井上靖のレビュー一覧
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ネタバレ闘牛」は、井上靖の第二作目の作品である。処女作は『猟銃』で、芥川賞の候補には、この二作とも選はれていた。が、第二十二回の芥川賞は『聞牛」に決定している。
新聞社内部の実話をもとに
『聞牛』は、新聞社内部を描いたモデル小説だと言われている。モデルとなったのは、新大阪新聞が行った闘牛大会である。作品では伏せ字にしたり名社を変えてはいるが、阪神球場というのは、西ノ宮球場。B新聞というのは、井上賭がいた毎日新聞社であり、大阪新夕刊というのが、新大阪新聞のことである。生人公津上は、新大阪新聞の小谷正一氏のことであるが、そこまで現実と重複(だぶ)らせては、ノンフイクション物になってしまう。この小説は -
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琵琶湖で娘のみはるを失った架山。しかし、遺体は7年経った今も、まだあがらないままである――。
『名短編、ここにあり』に井上靖の「考える人」が収録されていて、それがとてもよかったので、今回長編も手に取ってみた。
本書では、娘を亡くした父親が主人公である。
娘の死という題材を扱っていながら、井上靖の筆は哀しみに寄りかからず、かといって虚勢も張らない。
私は、死は乗り越えるものでもなければ、受け入れるものでもないと思う。変な言い方だが、死というものは、馴染んでいくものではないかと思うときがある。
架山はみはるのことを考えるうちに、次第に彼女がまるで自分の愛人であったかのような気持ちになっていく -
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私が手にとった飛鳥時代もの歴史小説第一号。
伝説の宮廷歌人:額田王の生涯を描いた、壮大な物語です。
私は、額田王の出生地と言われている土地で幼少期を過ごしました。
ちなみに今の実家は天智帝御陵の目と鼻の先。
当時はあまり意識していませんでしたが、飛鳥やそれ以前の遺跡に囲まれ、親しみ、そんな丘や山で遊びました。
年に一度の祭りでも、額田王や大海人皇子等のコスプレ…ならぬ時代行列が町を闊歩します。
そんな土地柄だったせいか、長じてから歴史、ことに飛鳥時代に深く興味をいだき始め、この本も、大好きな井上靖氏の著作と言う事もあり自然と手に取りました。
………が。
どうもしっくりこない。
それが正