼と白い牝鹿の血を受け継ぐ蒼き狼たるべく、彼はひたすら敵を求め侵略征服を続け、歴史上最大の大帝国の礎を築く。
    自分とは何者かと自問自答し、自分というものを自分の力で作り上げていくチンギス・カン。。。自分も自分というものをもっと積極的に作り上げる努力をしなくてはいけないなあ、、、。
    流されない、切り開く力。(最近めっきりそういうのから遠のいてます)
    モンゴルを平定して他国に出て行きますが、それにしても機動力がすさまじい。
    モンゴルの馬って、モンゴル人のバイタリティって本当に

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    2014年04月29日
  • 孔子

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    今、乱世であると思う…いや乱世でない世があったろうか?
    …と思いを馳せたとき、古典・経典の読み継がれる意味が、
    ことさら感じられ手にした一冊だった。
    まさに「論語」成立の過程を臨場感あふれる筆致で描くような小説。

    いつの世も、人は悩み、惑い、糧となる指針を欲するものだろう。
    終盤、本書では、こう語る…
    ー人が自分の力で、世の中を動かしたとか、動かそうなどと考えるのは、とんでもないことで、大きい天命の動きの下で、それを応援させて貰ったり、それに逆らって、闘わせて貰ったりする。ただ、それだけの話であります。

    それは、諦念だろうか? 違うと思う。
    どんな世にあろうと、人は、希望を持つものと思う。

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    2014年03月31日
  • 幼き日のこと・青春放浪

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    著者が生涯に大きく影響を与えたとする幼年、青年時代の随筆。特に曽祖父の妾であるおかのお婆さんに愛されたことへの思いは子どもであるが故の純粋さのみならず美しさを感じる。14.1.25

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    2014年01月25日
  • 後白河院

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    四部構成で、四人の人物が一人ずつそれぞれに、
    院や院の身の回りでおきた事柄を回想して語る形式の小説。

    語るのは、平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の四人。

    一部(平信範)と二部(建春門院中納言)は、
    場面の設定や身分の関係か、
    ものすごく丁寧な言い回しになっているので、
    まどろっこしくて、読みにくくて、ちょっと飽きつつ読んだ。

    三部(吉田経房)、四部(九条兼実)になると、
    面白くなってきたものの、
    この時代に起きたことをそもそもよく知らなかったこともあって、
    この本の面白さを充分に噛みしめることができなかったと思う。

    この本は歴史の流れを説明してくれる丁寧さはなくて、
    歴史を知

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    2013年11月17日
  • 異域の人 幽鬼 井上靖歴史小説集

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    <異域の人>
    最果ての西域で軍人として一生を終えるオトコの物語。

    軍人として名を上げるため、故郷を遠くはなれ、命を賭して生きる人生。

    平和日本に住むボクが理解することは不可能かもしれない。

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    2013年11月04日
  • 氷壁

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    昔読んだことがあるけど記憶に無いのと、山登りを始めた今だからこそ、と思い再読。
    冒頭から山をやる人にとって、お!と思う描写。奥穂高、涸沢、徳沢と、馴染みの知名オンパレードで、山から帰ってきたばかりだったのに、胸がワクワクします。
    ナイロンザイル事件が思いのほか早く起こって、そこからは、ドラマが展開するのだけど、山をやってる人には物足りないかも。
    そう、もっと山のこと書いて欲しいと思ったのです。

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    2013年10月19日
  • わが母の記

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    認知症云々というより、慈愛に満ちた眼差しではあるもののある意味冷酷な生命の記録といった感じ。
    やっぱり生きるというのはどうあれ他人様に迷惑をかけるものなんですな、謙虚にならんといかんです。
    主人公(?)である母にとって旦那のことは完全に忘却の彼方って結構応えますよ、自分もその対象になってしまうかも、気をつけないと、、、
    映画もなかなか良かったが、本の方が一枚上って感じ。
    流石井上靖です。

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    2013年08月09日
  • おろしや国酔夢譚

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    久々に読んだが重い本だ。
    飛行機なども一切なく、もちろんパソコンもなく、まだ日本が鎖国をしていた頃の話。

    海外に対する情報が全くない日本人が漂流しロシアに流れ着き十年を経て日本に戻る。

    過酷な運命だ。
    そして日本に戻ってきた時に感じる疎外感。悲しい物語です。

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    2013年08月03日
  • 氷壁

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    樋口明雄を皮切りに山岳小説に興味を持ち始めて、一度読んでみたいと思っていた本。山岳小説の傑作らしく、数年前はNHKでドラマ化されたのを見た。これは新装版で、初出は1957年。読めば一目瞭然。文体が古く、昭和臭の香り。といっても若干固いと思うだけで読む分には師匠はない。むしろこれも一つの味に見える。
    結果的にはうーんというような小説だった。期待が大きすぎたか、全体的に冗長に感じた。また年代からして仕方ないかもしれないが、登場人物の価値観が理解しにくかった。主要人物の行動、思考が皆芝居がかったような印象を受ける。それでも何だかんだ言って最後まで読んでしまった。その意味では悪い作品ではない。でも結局

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    2022年09月15日
  • 額田女王

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    井上靖を読むなんて何年ぶり?

    少女の頃、「茜さすむらさきの……」「むらさきの匂へる……」
    大海人皇子との恋歌に憧れました。
    あれから何十年……
    歴史的にも文学的にも、研究は進み、
    おそらく解釈も変わってきているでしょう……

    そんな昔少女のせいか、井上靖の描く
    額田と言う女性は、私のイメージにピッタリ。
    だいたい、井上靖は私の頃のビッグネーム。
    確か、日本ペンクラブの会長だった頃のスピーチが
    国語の教科書に載ってたいたはず。
    久々に、きちんとした(?)小説を堪能した感があります。

    ただ小説の勢いとしては、後半が失速するというか……
    物語としてはダダダ~っと話が進むのですが
    味わいとしては欠

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    2013年05月13日
  • わが母の記

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    花の下、月の光、雪の面、と被る内容が書かれてあり少し中弛み感があった。映画を観る前に読もうと手に取った本。高齢者が増えていく
    これからの世の中、認知症の発症数も増えていくことでしょう。可能であれば、周りの方をなるべく手こずらせずにこの世を去りたいと私は思う。

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    2013年05月12日
  • わが母の記 花の下・月の光・雪の面

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    介護の段階で誰もが感じる気持ちの移り変わりを描いた作品。最初の話で推測したことが、後になって、こうだったんじゃないか、という分かったり。別の次元で生きていたのかな、お母様は。

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    2013年01月12日
  • 蒼き狼

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    ネタバレ

    成吉思汗(チンギスカン)、その若き日は鉄木真(テムジン)と呼ばれた。鉄木真の生まれた十二世紀の中葉には、モンゴル部のほかに、キルギス、オイライト、メルキト、タタル、ケレイト、ナイマン、オングートといった諸部族が蒙古高原地帯の住民たちで、その中で、モンゴルとタタルの二部族がこの高原地帯における諸集落の指導権を握ろうとして、絶えず小戦闘を繰り返していた。鉄木真の生まれたのはこの二部族の闘争の最中であった。モンゴル部族もその中で幾つかの氏族に分かれ、各氏族は独立した集落を持って、ともすれば拮抗しがちであったが、鉄木真の父エスガイの属するボルジキン氏族は昔からモンゴルの本家筋に当たる家柄となっており、

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    2012年10月29日
  • わが母の記

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    高校時代に一度、春に映画を観る前に一度、 そして今回また読んだ。
    同じ井上靖の作品で人の成長を感じたが、"幼少に戻る"老いの形もそれもまた人の成長のひとつなのだろう。

    個人的に、高校時代より経て今、家族や親戚としてとても考えさせられた。
    映画とはまた違う感慨。

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    2012年09月07日
  • 孔子

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    孔子が神様みたいにベタ褒めされている様が書かれた本。あまりにも子曰くと一言一言取り上げられてるので最初は胡散臭く感じられたが、正論だと思った。昔の中国のしょっちゅう国が変わるという感覚からすれば孔子はスゲー人なんだとも思った。

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    2012年08月28日
  • 後白河院

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    4人の視点からみた後白河院にまつわる様々な出来事。
    誰にも本音を言うことなく、人や時流を見極めて自分で決めて行動してきた孤高のひとという印象。それに比べていまの時代のひとは、何でもかんでも人に喋りすぎなのかもしれない。そんなことをふと思った。

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    2012年08月13日
  • 氷壁

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    登山家の話。
    女性問題を抱える親友を山で失ってしまう主人公がその原因と思われるナイロンザイルの検証と親友への義と女性への想いも交わり、悩みつつも山へ向かっていく。
    職場の支店長の視点で登山とは何かを問いている。
    描かれているものは何か?
    山という絶対的なモノへの畏怖、憧れ、尊厳とそれに対照的な市井の人間味であろう。

    ただ小説のなかに登山家のなぜそこへ向かうかの精神世界か描かれているとは感じない、また、ザイルをめぐる展開が話し全体のバランスからは多すぎると感じました。

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    2012年08月08日
  • 後白河院

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    ネタバレ

    朝廷・公卿・武門が入り乱れる覇権争いが苛烈を極めた、激動の平安末期。千変万化の政治において、常に老獪に立ち回ったのが、源頼朝に「日本国第一の大天狗」と評された後白河院であった。保元・平治の乱、鹿ヶ谷事件、平家の滅亡…。その時院は、何を思いどう行動したのか。側近たちの証言によって不気味に浮かび上がる、謎多き後白河院の肖像。明晰な史観に基づく異色の歴史小説。

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    2012年07月22日