井上靖のレビュー一覧

  • 氷壁

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    山描写より心理描写。時代のせいなのか、イマイチ理解出来ない心情多し。でもすごく近い感覚もチラホラ散見。

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    2012年01月23日
  • 楼蘭

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    ネタバレ

    歴史物に興味がなかったのですが、そしてなんとなく、井上靖に縁がなくこれまできましたが、趣味の登山繋がりで「氷壁」を読んだのがきっかけで、手に取りました。
    表題作の「楼蘭」だけ読み終えました。興味深い歴史です。淡々と事実(おそらく)を述べているだけのようで、翻弄される歴史が胸に迫ります。しかし、歴史物を読み慣れていないので、やや疲れて、巻末近くの普通の小説に飛んで読んでいるところです・・・。

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    2011年12月31日
  • 猟銃・闘牛

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    ネタバレ

    闘牛」は、井上靖の第二作目の作品である。処女作は『猟銃』で、芥川賞の候補には、この二作とも選はれていた。が、第二十二回の芥川賞は『聞牛」に決定している。

    新聞社内部の実話をもとに

     『聞牛』は、新聞社内部を描いたモデル小説だと言われている。モデルとなったのは、新大阪新聞が行った闘牛大会である。作品では伏せ字にしたり名社を変えてはいるが、阪神球場というのは、西ノ宮球場。B新聞というのは、井上賭がいた毎日新聞社であり、大阪新夕刊というのが、新大阪新聞のことである。生人公津上は、新大阪新聞の小谷正一氏のことであるが、そこまで現実と重複(だぶ)らせては、ノンフイクション物になってしまう。この小説は、あくまで、 『闘牛大会』という背景を借りた、恋愛小説として勝むべきである。
     同じ新大阪新聞社の創立当時を扱った小説に『夕刊流星号」があり、作者の足立巻一も社員であった。内部から見たエピソードのひとつとして書かれている「闘牛大会」の部分を合わせ読むと、さらに興味深い。

    終賭直後の生きる手懸りを”賭ける”

     編集局長である主人公は、たえず行動に駆り立てられながらも、行動の裏側には孤独とニヒリズムの影がまといつている。彼は、W市て年三回開かれる闘牛大会では、観衆の殆ど全部が牛の競技に賭けていると闘き、それだけで、社運を賭した闘牛大会をやろうと決める。
     『賭ける、これはいけると津上は思う。阪神の都会で行っても、W市と同じようにそこに集まる観衆のすべては賭けるだろう。終戦後の日本人にとっては生きる手懸かりといえば、まあこ人なところかも知れないと、津上は思う』
     彼は闘牛大会の実現に奔走する。久しぶりに会いに来た恋人のさき子さえ、じゃまあつかいに冷たくする。闘牛大会の初日、二日目と雨が降り、興行的には失敗する。が、津上は無感動に、競技を進行させている。これをみていたさき子は言う。
      『あなたは初めから何も賭けてはいないのよ、賭けれるような人ではないわ』
     しかし、反対に津上から、君はどう?と聞かれて、『もちろん、私も賭けてるわ』と 答える。実際さき子は賭けたのだ。いまリングの真中で行われている二匹の牛の闘争に 賭けたのだ。赤い牛が勝つたら津上と別れてしまおうと…。
      終戦直後に書かれた作品でありなが、今読んでも、不思議と古さを感じさせない。
     さき子の自立した生き方などは、現在そのものである。津上の生き方は、験争を深く体験した日木人の姿であり、五木寛之の作品に出てくる男の姿に似ているように思うのは、私だけだろうが。

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    2011年11月12日
  • 氷壁

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    仲間を信じる心を最後まで持ち続けた男(魚津)の話。「友は決して山で自殺などしない。」彼の情熱が周囲の人間を動かし、結果科学的な裏付けを得る。
    しかしその裏付けに対して世間の関心が向けられることはなく、当事者らにとって不本意なままに事件は終幕を迎え、間もなく魚津は単独行にて命を落とすこととなる。ネオンに犯され赤く爛れてしまった空の下に生きる人間は、失意による自殺山行との見方を示す。
    それでも魚津の人間性は、残された人に受け継がれ、その不名誉な濡れ衣を涙ながらに晴らすのだった。

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    2011年10月24日
  • 風濤

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    ネタバレ

     フビライが生きていた当時の高麗の内部を書いた本。ここから読み取ったのは、朝鮮半島にある国が、いかに中国に恐れを抱くのか、これに尽きると思う。中国が兄で、朝鮮は弟(親と子だったか?)、という構図。支配されればこのようなもの、と割り切ってしまうのは簡単だ。しかし、韓国、北朝鮮の人間からすれば、そうはいかない。彼らからすると、中国は潜在的に敵国なのではないか。
     歴史を読むのが面倒だったから評価は低いが、内容から言えば、4つ星位だと思う。

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    2011年10月08日
  • おろしや国酔夢譚

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    今年の夏は奥穂から涸沢を通り、徳沢園ロッジに初めて泊まった。
     そういえばここは氷壁の宿。しかし井上靖の氷壁はつまらなかったなぁと思い出す。たまたま週間江戸に大黒屋光太夫のことがとても面白く書いてあったので読み出したもの。

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    2011年09月24日
  • 後白河院

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    後白河院をそばで見ていた貴族・女房の回想録で
    後白河院の人物像を描く。

    その技法がより一層、肉感を感じさせる。

    いいね。

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    2011年08月27日
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

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    補陀落寺に代々伝わる、渡海上人の慣わし。それは、生きながら海に出て往生を願うというものだった。表題作ほか9編。

    決して悪い短編集ではなかったし、井上靖らしい淡々とした清らかさがよく出ていたと思う。しかし、読み終わって日数が経った今になってその内容を思い返そうとすると、どうにも印象が薄いのである。
    というわけで、感想を書こうと思っても言葉が出てこない・・・やはり感想を書くのは読んだ直後に限る、と反省したい。

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    2011年07月23日
  • 星と祭 下

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    琵琶湖で娘のみはるを失った架山。しかし、遺体は7年経った今も、まだあがらないままである――。

    『名短編、ここにあり』に井上靖の「考える人」が収録されていて、それがとてもよかったので、今回長編も手に取ってみた。

    本書では、娘を亡くした父親が主人公である。
    娘の死という題材を扱っていながら、井上靖の筆は哀しみに寄りかからず、かといって虚勢も張らない。
    私は、死は乗り越えるものでもなければ、受け入れるものでもないと思う。変な言い方だが、死というものは、馴染んでいくものではないかと思うときがある。

    架山はみはるのことを考えるうちに、次第に彼女がまるで自分の愛人であったかのような気持ちになっていく。
    しかし、そんな架山の想像も、不思議と痛ましくない。娘のみはるは、永遠に17歳の、清らかで、汚れなき愛人なのだ。
    架山が作中でこんな発言をしていたのが印象的だった。「娘を愛人にしたら、もうだめだ。ほかの女を愛人に出来なくなる」。
    遺体の揚がらない娘の死。どうにもはっきりしないその事実にも、年月が少しずつ少しずつ、架山の心に降り積もってゆく。
    愛しさの形は変わっていく。

    みはるとの数々の対話の中で、彼女はこういう発言をしている(実際は架山の考えた、みはるの発言なのだが)。
    「だって、お父さん、いいじゃありませんか。人間って、幸福になるために生まれてきたんじゃないでしょう。わたしだってそう、お父さんだってそう、二人のお母さんだってそう、光っちゃんだって、みんな、そうよ」。
    人は幸福になるために生まれてきたのではない。文字だけだと、なんと希望のない台詞だと思うけれど、この言葉は娘の死をずっと胸に秘めた架山の真摯なひとつの答えである。

    救いとはなんだろう。安らぐとはどういうことだろう。
    架山は琵琶湖湖畔の十一面観音を拝んだり、ヒマラヤへ月を見に行ったりするけれど、それはあくまで彼がみはると自分との関係に契機が起こることを期待した、ただの行為である。
    そこで見たものはと訊ねられれば、観音像だとか月だとかと答えるだろうが、実際にはそこにあった人々の救いへの、信仰へのあり方を見たのだと思う。
    この小説で一番感動したのは、実は、ヒマラヤの場面でも最後の湖に並ぶ十一面観音の景観でもなく、架山が人々に十一面観音を見せてもらっているときの、その地元の人々の観音様への愛情だった。
    その像を守り続けるうちに、守る側が自然と像を尊び慈しむ気持ちを、ただただ美しいと感じた。

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    2011年07月08日
  • 夏草冬濤(上)

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    ネタバレ

    「しろばんば」の続編。
    中学生になった浩作が描かれている。
    田舎では優等生で、勉強がよく出来た彼が
    都会で揉まれつつ様々な経験をしていく思春期小説。
    大正時代の地方都市の、遠く薄く、それでいて生々しい世界が描かれている。
    おぬい婆さんと過ごした日々が全てだった幼少期に比べ、浩作が大人になり世界が広がった反面
    色あせていく思い出のもの悲しさ。
    旧制中学の雰囲気や友人とのかけひきなど、経験してもいないのに懐かしい気持ちにさせられる。

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    2011年04月18日
  • 幼き日のこと・青春放浪

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    井上靖が幼少時代を振り返ったエッセイ。
    小説「しろばんば」「あすなろ物語」の登場人物たちが実際に数多く登場してきて、なんだか舞台裏を覗いたようで新鮮です。そしてエッセイといえども世界観は「しろばんば」のそれで、久しぶりに伊豆の田舎町の夕暮れと“おぬい婆さん”が思い出されました。

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    2011年02月13日
  • 楼蘭

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    主に中国・西域・印度を舞台にした短編歴史小説集。
    前半の西域の話がやはり読んでいてロマンを感じられて一番楽しい。
    しかし、やはりこの方はその人の書く文章そのものというよりも扱っている題材が面白いのだと思う。

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    2010年10月25日
  • 楼蘭

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    西域、中国、インド、匈奴、日本,中には明らかなフィクションものもある
    12の短編からなる本

    西域の話を読むたびに
    思わず思いを馳せ
    不便だけれどいつか行ってみたいと思う。



    そう言えば教科書に載っていた
    中島敦の“山月記”によく似た話もあった。

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    2010年07月20日
  • 猟銃・闘牛

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    「闘牛」の題材になった定期興業は口蹄疫で約60年ぶりに中止に。代わりに読みました。それぞれの話で、みな孤独そうなのが良い。

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    2010年07月02日
  • 楼蘭

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    世界史の教科書に出てきたヘディン、探し求めた楼蘭とはどんな国だったんだろうと思っていたけどこの本を読んで知ることができました。
    2000年ほどの時間を経て発見される、ロマンですねぇ。

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    2010年03月16日
  • 姨捨

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    『姨捨』『胡桃林』『グウドル氏の手套』『湖の中の川』『大洗の月』『孤猿』『蘆』『川の話』『湖上の兎』『俘囚』『花粉』『四つの面』の短編12編を収録。

    「棄老伝説を持つ姨捨山のイメージを作品の中心に据えて、著者の一族のなかに世襲の血として流れる<出家遁世の志>とでもいうべき現実離脱の心を探った表題作。
    ほかに、男まさりで狷介なひとりの女性の孤独な生涯を鮮やかに浮かび上がらせた『湖上の兎』、
    川に寄せる著者の愛着がにじみ出た『川の話』、
    あるいは自伝的要素の強い『グウドル氏の手套』『蘆』など、多彩な短編全12編。」(作品紹介より)

    『姨捨』は遁世の志や厭世観という言葉がぴったり。筆者やその母、妹らもそうだけれど、「本当に一人きりだけになって、一切の煩わしいことから離れ、心から、どこかの山奥へ棄てられたい」と思ったことのある人は多いんじゃないかしら。どこか共感できる感じがしました。険しい斜面を超えた姨捨山から見る月は、美しくて、孤独だけれど、一切のしがらみを断ち切った潔さが感じられそう。

    『胡桃林』は、結局他人しか頼れる者のいなくなった孤独な老婆が、唯一最愛の孫を自殺で亡くした後に車の窓硝子に顔を押し付けて泣く様子が印象的。
    『グウドル氏の手套』は、曾祖父の妾であったお婆さんの、神聖な記憶の記念碑。
    『湖の中の川』は、自分の偽物に会う旅というのが面白かったです。
    『大洗の月』は、坂本紫水と斎藤紫水の紫水ちがいだったけれど、滅びの予感を感じさせる作家と月が良いです。
    『湖上の兎』は、隣の病室で亡くなった見知らぬ女性の、烈しさと哀しさの入り混じった生涯を聞き伝えで記したもの。

    『俘囚』は、様々な噂の後、アフリカの富豪の後妻となって異国へ旅立った同級生をめぐる出来事と複雑な想いを描いた作品。大豪邸に住み豪華な宝石を身につけて現れた彼女は、陽気にはしゃいだかと思うと部屋でヒステリーを起こしたり。彼女が不幸だとも幸福だとも必ずしも言い切れないけれど、何かの「俘囚(とりこ)」になっている、でも一体何の俘囚になっているかは誰にも正確には判らない…というのが印象的でした。

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    2009年10月07日
  • おろしや国酔夢譚

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    江戸時代に漂流してロシアを巡って日本に帰国、のちに幽閉されてしまった大黒屋光太夫の話。テーマも興味深いし、作家も井上靖氏だが・・内容が小説を書きたかったのか、記録的意味合いを込めた形にしたかったのか中途半端でイマイチ楽しめなかった。なんか残念。

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    2009年10月07日
  • 孔子

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    主人公は孔子の架空の愛弟子が、孔子の死から33年後、若い孔子の研究者に向かって語るスタイルの物語。
    孔子は中国の春秋;期の国人です。孔子は中国の著名な人物です。中国に対して重要な影響があります。孔子の精神品格は「三人行,必有我;焉」という意味が私は聖人ではない、人は金持ちで貧乏ではなく、知識を持っていれば、誰でも聖人になると思っています。

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    2010年01月19日
  • 楼蘭

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    今はあまり読まれないようですが、井上靖の歴史小説はいまなおその輝きを失っていないように思います。
    個人的な好みで、まずは『楼蘭』いかがでしょう。

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    2009年10月04日
  • 淀どの日記

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    映画「茶々」の原作。映画を先に見てこれを買いました。

    こっちの茶々は映画とは違い、自分にプライドを持ち、嫉妬深く、しかし往生際の悪い感じがします。
    悲劇的な最後をあえて細かく描写せず、読者の想像に任せて描いているあたり、井上靖という人の文才を改めて感じました。

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    2009年10月04日