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Posted by ブクログ
全身全霊でかける想い、登り切る感動もあれば、予測できない自然の猛威や誤った判断による失敗などもあり…
山という危険な場所に挑む者たちの現実離れした経験が、山の恐ろしさと神秘を物語る。
この本は山へ向かう者が、山の下の世界で悶え、
また己と闘うために山ヘ戻るような様子を描いていた。
前から井上靖の文章は詩的であると思っていたけど、彼は詩を勉強し、それを土台に文学を作っている。彼の文章は詩を連ね、間を小説的に埋めたものだと捉える。
全体的に静かな狂気を感じる、一本の映画みたいだった。地獄の黙示録の"The End"を聞く感じ。
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純粋な自然に比較して人間世界の鬱陶しさは、
気づいてしまえば苦しくて仕方ないかもしれない。
しかしそれが私たちが生きる社会の運命であって、
私たちらしさ、人間の有様。
それを浮き彫りとするのがあの真っ白な雪山
と思うと神秘的にも感じた。
Posted by ブクログ
ナイロンザイル事件、松濤明の遭難など複数のモチーフがある小説。ナイロンザイル事件のことは知らなかったが、20年近くも危険性が黙殺され続けた上に今のPL法成立につながったこと、小説からそれほど間を開けず公開された映画のメガホンを取ったのが故・新藤兼人監督だったということに感じるものがあった。
山の話は最初と最後だけなので山岳小説という趣ではないし、松濤明という登山家の人生に触れるには「風雪のビヴァーク」のほうがいいけど、主人公とその上司「常盤大作」との関係性が魅力的で惹きつけられた。この時代の「カイシャ」全般がそうだったのか、小説のための脚色なのか。時代が違う、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど、羨ましくもある。
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