井上靖のレビュー一覧

  • 淀どの日記
    井上靖は真田軍記と風林火山を読みましたが、淡々と人生を物語っていて、ストーリー全体の起伏は乏しいです。激しく時代や人が動いているけど、何だか静かなのです。淀どの日記もご多分に漏れず淡々と進行していきました。三姉妹の関係の変化、京極高次への気持ちの変化、血筋へのプライドの持ち様の変化が一応山場かな、と...続きを読む
  • 氷壁
    一日が終わって床に着く前の読書は自分に戻れる瞬間。いったん熟睡したにも関らず続きが気になり夢にまで出てきて再び深夜に読書再開した程の内容。時代が変わっても機材が進化しても山の危険は同じですよね。
  • 孔子
    孔子のふるさと・山東省の曲阜へ行く前に。
    論語の教えがちりばめられていて分かりやすい。
    孔子一門が雷をじっと座って見ているという場面がすごく印象的。
  • 楊貴妃伝
    楊貴妃は色っぽく艶めかしく書かれているのですが、彼女視点で話が進んでいく事もあって結構人間くさくて好感が持てました。
  • 孔子
    先日、行きつけの料理屋のママさんが、「先生にぴったりの言葉を見つけんです。聞いてくださいますか?」と美しいカバーに包まれた小ぶりのノートを大事そうに取り出してこられました。テレビや本で心に響く言葉を見つけた折々に書き記しておかれるのだそうです。「孔子の人柄は、温和であって、しかも厳格であり、威厳を備...続きを読む
  • 北の海(上)
    昔の柔道のお話です。しかし古いのは柔道だけでなく、人間やその周りを取り巻く環境、すべてが現代から見てのんびりしていると思います。読んでいてなんとなくほっとさせられる作品でした。
  • 北の海(下)
    上巻の続きです。主人公はなんだか一本気というか、一本調子です。文自体もどことなく素朴で、作文を思い出させられました。そこのところ解説でフォローしてました。本当ですかねぇ。
  • 夏草冬濤(下)
    上巻よりはすらすら読める!!と思う。個人的に金枝くんがツボだったので(下巻はよく出る)入り込めたんだと思う。時代は今とは全然違うけれど、自分自身がしっかりしないと日々は流れてしまったり、周りだけが成長してしまう。そう気付かせてくれる作品だと思いました。
  • 楊貴妃伝
    悪女なんかじゃない楊貴妃がここにあります。息子の后だった楊貴妃を玄宗皇帝が召し上げ、寵妃とする。そこに彼女の意志はないが、召されたからには愛情を獲得せねばならない。絶頂から落ちてゆく権力者を眺め、最後には殺された女性の物語。
  • おろしや国酔夢譚
    まずは江戸時代に黒屋光太夫以前にも漂流してロシアで生を送った日本人が何人かいて,ロシアもいつか来る日の日本との交渉のために日本語学校を作っていたというのはおどろきだった.そしてほとんどの漂流日本人がロシアで生をまっとうしているところ,女王エカチェリーナ二世にまで直訴して帰国するまでの10年間の大黒屋...続きを読む
  • わが母の記 花の下・月の光・雪の面
    作者の母が老いで弱っていく様子をつづった作品.「老い」はどのように人を変えていくのか,その一端を見ることができる.いつかは自分にも迫ってくるものだし,身内にも迫ってきているものだし・・・考えさせられます!
  • 楼蘭
    時代背景が二千年以上前なのに、目で見たことを書いているのではなかろうか??と思うほどの描写力、情報量、構成力。運命に翻弄されながらも生き抜こうと必至にもがく人々の背中に、人間の強さを感じます。
  • 楼蘭
    短編集。だけど。
    「楼蘭」は短いお話だけれど、時間の流れ、時代の流れをめまいがするほど感じさせてくれる作品。
    ほんとすごい。古本でしかあまり出回っていないかも。
  • 敦煌
    歴史に翻弄され、なりゆきにまかせながら生きる主人公の姿が印象的。
    ここまで自分の生き方にこだわりを持たない人はいるのだろうか。。
    シルクロードの砂漠の世界に徐々に没入できる作品。
  • 猟銃・闘牛
    闘牛は実際にあった出来事をモチーフに書かれているそう。きっと恋愛パート以外は実話に近いのだろう。戦後間もないごたごたの時代の、泥臭く働く人たち。興行を成功させるには綺麗事だけでは済まないのだなと改めて思う。うさんくさい人とも付き合いながら、会社の命運を賭けて博打にも近いイベントを打ち出していく主人公...続きを読む
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集
    表題作を読みたくて購入。表題作以外は1作を除いて現代小説でしかも全く面白くない。
    表題作はまずまず。最も終わり方をもう少し工夫出来ないものか。それともこれは史実なのか。
    もう一つの歴史小説は磐梯山の噴火。凄まじい出来事のようだが、小説は今ひとつ。
  • あすなろ物語
    あすなろ忌
    1953年の作品。
    明日は檜になろう“あすなろう。
    若い頃何かしらの感銘を受けて、いつか再読しようと持ち続けた一冊。
    親と離れて祖母と二人、小さな村の蔵で暮らしていた少年、鮎太の恋心と成長の物語。
    この少年の設定から、だいぶ本人に近いように思う。

    以下は、覚え書き
    ⚪︎深い深い雪の中で...続きを読む
  • 楼蘭
    古の桜蘭という国の状況が偲ばれ、古代人の想いも時を超えて伝わっ手きます
    他の短編も興味深く知識を広げる意味でいい本かもね
  • 氷壁
    井上靖さん初読。

    「氷壁」というタイトルから「神々の山麓」のような山岳小説をイメージしていたが、内容は山以外の人間模様が中心の作品。

    二人の親友でもある登山家の一名が滑落事故で亡くなった。その死因を巡り、様々な憶測が絡み合うことで物語が進行していきます。

    終盤ハッピーエンドかと思いきや悲しい結...続きを読む
  • 天平の甍
    奈良時代の最盛期である天平。その頃、唐から高僧・鑑真を日本に連れてきた僧侶・普照の物語。鑑真の渡航は当時では非合法的だった。天平二年、七年と出航するが難破。天平七年の遭難の際には海南島まで流されてしまう。そして天平十二年に渡航に成功。時間的、距離的に想像を絶する話です。