井上靖のレビュー一覧

  • 北の海(上)

    Posted by ブクログ

    昔の柔道のお話です。しかし古いのは柔道だけでなく、人間やその周りを取り巻く環境、すべてが現代から見てのんびりしていると思います。読んでいてなんとなくほっとさせられる作品でした。

    0
    2009年10月04日
  • 夏草冬濤(下)

    Posted by ブクログ

    上巻よりはすらすら読める!!と思う。個人的に金枝くんがツボだったので(下巻はよく出る)入り込めたんだと思う。時代は今とは全然違うけれど、自分自身がしっかりしないと日々は流れてしまったり、周りだけが成長してしまう。そう気付かせてくれる作品だと思いました。

    0
    2009年10月04日
  • 楊貴妃伝

    Posted by ブクログ

    悪女なんかじゃない楊貴妃がここにあります。息子の后だった楊貴妃を玄宗皇帝が召し上げ、寵妃とする。そこに彼女の意志はないが、召されたからには愛情を獲得せねばならない。絶頂から落ちてゆく権力者を眺め、最後には殺された女性の物語。

    0
    2009年10月04日
  • おろしや国酔夢譚

    Posted by ブクログ

    まずは江戸時代に黒屋光太夫以前にも漂流してロシアで生を送った日本人が何人かいて,ロシアもいつか来る日の日本との交渉のために日本語学校を作っていたというのはおどろきだった.そしてほとんどの漂流日本人がロシアで生をまっとうしているところ,女王エカチェリーナ二世にまで直訴して帰国するまでの10年間の大黒屋光太夫の不屈な態度はすごかった.また大黒屋光太夫一行でロシアに残留するメンバとの別れは感動をさそった.そして何より,あれだけ帰国したかった日本に帰って逆に感じるようになるロシアへの故郷的な思いがとても切なかった.

    0
    2009年10月04日
  • わが母の記 花の下・月の光・雪の面

    Posted by ブクログ

    作者の母が老いで弱っていく様子をつづった作品.「老い」はどのように人を変えていくのか,その一端を見ることができる.いつかは自分にも迫ってくるものだし,身内にも迫ってきているものだし・・・考えさせられます!

    0
    2009年10月04日
  • 楼蘭

    Posted by ブクログ

    時代背景が二千年以上前なのに、目で見たことを書いているのではなかろうか??と思うほどの描写力、情報量、構成力。運命に翻弄されながらも生き抜こうと必至にもがく人々の背中に、人間の強さを感じます。

    0
    2009年10月04日
  • 楼蘭

    Posted by ブクログ

    短編集。だけど。
    「楼蘭」は短いお話だけれど、時間の流れ、時代の流れをめまいがするほど感じさせてくれる作品。
    ほんとすごい。古本でしかあまり出回っていないかも。

    0
    2009年10月04日
  • 額田女王

    Posted by ブクログ

    流石井上靖だけあって特に抑揚のないストーリーではあるのに飽きずに読める。

    だけど…額田女王のキャラ設定がどうにも好きになれない。十市皇女について周囲には「大海人ではなく梅の精の子」と頑なに言い張るくせに、侍女にだけ「この子は誰に似てると思う?」と迫って、侍女が畏れをなして黙っていると「気のちいさいひとね」と突き放すくだりは人が悪すぎる。近江に都移りしてからも、鵜野讃良(後の持統帝)に対して「あのお方が?[私より]若くて美しい?」と自信たっぷりに陰口を叩くあたりも、伝わっている歌に垣間見える額田の人柄とは大きく乖離しているようにしか感じられなかった。これなら澤田瞳子の『恋ふらむ鳥は』での額田の

    0
    2025年12月06日
  • あすなろ物語

    Posted by ブクログ

    時代背景になかなかついていけず、四苦八苦して読みました。「男の嫉妬」がたくさん出てくる印象です。

    主人公はそれぞれに関わる女性を中心に、少年から中年へと成長していく過程があります。あまり理想的な幼少期だったとは言えませんが、青年期は成績優秀で友人にも恵まれ充実しています。しかし戦争の招集令状が届き、その後はつらい経験を重ねます。

    主人公は、女性に対して臆病で引っ込み思案です。長年好きだった女性にも対しても、冷静に会う勇気がありません。そんな彼の周りで戦後の時代、懸命に生きようとする人物達が印象的でした。

    強く生き抜いた時代だったんだと、感じさせられます。

    0
    2025年12月06日
  • 晩夏 少年短篇集

    Posted by ブクログ

    教科書で井上靖の文章は読んだことがあるはずで、そこに著者の代表作として「天平の甍」という記述があったのは覚えているのだけど、ちゃんと読んだことがなかったので、まずは手頃そうな短篇集を、と読んだみた。

    伊豆の田舎の山奥の少年時代のことを描いた短篇で、自分とは勿論世代も土地もずいぶん離れているのだけれど、東京人への距離感(遠さ具合)とか、不思議と懐かしい感じがした。

    著者の本領は長編なのだろうと思ったので、次は「敦煌」とか読んでみようかな。

    0
    2025年11月22日
  • しろばんば

    Posted by ブクログ

    後半は少し面白くなるが、良くも悪くも平和な小説というのが感想。鋭さや刺激がない。

    同じく少年の成長をテーマにした小説では、藤沢周平の「蝉しぐれ」のほうがはるかに面白い。

    井上靖をまた読むことは多分ない気がする。

    0
    2025年11月06日
  • しろばんば

    Posted by ブクログ

    牧歌的とはまさにこの事。主人公がすぐ泣いて変な行動するのにちょっとイラッとしたけど生きるってこういうことか、と思った。

    0
    2025年11月05日
  • 敦煌

    Posted by ブクログ

    かなり昔に書かれた本であると思うが、今の時代でもかなり読みやすい気がする。
    中国の歴史小説みたいなものをあまり読んだことがないが、登場人物がやはり漢字ばかりで混乱することがあった。
    ただこれは自分の読書経験不足に由来するものかなと思うので、もっと色々な本を読んで、情景描写とかを理解できるようにしたい。

    0
    2025年10月31日
  • わが母の記

    Posted by ブクログ

    小説のような、随筆のような、母親の惚けていく晩年を淡々と綴ったもの。

    自分の親にも被るところがあり興味深く読んだ。

    0
    2025年08月15日
  • 天平の甍

    Posted by ブクログ

    初めて井上靖さんの小説を読みました。
    また、天平の時代を舞台にした小説を読むのも初めてです。

    会話文や、心情を表す表現が少なく、歴史書を読んでいるかのような印象を受けました。
    用語も難しく、ページ数の割には読むのに時間がかかってしまいました。

    鑑真が度重なる苦難の末、失明しながらも日本にやって来たことは歴史の授業で習いました。
    しかし、その裏で普照のような日本人留学僧の尽力があったことは知りませんでした。

    最も印象に残ったのは、ひたすら写経に没頭する業行さん。自身が書き写した経典に執着する彼に、共感を覚える普照。この2人の関係性が良いなと思いました。
    それだけに、あの結末は切ないものがあ

    0
    2025年07月07日
  • 氷壁

    Posted by ブクログ

    1955年のナイロンザイル切断事件と北鎌尾根での遭難を元に書かれた小説。魚津は登山家は冒険しないと行っていたが、落石の続く中に自ら進んで行き、、、。幸せな結末ではだめだったのか

    0
    2025年07月03日
  • 天平の甍

    Posted by ブクログ

    唐で何年もかけて学んだものを命懸けで船で運び、それも確実に届けられるかわからない中、何とか伝えられた戒律と考えると、仏教の教えは価値のあるものに思える。

    0
    2025年04月02日
  • 後白河院

    Posted by ブクログ

    後白河院の近くにいた同時代人四人が語る当時の「現代史」。
    本書の発表は1972年。
    1995年に発表された辻邦生の「西行花伝」は、本書の形式に倣ったものであることが分かる。

    四人とは平信範、建春門院中納言、吉田経房、九条兼実だ。
    平信範は、平の名前を持つが、武家平氏の清盛と違って貴族。堂上平氏と呼ばれる。鳥羽院、後白河院に仕える。
    建春門院中納言は、後白河院の妃、平滋子。
    清盛の夫人である時子の妹。
    後白河院の間に高倉天皇を産む。
    彼女の存在が、後白河院と清盛の融和を生み出していた。彼女の死によって後白河院と清盛な対立は先鋭化する。
    吉田経房は、平氏政権の実務官僚だったが、源頼朝に認められ、

    0
    2025年03月14日
  • 北の海(上)

    Posted by ブクログ

    七帝柔道記からこの本にたどり着いた。自伝的三部作の第三部にあたる本書の、前二部作であるしろばんばや夏草冬濤は未読のまま読んだ。四高、今の金沢大学の前身、での柔道づけの生活が続くのかと思っていたら、なかなか出てこず、上下巻のうち、四高での柔道描写は思いの外少なめで残念だった。しかし、少ないながら四高柔道部での仲間たちとの生活は生き生きと描かれていて最高だった。全編を通じて、あのノリだったらよかったのに、と思ったが、人生の中の一瞬でしかない青春を描く小説なのであるから、物足りないくらいが良いのかもしれない。

    0
    2025年02月03日
  • 敦煌

    Posted by ブクログ

    本作の主人公、趙行徳にしても、『天平の甍』の普照にしても、人為を超えた何物かに突き動かされて、結果的に何事かをなしている。何事か、とはここでは仏意の伝承ということになる。さすれば、仏意とは遺伝子の如きものであろうか?

    0
    2024年12月24日