井上靖のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『姨捨』『胡桃林』『グウドル氏の手套』『湖の中の川』『大洗の月』『孤猿』『蘆』『川の話』『湖上の兎』『俘囚』『花粉』『四つの面』の短編12編を収録。
「棄老伝説を持つ姨捨山のイメージを作品の中心に据えて、著者の一族のなかに世襲の血として流れる<出家遁世の志>とでもいうべき現実離脱の心を探った表題作。
ほかに、男まさりで狷介なひとりの女性の孤独な生涯を鮮やかに浮かび上がらせた『湖上の兎』、
川に寄せる著者の愛着がにじみ出た『川の話』、
あるいは自伝的要素の強い『グウドル氏の手套』『蘆』など、多彩な短編全12編。」(作品紹介より)
『姨捨』は遁世の志や厭世観という言葉がぴったり。筆者やその母、 -
Posted by ブクログ
時代小説というと、戦国時代や江戸時代のものが多いので、その時代のものには馴染みがあるけれど、この小説の場合、天平時代の出来事を描いているところが新鮮でいい。
阿部仲麻呂や吉備真備のような、教科書以外では見たことのない人々が、物語の中の登場人物としてしゃべっているところも、なんだか奇妙で面白い。
この話しは鑑真が主人公なのかと思っていたら、鑑真についてはあまり詳しく書かれていずに、どういう人だったのかということもよくわからないぐらい、あっさりとした扱われ方だった。
本当の主人公は、それよりも、無名ではありながら人生の大部分をかけて、何十年もひたすらに写経した経典をなんとかして日本に持ち帰るとい