井上靖のレビュー一覧
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ネタバレチンギス・カンは自分は正当なモンゴルの血を継いでいるのだろうかと、不確かな自分の出生に悩む。
モンゴル族の創生神話による蒼き狼と白い牝鹿の血を受け継ぐ蒼き狼たるべく、彼はひたすら敵を求め侵略征服を続け、歴史上最大の大帝国の礎を築く。
自分とは何者かと自問自答し、自分というものを自分の力で作り上げていくチンギス・カン。。。自分も自分というものをもっと積極的に作り上げる努力をしなくてはいけないなあ、、、。
流されない、切り開く力。(最近めっきりそういうのから遠のいてます)
モンゴルを平定して他国に出て行きますが、それにしても機動力がすさまじい。
モンゴルの馬って、モンゴル人のバイタリティって本当に -
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今、乱世であると思う…いや乱世でない世があったろうか?
…と思いを馳せたとき、古典・経典の読み継がれる意味が、
ことさら感じられ手にした一冊だった。
まさに「論語」成立の過程を臨場感あふれる筆致で描くような小説。
いつの世も、人は悩み、惑い、糧となる指針を欲するものだろう。
終盤、本書では、こう語る…
ー人が自分の力で、世の中を動かしたとか、動かそうなどと考えるのは、とんでもないことで、大きい天命の動きの下で、それを応援させて貰ったり、それに逆らって、闘わせて貰ったりする。ただ、それだけの話であります。
それは、諦念だろうか? 違うと思う。
どんな世にあろうと、人は、希望を持つものと思う。 -
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四部構成で、四人の人物が一人ずつそれぞれに、
院や院の身の回りでおきた事柄を回想して語る形式の小説。
語るのは、平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実の四人。
一部(平信範)と二部(建春門院中納言)は、
場面の設定や身分の関係か、
ものすごく丁寧な言い回しになっているので、
まどろっこしくて、読みにくくて、ちょっと飽きつつ読んだ。
三部(吉田経房)、四部(九条兼実)になると、
面白くなってきたものの、
この時代に起きたことをそもそもよく知らなかったこともあって、
この本の面白さを充分に噛みしめることができなかったと思う。
この本は歴史の流れを説明してくれる丁寧さはなくて、
歴史を知 -
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樋口明雄を皮切りに山岳小説に興味を持ち始めて、一度読んでみたいと思っていた本。山岳小説の傑作らしく、数年前はNHKでドラマ化されたのを見た。これは新装版で、初出は1957年。読めば一目瞭然。文体が古く、昭和臭の香り。といっても若干固いと思うだけで読む分には師匠はない。むしろこれも一つの味に見える。
結果的にはうーんというような小説だった。期待が大きすぎたか、全体的に冗長に感じた。また年代からして仕方ないかもしれないが、登場人物の価値観が理解しにくかった。主要人物の行動、思考が皆芝居がかったような印象を受ける。それでも何だかんだ言って最後まで読んでしまった。その意味では悪い作品ではない。でも結局 -
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井上靖を読むなんて何年ぶり?
少女の頃、「茜さすむらさきの……」「むらさきの匂へる……」
大海人皇子との恋歌に憧れました。
あれから何十年……
歴史的にも文学的にも、研究は進み、
おそらく解釈も変わってきているでしょう……
そんな昔少女のせいか、井上靖の描く
額田と言う女性は、私のイメージにピッタリ。
だいたい、井上靖は私の頃のビッグネーム。
確か、日本ペンクラブの会長だった頃のスピーチが
国語の教科書に載ってたいたはず。
久々に、きちんとした(?)小説を堪能した感があります。
ただ小説の勢いとしては、後半が失速するというか……
物語としてはダダダ~っと話が進むのですが
味わいとしては欠 -
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ネタバレ成吉思汗(チンギスカン)、その若き日は鉄木真(テムジン)と呼ばれた。鉄木真の生まれた十二世紀の中葉には、モンゴル部のほかに、キルギス、オイライト、メルキト、タタル、ケレイト、ナイマン、オングートといった諸部族が蒙古高原地帯の住民たちで、その中で、モンゴルとタタルの二部族がこの高原地帯における諸集落の指導権を握ろうとして、絶えず小戦闘を繰り返していた。鉄木真の生まれたのはこの二部族の闘争の最中であった。モンゴル部族もその中で幾つかの氏族に分かれ、各氏族は独立した集落を持って、ともすれば拮抗しがちであったが、鉄木真の父エスガイの属するボルジキン氏族は昔からモンゴルの本家筋に当たる家柄となっており、