井上靖のレビュー一覧

  • 額田女王

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    古代の英雄天智、天武天皇に愛された、万葉随一の才媛額田女王。大化改新後の朝鮮半島出兵、蝦夷征伐、壬申の乱が舞台。本作品の特徴は激動の時代を、万葉集に綴られている有馬皇子、斉明天皇、中大兄皇子、大海人皇子そして額田大王の和歌を通じて、移ろいやすい感情とともに紐解く事。また、和歌を効果的に活用し独自の視点で解釈を加える事で、物語に彩を与える。

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    2014年07月19日
  • 額田女王

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    ネタバレ

    比較的読みやすい歴史小説。資料も限られる中、飛鳥王朝の様子が脳内で想像しやすく描かれていて、井上さんの文才に改めて感服しました。一般的な額田王&大海人というカップリングに決めつけていないところも印象的。

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    2014年05月16日
  • わが母の記

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    井上靖の一作。母の晩年を書いた作品。惚けてしまった母の描写がやはり秀逸。自分の将来を考えてしまう。惚けると理性をなくし、感覚の世界に生きるのか。

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    2014年05月11日
  • 猟銃・闘牛

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    友人に勧められて読んだ…久しぶりに小説らしい小説を読んだ気がした…翻って考えれば、純文学という領域が普遍性を鑑みない狭所に閉塞している現状もあるのだろう…面白かった。惹き込まれ一気に読まされた。

    昭和24年第22回芥川賞受賞作「闘牛」を含む、著者初期作品による短編集…他「猟銃」「比良のシャクナゲ」所収。後に歴史物で名をなした著者であるが、ここに掲載されているのは、すべて現代物…登場人物の造形がしっかりされていて破綻がない。誰にも心情移入することができた。

    たとえば「猟銃」では、不倫関係にある恋を、妻・愛人・愛人の娘の日記によって構成している…愛人は臨終の際にこのように記していたのだ…

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    2014年02月26日
  • わが母の記

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    全編にわたり、母への強い思慕を感じさせる本だった。
    いつまでも元気だと思っていた親がだんだんと老いてゆく。老いてゆくだけではなくて、だんだんと壊れてゆく。壊れていって、そのうち、家族のことを忘れてゆく。
    認知症で次第に記憶や社会性を失っていく母の姿を、時に冷静に厳しく綴っているが、その筆致は冷酷でも残酷でもなく、親が子を戒めるような愛情あるものとなっている。
    次第に我を失っていく親の姿は同時に、次第に親を失っていく子どもの切なさと悲しみを投影していて、心を打つ。
    ひっそりと、しんみりと、気がつくと父母を想う気持ちになっていた。

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    2014年02月04日
  • 孔子

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    井上靖の人間愛に溢れた筆致で描かれた孔子像は、人としてなにが正しいのかを考えさせられる。論語にも興味を持った。

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    2014年01月08日
  • 蒼き狼

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    遊牧民モンゴル一部族の長として多民族との激しい闘争を繰り返し、やがて全蒙古を統一してから金国やさらに欧州にまで及ぶ大遠征を試みた、鉄木真―成吉思汗(テムジン―チンギスカン)の六十五年の生涯を描いた歴史小説。著者自身の特別な批評は加えず、ただ史実に即して成吉思汗という人物の行動と姿を淡々と、そして硬派に描いている。

    ―上天より命ありて生まれたる蒼き狼ありき。その妻なる惨白き牝鹿ありき。大いなる湖を渡りて来ぬ。オノン河の源なるブルカン嶽に営磐して生まれたるバタチカンありき....
    己が部族(モンゴル人)には蒼き狼の血が流れていると云う伝承を聞いて育った鉄木真少年は己の血筋に誇りを持ち、その生涯で

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    2013年11月04日
  • 蒼き狼

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    20130901 チンギスハンの一生を淡々と綴った。静かなようで激しい。今の人にはこの文体での長編は書けないのではないだろうか。

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    2013年09月01日
  • 氷壁

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    ミステリーなんだけど、人間ドラマ。

    ナイロンザイルが切れたのは事件なのか自殺なのか…

    山に関して無知なので、冬山登山に関する描写は「へぇ〜」と思う事が多く面白かった。

    時代背景は古い。

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    2013年08月31日
  • 本覚坊遺文

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    千利休が太閤から賜った死に、抗いもせずに従ったのはなぜなのか?
    千利休の弟子・本覚坊の日記からという設定にて、利休死後の隠遁生活中の出会いの折々に触れられる師・利休の在りし日の想いや評価を通じて、本覚坊が「その時」の内面から利休とその侘茶の真の精神を半生をかけて悟るという物語。
    物語の各章はかなりの年月が開いており、前章にて本覚坊が出会い会話した人物が既に他界していて次章にまた新たな人物が登場してくるという趣向だが、その人選はなかなか凝らされていて面白い。東陽坊、岡野江雪斎、古田織部、織田有楽、千宗旦、それら利休ゆかりの人物と穏やかな時間の流れにて慎ましく語られる利休への想いが、本覚坊に師・利

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    2013年07月27日
  • 楊貴妃伝

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    井上靖作品を読むのは「額田女王」以来2作目ですが、時の権力者に愛された女性を描いた作品という点では同様でありながら、この楊貴妃伝はかなり趣の違う作品だと感じました。解説でも触れられていますが、心理描写が少なく、淡白すぎるくらいに淡々と話が進められていきます。一見欠点のようですが、これがフィクションでありながら歴史を見るかのような感覚にする効果を生んでいると思います。さらに比較すると、額田女王は自分の役目に誇りを持った女性の物語で、楊貴妃伝は自分に与えられた役割に覚悟を決めた女性の物語。という気がします。

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    2013年06月24日
  • 蒼き狼

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    「蒼き狼」のタイトルの通り、モンゴル帝国チンギスカンの話です。広大な土地を支配したチンギスカンはどうしてそこまで領土を広げたのか、また広げることが出来たのか。

    彼にとって、おそらくもっとも大事であった民族というアイデンティティーに疑問を持たなければならなかったこと。そして、自分は「蒼き狼」であることを、行動で示さなければならず、それは誰かを納得させるものではなく、自分自身を納得させることだったのではないかなと思います。

    読んでいて、「まだ、侵略するの!?」と思ってしまうほどです。歴史に名を残す人は強靭な意志と背景を持っているんだなと感じました。

    息子ジュチの亡くなった報に触れた時が

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    2013年06月26日
  • 氷壁

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    ナイロンザイル事件、松濤明の遭難など複数のモチーフがある小説。ナイロンザイル事件のことは知らなかったが、20年近くも危険性が黙殺され続けた上に今のPL法成立につながったこと、小説からそれほど間を開けず公開された映画のメガホンを取ったのが故・新藤兼人監督だったということに感じるものがあった。
    山の話は最初と最後だけなので山岳小説という趣ではないし、松濤明という登山家の人生に触れるには「風雪のビヴァーク」のほうがいいけど、主人公とその上司「常盤大作」との関係性が魅力的で惹きつけられた。この時代の「カイシャ」全般がそうだったのか、小説のための脚色なのか。時代が違う、と言ってしまえばそれまでなのかもし

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    2013年06月10日
  • 後白河院

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    周囲の人間の話により、浮かび上がっていく後白河院の人物像…というのが面白かった。後白河院って、謎が多くて調べれば調べるほどもっと知りたくなる人物。
    ちょっと難しいので読み進めるペースが遅くなった。

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    2013年05月25日
  • 夏草冬濤(上)

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    30数年前に読んだ。今回再読。ほとんど内容を覚えてなかった。
    淡々としていて山場もないけれど、瑞々しい。人物描写も味がある。
    久々の文学作品。後編も読みたいけれど、いつになるかな・・・

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    2013年05月11日
  • わが母の記 花の下・月の光・雪の面

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    とにかく切ない。家族の老いと死について、考えずにはいられなくなる。
    老いていく母親を見つめる作者もすでにこの世の人ではないんだと思うと、不思議な感慨があります。

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    2013年04月13日
  • 氷壁

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    山岳小説としてとても面白かった。穂高岳の地図を片手に読んでしまった。是非訪れてみたい。
    ストーリーは冬山登攀と、その冬山登攀で起こった事件、その山男たちのを取り巻く人間模様。
    グイグイと引き込まれていったが、登場人物の心理などとても昭和感じがした。昭和30年代?が舞台なんだから当たり前だが、少し理解できない部分もありそのような時代だったんだなと感じた。
    山への憧れ畏怖は今も昔も変わらないもののように心に響いた。

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    2013年03月27日
  • わが母の記

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    枯葉ほどの軽さの肉体、毀れた頭。歩んできた長い人生を端から少しずつ消しゴムで消して行く母--老耄の母の姿を愛惜をこめて静謐な語り口で綴り、昭和の文豪の家庭人としての一面をも映し出す珠玉の三部作。モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ受賞ほか、世界を感動に包んだ傑作映画の原作。

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    2013年01月21日
  • 氷壁

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    おもしろい。すぐに引き込まれて、すいすい読めた。本を読んで寝不足になるのも久しぶり。もっと井上作品を読みたくなった。

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    2012年11月25日
  • 風濤

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    さすがと言うべき御大の大作。被征服国家の悲哀と一言では表せない歴史。誰が主人公なんだろう、とちょっとぼやけているという点で星4つ。

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    2012年11月25日